電車内の痴漢犯罪が連日のように報道されている。
今日のニュースでも2件。
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電車内で女性触った疑い、国税局調整官(43)を逮捕
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東大教授(42)を痴漢容疑で現行犯逮捕 警視庁
いずれも40歳代、社会的な地位もそれなりの、世間的には何不自由のない人物たちによるもので、触っても文句を言いそうにない女性に対してしつこく繰り返していた常習的で卑劣な犯罪である。
しかし、捕まれば社会的な地位も名誉も家族関係も全て失うことになるかもしれないのに、こういった常識的な判断もできないほど、自己をコントロールできないものであろうか。
また、最近は痴漢の冤罪事件も数多く発生しているらしい。
たまたま被害者の近くにいたということだけで痴漢と間違われ、あるいは故意に犯人に仕立て上げられ、お金を脅し取られることもあるという。
こういった事件は無罪を証明することも難しく、一旦間違われれば困ったことになる。
かくいう私も、何年か前に痴漢と間違われたことがある。(いや、実際に女性に触れていたので間違いともいえないのかもしれないが・・・・)
それは、朝の通勤電車に乗っていたときの出来事であった。
その電車は、『すし詰め』 というほどでもなく、かといって新聞や雑誌を読めるほどの余裕もない、軽く周りの人と触れ合うといった程度の混み具合であった。
私はカバンをもってドアに寄りかかっていて、丁度私の娘くらいの年頃22~3歳、OL風の女性が二人、私の前に立っていた。
別に聞くつもりもなかったが、なにげにその女性たち二人の会話が耳に入ってきた。
どうもお互いの家族の話をしているようだ。
『私のお父さんは背が高いのよ』
『ふうん、そうなんだぁ』
『それでね、昨夜お父さんに言ってあげたの』
『なにを?』
『背が高い人って、電車の中で何気にたらした手が女性の変なところに当たることがあるでしょ?』
『あ! そうそう、背の高い人が伸ばした手がお尻に当たったりすることってあるよね』
『でしょ? だからね、お父さんも電車の中で痴漢と間違えられると困るから、注意しなきゃだめよ! って言ってあげたの』
へ~ ずいぶん親思いの娘さんだなぁ、そこまで父親のことを気遣っているのか・・・・
と、私は感心しながら聞いていた。
ところが、彼女たちが降りる駅に着いたときに、その女性が私の手をつねって、一瞥しながら降りていったので、あれ? なに? と一瞬わけがわからなかったが、その後すぐに全て理解した。
どうやら、私がカバンを持っていた手が彼女のお尻にずっと触れていて、それを気づかせようとして、咄嗟にお父さんの話を作って私に聞かせたのかと・・・・
それで、早く気づいてくれよ~ ということだったのである。
鈍い私はそのことを全く気がつかず、ずっとお尻を触ったままだったのであろう。
それにしても、機転のきく気の優しいお嬢さんであったと思う。
お尻に手を触れられている自分の不快な気持ちを抑え、むやみに人に恥をかかせないように、それとなく気づかせて止めさせようとした気遣い。
そのまま大騒ぎして、私を痴漢として突き出すこともできたものを・・・・
ありがとう、いい勉強になったよ。