一長二短

9'2 トライ、6'4クワッド、6'4トライ。どれも乗りこなせてない♪

ピカレスク―太宰治伝(文藝春秋)

2007年07月24日 | book

最近は、道路関係四公団民営化推進委員会委員や東京都副知事に任命されたりして、すっかり政治家のような人だけれども、本職はノンフィクション作家だったと思い出した作品。

太宰治の作品は、高校時代に、はまり込んだ経験がある。
特に「人間失格」や「斜陽」あたりにはものすごく衝撃を受けた。
こうした作品を通して感じられる作者像は、当然ながら美化されたものであり、彼の起こした数々の心中事件も常人には想像のつかない深い意味があると思え、最後の玉川入水は、当然の帰結だと思っていた。

が、この作品を読んで、太宰治像が僕の中で大きく変わった。
でも、それは決して悪い意味でなく、親近感が増したという感じだ。
「なんて、いい加減な奴だろう」
もちろんその才能には疑いもないのだが、彼の作品をもう一度
いい加減な奴が書いた素晴らしい作品
として読み直してみようと思う。

ところで、太宰の最初の心中は、腰越海岸で、その後入院したのは恵風園。
で、その事件から立ちなろうと結婚し暮したのは船橋。
この変にも親近感を感じてしまった。