吉本隆明が死んだ。87歳。
いつかは死ぬかと思ってたけど、
まさか、もう来るとは。
メディアでは「知の巨人」なんて呼ばれてたけど、
普通に「イイおじいちゃん」というイメージで、
大学3回生の頃からその著作に親しむようになった。
それで、ずっと吉本隆明の追悼関連の記事を求めて、
ネットをさまよっていた。
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宮台真司 「吉本隆明の思想と限界」 2012.03.16
宮台さんの話は、
吉本隆明の著作から、
「自立思想」を読み取って、
組織を作らずに、自分で考えることを、
思想として打ち出した人として評価してる一方で、
結局、そんな思想のもとに活動していた吉本さんにもかかわらず、
「日本は変わらなかった」と指摘してる。
で、その原因を2点にまとめてるんだけど、
1.現代思想の知識・センスがなさすぎ。
2.資本主義を擁護する態度の軽薄さ。
・・・うーん。
ちょっと、これは納得しかねる根拠でした。
「現代思想の知識がなくて、資本主義を軽薄に擁護したから、
日本は変われなかったんだ」
というのは、
なんかおかしな感じがしませんかね。。。
もう「思想の限界」なんて言わずに、
普通に「みんなが思ってること」(大衆の原像)を
うまく汲み出して議論を展開したことを、
もっと具体的に説明すればよかったのに・・・
と、少し残念に思った。
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「ほんとうの考え」
「自分が信仰してる宗教がいちばん偉い」と思ってる人は、
まだまだ大したことはなくて、
ほんとうに徹底して宗教をやると、
「自分のよりも相手の宗教の方が立派だ」と考えられる。
「そこまで行けたら、大したもんだと思います」
ということを言ってたのが、印象的だった。
みんながそういう地点にまで辿りつけば、
その場所でケンカが始まることはない。
どんな思想の人も、宗教の人も、
いっしょにいることができるところ。
吉本さんの考えてたことって、
そういう、物凄く簡単なことなのだと思う。
もちろん実現するのはとんでもなく大変だろうけど。