しばしばトイレの怖さというのは
薄暗さとか汚さだというけれど、
「レイコさん」のような例を踏まえると
ぼくにはそのようには思われなくなってしまう。
たとえばそういった恐怖は
オフィスビルの中の、
小ぎれいなトイレの中でも起こりうるんじゃないか。
いや、別に恐怖である必要はない。
ただそこに何かしらの物語を
帯びさせることができるんじゃないか。
ぼくは考えた。
トイレから出られない。
たとえば . . . 本文を読む
前々から
トイレという場所には
物語を想起させる何かがあるんじゃないかと
ぼくは考えていた。
顕著な例は「トイレの花子さん」だが、
その他にも学校のトイレという場所が
いつの時代も子どもの想像力を刺激してきた
という側面はあるんじゃないかという気がする。
たとえばぼくの小学校には
「レイコさん」というエピソードがあった。
昔レイコさんという算数が得意な女の子がいて、
彼女はテストでいつも100 . . . 本文を読む
映画『キサラギ』の舞台は、とあるビルの一角。
そこに互いに面識のない五人の男が集まる。
彼らはD級マイナーアイドル
如月ミキのファンサイトを通じて知り合った、
いわゆる「アイドルオタク」で、
一年前にマネージャーの留守番電話に遺言メッセージを残し、
自宅マンションに油をまいて焼身自殺した
如月ミキを悼むのがその会合の趣旨だった。
ところがその最中、ファンのひとりが彼女の死因は
自殺ではなく他殺 . . . 本文を読む
トイレにふたりの男女が閉じ込められたら――
そういうアイデアからスタートし、
その場合に考えられるふたつの状況について考えてみた。
ひとつはいわゆる「真昼の情事」と呼ばれるような状況で、
一組の男女がトイレの個室に閉じ込められるというものだった。
もうひとつは、トイレの中で隣り合わせの個室に入った男女が
同時に閉じ込められるというもの。
そして、ぼくは後者の方が面白そうだと感じている。
しかし . . . 本文を読む
トイレから出られない。
そういう状況を仮定してみていただきたい。
もし仮に自分がトイレから出られなくなったとしたら――そして、
もし余力があるようならなぜそのような状況に陥ってしまったのか、
その原因についても考えてみていただきたい。
当然ぼくは余力があるから、仮定するだけでなく
その状況に陥った原因についても考えてみる。
たとえばその原因として二通りほどの場合が考えられるのではないか。
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