吉松ひろむの日記

高麗陶磁器並びに李朝朝鮮、現代韓国に詳しい吉松ひろむの日記です。大正生まれ、大正ロマンのブログです。

韓国旅の風景 二十七

2006年05月19日 15時03分23秒 | Weblog
韓国旅の風景  二十七

 木鴈
 韓国の土産品にこの木鴈がある。
 民芸品の売り場は勿論、土産物やには必ず置いてある。
 おどけた眼のこれは結婚式になくてはならぬ道具である。
 鴈は夫婦仲が睦まじいことにあやかって使うようになったが李朝の昔、士(ソンビ=儒学者)は雉を、庶民は鴈をとなったのは雉は儀式で落ち着かないので鴈を代用としたの課も知れない。
 鴈は空を仲良く列をなして飛翔するところから結婚式の奠鴈儀式となったのであろう。 新郎は新婦に鴈を贈るが新婦は雉肉の干したものを贈った。
 結婚式には女の家に、木鴈を持った鴈男が婿行列の先頭に立って、女の家に着くと、新郎は鴈男から鴈を受け取り、これを卓上に置いて礼拝すると新婦の母がこれを持って内房に運び奠鴈儀式を終えるのである。
 儒教の風習から見て、士には雉がふさわしく、これは鴈より雉のほうが上品とする思想からきたものであろう。
 韓国の木鴈はどう見ても笑い、ユーモア性、有る意味での諧謔、が含まれているが、これをもし日本の職人が彫刻したならば、寸分も実物とたがわぬ作品にしあげるだろう。  韓国の木鴈は眼がいつも笑っていて、川面を悠々と泳ぐ様がなんとも言えぬ微笑ましさにみちているのだ。