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新潟山形南部連絡道路の鷹ノ巣道路区間、事業化25年後も部分開通のメドさえなし

※北陸地方整備局管内ですが、山形県境にほど近いことから便宜上カテゴリを「幹線道路(東北)」とします。

2023/10/13付ブログ記事「 新潟山形南部連絡道路、ようやく小国道路区間が着工へ」の続きです。

上記ブログ記事で

>なお、新潟山形南部連絡道路の新潟県内では、関川村内の「鷹ノ巣道路」5.1km区間が事業化され工事中です。

>1997年度に事業化され、2001年度に用地買収・工事着手したものの、その後の計画見直しもあってか進捗は遅々極まっており、着工から20年以上経過しても「道路の形が既に見えている区間」と「これからトンネル掘削や橋梁建設にかかる区間」がモザイク状になっているようです。

と書きましたが、遅々極まっている背景を調べてみました。

2005/8/17付の地元の建設業界専門紙に掲載されたと思われる「見直しルート3案を提示/国道113号/第2回鷹ノ巣道路検討会」という記事によれば、

https://www.nikoukei.co.jp/news/detail/40689

当初は直線的な4車線で建設する計画だったようですが、一部工事着手後2年を経て、長大トンネル・長大橋が連続することや大規模な斜面対策工が必要とされることなどから、経済性・施工性等を考慮し道路計画ルートの一部見直しを行うことになり、事務局から見直しルート案として「現道山側ルート」(これを最適案として提案)・「JR米坂線の山側ルート」・「現道沿いルート」の3つが提示されました。採用されたのはJR米坂線と跨線橋により交差する現道山側ルートです。

その約5年後に開催された「平成22年度第6回北陸地方整備局事業評価監視委員会」で説明された資料によれば、

https://www.hrr.mlit.go.jp/johokokai/hyouka/hyouka01/h22/h22_6/h22-6_5takanosu.pdf

2010年度末までに約37億円が投じられる予定となっている(進捗率約24%)ものの、工事中の区間は沼地区<JR米坂線越後片貝駅の南西数百mのあたり>のみで、この時点で橋脚2基とトンネル坑口部の盛土がほぼ完成済みだったとのこと。

さらに約5年後の2015年12月に開催された「平成27年度第4回北陸地方整備局事業評価監視委員会」で説明された資料によれば、

https://www.hrr.mlit.go.jp/johokokai/hyouka/hyouka01/h27/h27_4/shiryo/02.pdf

2015年度末までに約58億円が投じられる予定となっている(進捗率約38%)ものの、新たに現地での工事に着手したのは、沼地区よりトンネル予定地を越えて西側の大内渕地区の土木工事のみです。一方、巨礫層に起因する対策工の追加などで約37億円のコスト増となっています。

さらに約3年後の2018年11月に開催された「平成30年度第2回北陸地方整備局事業評価監視委員会」で説明された資料によれば、

https://www.hrr.mlit.go.jp/johokokai/hyouka/hyouka01/h30/h30_2/shiryo/06.pdf

2018年度末までに約82億円が投じられる予定となっている(進捗率約43%)ものの、全線一括しての開通は断念され、「関川村大字下川口~同村大字大内渕間の早期完成2車線供用を目指して整備を進める」とまずは西側区間の部分開通を目指すこととなりました。これを受けて、大内渕地区での橋梁工事に力点が置かれています。一方、部分開通区間にある1号トンネルの補助工法等の追加などにより約30億円のコスト増となっています。

そして、現時点では最も直近となる2021年11月に開催された「令和3年度第3回北陸地方整備局事業評価監視委員会」で説明された資料によれば、

https://www.hrr.mlit.go.jp/johokokai/hyouka/hyouka01/r03/r03_3/shiryo/05.pdf

2020年度末までに約110億円が投じられており(進捗率約50%)、大内渕地区を中心に工事が行われていますが、地区内にあるJR米坂線と交差する跨線橋の架設に先立つ協議で、JR東日本側から「列車運行の安全性を確保するため岩掘削が必要ない送り出し架設にすること」「橋梁架設時に地震が発生しても軌道に影響を及ぼさないよう耐震設備を追加すること」が求められ、ここだけで都合30億円のコスト増となりました。これに伴い、事業期間も30年から33年に延びています・・・ 工事着手が2001年なので、完成は2034年!

そのJR米坂線は、周知のとおり2022年8月の豪雨で被災し、利用客数に比して巨額の復旧費用が見込まれることもあり、該当区間は長期運休中で復旧工事着手のメドは立っていません。もし米坂線の鉄道としての復旧が断念され、さらに該当区間の線路を引っ剥がしてBRT専用道路として活用しない場合は、跨線橋として建設する意味がなくなる(ただの高架橋ならばそれほど費用は掛からないはず)わけですが、果たして?

なお、早期完成を目指す部分開通区間のメインとなる1号トンネル(延長779m)は、2023年度の新規の工事区間となっており、「早期」の時期は推して知るべしですね。また、2010年度の時点で既に完成していた沼地区の橋脚2基は、この分だと「建設から供用開始まで20年以上待たされる」ことになりそうです。

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