日々の寝言~Daily Nonsense~

藤井聡太三冠は将棋ソフト利用のトップランナー

ABEMA TIMES の記事から。

GPU を利用しないニューラルネットワーク
NNUE(Efficiently updatable neural network)を使った将棋ソフトと
GPU をバリバリに使う DL(Deep Learning)を使った将棋ソフトとの
両方を上手に使って研究をしているという。

ソフトを走らせるために最適なハードウェアの構成も異なる。

ちなみに、以前、藤井さんが自作 PC に導入して話題になった、
AMDの『Ryzen Threadripper(ライゼン・スレッドリッパー)3990X(以下3990X)』
は、前者(NNUE系)の高速化に向いたマルチスレッドの CPU。
メモリは 256GB というモンスターマシンだった。

一方、DL系を高速に走らせるには、グラフィックプロセッサ GPU が必要だ。
上記 PC を買った頃の記事では、「ビデオカードは映ればいいという程度で」
と書かれていたが、現在では、GPU も導入しているらしい。

先日の ABEMA トーナメントの表彰式でも、
優勝賞金の使い道は、PC のパーツなど、と言っていた。
強いものがますます強くなる、
デジタル社会の格差拡大の縮図だ。

> DL系だと序盤の細かな違いが評価値にしっかり表れることが多いので、
> そのあたりを特に参考にして見ています

> 終盤の詰む、詰まないはNNUE系の方が正確な場合が多いですし、
> 局面を進めると評価値が変わってくることも多いです。

それよりもすごいと思ったのは、

> 移動先でも、自宅のパソコンの電源がついていれば
> 使えるような状態にはしていますので、時間がある時はそれを使っています。
> スマホから操作するので、使いづらいんですが(苦笑)

ここまでやっているのか・・・
スマホ持ち込み禁止になるのは当然ではある。

 * * *

NNUE も DL も機械学習のモデルにはニューラルネットワークを使っているのだが
使い方と、使っている NN の深さが違うということのようだ。
たぶん、NNUE は、特徴量を人間が作っているのに対して
DL は、将棋盤面をより生に近い形で使っているのではないかと想像される。

NNUE系と DL系は、ハードウェアから異なるので
公平な強さの比較は難しいのだが、
DL のほうが、性能の伸びしろは大きいが、
学習に必要な計算量=コストがまだまだ大きいので、
そこまでの計算機資源を利用できない環境や条件では、
まだ NNUE 系が有利ということらしい。

※参考:やねうら王のブログのエントリー

実際、今年行われた第31回コンピュータ将棋選手権の優勝者
elmo 囲いで有名な elmo で、これはNNUE 系だと思う。
準優勝の PAL は DL系で、HEROZ という会社で開発している。
3位の Ryfamate は NNUE と DL のハイブリッドらしい。

ちなみに、elmo は、Google DeepMind の 2017年に出版した
Deep Learning を使ったマルチゲームソフト AlphaZero 論文で
既存の将棋ソフト代表に選ばれていて、Wikipedia によると、
> 将棋プログラムelmoとの100局において、AlphaZeroは90勝8敗2分であった。
ということだ。

このときの棋譜は公開されていて、
たとえばこちらで盤面の形で見ることができる。
また、解説している YouTube 動画も多い。

DL系ソフトにおける GPU の重要性については、
こちらのブログ記事も興味深い

Google Cloud Platform で予約していた
A100 x 16 のインスタンスが大会当日にリソース不足で立ち上がらず
AWS の x8 インスタンスで代用したという話。
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