ひからびろ 3.0

密かに輝くラクダとビロード、ロバ。お願いだから、ひからびてほしい。

小説を書くこと、キャラクターを作ること。

2012-02-01 | 常々

じつは連載の時、
僕は一人のキャラクターに
かなりいろいろ悩ませてしまっていたんです。
そうすると、みんな同じ悩みを抱えるようになる。
当たり前です。
だってみんな僕の分身でしかないんだから。

で、これはよくないと思って、
単行本では大修正をしたんですよね。
そのとき、何をやったかというと、
要はキャラクターを当てはめるということなんです。
こいつはこれしか考えてないことにしよう、
あいつはそれしか考えていないことにしよう

とそう割り切った。
なるほど、小説を書くというのは
こういうことなんだなと思ったんです。



人物に悩ませようと思ったら
いくらでも悩ませられる。
しかし、それこそ恋愛でいえば、
このひとが好きかもしれないし嫌いかもしれない。
そもそも僕は好きという感情がわからない……
みたいなことばっかり考えていたら、
リアルかもしれないけど物語は始まらないわけで、
その時にあるひとつのキャラクターを設定し、
責任を与えることで、ようやく物語は動き出す。



ある人物についての情報量が多過ぎる中で、
それをそのまま提示しても
読者が受け止められない
というときに、
どう縮減するか。
その縮減のしかたの一つとして、
キャラクターというのがあるんだと思うんですね。


(【特別対談】情報革命期の純文学/東 浩紀+平野啓一郎 http://www.shinchosha.co.jp/shincho/201001_talk03.html

*****



情報の量をあえて制限してやる。
そのさじ加減。



*****

『発達障害当事者研究』(医学書院)という本を読んで、
小説を考える上ですごく興味深かったんです。

著者は自閉症なんですが
普通の人はお昼頃にお腹がグーと鳴ったら、
空腹を感じてご飯を食べるけど、
その人は、お腹のあたりに何か違和感があったり、
なんとなくボーッとするとか、血の気が引くとか、
そういう情報が一挙に殺到した時に、
それを空腹という判断にうまく統合できないんですね。
等価的に、バラバラのまま受け取ってしまう。


(同上)

*****

「空腹という判断」に統合すること。
複数の要素をひとりのキャラクターに統合すること。
等価的」にならないように、
あえて偏りを持たすこと。

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