さいごのかぎ / Quest for grandmaster key

「TYPE-MOON」「うみねこのなく頃に」その他フィクションの読解です。
まずは記事冒頭の目次などからどうぞ。

【余談】源氏物語とうみねこのなく頃に

2010年05月24日 22時30分32秒 | その他の推理
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


【余談】源氏物語とうみねこのなく頃に
 筆者-初出●Townmemory -(2010/05/24(Mon) 22:26:07)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=46960&no=0 (ミラー
 Ep6当時に執筆されました]


     ☆


 最初にいっておきますが、これは推理でも何でもなくて、「トンデモ本の世界」に取り上げられるような……ふたつの物のちょっとした共通点を大げさに取り上げて、そのはざまにありもしない幻想を見てしまうような、そんなお話ですので、そのつもりで読んで下さい。(なんだ、いつもやってることじゃないか)

 あと、わたしが自分の推理に都合のいいこともあつかましく述べますので、それも覚悟して下さい。(それもまあいつもやっていることだ)


 最近、ちょっと源氏物語を読んでいまして……といっても原文じゃないですよあんなむづかしい古文読めたものじゃないです。ガイドブックを拾い読んだり青空文庫で興味のあるところだけ現代語訳を読んだりしておりました。

 それで、
「『うみねこのなく頃に』は、源氏物語を意識して作られている部分があるのではないか」
 という仮説がハタと思い浮かんだと思って下さい。


 例えば。

 平安朝のお公家さんは、自分の娘を天皇と結婚させて、権力をにぎるのが常套手段でした。というふうにがっこうでならいました。

 源氏の君もそれをやります。3回それをやろうとして、1回失敗するので、2人ほど天皇(皇太子)のハーレムに送り込んだことになる。2人。

 ところが源氏には娘は1人しかいません。どうしたかというと、よその娘をいったん自分の養女にして、それから帝の後宮に入れる。
「天下御免の源氏さまの娘だぞ、文句ありますか」
 というわけです。

 金蔵が似たようなことをやろうとした形跡がありますね。
 どこかから赤ちゃんを連れてきて、蔵臼と夏妃に養子に取らせようとした。これって、
「いずれこの赤ちゃんに家督を継がせる」
 という意図があったんじゃないかな。
「どこの誰から生まれたにしろ、今は右代宮家直系の蔵臼の子だ、文句があるのかーっ!」
 な感じでは、と。


 えーさて、源氏の君は、よその娘を養女に迎える際、奥さんに「あなたが親代わりになってね、よろしく」という意味のことを、遠回しに頼んでいます。奥さんというのはあの紫の上です。
 源氏の養女になるってことは、奥さんの養女になるってことですから、当然筋を通す。

 ようするに、夏妃という人は「紫の上ポジション」なんじゃないかということをほのめかしていると思って下さい。

 そうして、源氏と紫の上の養女に(形式上)なった姫君は、帝の後宮にあがって、のちにこう呼ばれることになるのです。「秋好中宮」と。
 なんでそんなふうに呼ばれるようになったかというと、この姫君、「季節はどれが好きですか?」と聞かれて、
「わたしは秋が好きです」
 と答えたからなんです。
 秋が好き……。


 源氏の君は、秋好中宮がうまくいったので、もっかいおんなじことをやろうとします。こんどの姫君は、源氏の実の娘です。

 が、この姫君のお母さんは明石さんといって、身分が低いのです。お母さんの身分が低いと、後宮でも身分が低くなってしまう。
 そこで源氏は、この姫君を、紫の上の養女にして、「紫の上の娘です」ということにして後宮に上げるのですね。紫の上は王族の血を引いていますから、たいへん格式が高いのです。

 ところで、
「19年前の赤ん坊は、九羽鳥庵ベアトリーチェと金蔵のあいだにできた子ではないか」
 という推理をとっている人って、けっこういるような印象なんですが、どうでしょうか。

 この場合、九羽鳥庵ベアトリーチェは愛人ですから身分が低い。愛人が生んだ子を、右代宮家の序列の高位に置くことはできません。
 そこで夏妃と蔵臼に養子に取らせる……。うーん。


 夏妃が「紫の上ポジション」だという話をしましたが、紫の上といえば、源氏がどこかから無理矢理さらってきて、幼女のころから「最強ヒロイン」としての英才教育を与えたうえで、大きくなってから奥さんにしちゃった人として有名です。(そんなことで有名にするのもどうかと思うが)

 源氏がなんでそんなに紫の上を気に入ったかというと、初恋の人にそっくりだからなんですね。
 というか、初恋の人の姪っ子なんですね。

 さて、夏妃という人は、金蔵が必死の経済戦争を起こして、旧家からかっさらってきたお姫様でした。
 このへんからどうも牽強付会になってくるんですが、わたしは、
「夏妃さんは最初のベアトリーチェの(金蔵に黄金を与えた女性の)姪っ子か何かじゃないのか?」
(ファーストベアトリーチェは、夏妃と同じ「古い神官の家」の出身なんじゃないのか?)
 という推理を持っているんです。
 → 「朱志香の喘息・鎮守の祠と鏡・ep5死体移動」

 うーん、どうなんだろう。
 このへんは、かなり特異な前提をとらないと成立しない符合なので、むずかしいところ。


 源氏の君の初恋の人は藤壺さんといいますが、この人は源氏のお父さんの後妻です。つまり義理の母。
 源氏はこの義理の母親と関係しちゃって、子供ができてしまい、その子供はお父さんの子として育てられて、のちに帝になってしまわれます。

 つまりこの帝には「いったい誰から生まれたのか」という「出生の秘密」があるわけで。
 えーとたしか、『うみねこ』にも、「いったい誰から生まれたのか」という「出生の秘密」を抱えた戦人というキャラクターがいたような。
 どなただったか、「戦人は留弗夫と九羽鳥庵ベアトの子じゃないか?」という推理をされてたと思うんですが、それなどはかなりぴったりした符合を見せますね。


 霧江は「正妻に対する嫉妬のあまり、呪い殺さんばかりの憎悪をいだく」というキャラクターですが、これなどはかなり六条御息所さんを連想させます。というか、霧江さんも六条さんも「実際に正妻を呪殺することに成功する」のですね。

 去ってしまった男を待ち続けて、金銭的な問題にあえぎ続ける、というところで、楼座と末摘花を符合させてみてもいいですが、これはちょっとさすがに苦しいですね。


 まそんなところでして、
『うみねこ』は、「そして誰もいなくなった」だとかのモトネタがいろいろ指摘されていて、それを探すのもひとつの楽しみなのですが、こういう意外な方向から符合を探してみるのも「いとをかし」かもしれぬ、といったよたばなしでありました。





 あー、そういえば「源次」(源氏)という人がいた。ここまで書いてきて今気づいたー。



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7 コメント

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Unknown (KEI.)
2010-05-24 22:53:58
おもしろいですね!

金蔵がベアトを捕まえようとする時点で「源氏物語だ!」とは思いましたが、
その関係性をそこまで掘り下げることはしていませんでした。

でも金蔵がリアルに夏妃をものにしようと思ったら、
蔵臼にはやらず、それこそ九羽鳥庵に愛人として住まわせそうです。
(その頃はまだ六軒島にお屋敷が出来ていなさそうなので無理だったかもしれませんが、九羽鳥庵は屋敷より古くからある可能性があります)

源次が源氏役なら、金蔵は傀儡ですかねぇ…。
返信する
Re:Unknown (Townmemory)
2010-05-24 23:21:11
●KEI.さんへ
 そうそう。金蔵は、さらってきた夏妃を、息子にめとらせるのですよね。そこがうまく合わないんです。

 しいて合わせようとするなら、
 秋好中宮は、源氏のもと恋人の一人娘で、秋好中宮が嫁いだ帝は、じつは源氏の実の息子です。
 つまり源氏は、昔好きだった人の縁につらなる姫君を、自分の息子と結婚させるわけで、そのへんを夏妃と蔵臼に合わせてもいいです。

 そうすると夏妃は紫の上ポジションではなくなってしまうのですが、そのかわり「秋が好きな夏妃=秋好中宮ポジション」という、それはそれで、綺麗といえなくもない符合が作れそうです。
返信する
Unknown (N)
2010-05-25 09:35:40
こんにちは、初めまして。
いつも興味深く拝見しております。

ブラザーベアトと一番服装が似てるのは朱志香だから朱志香がベアトと推理もへったくれも無い事を真っ先に考えた私にとっては、ここの推理は本当にとても興味深いです。

ところで、源氏の君の初恋の人は藤壺さんではないでしょうか?

桐壺さんは源氏の君の実の母親。
身分が低いにも関わらず、源氏の君の実の父親・桐壺帝の寵愛を受け、心労から亡くなってしまった方かと。
桐壺さんを失った時の桐壺帝の悲しみは相当だったと描かれていた気がします。

そういえば、源氏の君の初恋の人・藤壺さんも、桐壺さんの代わりに桐壺帝に娶られたのでしたね。

そして源氏の君にも密通の報いか、後に実の子ではない子が出来ます。
源氏の君の若い妻・女三宮と、源氏の君の親友である頭の中将の息子・柏木の密通で出来てしまった薫です。

養子ではない、源氏の君にとっては全く意図しない子ですね。
なんだか考えていくと色々と被る気がします。
返信する
Re:Unknown (Townmemory)
2010-05-25 09:55:42
●Nさんへ
 あ、初恋の人は藤壺さんでした。わたしが間違っています。直しておきます。

 昔わかいときに自分がやっちまった過ちを、大人になってから次世代の若いのにされる、という構成は、千年前の小説とは思えないすばらしさです。源氏物語凄すぎます。
返信する
Unknown (Townmemory)
2010-05-25 09:59:58
訂正しました。
Nさん、ご指摘ありがとうございました。

※初出では、源氏の初恋の人を「桐壺」と書いていたのですが、これは「藤壺」のまちがいでした。
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はじめまして。 (no-name)
2010-05-26 15:15:30
秋好中宮は、後年(宇治十帖の最初で)、薫を養子としています。
(正確には、秋好中宮の配偶たる冷泉院=源氏の実の息子の養子ですが)

『夏妃=秋好中宮=恋人の忘れ形見』が、『19年前の男=薫=妻が密通して生まれた子』を育てる…というのも、辻褄が合うかも。
この場合、恋人=30年以上前のベアト、妻=九羽鳥庵ベアト、になるでしょうか。
うーん、柏木(薫の父)ポジションは誰なんだ…w

失礼しました。
返信する
Re:はじめまして (Townmemory)
2010-05-27 23:42:42
●no-nameさんへ
 こんにちは。はじめまして。そっちの合わせ方もきれいですね。私の気づいたことではないんですが、7月15日(戦人誕生日)からとつきとおかを逆算すると、ちょうど親族会議の時期になる、という話があります。柏木ポジション=留弗夫あたりどうでしょう?
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