日本癌学会の市民公開講座/横浜市パシフィコ横浜(2006.9.30)
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がん検診には利益と不利益があります。早期発見を通して治療につながり、がん
で死亡する人たちの割合を減らせることが利益です。逆に、がんはないのに疑いを
かけられる精神的不安とか、検査にかかった余分な費用、進行が非常に遅く、本来
なら必要のない治療を受けるような場合は不利益といえます。
利益の実例は米国と英国の乳がん検診です。87年ごろから国家プロジェクトの形
でマンモグラフィー検診に取り組み、死亡率の減少を実現しました。ほぼ2年に1
度、40歳以上の女性の70%が受診しています。日本はマンモグラフィーが開始され
たばかりで、受診率はまだ10%あまり。死亡率が下がるのはまだまだ先でしょう。
検診は国をあげて取り組んでも受診した全員に利益があるとは限りません。自動
車のシートベルト着用義務付けで事故の死亡者が減りましたが、ゼロにはなりませ
ん。同様に検診を受ければがんの死亡者は減りますが、絶対にかんで死なないとい
うことにはなりません。
(2006.10.30 朝日朝刊/特集『その2』に続く)
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がん検診には利益と不利益があります。早期発見を通して治療につながり、がん
で死亡する人たちの割合を減らせることが利益です。逆に、がんはないのに疑いを
かけられる精神的不安とか、検査にかかった余分な費用、進行が非常に遅く、本来
なら必要のない治療を受けるような場合は不利益といえます。
利益の実例は米国と英国の乳がん検診です。87年ごろから国家プロジェクトの形
でマンモグラフィー検診に取り組み、死亡率の減少を実現しました。ほぼ2年に1
度、40歳以上の女性の70%が受診しています。日本はマンモグラフィーが開始され
たばかりで、受診率はまだ10%あまり。死亡率が下がるのはまだまだ先でしょう。
検診は国をあげて取り組んでも受診した全員に利益があるとは限りません。自動
車のシートベルト着用義務付けで事故の死亡者が減りましたが、ゼロにはなりませ
ん。同様に検診を受ければがんの死亡者は減りますが、絶対にかんで死なないとい
うことにはなりません。
(2006.10.30 朝日朝刊/特集『その2』に続く)