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 国内でも感染確認が相次ぐ新型コロナウイルス。始まりは「普通の風邪と変わらない症状」とされ、政府は感染拡大を防ぐため、むやみに医療機関に行かず、自宅で様子を見るように呼びかけている。しかし、実際には、同居する家族にうつらないかなど不安が募る。専門機関に相談するまでの数日間をどう乗り切ればいいのか、特に高齢者ら「ハイリスク者」がいる場合の注意点について専門家に聞いた。

 政府の専門家会議は17日、風邪の症状が見られた場合は学校や会社を休み、37.5度以上の熱が4日以上続いた場合、専門の相談センターなどに相談するとする「受診の目安」を発表した。この段階では、他人からうつされないためにも他人にうつさないためにも病院に行く必要はない。ただし、強いだるさがある場合や息苦しさがある場合は、4日を待たずに帰国者・接触者相談センターに相談する、と整理した。

 ということは、風邪の症状が出た場合、少なくとも最初の3日は自宅で過ごすことになる。

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 感染症に詳しい高山義浩医師によると、新型コロナウイルスの感染者の大半はそのまま軽快する。ただし、普通の風邪が2、3日で治るのに比べ、1週間ほど長引くのが特徴とされている。

 一方、風邪が1週間ほど続いた後、倦怠(けんたい)感と息苦しさが出て、悪化する場合がある。高齢者や基礎疾患がある人が重症化しやすい。このため、「こうしたハイリスク者に感染させないことが重要だ」と強調する。

 具体的には、どのような点に気をつければいいのか。

 もし、同居者に風邪の症状が表れたら、別室に隔離し▽食器の共用は避け、総菜は必ずとりわけて、共用の皿に箸を入れない▽お風呂は最後に、タオルを共用しない、などをアドバイスする。

 もちろん、アルコール消毒は徹底する。玄関先にアルコールを置き、帰宅時に家の中のドアノブなどに触る前に手指を消毒する▽風邪をひいている人が部屋を出るときはマスクを着け、アルコールで手指を消毒する▽部屋の外ではできるだけ余計なものに触らず、トイレに行った後は触った場所をアルコールをしみこませたペーパータオルでぬぐう、などが有効だ。「こうした対応は発症から7日間はやってほしい。難しい場合はハイリスク者に親族宅で過ごしてもらうことも考慮して」と呼びかける。

 アルコール消毒液がない場合は、おしぼりでふき取ったり、流水とせっけんで手洗いしたりするだけでも、やらないよりはベター。

 また、市販の風邪薬はウイルスそのものには効果がないが、症状を緩和させることでゆっくり体を休める効果があるため、服用してかまわないという。

 流行期には、ハイリスク者が人混みを避けることも大切だ。高山医師は「定期的に通院している人は、感染リスクのある病院に行く回数を減らすためにも、1カ月おきの外来受診を3カ月おきにするなど、薬の長期処方を医師と相談してみてほしい」とアドバイスする。(小林未来)