クイーンズタウンから先は、
東海岸寄りに北上すると決めた。
野生的で荒々しい西海岸の旅はこの上なく魅力的ではあるものの、
西海岸の天候は安定せず(毎度のことだが)
天候待機を繰り返せば日程が足りなくなる。
クイーンズタウンを出て1時間も走れば緑豊かな風景になる。
湖のほとりでランチしたりする。
焼いてないパンにバナナを挟んだだけでも美味に感じる。
国道沿いに自転車専用道路がある。
こういうサイクルパスは、近年至るところで見られるようになった。多くは廃線跡を使用したり、旧道を再整備したり、農道を借りたりして繋いでいる。過疎地域活性化の『要』と言えるかと思う。
アスファルト舗装しないため比較的安く済む割には観光投資効果が極めて高い(つまり地域が『がっぽり儲かる』ということだ)ということに気づいた国や行政や地元が積極的になった結果といえる。
残念ながら日本人には無理だ。
仮に整備するとしたらロードバイク乗りの人たちが黙ってないだろう。
あの最近よく見るロードバイクという競輪みたいな自転車は未舗装路を走れない。
「なぜ舗装しないんだ危険だろ何かあったらどーのこーの」
「舗装しろアレもコレもやれ。あーだこーだ」
ゴネて終了。
アスファルト舗装はカネがかかる。
すごく高い。
うちの、あの猫額な駐車場ですらアスファルト舗装300万円と言われ断念した。
舗装は凄く高いのだ。
未舗装は安あがりだ。
過疎地域に整備する自転車専用道路に何億もかけられるはずがない。
優れた構想も妄想で終わる。
足の引っ張り合いの末に。
舗装の話ではないものの、
そういう不毛な会議をいくつか見てきた。
日本では無理だ。
残念な国だ。
古い橋、現る。
この開拓時代の橋は耐用年数を過ぎたので引退しているが、
再整備して「遊び」に使われている。
例えば『バンジージャンプ』とか。
引退した古い橋を再利用して「遊び」に使うなど、日本では考えられない発想だ。
日本ならば、
「何かあったらどーするんだ、あーだこーだ」となり、
「遊びなど、けしからん」となって終了。
それが日本だ。
もちろん自転車で走ることができる。
バンジーの後ろを通り過ぎていく。
近年、オタゴ地方では、牧場の減り方が著しい。
牧場は、ぶどう畑に変わり、ワイナリーになった。
牧童たちはワイナリーオーナーになり、お金持ちになった。
『農家が大金持ち。』
この国では普通に見られる。
特に、オタゴ地方のように、周辺に著名な観光地を抱える地域では観光との直接的間接的な相乗効果が顕著に働き、結果、「大金持ち農家」が増えた印象がある。
お!
俺の好きなオタゴワインの畑じゃないか!
ここで育ったのか〜。
しみじみ刺さる。
凄いところ通ってきた。
落石多発地帯だったらしい。
小刻みに小さな峠あり。
ハァハァ、ゼェゼェ。
明日はでかい峠を越えるからということで、
明日はでかい峠を越えるからということで、
クロムウェル宿泊では肉を食う。
スーパーマーケットで買ってきて自炊だ。
パンがデカくて入らない。笑
翌朝、少し早めに出発。
この橋を渡ったら左へ。
110km先のオマラマに向かうのだが。
クソ遠い上、峠越えなのだ。
しかも向い風じゃないか。
でも写真には風が写らないぞ!!
最初で最後の集落「タラス」で休憩する。
ここから先、峠越えが始まる。
ニュージーランド3大峠は、
アーサーズパス
ハーストパス
そしてこの、リンディスパス。
しかしまあ、でかい。
携帯は圏外。
ひたすら僻地。
遠い。
でかい。
と、遠い…。
ようやく先が見えてきた。
峠だけならまだいい。
朝からずっと向い風と戦ってきた。
足が攣り、腿やふくらはぎが痙攣する。
何度も休み、日本から持ってきた
『芍薬甘草湯』(筋肉の攣りの漢方薬)
を飲んだりしながら標高を稼いできた。
最後は歩いた。
最後は歩いた。
歩いたほうがずっと早い。
ラストは歩いて登頂。
しかし、まだ先がある。
下りも遠い。
長すぎる下り坂だけど、どーん!と行けたのは最初だけで、
徐々に向い風に押し戻される。
下りなのに、ペダル漕いだ。
110kmを11時間もかけてオマラマのキャンプ場に到着。
もう夕方の7時になっている。
早くしないとスーパーマーケット閉まる。
降参だ。