吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

韓国旅の風景 十七

2006年05月12日 07時18分57秒 | Weblog
 韓国旅の風景  十七

 路地裏の風景
 路地裏には着飾らない庶民の顔がある。大都市ソウルでもそんな路地がいたる所にある。 明洞界隈は着飾った人々、若者や娘逹もよそ行きの顔して往来している。
 鐘路(チョンノ)や仁寺洞(インサドン)など表の商街から路地へ一歩足を踏み入れると韓式家屋が建ち並んでなんとも言えない暖かな庶民の匂にみちている。路地を大きな盥に野菜を山盛りにして頭に乗せて悠然と歩むアジェモニーの姿、甲高い声で子供が駆け回る、道端に座り込んで悠々と煙草をふかしながら若き日の思い出話しをする老人逹。
 裏通りにこそ韓国で言う『モツ』の美がある。つまり見せようとした美でなくて自然に格好のよい美がある。韓式住宅の格子窓がすこし歪んで脇の門からチマチョゴリ姿の女がでてくる光景はとても美しい。
 黄色いTシャツに黒のバンツ姿の娘が路地横の溝にテッシュを丸めて投げ捨てたのを見た老人が、娘を呼び止めて、厳しい説教を始めた。
 娘は素直に投げ捨てたテッシュを拾い直してミアナヨ(すみません!)と言って立ち去った。
 この爺さんは年頃から見て、戦時中、日本の統治のもと様々な屈辱を受けたことだろう。 そして開放された祖国の未来を担う若者逹にしっかりしたモラルを教えている。
 ふとチャンチャンと金属音がしたので見ると荷車に解体した段ボールを満載し、大きなハサミをカチャカチャ鳴らして屑もの集めを知らせながらあるいていた。
 このハサミは先が鉈のように四角になっている。李朝時代に流行った飴売り人が飴を切るカウイと言うハサミで、今は、その音を売り物集めの合図につかっているのだ。