日々の寝言~Daily Nonsense~

Sir András Schiff | Schubert Lecture-recital - Live at Wigmore Hall

Sir András Schiff | Schubert Lecture-recital - Live at Wigmore Hall


アンドラーシュ・シフが、
シューベルトの遺作のソナタ
D.960 を解説して、
その後に全曲を演奏する
というとても贅沢なコンサート。

各パートを弾きながらの
解説を聴いていると、
いかにこの音楽を愛しているかが
とてもよく伝わってくる。

シューベルトの直筆の楽譜も
調べたのだそうだ。

ここはリート、
ここはオーケストラ、
ここはベートーヴェン、
ここはミサ曲、
ここはコラール、
ここはバルカローレ、
などとわかりやすく説明してくれる。

ゆっくり弾きすぎてはいけない理由や、
繰り返しを省いてはいけない
理由を教えてくれている。

第2楽章の「冬の旅」との
関連を説明するところは
とても印象的だった。

楽章を統合するリズム、
そして、運命のモチーフ。

この曲はシューベルトが
亡くなる年に作られたのだが、
その頃のシューベルトは既に病が重く、
もういつ死んでもよいと思っている。

そんな状況で作曲していたのだと
考えると涙が出てくる。

2楽章までで終わりでよかった、
というのも面白かった。

3楽章のスケルツォは、
死後のなごりの幻(hullucination)
のようだ、という。

4楽章は、ウィーンの
ストリートソングと踊りで、
なぜこれがこのソナタに
含まれているのか理解できない、
と言っていた。

懐かしく、楽しい
ウィーンの想い出?

それでもちゃんと第一楽章の
モチーフが現れる。

訥々と、ときにユーモアを
交えて語る様子も
とても自然で美しい。

それにしてもシューベルトの
さまよえる転調は絶品だ・・・

それを、それぞれの色をつけて
丁寧にたどってゆく
シフの演奏がまた素晴らしい。

転調を続けて旅をした後、
ついに主調に戻ってくるときの、
home coming な感覚。

なんとノスタルジックな・・・

追記:
冒頭のバッハ(指ならし?)
(平均律クラヴィア曲集第2巻 No.11 ヘ長調)は、
先に弾いておくアンコールなのだそうだ。

若い頃の演奏はこちら。
J.S. Bach: The Well-Tempered Clavier, Book 2, BWV 870-893 - Prelude and Fugue in F Major, BWV 880
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