はるのほっぺ

備忘録です。仕事柄、政治の話題が中心です。

「男の友情」を読む

2007年05月15日 | 政治

 日頃からお世話になっている鴻池祥肇参院から、一冊の書籍が送られてきました。タイトルは「お天道さんは見てござる」、直筆のサインまでして下さっていました。
 長らく無派閥でいた鴻池参院は、麻生太郎外相が為公会(麻生派)を旗揚げと同時に派閥入りされ
ました。
その時にはお手紙を頂きまして、「長年の友情に応えるとき」と確か書いてあったと記憶しています。
 鴻池と麻生の友情は政界では知られているところですが、今回の書籍にその関係がよく分かるくだ
りがありましたので以下に紹介させてもらいます。
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<友情の葉巻>
 酒、タバコは若い頃からやっていた。
 紙巻きタバコは四年前に、閣僚になる一ヶ月程前にやめてしまった。当時は、参議院の国会対策委員長をしていたが、酒を飲んでタバコを吸うと咳が止まらなくなる時があった。そこで、「思い切ってタバコをやめてしまえ」と。
 で、ずっとやめていたが、昨年の七月ぐらいから葉巻をやるようになった。
 きっかけは、郵政民営化反対。最初から大声で私は反対を表明していた。その時に、鴻池を説得するのを誰ができるか、ということでいろんな人がやってきた。
「なんとか賛成してくれ」
「できない」
そんな押し問答が、ずっとつづいていた。その後も、官邸やら昔ながらの友人たちとか、派閥の長クラスも次々にやってきた。
「残念ながら、オレは押し通す。徒党は組まない。オレ一人で反対だ」と突っぱねた。
 そんな時に、麻生太郎氏に白羽の矢?が立った。麻生は近々の総裁候補者だが、鴻池一人を口説けないようでは候補にもなれんぞ、と誰かが言い出した。「鴻池を口説く。あいつがOKと言うたら、全員がOKするだろう。そうしたら参議院は通る」と。
 そこで、麻生が神戸までわざわざやってきた。
「なんとか賛成に回ってくれんか。お前を口説き落とせんことには俺の格好がつかん。なんとかならんか」と。
私はそれまでもずっとテレビの番組を通して、郵政民営化反対を主張しつづけてきた。討論会でもその立場を貫いてきた。
「絶対あかん。賛成に回るわけにはいかん」と。
 その後、麻生氏はまた議員会館にやってきた。
「もういっぺん考えてくれんか?これはお前のためじゃなしに俺のために考えてくれ」と麻生が言う。
「麻生の友人に、こんな頑固者がおることもエエことや。お前のためにオレは反対しているんや」と私が言って、また物別れ。
 そして、いよいよ最後。
かつて私が贔屓にしていた神楽坂の料理屋に、麻生から呼び出された。小さな部屋で、ビールを一本。麻生はあまり飲まない。私もそんな時だから、ほとんど飲まなかった。
「なんとかならんか?」
「参院は官邸の下請けと違う。衆院の下部組織とも違う」
「なんともならん。俺は反対票を入れる」
「そうか・・・」
その時、麻生が葉巻を吸い出した。
「太郎ちゃん、それ、うまいんかい?」
「吸ってみるか?」と言うから、試してみたら意外にいける。煙が目にしみて二人は泣いていた。
 次の日、参院本会議で郵政法案は否決された。そしてすぐさま衆院は解散された。
その翌日、麻生事務所から葉巻がワンカートン届いた。
それ以来、葉巻党になった。
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 長文の引用でしたが鴻池参院のことですから、この程度のことは笑って許してくださるでしょう。
念のため本の紹介だけはしておきます。幻冬舎HP「天道さんは見てござる」です。内容は筆者の人柄そのもののであります。
 義理、人情どれも近頃では経験することが少なくなりました。
なんだか、ホッと一息付けた「男の友情」のいい話でした。


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