何年 経つのだろう
朝の詩「蜜」を読んだ日から
余りに衝撃的な詩だった
心の隅に残って
今でも忘れることがない
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当時の選者・詩人,新川和江さんは
「幼い日のかなしみが、
雪のイメージを通して、
ほのかに甘く、うつくしく
うたい出されています」・・
と仰っています。
広島市中区の片岡勇二さん
当時、49歳の「蜜」を
ご紹介したいと思います。
その前に、わが家の雪割草を❕
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「蜜」
雪の上から
すくいあげて
蜜をすいました
椿の花は
ひとけのない
閑さをかんじて
幹から
離れるのでしょうか
雪のふる夜に
生まれたばかりの妹は
しずかな寝顔でした
雪あがりの朝
きみのかわりに
乳をすいました
障子の明るい
静かな朝でした