天気 曇がち
「台風、来るらしいにゃあ。その時は逃げればいいさ。ニャン族は家を持たないからひたすら逃げる。人間は家を守らにゃならないから大変そうだにゃあ。まずは台風が来る前に、腹ごしらえ」
気温も下がり、真夏日も去ってようやくほっとしたのに、台風がまっしぐらにこちらへやって来るという。素直に進む台風なのでエネルギーはあまりなく、風はあまり吹かないらしいが、雨は・・最近の天気は雨がいちばん怖い。
さて、富士山の西を通るか東を通るか。真上を通る台風は一度しか知らないので、今回はどちらなのだろう。多分、東側・・こちらに近づくのかもしれない。
館内の各階の移動も普通に出来るようになった。朝食のあと、ラウンジの窓際に座って富士山を見ていたら、下の階のIさんがやってきた。体の大きな、歩行器に掴ってやっと歩いている人。富士山が見たくて、天気の良い日にはよくやってくる。今日は雲をまとってはいるが何とか灰色の稜線が見える。
彼とは、以前は富士山の話などしたのだが、この1年くらいは近づかなかった。まぜなら・・頑なにノーマスクの人なのだ。館内でマスクしている姿を見たことがない。それなのに、外へ買い物に行くときは帽子にしっかりとマスク。ノーマスクには近づかないことにしていたのだが・・彼もコロナ感染した、と聞いていた。
ばっちり防衛していたつもりが、私はほんのちょっとの油断で感染してしまった。もう、自分でも笑っちゃう状態なので、今朝は彼と富士山の話をした。コロナの話はしなかったが・・入所者とゆっくり話をしたのは、久しぶりだ。
「足が丈夫そうで羨ましいですよ」と、巨体のIさん。膝も痛めているようだった。そりゃ、動かなければ筋肉、落ちます。
「努力してますよ、車椅子になりたくないので」と私。
「でも外へ出られないと足も弱って」と彼。
「椅子に座っていても腿を上げる運動は出来ます、腿を鍛えておかないと、車椅子になりますよ。それが怖くて、隔離中でも座っての足踏みはしていましたよ」
でも、お酒の好きなIさんが、自発的に運動をするとは思えない。私の3倍はありそうな体重なので車椅子使用になったら、介護士泣かせ・・頑張ってね。
という私も、昼前にスーパーの3階のATMまで行って帰ってきたら、足の裏が痛い。この前、足裏の攣ったことがあったので、同じ場所もようだ。ともあれ何とか歩くことが出来たものの・・だんだん弱っていくのは事実のようだ。
それでも帰路、道端の露草を数本折ってきた。どうせ数時間しかもたない儚い花ではあるけれど。
雑草といふ露草の青を愛づ KUMI