全国交通ニュースブログ

タクシーの最低台数緩和&個人タクシー営業可能区域拡大の報道について

2023/5/22の夕方に、国土交通省が過疎地域でもタクシーの営業を継続できるよう規制を緩和する対策案を出し、今夏にも運用を見直す旨の報道がなされました。

タクシー5台未満も営業可 地方で規制緩和 国交省検討会 (時事通信)

タクシー最低台数4台以下に緩和 過疎地で個人営業も容認、国交省 (共同通信)

ポイントは以下の2点です。

 (1)  現在は1営業所あたり最低5台のタクシーを配置する必要があるが、事業を継続する上で問題がないと地方運輸局長が認めた場合については4台未満も容認する

 (2) 現在個人タクシーの営業は人口がおおむね30万人以上の地域で限定的に認めているが、これを緩和して過疎地などでも営業を可能にする

いずれも4月以降に当ブログで取り上げた内容とも重なりますので、改めて解説します。

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1.タクシーの最低台数緩和について

 当ブログでは、各地のタクシーの営業区域に関する資料として、地方運輸局がそれぞれの公式サイトで公表している「タクシーの許可申請事案及び事業計画変更認可申請事案等の審査基準」を使用していますが、こちらには各営業区域ごとの最低台数が記載されています。

 東北地方の場合、2023/4/17付ブログ記事「東北地方のタクシーの営業区域一覧(完全版)」内で参照している当該資料を見ると、原則は5台以上なものの<仙台市のみ10台以上>、すでに多くの地域で2台以上に緩和されていることがわかります。列挙すると以下の通りで、いずれも過疎地域(原発事故の営業で人口が激減した福島県双葉郡を含む)です。

 <青森県>

  三戸郡(現在の三戸郡に所属する自治体のうち八戸市から離れたエリア)

  東津軽郡(外ヶ浜町と今別町のみ)

  下北郡(下北半島のうち、平成の大合併以前からむつ市だった地域以外)

 <岩手県>

  下閉伊郡(岩泉町・田野畑村・宮古市のうち旧下閉伊郡田老町・新里村・川井村の区域)

  和賀郡(西和賀町のみ)

 <宮城県>

  玉造郡(大崎市のうち旧玉造郡岩出山町・鳴子町の区域)

  牡鹿郡(女川町および石巻市のうち旧牡鹿郡牡鹿町の区域)

  本吉郡(南三陸町および気仙沼市のうち旧本吉郡本吉町の区域・登米市のうち旧本吉郡津山町の区域)

 <秋田県>

  鹿角郡(小坂町)

  山本郡(八峰町・三種町・藤里町および能代市のうち旧山本郡二ツ井町の区域)

 <山形県>

  西村山郡A(西川町・朝日町・大江町)

  西置賜郡B(小国町・飯豊町)

  北村山郡(大石田町)

  最上郡(最上町・舟形町・真室川町・金山町・大蔵村・戸沢村・鮭川村)

  西田川郡(鶴岡市のうち旧西田川郡温海町の区域)

 <福島県>

  大沼郡(三島町・金山町・昭和村)

  南会津郡(南会津町・下郷町・只見町・檜枝岐村)

  双葉郡(広野町・楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町・浪江町・川内村・葛尾村)

 北陸信越運輸局管内では富山県小矢部市や石川県珠洲市など、中部運輸局管内では「交通圏」に属さない地域すべて、中国運輸局管内では島根県江津市・安芸の宮島・山口県美祢市などが2台以上に緩和されていますが、近畿運輸局管内では該当地域はありません。

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2.個人タクシーの営業可能区域拡大について

 2023/4/15付ブログ記事「群馬県から個人タクシーが消滅しました」で書いたように、茨城・山梨・鳥取・島根の各県には個人タクシー許可地域が存在せず、群馬県は前橋市や高崎市などで許可されているものの2023年に入って個人タクシーはゼロになりました。そして、全域で個人タクシーが許可されている都道府県は存在しません。

今回の規制緩和は、「首都圏などの個人タクシー営業者が高齢になってリタイアするところ、郷里の過疎地に帰っても引き続き個人タクシーを営業して地域の運転免許を持たない高齢者に貢献できる」ようなケースを想定しているものと思われますが、果たしてどうなることでしょう?

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