昭和・私の記憶

途切れることのない吾想い 吾昭和の記憶を物語る
 

夏の想い出と祖母がつくったアブラメの味噌汁

2021年07月08日 19時30分40秒 | 1 想い出る故郷 ~1962年

松本の店と山口の家の間の小径を少しだけ登ると右手に大きな杉の木があった。
大きな杉の木には、夏になるとアブラゼミが鳴いた。
松本の店で一個十円の桃を買うと、
松本の小母さんが店先においてあるガロン缶に溜めた水で洗って呉れる。
洗い終わると、俟ちきれんとばかりに大きな口を開けて頬張るのである。
いちいち皮など剥かない。
私は、大きな柔らかい桃より、小さな堅い桃の方をいつも選んだ。
其れには、チョットした理由があって。
小さく堅い桃は、甘さは控えめなれど、コリコリした食感が好きだった。 ( 此は、大人になっても変わらない )
しかし、それは真の理由ではない。、
柔らかい実の桃には、ときどき その芯に虫が居たからである。
だからといって、誰が 折角の桃 捨てるものか。
『 桃とはそんなもの 』 ・・だと、そう想っていたのである。

  アブラメを釣った場所からは、ドンコも釣れた

昭和36年 ( 1961年 ) の夏休

朝から魚釣りに出かけた私。
道路から海を覗けば、透き通っていて底まで見える。
いつでも、小魚は泳いでいる。
この日は、気まぐれに松本店前の道端に坐り、釣り糸を垂れた。
釣りの好きな私は、いつもなら波止場での釣りをするのであるが、
偶には、こうして道端から ドンコ釣りをして遊ぶこともあったのである。
一度だけ、25㎝程の スズキ が釣れたこともあって、偶にそんなこともあるのが 亦 楽しかったのだ。
 アブラメの稚魚
アブラメの稚魚ばかりが釣れた。
一人で ご機嫌よろしゅう、釣ったアブラメを提げて祖母の家に持ち帰った。
「 おばあちゃん、アブラメ ようけ釣ったケン 」
「 昼にちょうどえかったワイ、味噌汁に入れちゃるケンノー 」
「 アブラメ ( 稚魚 ) 、喰えるん?」
「 喰える、 喰える、美味いドー 」
果して、食べてみると、祖母の言いうとおり。
これが まあ 美味いこと。
白身の淡白な味が、みそ汁の味にマッチして美味かったのである。

 イメージ
♪ 紅い夕陽よ 燃え落ちて・・・
夏の夕暮れ
海辺に佇み 夕涼みする大人たち
浴衣と下駄ばき姿で尚 はしゃいでいる子供ら
そんな風景を眺めながら、
今日も無事に過ごせたと、一日を惜しむのである


カニの大群
毎年、夏の夕暮れに決まって現れるカニの大群。
サワガニ が産卵の為、山から海に大移動するのである。
「 どこから こんなに、カニが来るんじゃろうか 」
海辺の道路を埋め尽くすカニの大群に、男の児は もう有頂天。
自転車に乗って 疾走したのである。
 イメージ

祖母がつくった味噌汁のアブラメ
たった 一度っきりだけど、それが意外にも 美味かった。
『 意外に 』
・・そのことが、
たったそれだけのことで、

私の生涯の想い出として、今も尚 忘れないでいるのである。
想い出とは、そういうものなのかも知れない。


コメント    この記事についてブログを書く
« 満天の空に 星は 星の数ほど... | トップ | 明日があるさ »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。