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簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

期間制限の例外

2018年10月11日 | 事業所単位の期間制限
今回は「期間制限の例外」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



これは、派遣就業というものがそもそも「一時的・臨時的な働き方」という

前提で儲けられた制度であり、長期間、派遣就業させることを認めてしまうと

直接雇用の労働者が派遣労働者にとってかわられる恐れがあることと、



派遣労働者側にとっても、派遣先の都合で派遣就業できなくなる恐れもあり

安定した働き方ではないという観点から、長期間の派遣を制限するために

上記の期間制限が設けられました。



ただし、以下の場合は「事業所単位の期間制限」及び「個人単位の期間制限」

の両方の適用が除外されます。



 ① 派遣労働者が無期雇用労働者の場合

 ② 派遣労働者が60歳以上の者である場合

 ③ 終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合

 ④ 日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下

    かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合

 ⑤ 産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務

    に派遣労働者を派遣する場合




①の「派遣労働者が無期雇用労働者の場合」は文字通り、無期雇用の

派遣労働者を派遣先に派遣する場合は、3年という縛りは一切なく、

いつまででも派遣することが出来ます。



②の「派遣労働者が60歳以上の者である場合」とは、有期雇用派遣労働者で

その派遣労働者の年齢が60歳以上であれば、いつまででも派遣することが

出来ます(60歳以上の無期雇用派遣労働者の場合も当然、いつまででも

派遣することができます)。



③の「終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合」とは、

事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に

完了することが予定されているもの(「有期プロジェクト業務」)に派遣する場合は

その有期プロジェクトが終了するまで(そのプロジェクトが3年以上の期間を要する

場合であっても)、派遣し続けることができます。



この「有期プロジェクト業務への派遣」は、あくまでも、事業の開始、転換、拡大、

縮小または廃止のための有期プロジェクト業務に限られる
ので、例えば、

建設事業の有期プロジェクト業務や、IT関係のソフトウェアの開発等の有期プロジェクト

業務は該当しません




「有期プロジェクト業務」の例を挙げるとすれば、会社を縮小するためにプロジェクトチーム

を起ち上げた場合などで、かなり限定されると言えます。



④の「日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ

10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合」も、その業務自体が

通常の労働日数の半分以下かつ10日以下の業務に限られます




例えば、事務の業務で平日3日はパートさんが来てくれるから2日だけ派遣

社員を使いたいという場合などは、その業務自体は毎日行われるものなので

日数限定業務には該当しません




数限定業務の例としては、例えば書店の棚卸業務や土日のみ行われる

住宅展示場のコンパニオンの業務等です。




⑤の「産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に

派遣労働者を派遣する場合」は、文字通り育児休業等で休む社員の方の

代替要員として派遣する場合は期間制限を受けないことになります。








http://haken-higashitani.com/







(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf

個人単位(組織単位)の期間制限とは?

2018年10月11日 | 個人単位の期間制限
今回は「個人単位の期間制限」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「個人単位の期間制限」とは、『平成27年労働者派遣法改正法の概要』

によると、



「同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に対し

 派遣でき る期間は、3年が限度となります。」



と記載されています。



つまり、

 「同じ派遣労働者を派遣先の同じ部署に派遣できる期間は3年まで」

と定められたということです。



では、「組織単位」とは何かというと、これも『平成27年労働者派遣法改正法

の概要』によると、



「いわゆる「課」や「グループ」など、

  ・ 業務としての類似性、関連性があり、

  ・ 組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するもの

として、実態に即して判断されます。」

と記載されています。



つまり、組織単位を判断するポイントとしては

 1. まずは、課や部など、会社の組織として明確に区分されていること

 2. 庶務課1係や庶務課2係など、業務の類似性がある場合は、その組織の

    長(この場合は、庶務課1係長や庶務課2係長)おり、業務配分や労務

    管理上の指揮監督権限をその組織の長が独立して有していること

が、組織単位を判断するポイントとなります。



もう少し具体的に言うと、ある派遣労働者が庶務課1係に派遣されていて、

平成27年9月30日以降にその庶務課1係で派遣就業した期間が、もうすぐ

3年を迎えることになった場合、その庶務課1係で派遣就業できなくなります。



では、その派遣労働者が庶務課1係で3年を迎えた後、庶務課2係で改めて

派遣就業させようと思った場合に、庶務課1係の係長と庶務課2係の係長が

独立して業務配分や労務管理上の指揮監督権限を持っている場合は、それぞれ

が独立した組織単位として認められるが、



庶務課1係長と庶務課2係長はいるけれども、それぞれの係長には業務配分

や労務管理上の指揮監督権限を与えられておらず、その上の役職者である

庶務課長しかそれらの権限を持っていない場合は庶務課全体が1つの組織単位

となるので、



庶務課1係から庶務課2係に就業場所が変わったとしても、派遣法上の組織単位が

変更されたとは認められず、個人単位の期間制限を超えて派遣労働者を受け入れた

ことになります。



これらの組織単位は形式ではなく、実態を元に判断されることとなりますので、

いくら組織が枝分かれしていたとしても、実質、誰が業務配分や労務管理上の指揮監督

権限を持っているかで判断されます。



極端なことを言うと、例えば、20人ぐらいの労働者がいる会社で、営業課や経理課・

総務課などの課に分かれており、それぞれに課長はいるけれども、ワンマン社長で

社長が全ての権限を持っておりそれぞれの課長には業務配分権限が与えられていない

ような場合は、その会社全体が1つの組織単位と判断される可能性もあります。



つまり、事業所単位の期間制限における事業所と個人単位の期間制限における組織単位

が同じということもあり得るわけです。






http://haken-higashitani.com/





(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf



事業所単位の期間制限とは?

2018年10月11日 | 事業所単位の期間制限
今日は「事業所単位の期間制限」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・「事業所単位の期間制限」

  ・「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」とは、『平成27年労働者派遣法改正法の概要』

によると、



「派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則、

 3年が限度となります。」と記載されています。



つまり、「派遣先の”事業所”ごとに派遣できる期間は3年まで」と定めら

れたということです。



では、「事業所」とは何かというと、これも『平成27年労働者派遣法改正法

の概要』によると、



「事業所とは、

  ・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること

  ・経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること

  ・施設として一定期間継続するものであること

 などの観点から、実態に即して判断されます。

 ※雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一です。



と記載されています。



ぶっちゃけて言うと、「事業所とは雇用保険の適用事業所」を指します。



例えば、東谷社会保険労務士(株)が「大阪本社」と「兵庫支社」の2つで構成

されていた場合、基本的には、それぞれが雇用保険の適用事業所となります。



そうなると、派遣法上もそれぞれが1つの事業所と考えます。



で、「事業所単位の期間制限」とは、



「大阪本社で平成27年9月30日以降、大阪本社内のどこかの部署に

 初めて派遣労働者を受け入れる契約を開始した日から3年までしか

 大阪本社では派遣労働者を受け入れることはできない」



ということです。



例えば、大阪本社で平成27年9月30日以降、

 ・営業課  平成27年10月1日から派遣開始とする新たな契約

        (派遣会社:A派遣会社)

 ・庶務課  平成27年9月30日から派遣開始とする新たな契約

        (派遣会社:B派遣会社)

 ・経営企画課 平成27年10月21日から派遣契約を更新

        (派遣会社:C派遣会社)

とした場合、



大阪本社の事業所単位の期間制限の起算日は

庶務課の平成27年9月30日となります。

(良く勘違いされるのは、派遣法の改正は平成27年10月1日と

 思われている方が多いのですが、派遣法の施行は

 平成27年9月30日ですので、平成27年9月30日から

 派遣開始分も改正された派遣法が適用されます。)



で、大阪本社の抵触日(派遣労働者を受け入れてはいけない日)

は、平成30年9月30日となります。



事業所単位の期間制限で気を付けなければいけないことは、

 1.受け入れる部署は問わない

 2.派遣会社を問わない

ということですので、平成30年9月30日以降は大阪本社では

部署を問わず、派遣会社を問わず、派遣労働者を受け入れる

ことは出来なくなります。





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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf