はるのほっぺ

備忘録です。仕事柄、政治の話題が中心です。

机上の空論「多選の禁止」

2007年05月22日 | 政治

 首長選挙の多選禁止を法律で縛る考え方が出てきています。法解釈や改正の是非に関してはここでは述べず、多選が生まれた環境について考えてみたいと思います。
 都道府県知事では高知県の橋本大二郎知事が唯一5選、あとは4選が複数名です。石原慎太郎都知事が3選ですが、3期12年の間に自らの公約を実現するだけの能力が問われる時代になってきているような気がします。
あまりに長期間になってくると、行政、議会の緊張感は緩みますし、福島や宮崎であったような談合の温床も生まれてきます。
 多選となってくる原因に「継続」というものがあります。保守的と言い換えてもいいのですが、変化を望まないその背景に今まで築き上げてきた地域のルールを壊したくないという意識が働きます。
そこで継続を選ぶということは同じ人物を担ぎ続けることとなり、また路線の継続ということでは行政経験のある助役や部長級に後継指名する構図を作ろうとします。
 果たして「継続」が住民にとって最善であるのかは横に置かれて、ある一定の関係を持つ人たちの安定だけが最優先されます。
そうなれば知事や市長といった候補は、関係者の目にとまる人材しか選ばれなくなります。
これでは政治を志そうとする人の出現もありません。横浜市といった無党派層の多いところ以外ではなかなか首長への出番は回ってきません。
 じっと大人しくしていられる人物が知事や市長になっているケースが、全国的にみてまだまだ多いと思います。
そうした首長にはビジョンなどはあまりなく、仕事は職員任せにして議会との折衝程度が仕事になっていきます。
議会側も首長に頭を下げさせるためにいろいろな手練手管を繰り出し、思うがままに操ろうとするわけです。
こうしてもたれ合いの構図が出来あがり固い結束へとなります。またこの構図を作り上げることで、国会議員の先生方が複数回の当選を果たし大臣ポストを狙うことも出来るのです。もちろん、国から地方への予算獲得も可能になっていた訳です。
 20年から30年に渡ってこうした繰り返しをしてきたことを、法律で網をかけることで阻止しようとしてもどうしようもないと思います。
いきなり適任者を探すことになっても、人を潰すばかりで育ててきていないのですから無茶な話しです。
 多選の禁止を進めるならば地方分権をもっと進めて、これまで親分気取りで国会議員になっていた人たちは地方議員になることです。
そして、国会議員は経済財政、外交・安全保障、教育といった日本全体のことを考える場所にするべきです。
そうすれば参院選の前になって、あわてて「ふるさと納税」やら格差是正みたいな公約を作ったりせず、国家としてするべき施策の選択を有権者に提示することができるはずです。
 何でも最近は、代議士は当選したり落選したりするので、6年の任期がある参院議員が地方の陳情をもって各省庁に圧力をかけているようです。
いっそのこと、参院はそういった仕事だけをするようにしたらどうでしょう。わざわざ衆院で可決した法案を参院で審議・採決する時間が省け、コストダウンにもつながります。

応援のクリックをお願いします。