Go straight till the end!!

世界一周の旅の思い出を綴っています。
ブログタイトルは、出発前に旅日記の表紙に書いた言葉です。

(223)サンフランシスコ(アメリカ)(後編)

2013-03-28 23:55:55 | アメリカ・エピローグ
 San Francisco (サンフランシスコ)(カリフォルニア州)を発つ前日、さん(仮名)が秘密の場所(お気に入りの場所)を案内してくれた(自分の住む街にお気に入りの場所があるのが素晴らしい)。
 旅日記には、Seal Rocks (シール・ロックス)についての記述がある。確かロボス岬( Point Lobos )からランズ・エンド( Land's End )の辺りを散策したと思う。

 到着したのは夕暮れ時だった。座禅を組んで瞑想をしていた人達の姿が印象に残っている。自然と一体となれる場所だった。

 (下記写真の左側に見えるのがシール・ロックス)



 太平洋夕陽が沈んでいった。

 その沈みゆく太陽の先にあるのは日本だ。

 

 最初の予定では、Syracuse (シラキュース)(ニューヨーク州)にてイロコイ族に会った後、New York (ニューヨーク)から帰国する予定だった。
 しかし、大都会ニューヨークでは旅を終える気になれなかった。旅の情感・風情というものを感じることが出来なかったからだ。

 今回、城さんのご好意に甘えさせて頂き、美しい街サンフランシスコに滞在することが出来た。
 そして、太平洋に沈む夕陽を眺めながら、ようやく旅を終える気持ちになれた。
 現実的には所持金が無いので旅を終えなければならなかったが、無理やり自分を納得させるのではなく、自然な形で旅の終わりを感じることが出来た。

 城さんには心から感謝したいと思う。どうもありがとう。

 さあ、日本へ帰ろう。



※おまけ記事はこちら

※地図はこちら

おまけ(その36) enduring spirit

2013-03-21 23:55:55 | おまけ
(222)サンフランシスコ(アメリカ)(前編)のおまけ記事



 San Francisco (サンフランシスコ)で購入した一冊の本について紹介したい。
 書籍のタイトルは、『 enduring spirit 』( Phil Borges 著)、当時33ドルで購入した。

※ enduring …[形容詞]永続する、持続する、耐久性のある、不朽の、息の長い、辛抱強い、我慢強い

 この旅において、大きな本やハードカバーの本は荷物の重量が増える為、なるべく買わないようにしていた。
 所持金が少ないにも関わらず、この本を購入したのは、この機会を逃すと手に入れるのが大変だと思ったからだ(当時はアマゾン等のネットショッピングも一般的では無かった)。
 もちろん、旅が終わるという点も理由として挙げられる。重いバックパックを背負う日課からも解放されるからだ。
 しかし一番の理由は、この本に登場する人物達の視線に射抜かれたことだと思う。



 この本に登場する人物達は、アフリカの部族民アメリカ先住民チベット人等、どちらかというと発展途上の地に住む人々だ。
 貨幣経済的な視点から言えば、貧しく慎ましい生活を営む彼らだが、そのに宿る力は我々よりはるかに強い。それはきっと彼らの強いを表しているのだろう。

 彼らの様々な表情(笑い、悲しみ、誇り…)が映し出されているが、たとえ小さな子供であったとしても、その視線によって本来見ている側の自分が、逆に見られているような感覚に陥(おちい)る。しかも彼らが見ているのは、私自身の魂だ。
 背後まで見透かされているような奇妙な感覚と共に、彼らにこう言われているような気がする。

 「お前は、全身全霊をかけて今この瞬間を生きているか」

 上記の言葉は、私が感じたことを100%正確に伝えきれていない。どちらかと言うと、

 「お前はそれ(今の現状)でいいのか」

 という感じだろうか。

 彼らよりはるかに物質的に恵まれ、楽な方に流されながら生きていて、(おのれ)を高める努力をしているのか?
 この本を読み返す度に、同じことを感じる。



 余談になるが、昔聞いた手相の話を思い出したので書き記しておきたい。

 農業等の身体を使う仕事をしている人は、毎日相当の力を使う。
 手を使って物を掴(つか)んだり運んだりすることにより、手の皺(しわ)が深くなる。
 皺の深い手は、立派な人生を送った手の証だそうだ。



※『 enduring spirit 』の著者、Phil Borges 氏のHPはこちら

(222)サンフランシスコ(アメリカ)(前編)

2013-03-14 23:55:55 | アメリカ・エピローグ
 San Francisco (サンフランシスコ)(カリフォルニア州)は、アメリカ西海岸のサンフランシスコ半島の先端に位置するとても美しい街だった。
 ヨーロッパの街の雰囲気に近く、この旅で訪れた近代都市の中で、最も印象的な街の一つだ。
 数日間の滞在中、空は毎日晴れ渡り、気温も摂氏20度前後と過ごしやすかった。



 18世紀後半、かつては先住民達の村落があったこの地に、スペイン人入植者達が住み着いた。この地に入植したキリスト教フランシスコ会の修道士が、創設者の聖フランチェスコ(1182年~1226年)を街の名に付けたことが街の名前の由来らしい。
 1821年にメキシコ独立革命が起こり、スペインから独立しメキシコ領となったが、その後の米墨戦争(アメリカ・メキシコ間の戦争)(1846年~1848年)中にアメリカ領となった。
 その直後に起こったカリフォルニア・ゴールドラッシュにより街の人口が増大すると共に、街も発展し、交易地・金融センターとしての役割が増していった。
 街には多種多様な文化が入り交じり、第二次大戦後にはアメリカのカウンターカルチャーの中心地としての立場を築いた。



 この街では旅先で出会ったさん(仮名)宅に厄介になった(旅の縁に感謝)。
 城さんにいろいろと街を案内してもらった。観光したのは以下の通り。

グレース大聖堂  ゴールドラッシュの時代にグレース教会として建てられたが、1906年のサンフランシスコ大地震で焼失。その後1964年に再建された(ゴシック建築)。

チャイナタウン  ゴールドラッシュの時代に移民が押し寄せた。一時期移民法により移民が制限された時代もあったが、今やアメリカ最大のチャイナタウンだそうだ。

ロンバード・ストリート  この通りの一区画は【世界一曲がりくねった坂道】と呼ばれている。坂道の多いサンフランシスコの街でもここは別格で、急勾配の中、8つのヘアピンカーブが続く。

ノースビーチ(リトルイタリー)  かつては海岸線だったエリア。イタリア系の移民が多いことから、リトルイタリーとも呼ばれている。
 ここは、ビート・ジェネレーション発祥の地と呼ばれている。ジャック・ケルアック(1922年~1969年)やアレン・ギンズバーグ(1926年~1997年)等の詩人・小説家達の思想が若者達に影響を与え、後にヒッピー・ムーブメントへとつながっていった。
 (ちなみにこの旅の前にケルアックの小説『 On the road (路上)』を読んでいたが、サンフランシスコに来るまでそのことをすっかり忘れていた。)

フィッシャーマンズワーフ  漁師の波止場の意。イタリア人漁師の船着場として栄えたエリア。

Pier 39(ピア39)  フィッシャーマンズワーフの中でも最も集客のあるショッピングエリア。元々は桟橋だった場所。野生のアシカが住み着いていた。



 付近の寿司屋にて城さんにカリフォルニア巻をご馳走になった。
 (このエリアだったか記憶が定かではないが、)本屋の中にカフェが併設されており、購入していない本でもカフェでお茶を飲みながら閲覧可能だった。当時こういったサービスを日本では見かけなかった為、その発想に驚いたのを覚えている。

サンフランシスコ海洋国立歴史公園  フィッシャーマンズワーフから【世界一美しい吊り橋】ゴールデン・ゲート・ブリッジ方面に向かって海沿いに歩いて行くとこのエリアに辿り着く。
 第二次大戦時の潜水艦パンパニト( USS Pampanito, SS-383 )が停泊し、公開されている(内部を見学した)。

アルカトラズ島  通称【ザ・ロック(監獄島)】。フィィッシャーマンズワーフの沖3km程に位置する島。脱獄不可能と形容された刑務所として使用された。マフィアの帝王アル・カポネ(1899年~1947年)も服役している。見学の為、フェリーツアーに参加した。



ジャパンタウン  サンフランシスコ大地震の後、荒れ地に日本系移民が住み始め、日本人街となった。ジャパンセンターにて書籍を購入している。

※購入した書籍『 enduring spirit 』のおまけ記事はこちら

ヘイトアシュベリー  1960年代のヒッピー発祥の地。お洒落なお店が多く、街の雰囲気に感化され、ここでTシャツを購入した。
 恐らくこのエリアだったと思うが、神秘的な雰囲気を醸(かも)し出す専門書の書店に入ったところ、そこには当時の日本ではあまりお目にかかれない書籍が並んでいた(ニューエイジ精神世界関連の本)。

カストロストリート  虹色の旗(レインボーフラッグ)で彩(いろど)られたエリアがあったので、不思議に思い城さんに尋ねたところ、サンフランシスコはゲイ・カルチャーの街でもあるということだった。6色のレインボーは多様性を意味する。
 (今でこそ LGBT と言う言葉を日本でも聞くようになったが、当時は何のことか分からなかった。)

※LGBT:女性同性愛者(レズビアン、Lesbian )、男性同性愛者(ゲイ、Gay )、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual )、トランスジェンダー( Transgender )の各単語の頭文字を組み合わせた表現。



 当時、アメリカは日本の10年後の姿と言われていたが、この街を観光した時のことを思い出すと、確かにその通りだと思う(今はタイムラグが短くなったように感じる)。

※地図はこちら

おまけ(その35)ロード・ムービー

2013-03-07 23:28:34 | おまけ
(221)シラキュース~シカゴ~シャイアン~サンフランシスコ(アメリカ)のおまけ記事



 北米大陸をバスで横断した時に見た景色、それは旅をテーマにした映画でよく見た光景そのものだった。
 都市部を離れると、荒野の中を果てしなく道が続くのみ。
 西アジアから中東にかけての砂漠地帯と若干似ている部分もあるが、それよりもやはり映画で見た光景と言った方がしっくりくると思う。

 旅という場面での出来事を描いた映画を【ロード・ムービー】というらしいが、印象に残っている映画を幾つか紹介したい。



(1)『イントゥ・ザ・ワイルド』( Into the Wild )(ショーン・ペン監督)



 エミール・ハーシュ演じる、この映画の主人公クリストファー・マッカンドレスは、実在の人物。
 優秀な成績で大学を卒業したにもかかわらず、彼は家族から探し出されないように消息を断ち、アレクサンダー・スーパートランプ と名前を変えて放浪の旅に出る。



 一度は自分を試すこと

 一度は太古の人間のような環境に身を置くこと
 
 自分の頭と手しか頼れない
 
 苛酷な状況に一人で立ち向かうこと




 2年間北米大陸を転々とした後、彼が向かったのはアラスカだった。
 物質世界とかけ離れ、厳しい自然が残る大地で、たった一人で生きていこうとした彼の言葉(アラスカの地で書き記した最後の言葉)が心に染みる。

 Happiness only real when shared. (幸福が現実となるのは、それを誰かと分ちあった時だ。)



 長い旅に出る者は、その心の中に強い渇望感のようなものがあり、それが旅の原動力になっていると、昔誰かが言っていたのを、映画を見て思い出した。

 映画の中で主人公はヘンリー・D・ソローの言葉を引用している。



 愛よりも

 金銭よりも

 信心よりも

 名声よりも

 公平さよりも

 僕に真理を与えてくれ



※『イントゥ・ザ・ワイルド』の予告編はこちら



(2)『星の旅人たち』( The Way )(エミリオ・エステベス監督)



 製作者が違うが、『イントゥ・ザ・ワイルド』の続編的テーマがあると思う映画だ。

 主演に実父のマーティン・シーンを起用。
 彼は、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに辿り着く前に亡くなった息子ダニエル・エイヴリー(エミリオ・エステベス)の遺志を継ぎ、巡礼の旅をする父親トム・エイヴリーを演じている。

 様々な目的を持って集(つど)ったサンティアゴ巡礼者達のドラマが面白く、四国遍路以来の巡礼をしたくなった映画だ(いつかサンティアゴ巡礼をしたいと思う)。



※『星の旅人たち』の予告編はこちら



 【追記】

(3)『 LIFE ! /ライフ』( The Secret Life of Walter Mitty )(ベン・スティラー監督)



 この映画の主人公ウォルター・ミティを演じるのはベン・スティラー。
 休刊となる『 LIFE 』誌の写真管理部で働くウォルターは、10代の時に父を失くしてから自分の夢を封印して家族の為に働いてきた(モデルとなった LIFE 誌は2007年に休刊)。
 自分の心を閉じ込め、空想(妄想)で現実逃避をしていた彼だが、世界を旅していくうちに徐々に顔つきが精悍(せいかん)になっていくと共に、空想も減っていく。
 壮大な景色が美しい映画だ。

 (尚、この映画に『イントゥ・ザ・ワイルド』の監督ショーン・ペンが、カメラマンのショーン・オコンネル役で登場している。)



 「自分が信じていること、思いきってやろうとしていることであればリスクを考える必要はないさ」(ベン・スティラー)



 歳を重ねるにつれ失っていく情熱というエネルギーを、取り戻すきっかけになる映画だと思う。



[映画に登場した LIFE 誌の社訓]

 TO SEE THE WORLD (世界を見よう)

 THINGS DANGEROUS TO COME TO (危険でも立ち向かおう)

 TO SEE BEHIND WALLS (壁の裏側をのぞこう)

 LIFE !

 TO DRAW CLOSER (もっと近づこう)

 TO FIND EACH OTHER (お互いを知ろう)

 AND TO FEEL (そして感じよう)

 THAT IS THE PURPOSE OF LIFE (それが人生の目的だから)




※『 LIFE ! /ライフ 』の予告編はこちら