日々の寝言~Daily Nonsense~

藤井聡太八冠誕生!!!

将棋の王座戦第4局が
京都ウェスティンホテルで指されて、
大激戦の末に挑戦者の藤井七冠が勝ち、
3勝1敗で王座奪取を決めた。

これで藤井さんは
将棋界の八大タイトルを制覇し、
史上初の八冠達成となった。

将棋は、前局と同様に、
工夫した序盤から
永瀬さんがやや押し気味に進めていたが
藤井さんの龍を追う中で誤算があったか、
夕食休憩後によりが戻って
ほぼ互角となった。

その後、藤井さんが、
永瀬さんの攻撃を駒を使わずに
ぎりぎりでかわす△4二金を
指を滑らせて指して、優勢に。

そのまま決まったかと思ったのだが、
永瀬さんが繰り出した渾身の勝負手
▲5二同玉に、先に一分将棋になっていた
藤井さんが決め手を逃して逆転。
その後も永瀬さんが力強い踏み込みを見せて、
ついにほぼ必勝形となった。

これは、最終局の山梨決戦か、
と思ったのだが、
しかし、しかし、しかし・・・

第三局に続いて、また、
最後の最後で、藤井玉が
網からするりと抜けてしまった。

藤井さんの△5五銀に対して、
プロ的にそれほどは難しくなさそうな局面で、
同じく一分将棋に入っていた永瀬さんが
▲5三馬と転んでしまう。

一気に評価値はひっくり返り、
またしても歴史的大逆転。

相手に下駄を預けた△5五銀に
少し意表をつかれて、
時間に追われたこともあり、
幻の詰み筋が見えて
しまったのかもしれないという。

うーん・・・

本人も言っていたが、
まさにエアポケットだ。

どうしてもこうなってしまうのだ。
藤井さんの勝負術もあるのだろうが、
本当に魅入られているようで、
なにか、永瀬さんの中に、
藤井さんに対するトラウマのようなものが
棲みついてしまっているような感じ。

勝ちが見えたときに
羽生さんの手が震える
というのがあるが、
勝ちが見えたときに、
思考が真っ白になってしまう、
あるいは、負けるところに
手が行ってしまう、
という感じだろうか?

レベルが全く違うが、
ピアノを弾いていても、
難しい場所を過ぎたときに
暗譜が飛んで頭が白くなるいうのは
ありがちだ。

それにしても、前局につづいて
十中八九手にした勝ちを逃した
永瀬さんの無念さはさぞやと思う。

実際、対局中にも
頭をガンガンと叩いたりかきむしったりして
ほんとうに悔しそうて胸が痛んだ。

五連覇が条件の永世王座が
かかっていたのだし、
藤井さんをタイトル戦で初めて破り、
八冠を阻止した、と名前を残せる
機会でもあったのだ。

まだ実感はないかもしれないが、
一手で失ったものが大きすぎる。

むしろ、逆転した藤井さんのほうが、
これでまた勝ってしまうのは
本当に申し訳ない、という感じで
がっくりしているように見えた。

これも前局と同じ。

毎度思うのだが、将棋は、
本当にドラマチックというか、
残酷なゲームだ。

羽生さんの全盛期に、
「将棋というのは、最後に羽生さんが勝つゲームだ」
と言われいていたが、
藤井さんも同じか、それ以上だ。

羽生さんのときはまだ、佐藤さんや
森内さんというライバルがいたし、
ドキドキ、ワクワクする要素があったのだが、
藤井さんの場合は、強すぎて、
逆に「やっぱりそうなるのか」と
拍子ぬけのような気分になってしまうのは、
歳のせいだろうか。

終局後のインタビューで、
八冠達成について、藤井さんは、
「それに見合った力があるかと言われると
まだまだなので、実力をつけてゆくことが
必要と思っている」
と謙虚に語っていた。

一方の名誉王座を逃した永瀬さんは、
「最初はめざしていると言ったが、途中からは
一局一局に全力を尽くして取り組んだ。
結果としてはとても残念だと思う」

「番勝負が始まる前と後とでは
見えてきたものも違うと思うので
個人としてはあまり悲観せずに
一歩一歩頑張ってゆこうと思う」

この状況でこういうことが
言えるのもすごい。
これも修行の成果か。

YouTube の中継を見ていたが、
解説の佐藤康光前会長が絶好調で、
本田小百合女流三段とのかけあいは
とても楽しめた。

佐藤前会長の最後に一言は
「ほんとに、大変な激闘だったですけど
本日、藤井さんが八冠制覇という偉業を
達成されたことには敬意を表したいと思いますし
永瀬さんの戦いぶりにも敬意を表したいと思います。
素晴らしい戦いぶりだったと思います」

まさに、歴史的な番勝負が
終わってしまった、という感じ。
第5局までゆかなかったのは残念だが、
両対局者には心から敬意を表したい。

藤井八冠、おめでとうございます!!

さて、夕ご飯を食べないと。

追記:
当日のニュース報道では、
NHK のニュース9が番組直前に
ぴったり八冠達成となり、
冒頭からの深浦さんの解説なども含めて、
ちょこちょこと伝えていた。

また、テレビ朝日のニュースステーションは、
藤井さんのこれまでの歩みを振り返るビデオ、
叡王戦を戦った佐々木七段への事前取材、
師匠の杉本さんのインタビュー、
そして八冠達成の記者会見のリアルタイム中継、
と充実していた。

明日のワイドショーも
すごいのだろう。

羽生会長のインタビューも
聞きたいものだ。

王座戦は日経もスポンサーなのに
テレ東はクールだなぁ・・・

次の興味は、誰が藤井さんから
タイトルを始めて奪って名を残すか、
に移り、今戦われている竜王戦への
注目もますます高まるだろう。

挑戦者の伊藤匠さんは、
永瀬さんのような
根性?は感じさせないが、その分、
別の何かを持っていると思うので
期待して観戦したい。

永瀬さんも、まずは
おいしいものを食べて
ゆっくり休んでいただきたいが、
この試練のときを乗り越えて、ぜひ
まだまだ挑戦してほしいものだ。

追記2:
今回の王座戦を観戦していて、
AI の評価値は、人間の実感とは
かなり異なることがある
ということを改めて感じた。

特に、トップレベルの棋士
の戦いになるほど、
AI で 80:20 くらいになっていても、
そこから勝つまでには
かなり難しい手を複数指さねばならず、
人間的にはそこまで差はない
というケースが多いように思われる。

今局も、AI評価値的には
何度か大きな逆転があったが、
指している二人は
どう感じていたのだろう。

解説の佐藤さんも、途中の局面では、
こんなに差があるようには
見えない、と言っていた。

今後、こういう、人間にとっては
指しにくい筋、というような感覚も
学習させて、人間的評価値も
出せるようにすると
おもしろいかもしれない。

追記3:
その後の解説を聞いたり読んだりしていると、
藤井さんの△5五銀は、
相手に下駄を預けた手ではあるが、
解説の佐藤さんも、
「△5五銀!?銀ですか?」
と言っていたように、
相手の意表を突きつつ、
正解は1通りしかなく、
間違えやすい不詰み筋がある、
という罠だったようで、
藤井さんは狙って指した
のかもしれない。

ただ、YouTube 解説の佐藤さんも
ABEMA 解説の木村さんも、
△5五銀をみて、驚きつつも、
ほぼ一瞬で正着の▲4二金に
言及していたので、
そんなに難しい罠ではなく、
やっぱりエアポケット
だったように思われる。

いずれにしても、
詰み、不詰み、を人外の速度で読める
藤井さんならでの手で、
要するに、藤井さん相手に、
一分将棋になったらいけない、
いうことだろう。

もちろんそんなことは
永瀬さんにも十分わかっている
はずだが・・・
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「将棋・ゲーム」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事