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簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

2020年4月改正 労働者派遣法改正(派遣先均等・均衡方式 比較対象労働者の情報の内容

2019年10月25日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



前々回、①の派遣先均等・均衡方式の場合の「比較対象労働者の待遇等に関する

情報の提供」における「比較対象労働者の選定方法」についてお話をさせていただき

ました。



今回は「比較対象労働者の待遇等に関する情報提供の内容」についてお話をさせて

いただきます。



2020年4月1日以降、労働者派遣法が改正されますが、派遣契約書(個別契約書)

の内容も以下の2つの項目を追加で記載しなければならないこととなりました。

 ① 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度

 ② 労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否か

派遣契約書(個別契約書)の記載例は以下のような感じになります。



   ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます









②の「労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否か」という項目では、

文字通り派遣労働者を労使協定方式の対象となる派遣労働者に限るか否かに

ついて記載するのですが、



 ・派遣労働者を労使協定方式の対象となる派遣労働者に限る場合は、

   ① 派遣先が当該派遣契約に係る教育訓練を派遣先の直接雇用の労働者

     に実施しているか否か及び実施している場合はその具体的な内容

   ② 派遣先が派遣先に直接雇用されている労働者に対して利用させている

     給食施設・休憩室・更衣室について、それぞれの利用の機会の付与の

     有無及び利用時間等の具体的な内容

  について派遣先から派遣元に「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」

  を行います。記載例は以下のような感じになります。

  

  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





 ・派遣労働者を労使協定方式の対象となる派遣労働者に限らない場合は、


   ① 比較対象労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲

     並びに雇用形態

   ② 比較対象労働者を選定した理由

   ③ 比較対象労働者の待遇のそれぞれの内容(昇給、賞与その他の主な

     待遇が無い場合には、その旨を含む)

   ④ 比較対象労働者の待遇のそれぞれの性質及び当該待遇を行う目的

   ⑤ 比較対象労働者の待遇のそれぞれについて、職務の内容、当該職務

     の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇に係る

     決定をするに当たって考慮したもの

  について派遣先から派遣元に「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」

  を行います。記載例は以下のような感じになります。



  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます







http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2020年4月改正 労働者派遣法(派遣先均等・均衡方式 派遣労働者の待遇の決定)

2019年10月24日 | 2020年4月 労働者派遣法改正


2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



前回は派遣先均等・均衡方式における比較対象労働者の情報提供の内容について

説明しました。今回は、その内容を元に派遣会社(派遣元)がどのように

派遣労働者の待遇を決定するのかを説明したいと思います。



個別契約書の「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別」の項目

で、「協定対象派遣労働者に限定しない」とした場合は、比較対象労働者の賃金等

の待遇について下記のような詳細な情報を派遣先から派遣元に提供しなければ

いけません。



  ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます



この情報を元に、派遣元は派遣労働者の賃金額等の待遇を決定していきます。



派遣労働者の賃金額等の待遇を決定していく際は、基本給や賞与、手当、

退職金、賃金以外の待遇について、派遣先からの情報を元にひとつひとつ

検証していきます。





【通勤手当】

例えば、比較対象労働者(派遣先の正社員)には『通勤手当』が支払われて

いるが、今回派遣しようと考えている派遣労働者には『通勤手当』が支払わ

れていない場合の考え方は次の通りとなります。

手順①:通勤手当の「性質・目的」を把握する。

  ・派遣先から収集した情報により、派遣先では、職場に来てもらうために

   必要な交通費として支給していることが確認された。実際に、この

   派遣先では、通勤にかかった費用を補てんするため、自宅の最寄り駅から

   勤務先の最寄り駅までの定期券代を支給している。

手順②:手順①を踏まえ、待遇差が不合理か否かを判断するに当たってどのような

    考慮要素があるか、考えてみる


  ・通勤手当の「性質・目的」が、通勤にかかった費用を補てんするということ

   なので、「業務の内容」や「責任の程度」や、転勤や移動の有無・範囲と

   いった事情は、通勤手当の支給の有無や支払いの仕方にあまり関係がない

   ことが判明。

  ・また、この派遣先では、他に「その他の事情」として、通勤手当の支給の

   有無や支払いの仕方に影響を及ぼすような事情はない。

手順③:派遣労働者に通勤手当が支給されていないことについて、不合理で

    ないと整理し、派遣労働者が納得するような説明ができるか?


  ・勤務先に通勤するということは、比較対象労働者でも派遣労働者でも

   変わらない。

  ・その上で、待遇差が不合理か否かを判断するに当たって考慮しなければ

   ならない事情もない。

  ・従って、通勤手当について派遣労働者に支給しないことは、

   「不合理ではない」とは言えず、改善に向けた取り組みを進めていく

   必要がある。






【役職手当】


比較対象労働者(派遣先の正社員)には『役職手当』が支払われているが、

今回派遣しようと考えている派遣労働者には『役職手当』が支払われて

いない場合の考え方は次の通りとなります。

手順①:役職手当の「性質・目的」を把握する。

  ・派遣先から収集した情報によると、この派遣先では、役職手当が支払われて

   いる比較対象労働者は、主任や店長など、一定の役職に就いている社員だけで

   あった。役職に就いている比較対象労働者は、それ相応の責任がある業務を

   こなしており、また、部下の業務の管理などもしている。一方で、派遣労働者

   は、主任や店長などの役職に就くことは想定されていない。

手順②:手順①を踏まえ、待遇差が不合理か否かを判断するに当たってどのような

    考慮要素があるか、考えてみる


  ・役職手当の「性質・目的」が、役職に就く者としての責任の重さを評価

   して支給するということだとすると、社員の「業務の内容」や「責任の

   程度」が、役職手当の支給の有無や支払いの仕方に影響を及ぼすものと

   考えられる。

  ・また、この派遣先では、他に「その他の事情」として、役職手当の支給

   の有無や支払いの仕方に影響を及ぼすような事情はなかった。

手順③:派遣労働者に役職手当が支給されていないことについて、不合理で

    ないと整理し、派遣労働者が納得するような説明ができるか?


  ・派遣労働者と比較対象労働者との間には、主任や店長などの一定の役職

   に就くかどうか、それ相応の責任のある業務を行うかどうかなどについて

   違いがある。

  ・派遣先の労働者の中でも、そうした責任の違いによって支給の有無が

   分かれていることを考えると、役職に就いていない派遣労働者に役職手当

   を支給しないことは「不合理ではない」と考えらえる。






【皆勤手当】


比較対象労働者(派遣先の正社員)には『皆勤手当』が支払われているが、

今回派遣しようと考えている派遣労働者には『皆勤手当』が支払われて

いない場合の考え方は次の通りとなります。

手順①:皆勤手当の「性質・目的」を把握する。

  ・派遣先から収集した情報によると、この派遣先では、出勤する運転手を

   一定数確保する必要があることから、皆勤を奨励する趣旨で支給している。

手順②:手順①を踏まえ、待遇差が不合理か否かを判断するに当たってどのような

    考慮要素があるか、考えてみる


  ・皆勤手当の「性質・目的」が、出勤する運転手を確保するため皆勤を

   奨励する趣旨であるので、「業務の内容」が、皆勤手当の支給の有無に

   影響を及ぼすものと考えられる。

  ・また、この派遣先では、他に「その他の事情」として、皆勤手当の支給の

   有無や支払方法に影響を及ぼすような事情はない。

手順③:派遣労働者に皆勤手当が支給されていないことについて、不合理で

    ないと整理し、派遣労働者が納得するような説明ができるか?


  ・この派遣先では、比較対象労働者と派遣労働者との間では、「業務の内容」

   は同じであった。

  ・「業務の内容」が同じであれば、出勤する者を確保する必要性は同じで

   あり、その必要性は、「職務の内容・配置の変更の範囲の違い」により

   異なるものではない。

  ・従って、皆勤手当について派遣労働者に支給しないことは「不合理ではない」

   とは言えず、改善に向けた取組を進めていく必要があると考えられる。






【福利厚生・教育訓練・安全管理】

比較対象労働者(派遣先の正社員)には『滑り止めの付いた長靴の支給』が

行われているが、今回派遣しようと考えている派遣労働者には『滑り止めの

付いた長靴の支給』は行われていない場合の考え方は次の通りとなります。

手順①:『滑り止めの付いた長靴の支給』の「性質・目的」を把握する。


  ・派遣先から収集した情報によると、この派遣先では、工場内で水産加工に

   従事する社員が水に濡れた床で滑って転倒することを防止するために、

   滑り止めの付いた長靴を支給している。

  ・法律上求められる安全衛生上の措置は、比較対象労働者も派遣労働者も区別

   なく講じられる。

手順②:手順①を踏まえ、待遇差が不合理か否かを判断するに当たってどのような

    考慮要素があるか、考えてみる


  ・滑り止めの付いた長靴の支給の「性質・目的」が、工場内で水産加工に従事

   する社員の転倒防止であるので、工場内で水産加工を行うという「業務の

   内容」が、滑り止めの付いた長靴の支給の有無や支給の仕方に影響を及ぼす

   ものと考えられる。

  ・また、他に「その他の事情」として、滑り止めの付いた長靴の支給に影響を

   及ぼすような事情はない。

手順③:派遣労働者に滑り止めの付いた長靴が支給されていないことについて、

    不合理でないと整理し、派遣労働者が納得するような説明ができるか?


  ・手順②で確認したように、水産加工の業務に従事する社員の転倒を防止

   する必要性は、比較対象労働者であっても派遣労働者であっても変わらない

   ので、水産加工に従事する派遣労働者に滑り止めの付いた長靴を支給しない

   ことは「不合理ではない」とは言えず、改善に向けた取組を進めていく必要

   があると考えられる。






【賞与】

比較対象労働者(派遣先の正社員)には『賞与』が支払われているが、

今回派遣しようと考えている派遣労働者には『賞与』が支払われていない

場合の考え方は次の通りとなります。

手順①:賞与の「性質・目的」を把握する。

  ・派遣先から収集した情報によると、この派遣先では、企業の業績に対する

   功労報償のために賞与を支給している。実際に、この派遣先では、派遣先の

   労働者・派遣労働者を問わず、販売に対する目標は存在しないが、比較対象

   労働者には販売実績に応じ、基本給の1~4か月分(販売実績が低調な人で

   あっても最低基本給の1か月分を保証)の額の賞与を支給している。

手順②:手順①を踏まえ、待遇差が不合理か否かを判断するに当たってどのような

    考慮要素があるか、考えてみる


  ・賞与の「性質・目的」が、企業の業績に対する功労報償であり、支給基準が

   販売実績であるとすると、従事している「業務の内容」や「その他の事情」

   である販売実績が、賞与の支給の有無や支払の仕方に影響すると考えられる。

  ・また、販売に対する目標はどちらも存在せず、他に「その他の事情」として、

   賞与の支給の有無や支払の仕方に影響を及ぼすような事情はない。

手順③:派遣労働者に賞与が支給されていないことについて、不合理でないと

    整理し、派遣労働者が納得するような説明ができるか?


  ・派遣労働者でも、販売の業務に従事し、販売実績へ何らかの貢献をしている

   と思われる。

  ・その上で、販売実績のある派遣労働者に対して、賞与を支給しない理由も

   あまり考えられない。

  ・従って、賞与について派遣労働者に支給しないことは「不合理ではない」

   とは言えず、改善に向けた取組を進めていく必要があると考えられる。






このように、派遣先均等・均衡方式の場合は、派遣労働者の待遇の決定に

ついては、派遣先からの情報を元にひとつひとつ検証して決定していかな

ければいけません。

詳しくは、

 ・「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」p47以降を参照

   https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 ・「同一労働同一賃金ガイドライン」p15以降を参照

   https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf


を是非ご参照ください!





http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2020年4月改正 パートの派遣労働者の場合は比較対象労働者もパート労働者の情報でいいよね?

2019年10月21日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



派遣元が「派遣先均等・均衡方式」を採用した場合、一番大変なのが派遣先から

派遣元への「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」です。



派遣先で比較対象労働者を選定して、賃金等のすべての待遇情報を派遣元に

書面で通知しなければいけません。



比較対象労働者の選定は、前回のブログでもお話ししましたが、派遣労働者の

職務の内容や人事異動の範囲等が同じかどうかで判定していきます。



比較対象労働者の選定の際によく勘違いされるのが、

「パートタイムの派遣労働者の場合は、比較対象労働者もパートタイム労働者

 でいいんでしょ?」


というものです。結論を申し上げるとこれは間違いです。



今回の労働者派遣法の改正は「派遣先の正社員と派遣労働者との待遇に関して

整合性を図りなさい」
というものです。



従って、パートタイムの派遣労働者を派遣する場合でも、「派遣先の正社員」

との整合性を図らなければいけません。




選定の方法は前回お話しした手順に従って判定していきます。

例えば、パートタイムの派遣労働者の業務がスーパーのレジ打ち

業務がメインの業務である場合、派遣先の正社員でレジ打ち業務

がメインの正社員がいれば、その者が比較対象労働者となります。



選定手順に従って、「業務内容」「責任の程度」「人事異動の範囲」

「転勤の範囲」が同じ正社員が派遣先にいない場合は、これらの

要素が同じ「派遣先のパートタイム労働者」や「派遣先の有期雇用労働者」

が比較対象労働者になります。



ただし、この場合も、その「派遣先のパートタイム労働者」や「派遣先の

有期雇用労働者」の賃金額を、「派遣先の正社員」の賃金額と比較して

整合性を図ったうえでないと、比較対象労働者とすることはできません。




また、「派遣先の正社員」「派遣先のパートタイム労働者」「派遣先の

有期雇用労働者」のいずれも比較対象労働者に該当しない場合は、

当該派遣労働者と同一の「業務内容」及び「責任の程度」の業務に

従事させる正社員を派遣先が新たに雇い入れたと仮定した場合における

派遣先の正社員(これを「仮定の正社員」といいます)が比較対象労働者

になります。



ただし、この場合は、「仮定の正社員」の賃金額や就業時間等が就業規則

に規定されており、かつ、今現在派遣先で雇用されている正社員と賃金等

の待遇について整合性が図られている場合に限られます。




先程も申しましたが、今回の労働者派遣法の改正は

「派遣先の正社員と派遣労働者との賃金等の整合性を図る」ことが目的と

なっています。



パートタイムの派遣労働者だから比較対象労働者も派遣先で直接雇用

されているパートタイム労働者でいいというわけではないので、ご注意

下さい!





http://haken-higashitani.com/









(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html

2020年4月改正 労働者派遣法改正(比較対象労働者の選定方法)

2019年10月20日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月1日から労働者派遣法が改正されます。



派遣元は派遣労働者に対して

 ① 派遣先均等・均衡方式

 ② 労使協定方式

のいずれかの方式による待遇の確保が義務付けられます。



今回から数回に分けて、①の派遣先均等・均衡方式の一連の手続きについて説明

していきたいと思います。

(派遣先均等・均衡方式の手続きの流れは以下の図の通りです)


      
       ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます





上記の図に示した通り、派遣契約(個別契約)を締結する前に、派遣先から

派遣元に「事業所単位の抵触日の通知」を行わなければいけませんが、

来年の4月1日からは、それに加えて派遣先から派遣元に

「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」を行わなければならない

こととなりました。



「比較対象労働者」とは、

 『各派遣契約に基づいて派遣元から派遣された派遣労働者を、派遣先で

  受け入れて業務を行ってもらう際に、その派遣労働者の

   ① 業務内容

   ② 責任の程度

   ③ 人事異動の範囲

   ④ 転勤の範囲

  に最も近い派遣先の正社員』

のことを指します。



この「比較対象派遣労働者」は、派遣先が選んで派遣元に情報を提供

するのですが、選び方は以下の通りとなります

 ① 派遣労働者の「業務の内容」「責任の程度」「人事異動の範囲」

   「転勤の範囲」の全てが同じ派遣先の正社員

 ② ①に該当する者がいない場合は派遣労働者の「業務の内容」及び

   「責任の程度」が同じ派遣先の正社員

 ③ ①及び②に該当する者がいない場合は派遣労働者の「業務の内容」

   又は「責任の程度」のいずれかが同一の派遣先の正社員

 ④ ①~③に該当する者がいない場合は派遣労働者の「人事異動の範囲」

   及び「転勤の範囲」が同じ派遣先の正社員

 ⑤ ①~④に該当する者がいない場合は、①~④のいずれかの要件に該当

   する派遣先のパートタイム労働者又は有期雇用労働者

   (ただし、これらのパートタイム労働者又は有期雇用労働者

    ついては、派遣先の正社員と賃金額等の待遇に関して整合性が

    図られているものに限る)

 ⑥ ①~⑤に該当する者がいない場合は、当該派遣労働者と同一の

   「業務内容」及び「責任の程度」の業務に従事させる正社員を

   派遣先が新たに雇い入れたと仮定した場合における派遣先の

   正社員

   (ただし、⑥の者については就業規則に規定されており、かつ、

    今現在派遣先で雇用されている正社員と賃金等の待遇について

    整合性が図られている者に限る)


       
         ※ 拡大した画像は当事務所ホームページにてご覧いただけます



上記の手順で比較対象労働者が決定したら、次は、派遣元に

その比較対象労働者の情報を提供しますが、提供する内容については、

次回、説明させていただきます。







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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html


2020年4月改正 労働者派遣法改正(労働者派遣の流れ)

2019年10月16日 | 2020年4月 労働者派遣法改正

2020年4月に労働者派遣法が改正されます。



改正後の労働者派遣の手続きの流れは以下の通りとなります。

(1)派遣先均等・均衡方式



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(2)労使協定方式



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図を比較していただいたら分かる通り、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式の

派遣の流れの違いについては労使協定を事前に締結するかしないかの違いしか

ありません。



しかしながら、「比較対象労働者の待遇等に関する情報の提供」の内容や

「待遇に関する事項等の説明」の内容が派遣先均等・均衡方式と労使協定方式

では異なることになります。



その違いについては、また、後日、説明させていただきます。









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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2020年4月1日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020other.html

 厚生労働省 「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」

 https://www.mhlw.go.jp/content/000469167.pdf

 厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」

 https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf

 厚生労働省 「労使協定方式(労働者派遣法第30条の4)「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」について」

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html