ガイド日誌 - 北海道美瑛町「ガイドの山小屋」

北海道美瑛町美馬牛から、美瑛の四季、自転車、北国の生活
私自身の長距離自転車旅
冬は山岳ガイドの現場をお伝えします。

DAY27 山陰/ 和田山でメンテナンスday 『日本列島縦断 自転車の旅 2018』

2018年11月28日 | 自転車の旅 国内
女心と秋の空なのだ。
変わりやすいのだ。

天気予報は当たらない。
マジウケした僕がアホだった。

雨になるという天気予報を信じて和田山の安宿に2泊分のお金を先払いしている。
まさか、朝になって晴れていたからと言って、支払い済みの宿泊を当日キャンセルするわけにはいかない。

晴れたから行くわ。
お金返して。

言えない。それは反則だろ。
仕方なく、和田山2泊なのだ。

遅い朝食を食べながら、ここは観光客らしく、ここから自転車で30分の距離にある
戦国時代末期の山城
に行こうかと思案していたのだが、
焼き魚をほぐしながら思い出したことがある。

そういえば
ズボンのお股が破れかけている

そこは魔の三角地帯。

ここがはだけてしまっては、
男のコケンにかかわる。

戦国の覇権も大切だけど、

男のコケンは大切だ。
そうだろ?
すぐ直さなければ。

針仕事だ。針。
きょうは観光よりもメンテナンスだ。

まずは、
これ以上解けないよう末端をしっかり補強だ。

あとは、糸を替えて、
淡々とひと針、ひと針、
慎重に針を進める。

時々、止メをしながら、
淡々と、ひと針ひと針進める。

長い旅をしていると、服や持ち物が痛む。

どんなに気をつけていても、パタゴニアなど耐久性に定評のあるものを使っていても、これだけは避けては通れない。
仕方のないことだ。

特に、ハードな旅。
身体も消耗するけど、
持ち物の消耗も、激しい。
だから時々、定期的なメンテナンスは欠かせない。

僕が
「こいつは凄いアウトドアマンだ!」と、ひと目で認め、一目置く、あるいは尊敬するのは、
それっぽい持ち物で隙なく固めたアウトドア・ボーイでは、もちろんない。

ガツガツしていい。ちゃんと修理が出来るヤツだ。
調子の悪いラジウス(調理用ストーブ)をその場で分解して手を油まみれにしながらチャチャっと直すやつなんか最高だ。

そんなやつは、
直ちに焼肉に招待したい。

焼いたスルメとビールも、つけちゃうぞ。

アウトドアマンとは、そういうものだと思う。

さあ、仕上がってきた。

ソーイングセットも大切だが、
最低限の刃物も欠かせない。特に小型ハサミは用途が広い。

さっき爪も切った。

おー!

見た目はともかく、
魔の三角地帯はようやく閉じられたようだ。

これ以上、崩壊が進まないよう、ほつれた末端の三ヶ所はしっかり止めた。

ここまでやったとき、ドアがノックされて、安宿のお婆ちゃんがきょうのお水を持ってきてくれた。

俺はパンツ姿だったが、お婆ちゃんは動じない。
さすがだ。

そういえば、

靴下にも穴が。

よし!アウトドアマン出動!

修理が必要だ!

これでよし。

なんやかやで、いちばん大事な装備は、
ガムテープだろ。

和田山は、午後から雨が降りだした。
まあ、のんびりするか。

畳に寝っ転がり、俺は昼寝する。
身体を休めよう。これも立派なメンテナンスなのだ。

本日の走行距離、0km。