自分の発言の中で気になっているのはセリウムである。塩化セリウムは普通は多少飲んでもほとんど毒性を示さない物質である。何故かといえば、腸管から吸収されず、細胞膜をほとんど通過しないためである。しかし、pH7.0の中性、30℃付近の水溶液における条件でDNAやタンパク質、ATP、cAMPを加水分解して切断する速度を何億倍にも高める触媒として機能する性質があり、細胞内に侵入すれば毒性を発揮するのはほぼ間違いないと思われる。
このセリウムを体内に侵入させるには細胞膜を通過する油に溶ける物質とすればよいわけだが、そこで思いついたのがトリエチルセリウムであった。合成はトリエチルアルミニウムやエチルリチウムと塩化セリウムを酸素から隔離した状態で炭化水素溶媒中で混和するだけである。この合成の簡便さは化学兵器に向いた性質である。トリエチルセリウムは全く未知の物質だが、同じ周期や属のアルキル化された物質(有機水銀や有機鉛など)から推測して、おそらく、空気中での反応性は比較的低く、常温では数時間かけて徐々に酸化セリウムに変化し、沸点はおおよそ100℃前後で比較的蒸気圧が高く、水に溶けないが、接触すると反応すると考える。これが細胞膜を通って細胞内に入ると、エチル基が取れてセリウムイオン(Ⅲ)に徐々に変わっていき、それが触媒としての活性が大きいセリウムイオン(Ⅳ)と平衡状態になって触媒として働き、加水分解によって細胞に障害を生じるはずである。作用は糜爛剤と似たものとなり、加えて、かなり短時間にATPが細胞から失われて動けなくなるなどの症状が現れ、高活性の触媒であるため糜爛剤よりは桁違いに量が少なくても症状が現れると考えられる。
現在、セリウムは化学兵器の原材料として認識されておらず、毒物としても全く考えうるものではない。市場にも比較的大量に流通していて資源量も少なくない。もしそれが、化学兵器として使用されたならばVXガスを使うよりも大混乱になることは想像に難くない。北朝鮮は兵器の研究を人権を全て無視して進める国家である。アメリカやロシアもまだ知らない未知の化学兵器が密かに開発されている可能性は非常に高く、もし、実戦になれば、それを必ず使用するはずである。