吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

 韓国旅の風景 三十五

2006年05月28日 12時11分54秒 | Weblog
韓国旅の風景 三十五

 結婚式の運び屋
 ホテルへ迎えに来た文化財専門委員のA氏は朝からにこにこ顔で…今日は日もええし、ええことあるヨ!と回転ドアからでた途端近寄って握手しながら言った。
 …あれれ!Aさん結婚でも…にしては相当のジジイだが…とからかった。
 …とにかく窯へ行けば分るヨ!…とA氏。
 快晴だったので国道周囲の新緑が眼にしみた。
 国道は空いていていつもより十分も早く窯場へついた。
 窯場の裏手が賑やかで、賄いのRアジェモニーが出たり入ったりしている。
 …姪の結婚式に水屯面、水下里まで出かける準備で、親戚の会場で新郎が送るチマ布地を入れた函を背負う、ハムジンアビもやっくると言う。
 ハムジンアビ役をおおせつかった男が風呂敷に包んた函を白い布で作った負子に乗せ、灯係の別男が先頭に立つて新婦の家に向かうのである。
 新婦の家では、小膳の上に粉餅(ペクソルギ)を供え、甑(サン…瓦製のこしき)の上にはこんできた函を下ろすと、五福を備えた人(どのにも一人や二人はいた)が蓋をとって皆にみせるのが普通であるが、なかには、ハムジンアビが家の入り口で立ち止まって大声で…函買いなされ!函買いなされ!と叫び始める場合もある。
 新婦側の家族、知人逹は準備しておいた酒、肴をもてなそうとするが、ハムジンアビは歩き疲れた…とか路銀がからになったとか暗に金銭を要求するのだがどの家庭でも先刻承知していて、望みをかなえてやるのである。
 とA氏は説明した。
 お昼になって賄いのRアジェモニーが色々の料理を乗せたお盆に真露瓶をツけて窯事務所のテーブルにはこびこんだ。A氏が朝から嬉しそうにしていたのはこの為だった。