第67回全日本吹奏楽コンクール全日本吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)の中学校の部が19日、名古屋市名古屋国際会議場で開かれた。関西支部代表として出場した生駒市立生駒は、金賞に輝いた。

 7年ぶり13回目の出場。結果発表を聞いた部員たちは喜びを爆発させた。部長の加藤そらさん(3年)は「最高です。人生で一番幸せです」と笑顔だった。

 自由曲は、2016年のベルギーのテロを題材に作られた「ブリュッセル・レクイエム」。今大会の人気曲で、この日はほかに6校が選曲した。生駒は序盤、クラリネットやイングリッシュホルンのソロを中心に、丁寧なアンサンブルを披露。複雑な連符の連続や曲の盛り上がりはダイナミックに吹き、繊細で力強い演奏に仕上げた。

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けが抱え堂々のソロ 川上さん

 県大会、関西大会ともに自由曲で美しいソロを響かせたソプラノサックスの川上祐佳さん(3年)。初めて臨む全国大会の舞台に松葉杖をついて現れた。ギプスを巻いた右足を前に出して椅子に座り、いつもと違う姿勢で楽器を構えた。

 2週間ほど前、学校の階段で転んで骨折。演奏に大きな支障はなかったが、楽器の持ち運びは難しく、みんなに助けてもらった。「その分、最高の演奏しなきゃ」と練習に通った。

 迎えた本番。舞台袖で、サックスパートのみんなと「楽しもう」と声をかけ合った。指揮者の山上隆弘先生(56)も「楽しみにしてるで」と握手。直前の練習で「自由曲のソロ、もっとほしい」と注文をつけられていた。川上さんは力強く「はい」と答え、先生の手を握り返した。

 「会場の奥まで思いっきり響かせよう」

 課題曲に続く自由曲。出だしのクラリネットのソロの最後の音を聞き届け、深く息を吸った。川上さんは甘く切ない音色をホールいっぱいに響かせた。ビブラートが利いた旋律を奏で、曲の雰囲気を支えた。

 笑顔で舞台を降りた。「練習もきつくて、部内でぶつかり合いもあったけど、憧れ続けた舞台で、みんな一つになって演奏できて本当にいい思い出です」(加治隼人)