シニアの一人たび

神奈川県大和市の歩行者専用道を紹介したHPを開設してます。
「歩行者専用道」を中心に「北米の旅」、「飛鳥Ⅱ」も併設

早期発見 利益知ろう/(講演者)中山富雄さん

2006-11-02 17:47:40 | 医学
  日本癌学会の市民公開講座/横浜市パシフィコ横浜(2006.9.30)
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 がん検診には利益と不利益があります。早期発見を通して治療につながり、がん
で死亡する人たちの割合を減らせることが利益です。逆に、がんはないのに疑いを
かけられる精神的不安とか、検査にかかった余分な費用、進行が非常に遅く、本来
なら必要のない治療を受けるような場合は不利益といえます。

 利益の実例は米国と英国の乳がん検診です。87年ごろから国家プロジェクトの形
でマンモグラフィー検診に取り組み、死亡率の減少を実現しました。ほぼ2年に1
度、40歳以上の女性の70%が受診しています。日本はマンモグラフィーが開始され
たばかりで、受診率はまだ10%あまり。死亡率が下がるのはまだまだ先でしょう。

 検診は国をあげて取り組んでも受診した全員に利益があるとは限りません。自動
車のシートベルト着用義務付けで事故の死亡者が減りましたが、ゼロにはなりませ
ん。同様に検診を受ければがんの死亡者は減りますが、絶対にかんで死なないとい
うことにはなりません。
            (2006.10.30 朝日朝刊/特集『その2』に続く)

低い日本人の受診率/(講演者)森山紀之さん『その2』

2006-11-02 15:04:43 | 医学
  日本癌学会の市民公開講座/横浜市パシフィコ横浜(2006.9.30)
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 肺がんでは、胸部X線単純写真などを使う検診は有効という判定が出ていますが、
CT(コンピューター断層撮影)や喀痰細胞診という方法を使わないと見つけにく
いがんもあります。

 特殊例ですが、超音波検診で腎臓に非常に小さいながんが見つかりました。とて
も忙しい方で10日あまり後に海外出張を控えていましたが、早期だったので部分的
な手術で済み、出張にも間に合いました。実は、ここにおられる垣添先生です。忙
しくても、検診で早く見つかれば仕事にもすぐ復帰できるんです。

 PET(陽電子放射断層撮影)をCTと組み合わせると、がんの場所が正確に分
かります。普通は検診の対象外の小腸にがんがあるときなどに力を発揮します。た
だ例えば胃がん単独では内視鏡の方が診弾率は上です。PETは1回で全身を見ら
れるのが長所です。
 がんセンターで最近1年間に検診を受けた3790人では、191人でがんが見
つかりました。40歳以上なら20人に1人ぐらいの割合でがんを持っているのです。
                 (2006.10.30 朝日朝刊/特集『完』)

低い日本人の受診率/(講演者)森山紀之さん

2006-11-02 07:58:44 | 医学
  日本癌学会の市民公開講座/横浜市パシフィコ横浜(2006.9.30)
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 がんセンターに入院した方々の5年生存率は60年代から90年にかけて伸びました
が、その後は伸び悩んでいます。治療法が進歩しても、ある程度進行して見つかる
と治しづらいからです。検診で早期に見つける意味はここにあります。
 日本人の検診受診率は17%前後と、先進国の中で際立って低い。国立がんセンタ
ーではこうした状況を打開するため、04年に検診研究センターをつくりました。

 検診で一番重要なのは受けることで死亡率が下がることです。がんを「見つける
」ことが最終目標ではなく、検診を受けた人が受けなかった人より長生きしたこと
を証明しないといけません。
 「死亡率が下がる十分な根拠がある」とそれるのは子宮頸がんの細胞診と、乳が
んの視触診と乳房X線撮影(マンモグラフィー)の併用(50代以上)、大腸がんの
便潜血です。逆に乳がんの視触診断単独では、受けても下がらないとはっきりしてます。

 2㌢より小さい乳がんは、マンモグラフィーでないと見つかりにくい。また、
日本人は一般に西洋人より乳房は小さいですが乳腺の発達した人が多く、この場合
は超音波を使った方がいいと考えられています。逆に、超音波では見つけにくい
タイプもあります。
(2006.10.30 朝日朝刊/特集『その2に続く』