さいごのかぎ / Quest for grandmaster key

「TYPE-MOON」「うみねこのなく頃に」その他フィクションの読解です。
まずは記事冒頭の目次などからどうぞ。

チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷

2009年05月27日 05時52分15秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/24(Sun) 21:17:42)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25644&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 本文中の目次を削除しました。

 ここに書いてあることを思いついた瞬間、「『うみねこをなく頃に』で意図されていることは全部見た」と思いました(が、そのあといくつでも未解決の謎を見つけてしまいました)。
 作者さんが描く真相がこれでなくても良いです。むしろこれではないのであってほしい。どちらにせよ、これが、私のたどり着いた黄金郷です。


 なお、この記事は「駒の動き」シリーズの最終回です。シリーズを上から順に読むことをお薦めします。

 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
 駒の動きその5・盤面(II)
 駒の動きその6・盤面(III



 以下が本文です。


     ☆


 金蔵翁にとって、黄金郷ってなんなんだ、ということについて考えたいと思います。

 そもそも、「黄金郷」という言葉を最初に持ち出したのは、誰だったのか。
 それは金蔵翁です。

 肖像画の下に、意味ありげな碑文をかかげた。その中に、「黄金郷」という言葉が入ってた。それがすべてのはじまりだったのです。

 それを見た一族が、
「これはきっと黄金のありかを記した暗号だ。謎を解いたら、黄金をくれてやるという意味だ」
 そう思い込んだのが、事件と、もめごとの始まりだったわけです。

 でも、なんで、金蔵翁は、そんな碑文を公開したんでしょうか。

 彼の人物描写を正しいとするなら、彼は、遺産の配分でもめてばかりいる自分の息子と娘を、嫌いきっていました。ハゲタカとか、ハイエナとまでいっていた。
 そんな子供らに、黄金をくれてやりたいでしょうか。「誰にも継がせぬ。全額ユニセフに寄付する!」くらいの行動のほうが、自然じゃないでしょうか。

 ちょっとしたクイズに正解する程度にはチエのまわる息子もしくは娘が、たったそれだけの理由で、黄金を手に入れて、金塊に抱きついて、ワーイワーイと図に乗る。そんな光景って、シャクじゃないですか?

 そもそも、謎を解いたら後継者になれるっていう条件は、ほんとなの?
 黄金10トンがあるという噂は、ほんとうなの?


    *

 私は……たぶん、それはほんとだったんだろう、と考えています。

 そして、ある日、碑文の謎を解く者が現れた。
 その人物は、判明した方法に従って、地下通路を通った。
 そして、九羽鳥庵にたどりついた。

 それが、今回の連続殺人事件の犯人です。
 私は、それは朱志香だと考えていますが、べつに朱志香でなくてもかまいません。もう誰にも確かめられないわけですから、誰でも良いのです。
 だから、これ以降、「朱志香」とか「犯人」とか書いてあったら、あなたが思う真犯人の名前を、そこに当てはめて読んでください。

 さて、九羽鳥庵にたどりついた犯人(朱志香、任意の誰か)は、何を見つけるのでしょうか。

 九羽鳥庵とは、金蔵にとって、どういう場所だったでしょうか。

 九羽鳥庵とは、金蔵が、愛するベアトリーチェを住まわせていた、大切な大切な場所です。

 九羽鳥庵には、たぶん本当に黄金があったでしょう。
 でも、黄金以外に何があったかが大事なんじゃないでしょうか。
 たぶん、「黄金見つけた、嬉しい、やったー」という態度の者に、金蔵は継承を許さなかったような気がするんです。

 愛がなければ視えない。
 愛がなければ、そこにたどり着いても、黄金しか視えない。

 そこにあるのは、きっと、金蔵翁が、ベアトリーチェのことを本当に愛していた、そのことを証明する数々のものです。

 だから、金蔵翁は碑文を公開したのではないか。
 黄金にたどり着いてみろ、なんていう意味じゃなかった。
 私の本心にたどり着いてみろ、そういう意味だった。

 言い換えるなら。
 私の気持ちをわかって欲しい。誰かに理解してもらいたい……。


 真里亞がそれを「い」る、と認める。
 ベアトリーチェがそれを「い」る、と認める。
 すると、他の誰にも視えなくても、「さくたろう」は確かに存在する。
「さくたろう」が存在できる場所を、黄金郷と呼ぶ。

 譲治が紗音に「愛してる」と言い、紗音がそれを認める。
 紗音が譲治に「愛してる」と言い、譲治がそれを認める。
 このとき、視えもせず、さわれもしない「愛」というものが、たしかに存在する。
「愛」が存在できる場所を、黄金郷と呼ぶ。

 真里亞はさくたろうが大好きだ。
 さくたろうも真里亞が大好きだ。
 でも、さくたろうは、死んでしまいました。
 黄金郷は、壊れてしまいました。


 金蔵翁が愛してやまなかったベアトリーチェは死んでしまいました。
 黄金郷は壊れてしまいました。
 九羽鳥庵にあるのは、黄金郷の残骸です。
 でも、残骸があるということは、証拠があるということ。そこに愛があったということを証明できるということ。

 金蔵翁は理解されたかったのだと思うのです。
 自分の愛を。
 そして愛するものを失うことの悲しみを。
 共感されたかったんだと思うのです。

 気づいて欲しかった。共感されたかった。だから碑文を公開した。

 金蔵翁は、子供たちが遺産争いをしているから怒ったんじゃなく。
 そんなことをしている子供たちの「愛のなさ」に憤り、悲しんでいた。
 自分はベアトリーチェを亡くして、こんなにも悲しい。
 自分が死んだとき、こんなにも悲しんでくれる者はいはしないだろう。
 それが悲しい。
 黄金郷をよみがえらせねばならない。
 金があるところが黄金郷なんじゃない。
 愛のあるところが黄金郷なんだ。

 だから。
 その愛に気づいてくれた者は、私の愛の後継者だ。
 右代宮家の者でなくたってかまわない。
 気づいてくれさえすれば、私の全てを継がせよう。

 それは最初から、全部碑文に書いてあったのかもしれない。

 黄金郷にたどり着いた者は……。
 そこに黄金を見つけるだろう。
 そして、愛の証をそこに見出すだろう。
 愛を悟った者は、失われて久しかった、「家族の愛」をよみがえらせるだろう。
 かくして魔女金蔵は(男性であってもWitchです)安心して死ぬことができる。永遠に眠りにつくだろう。


     *

 朱志香は……犯人はきっと、黄金以外のものを、「視る」ことができました。
 たぶん、すべてを悟って、金蔵翁に言ったでしょう。あなたの愛を、あなたの悲しみを理解しました。そんなようなことを。
 金蔵翁は、そうか、わかってくれたか、ありがとう、そんな返事をしたかもしれません。
 お互いに理解しあったと認める。そこには、見えもせず、触れることもできないが「絆」というものがたしかに存在するといえる。
 それもひとつの黄金郷。「絆」が存在するとは誰にも証明できないけれど、それでもたしかにあるといえることが黄金郷。


 犯人は、金蔵翁の後継者となりました。
 金蔵翁の意思をうけつぎました。
 金蔵翁の望みとは、失われた愛をよみがえらせること。

 そのために尽力してほしい、というのが、金蔵翁が、後継者に期待することでした。

 ところが。
 後継者は魔女だったのです。


     *

 ここで。
 前に残しておいた、ひとつの疑問について考えましょう。

「駒の動きその5・盤面(III)」

 ep3で、儀式外の14人めの被害者として、「譲治」が殺されます。
 儀式の犠牲者となるのは、13人。
 14人め以降は、イレギュラーな事情で殺さなければならなかったのだと推定されます。

 犯人は、「譲治」を、どうしても殺さなければならなかった。
 その理由とは何か。

 それは、殺される前に譲治がしみじみと語ったことを、犯人が聞いたから。

 譲治は言っていました。
 紗音を失って、本当に本当に悲しいと。金蔵が愛する者を失って、それをどうしても甦らせたい一心で、オカルトに没入してしまった気持ちが理解できると。自分だってそうしたい、紗音を生き返らせるために、全人生を投げ打ってオカルトの研究をしたいくらいだと。

 そうなんです。譲治もまた、愛を知る者、悲しみを知る者、共感を知る者だったんです。
 今回の連続殺人事件は、「おまえは愛を知る者か? 知らざる者か?」「知らざる者は知るがいい」というメッセージのものなんです。
 譲治は知る者でした。
 犯人は彼を高く評価しました。共感すらしました。
 だから殺しました。

 譲治は、「一生を投げ打ってでも、もういちど紗音に会いたい」と言いました。
 だから、犯人は、会わせてあげることにしました。

 金蔵翁を殺した理由も、たぶん同じなんです。

 死んでしまった愛する人を生き返らせる方法を、犯人は知っていました。
 それは、死ぬことだけなんです。

 どうして、死んでしまった人間は、「死んでしまって」いるのでしょうか。
 殺されたから? 事故が起こったから?
 ちがいます。
「あの人はもう死んでしまっている」と「観測」する「自分」がいるからです。

 シュレディンガーの猫箱。
 どうして猫は死んでしまうのでしょうか。
 それは箱を開けて「観測」してしまったからです。
 開ける前は、「生きている」と「死んでいる」が両立してたのに、開けたから、死んじゃった。
 じゃあ、猫を殺さないためには、箱を開けなければいい。
 でも、もっと確実な方法があります。
 絶対に「観測」できなくなればいい。
「観測」する「私」が、いなくなればいい。

 譲治が存在しなくなることで、「紗音はもう生きていない」という証拠は、譲治にとっては、存在しなくなります。
「生きていない」という証拠がないかぎり、「生きている」と「死んでいる」が両立する。
 両立するなら、願えばいい。「生きている」ほうを取ればいい。
 ほら、紗音は生き返りました。

 金蔵が存在しなくなることで、「ベアトリーチェはもういない」と観測する「主体」はもういません。
 観測不能だから、生きてる可能性がある。生きててほしいなら、生きてる方を取ればいい。こうして、ベアトリーチェは、よみがえりました。

 自分を愛してくれるお母さんが欲しい。
 そのための方法は、死ぬことだけなんです。
 自分が存在しなくなることで、「お母さんが私を愛していない」という証拠が消滅するから。「愛されてない」と観測する者がいなくなるから。

 証拠がなければ、そこには無限の可能性。
 無限のなかから、好きなものを取れば良い。

 これが、魔女ベアトリーチェの「黄金郷」です。

 六軒島で死んだ者は、実は死んだのではなく、黄金郷に招かれました。
 黄金郷ではすべての願いがかないます。
 譲治は紗音と再会し、
 金蔵はベアトリーチェと再会し、
 真里亞は自分を愛してくれるお母さんを手に入れ。

 そして犯人は。
「信じあい、頼りあい、遺産などで争ったりしない、愛のある親族」
 を手に入れます。

 それが、犯人の考える、「失われた愛をよみがえらせる」だったのです。


 どうして犯人は、六軒島の全員を殺そうとしていたのか。
 これが、その動機です。


     *

 どうして、譲治と紗音がねむる客間に、謎の数字「07151129」が書かれていたのか。
「07151129」は、億単位の資産をおさめた貸し金庫の暗証番号でした。
 つまり「小さな黄金郷」の鍵でした。
 譲治と紗音は、再び出会い、永遠に愛し合うことができるようになりました。
 それも、やはり、ひとつの小さな黄金郷です。
 だから、その扉には、「黄金郷の鍵」がささっているべきなんです。
 そのことで、
「ここは彼と彼女の黄金郷」
 というしるしになっているのです。

 愛がなければ、死は、死でしかない。
 けれど、愛があれば、死は、すべての望みを手に入れる手段になります。


 犯人は、「信じあい、頼りあい、遺産などで争ったりしない、愛のある親族」を手に入れたいのだと、さきほど考えました。
 そのためには、「親族が争いあっている」と「観測」する「自分」が、いなくならなければなりません。
 つまり、この儀式で、犯人は必ず死にます。
 自ら死にます。
 無粋なことばを使えば、無理心中ということになります。
 これは、自分を殺すための儀式なんです。


 でも、儀式が止まる条件、がありましたよね。
 碑文の謎を解けば、殺人は中止される、と、犯人は明言しています。

 碑文の謎を解けば、九羽鳥庵に至ります。
 でも、至っただけではだめです。絵羽が至っても、だめでした。
 九羽鳥庵に至り、「愛」について悟れ。金蔵が何を言いたかったのか、気づけ。
 そういうメッセージなんだと思うのです。

 もし、それに気づく者が現れたら、それは、犯人は、「愛を知る家族、愛を知る親族」を手に入れたということ。「愛をよみがえらせた」ということ。
 それは黄金郷がよみがえったということです。
 黄金郷をよみがえらせることが、儀式の目的なのだから、黄金郷がよみがえれば、儀式は必要なくなる。
 だから、儀式は中断されるんじゃないでしょうか。


 愛し合わない親族を殺す。
 愛してくれない両親を殺す。
 そして自分を殺す。

 そうだ、そこで気づきました。
 これまで私は、「戦人の罪」とは、朱志香の存在を否定してきたことだ、と考えてきました。
 それは、それでひとつの解として、成立するようにも思います。

 でも、「愛」というキーワードを軸にして考えるのなら。

 戦人の罪は、父を愛さなかったことじゃないでしょうか。
 再婚に関して、留弗夫にも、いろんな事情があったでしょう。やむにやまれぬ状況もあったにちがいない。
 そういうことを、理解しようとしなかった。共感しようとしなかった。わかろうとする努力をしなかった。
 愛がなかった。
 右代宮の名を捨てた、つまり、右代宮の親族を愛すことをやめた。
 愛がなかった。
 右代宮の名を捨てたことで、戦人という子供は、右代宮から「失われてしまった」。
 戦人を愛する者はたくさんいたのに、戦人は、愛しいものを失う誰かの気持ちをおもんばからなかった。

 それは、罪です。愛しいものを失う気持ちが理解できないのは罪です。たぶん。


     *

 最後に、ボトルメールの話をしたいと思います。

 ボトルメールの最後に、こう書いてあります。
「これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください」
「それだけが私の望みです」

 どうして暴いてほしいのでしょう。
 これを書いたのは、たぶん犯人なんです。

 犯人は、「誰にも真相がわからないようにするために」島の人間を全滅させたのです。
 全滅させることで、観測者がいなくなり、そこで起こったことの解釈が無限になるのです。
「永遠に愛し合う譲治と紗音」も、「母に愛される真里亞」も、「愛にあふれた親族」も、すべてその「無限」から発生する可能性なのに。
 暴かれてしまったら、それらの可能性は消えてなくなってしまうんですよね?


 それは、多分こういうことじゃないでしょうか。
 金蔵翁は自分のことをわかってほしかった。
 犯人も、自分のことを、わかってほしかったんだと思うんです。

 誰にもわからないようにしているけれど、やっぱりわかってほしいんだよ。
 わかってほしくない人間なんていないんです。

 私はわかった。
 と、思う。

 黄金郷に誰かがたどり着いたとき、魔女は永遠に眠りにつくそうです。
 お休みなさい。
 あなたの夢が、幸いでありますように。


 チェックメイト。


     *


 いかん、あまりにセンチメンタルなことを書いてしまった。
 少し恥ずかしい。
 恥ずかしいので、照れ隠しに、全ての密室ミステリーのドアを開錠してしまう「魔法の呪文」を唱えて、終わりにしたいと思います。

「犯人は作者。作者がそういうふうに書いた」



■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■


■関連記事
●盤面解析

 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
 駒の動きその5・盤面(II)
 駒の動きその6・盤面(III

 チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷
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駒の動きその6・盤面(III)

2009年05月27日 05時45分36秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


駒の動きその6・盤面(III)
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/24(Sun) 00:48:47)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25578&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 本文中に目次があったのですが、削除しました。

「譲治」が殺された理由を考えていて、思いついた瞬間、あまりの結論に愕然として、ちょっと泣きそうになってしまいました。後半は、すごくセンチメンタルな気持ちで書いています。

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。

 この書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
 今回は、ep3の感想戦です。


●ep3、ベアトリーチェの棋譜

 難易度は互角。
(ラムダ曰く「遊びが多い。勝っても負けてもどうでもいいと思ってない?」)

   *

 第1の晩。「鍵の選びし6人」で取ったのは、紗音、嘉音、源次、熊沢、郷田、金蔵。
(「銃」候補はひとりもいない。また便利な透明ゴマ「金蔵」を封印)

 この時点の生存者は、
 蔵臼、夏妃、絵羽、秀吉、留弗夫、霧江、楼座、真里亞、戦人、譲治、朱志香/南條。

 蔵臼、絵羽、留弗夫、霧江が、「銃」に成る。

 右代宮ペアレンツ、碑文の謎に挑む。

「絵羽(銃)」、碑文の謎を解き、九羽鳥庵(推定)を発見。
「楼座(銃)」、碑文の謎を解き、九羽鳥庵(推定)を発見。
(楼座の銃は霧江から返却されたものと推定)

「絵羽(銃)」と「楼座(銃)」、黄金郷発見を伏せておく協定を結ぶ。

 第2の晩。「寄り添う2人」で取ったのは、楼座(銃)と真里亞。
(「2人」に対応するのは「楼座&真里亞」か「蔵臼&夏妃」か「絵羽&秀吉」か「留弗夫&霧江」、もしくは任意の「親&子」……。)

 楼座の銃、を生存者が回収。(夏妃、「夏妃(銃)」に成る?)

 この時点での生存者は、
 蔵臼(銃)、夏妃(銃)、絵羽、秀吉(銃)、留弗夫(銃)、霧江、戦人、譲治、朱志香/南條。
(銃の位置は右代宮ペアレンツであれば常に交換可能)
(ベアトはあと5駒を取り、そのうちの1人は南條でなければならない)

 留弗夫(銃)、霧江(銃)、秀吉、本館に孤立。
 ベアトはこの3駒を取る。残りはあと2駒。
 銃2丁が消滅。

 ベアト、「蔵臼」と「夏妃」を取る。
 銃2丁は消滅せず、残留。のち絵羽が「絵羽(銃)」に。
(13人で儀式成立。ただし南條の殺害に失敗)

 ベアト、「譲治」を取る。(14人め)

 朱志香失明。

「南條」を取る。(15人め。南條生還の阻止にギリギリ成功)

「絵羽(銃)」、銃のルール「狼と羊のパズル」により「戦人」射殺。

 絵羽(銃)、九羽鳥庵へ。(生還)

 本館残留者・朱志香で第10の晩到来。ゲームエンド。


●ep3、感想戦

 凄いぞ。棋譜を並べるだけで、みるみるいろんなことがわかってくる。


 今回のゲームは、最初からいきなり「手抜きの6手」を打ってくるんです。ベアトリーチェは。

 第1の晩で、ベアトが取った駒は紗音、嘉音、源次、熊沢、郷田、金蔵。
 2つの意味でおかしい。のです。

 1.「銃」になれる強い駒をあえて残し、弱い使用人コマばかり取っている。
 2.生かし続けたほうが都合がいい「金蔵」を、ゲームから取り除いている。

 上の世界にいる「指し手ベアトリーチェ」にとっては、「遊んでみた、ハンデをくれてやった」ということになるでしょう。
 でも、これは連続殺人事件なんです。
 犯人は、必死のはずです。
 必死のはずの犯人が、こんな不合理な殺し方をするのは、絶対に何か事情がなければならない。


 そこで、考えてみました。
 そしたら、説明がつきました。

 第1の晩は、6人を殺さなければならない。
 そしてベアトリーチェ=犯人は、ぴったり碑文どおりに殺したがるという「打ちグセ」がある。

 いいですか、ベアトリーチェは、第1の晩で、1人でも多くの「右代宮ペアレンツ」を取りたいのです。右代宮親チームは、「銃」に成ってしまう。だから最善手をめざすなら、6人全員が右代宮親チームであることが好ましい。
 いや、もしラムダデルタだったら、第1の晩で、親世代7人を全員殺します。
 そして6人分の死体を発見させ、1つは隠蔽し、あとで杭を打って放り出せばよいのです。

 でも、ベアトリーチェ=犯人は、そういう打ち方ができない。

 ここで、ep3の、第1の晩犯行時の、右代宮親チームの状況を見てみましょう。
 彼ら7人は、全員で客間に集まって、親族会議の議論をしていました。

 つまり7人が一室にいた。
 この状態で、6人だけを殺して、1人だけ生かしておき、なおかつ自分の正体がバレないようにするのは不可能なんです。不可能って言い切るのがダメならば、困難です。

 では、ベアトリーチェ=犯人は、次善の策として、どうするか。

「金蔵の名前で使用人たちに召集をかけ、殺す」

 これがいちばん単純で安全なんです。
 犯人の正体が金蔵本人であれば、より簡単でより安全になります。つまり、金蔵称号説ですね。
 筆跡により、犯人=ボトルメール作者=南條息子への手紙の差出人=最低でも20億円の資産を持ってるらしい人物、ですから、「犯行時に犯人は金蔵として命令を下せる」という仮定は蓋然性が高いです。

 これまで私は、「第1の晩の6人は、指し手ベアトリーチェが任意に決定する」のだと思い込んでました。
 でも違うんですね。
「駒がどういう初期配置でゲームスタートするのかは、決まっていない、わからない」
 のですね。
 所期配置によって、犯人が殺せる人物と、殺せない人物が出てくる。
 だからゲームによって、最初に殺される6人が違う。
 そう……これが、「魔女のルーレット」ということですね。


 そして。
 なぜこの段階で「金蔵」を取ったのか。
 犯人は、5人いる使用人を、一ヶ所に呼びつけることができる。
 ということは、「南條」を呼びつけることだってできるはずなんです。

 だから、この盤の最善手は、紗音、嘉音、源次、熊沢、郷田、「南條」なんです。

 でも、「南條」を取れなかった。
 だからしかたなく「金蔵」を取った。

 そこには明確な理由があるはずだ。
 この夜、南條は割り当てられた自分の客室に、ひとりでいた。つまり、殺すのは簡単だったのです。
 つまり、物理的に不可能だったわけではない。

 としたら。これは、「駒の動き」の制約によるものではないか。
 こういうルールがあるとしか思えない。

・「南條」を、第1の晩で取ることはできない。

 でもどうして?
 まあ、ふつうに考えたら、「検死をさせねばならないため」。
 言い換えたら、「検死をごまかし、間違った死因(生死判定)を言わせる必要があるため」。
 つまり「南條は犯人とグルであるから、必要な役目を果たさせるまでは消せない」と考えると、状況に当てはまり、無矛盾なのです。
 この駒の動きを、採用することにします。

●「南條」を、第1の晩で取ることはできない。また、第8の晩までに取らなければならない。
(検死でウソを言わせるため。また、九羽鳥庵に逃げ込んで生還してしまうため)



     *

 ベアトリーチェの次なる失着は、第2の晩です。
「寄り添う2人」で、楼座(銃)と真里亞を取ります。
 ここで変な動きがある。
 どうして、楼座の銃を盤上から取り除かなかったのでしょうか。
 これまであんなに、銃を減らしたがっていたのに。

 つまり犯人側から見たら、
「銃を残したほうが都合がいい」
 か、
「銃を没収できない何らかの理由があった」
 かの、どちらかです。

 そして、いきなり結論を言いますよ。

「楼座と真里亞を殺したのは絵羽であり、かつ、絵羽は連続殺人の真犯人ではない」

 こう考えると、つじつまが合います。
 連続殺人犯人ベアトリーチェにとっては、銃を減らせば減らすほど有利。だから、銃を没収しない理由がない。よって、楼座&真里亞殺しの犯人はベアトリーチェではない。
 逆に、絵羽には、銃を没収できない、銃を残した方が都合がいい理由があります。
 絵羽からしてみたら、「自分以外にも凶悪な殺人犯がいる」ということが明白だからです。
 身を守るために、場には武器があったほうがいいんです。

 だいたい、よく考えてみたら、
「寄り添う2人」
 という表現で、楼座と真里亞があてはまるかっていうと、なんか違和感があります。
 これまでは夫婦か恋人だったのに、いきなり親子になってしまい、しかもこの親子ってDV状態ですよね。
 真犯人からしてみたら、意外なところで、自分以外の誰かが勝手に殺人をしてしまい、しかたなくこれを「寄り添う2人」だと言い張ってみた。のだと思います。

 なぜ、楼座と真里亞を殺したのを、他の誰でもなく絵羽としたのか。それは、黄金の所有権をめぐってトラブルがあったことに加え、ラストで戦人を射殺するとき、「おまえが殺したのか」「そうよ」のやりとりがあったからです。


     *

 そして、次なるベアトリーチェの失着は。
「南條」を考えましょう。

「南條」は、第8の晩までに取っておくべき駒です。
 というか、第10の晩で消滅させることができない、という条件の駒です。
 もし取らないでいると、彼は生還します。
 生還すると、真相を喋ります。
 真相を喋ると、ルールYとルールZが消滅します。つまり、「無限」と「黄金」が無効化される。
 無限と黄金が、指し手ベアトリーチェ、現象ベアトリーチェの正体ですから、ベアトリーチェは死にます。赤字で喋るあのドレスの人は、最初から存在しなかったことになります。

 なのに「南條」は、第9の晩まで生き残ってる。
 これは、かなりヤバイ展開なんです。

 犯人の本来の思惑では、きちんとどっかのタイミングで殺すつもりだった。

 それはどこか。
 ここです。
 本館で、「留弗夫(銃)」「霧江(銃)」「秀吉」を取ったとき。

「秀吉」が、イレギュラーな死なんです。
 本来なら、秀吉じゃなく、南條が取られるはずだった。

 どうしてそう言えるのか。
 いいですか、絵羽&秀吉夫妻は、「銃」の駒です。
「銃」は、自分の家族を最大限守るようにふるまいます。
 なので、本来なら、「秀吉」だけを取るなんて、できるわけないんです。そんなの、犯人は狙わない。
「秀吉」が、絵羽と譲治を連れずに、単独行動を取っていることそのものが、イレギュラーなんです。
 イレギュラーな行動をされたせいで、イレギュラーな殺しをしてしまったのです。

 犯人の、本来の計画はこうです。
 かしこい霧江が、第1の晩の六連鎖密室のトリックに気づく。
 このトリックを成立させるには、「南條」が犯人一味でなければならない。
 よって、霧江と留弗夫は、「南條」を殺すか、もしくはゲストハウスから追放する。追放の場合は、犯人が殺せば良い。

 しかし、犯人にとってイレギュラーが発生しました。それは、絵羽がこっそりゲストハウスを出て、楼座親子を殺したことです。
 絵羽がいない間に、秀吉はタバコを吸ってしまった。
 つまり、絵羽にアリバイがないことになる。
 霧江は、六連鎖殺人から始まる「全ての殺人の犯人」が絵羽だと思い込んだ。
 霧江はまず秀吉をおびきだして殺し、そのあと絵羽をおびきだして殺すつもりだった。犯人が絵羽夫妻だけだと思い込んでいるから、本館に行っても大丈夫だと思っているし、油断している。
 さあ、3人が本館に孤立した。これ幸いと、犯人はこの3駒を取った。
 ただしそのせいで、「南條」を取るというプランは狂ってしまった。


     *

「蔵臼」と「夏妃」を取った局面を考えます。
 ここでも、「ベアトの手抜き」が見られます。

 この局面でも、銃が没収されずに、現場に残っているのです。

 なんでか。
 それは、楼座のときに、もうわかってます。

 ep3の殺人には、大まかに2種類の殺し方があるのです。

1.格闘で殺され(絞殺含む)、銃を没収されなかった死体(楼座、真里亞、蔵臼、夏妃)
2.殺害方法不明で殺され、銃を没収された死体(留弗夫、霧江、秀吉)

 1の殺し方をしたのが絵羽です。
 2の殺し方をしたのが、真犯人ベアトリーチェです。

 つまり「蔵臼」と「夏妃」を殺したのは絵羽です。
 殺した理由は? おそらく、秀吉を殺したのが彼らだと思い込んだからではないでしょうか。


     *

 そして……。
 ここからが、ep3のハイライトです。

 儀式外の14人めの被害者として、「譲治」が殺されます。

「銃」のルールにより、譲治を殺したのは絵羽ではありません。

 2つの論点を設定します。
 第1に、真犯人には、譲治を殺す理由があった。(必要のない14人目をあえて殺しているのだから)
 第2に、この殺人が発覚したことで、絵羽はようやく悟ります。「秀吉を殺したのは蔵臼夫妻ではない。まだどこかに殺人者がいる!」

 第2のポイントにより、絵羽に「狼と羊のパズル」のフラグが立ちます。

「狼と羊のパズル」が起動したせいで、絵羽は「戦人」を殺します。戦人の死因は狼と羊のパズルだと、TIPSに書いてあります。
 ということは、南條を殺したのは絵羽ではないということが確定します。

・南條を殺したのは自分ではない。
・朱志香は失明しているので南條を殺せない(と絵羽は考える)。
・よって南條を殺したのは戦人であり、譲治や秀吉を殺したのも戦人である。

 このような思考をたどらないかぎり、「狼と羊のパズル」は起動しないからです。


 では、残った論点はひとつ。
 犯人はどうして譲治を殺さなければならなかったのか。


 ……考えました。
 そして、わかりました。
 そして、ちょっと感動してしまいました。

 何が正しいかなんて、誰にも、作者にも決められないことですが、私は、「これが真相だ」と確信できる答えにたどり着きました。

 犯人はどうして譲治を殺さなければならなかったのか。
 それが、この、「うみねこのなく頃に」という作品のすべてを物語っているように思います。


 どうして譲治と紗音の死体がいっしょの部屋に横たえられているのか。
 どうしてその部屋の扉には謎の数字が書いてあるのか。


 その答えが、黄金郷の正体だったんだ、というアイデアです。
 それを次回に書きます。次の書き込みが、ひょっとして、このシリーズの最終回になるかもしれません。


 予告編として、黄金郷の「式」を書いておきます。それはこうです。

 愛がなければ視えない。
 愛がなければ、そこにたどり着いても、黄金しか視えない。
 愛がなければ、死は、死でしかない。

 うわあかっこいい……。


 続き→ チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷



■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■


■関連記事
●盤面解析

 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
 駒の動きその5・盤面(II)
 駒の動きその6・盤面(III

 チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷
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駒の動きその5・盤面(II)

2009年05月27日 05時31分18秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


駒の動きその5・盤面(II)
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/23(Sat) 22:17:31)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25564&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 本文中に目次があったのですが、削除しました。

 じつはep2は、まだ詰め切れていません。碑文の解き方と、ep2の詰めが、現在私に残っている謎です。
 キーはなんとなくわかっているんですけどね。たぶん、本来「寄り添う2人」で「譲治」を取ろうとして失敗したんだろう……というような。

(注:その後、詰めました。→ 「犯人」がループ存在だとしたら?

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。

 この書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
 今回は、ep2の感想戦です。


●ep2、ベアトリーチェの棋譜

 難易度は極上。
(ベルン曰く「ワンサイドゲーム」)
(ラムダ曰く「やりすぎ、スキだらけ」)

   *

 第1の晩。「鍵の選びし6人」で取ったのは、蔵臼、夏妃、絵羽、秀吉、留弗夫、霧江。
(「銃」候補を6人削除。これで「銃」に成れる駒は「楼座」だけに)

 この時点の生存者は、
 楼座、真里亞、戦人、譲治、朱志香/紗音、嘉音、源次、南條、熊沢、郷田。

 第2の晩。「寄り添う2人」で取ったのは、朱志香と嘉音。
(「2人」に対応するのは「楼座&真里亞」か「譲治&紗音」か「朱志香&嘉音」か「紗音&嘉音」。「譲治&紗音」は反乱イベント発生のため不可。真里亞温存か)

 楼座が、「楼座(銃)」に成る。

 金蔵の死亡は発覚しない。

「楼座(銃)」、使用人チームに退出を命じる。

 この時点での生存者は、
 客間:楼座(銃)、真里亞、戦人、譲治。
 厨房:紗音、源次、南條、熊沢、郷田。
(ベアトはあと5駒を取り、そのうちの1人は南條でなければならない)

 南條と熊沢の駒を取る。あと3駒。
(死体は行方不明に)

 譲治が使用人チームへ移動する。
 客間:楼座(銃)、真里亞、戦人。
 厨房:譲治、紗音、源次、郷田。

 譲治、紗音、郷田が、「鏡」入手のために夏妃の部屋へ。
 ベアトはこの3駒を取る。13人で儀式成立。

 南條と熊沢の死体が発見される。杭の位置は膝と足。

 楼座(銃)、真里亞、戦人、源次、(金蔵)が生存し、第10の晩にてゲームエンド。


●ep2、感想戦

 棋譜をならべてみたら、かなりのことがわかりました。

 今回のゲームのポイントは、「客間チーム」と「厨房チーム」に分かれてからにあります。

 チーム分けが行われた段階で、ベアトが取らねばならない駒は5駒。
 そして厨房チームの人数は5人。
 つまり、この5人を取ってしまえばチェックメイトなのです。

 なのに、それをしない。2駒取っただけにとどめている。
 ラムダデルタはこう言ってます。「ベアトはあと数手でチェックメイトできる局面を作りつつ、わざと詰めない。勝ちが見えると遊びだすクセがある」
 この打ち方は確実に、ベアトリーチェの「遊び」です。

 言い換えると、
「犯人は5人を一気に殺そうとしたが、何か事情があって、2人しか殺せなかった」
 のです。
 その事情とは何か。それがたぶん、南條・熊沢殺しのトリックの核です。


 そして次の局面。
 取るべき駒は残り3個。
 厨房チームは、譲治、紗音、源次、郷田の4駒。

 この局面における、ラムダデルタ的「最善手」は、4駒ぜんぶを取ってしまうことです。
 一室に4人いて、うち3人だけ殺すのは難しいです。残った1人には顔バレしてしまうでしょうし。
 けれど、ベアトリーチェはなぜかそれをしない。
 取るべき駒は残り3駒だから、4人を1対3に分けて、3のほうだけを取る。

 これも遊びの一種なのか。
 べつに、杭のささった死体が5つと、杭のささってない死体が1つ転がっていてもかまわないんじゃないか。
 じっさい、ep1では、14人めを殺してるわけだし。
 どうしてもいやなら、よぶんな死体を1個、どっかに隠しちゃえばいい……。

 え?
 あっ。

 わかった。

 それで、南條・熊沢の死体を隠したんですね。

 つまり犯人は、厨房チームの4人を、1対3に分離できるかどうか、自信がなかった。
 もし、1対3分離に成功した場合。
 3人のほうだけを殺し、頭、胸、腹に杭を打つ。
 そして、南條と熊沢の死体に膝と足の杭を打って、生存者に発見させる。

 分離に成功しなかった場合。
 4人をまとめて殺し、頭、胸、腹、膝に杭を打つ。
 そして南條の足に杭を打って生存者に発見させ、熊沢の死体をどこかに隠蔽する。

 犯人/ベアトリーチェは、そんなことまでしてでも、碑文の13人殺しをきっちり成立させたいのだ。

 あー。そういえば、ラムダデルタがなんかそれっぽいことを言っていましたよ。
「ベアトリーチェはときどき手段と目的を間違える。その結果、自分で弱点をさらしてしまう」

 コレですよ。
 六軒島の人間を全滅させることが目的(推定)で、碑文になぞらえるのはその手段なのに、いつのまにか、碑文どおりにすることが目的であるかのように行動してしまう。
 可能なかぎり、6-2-5で13人ぴったり駒を取ろうとする。

 これは、ベアトリーチェ特有の「打ちグセ」とみていいでしょう。

 このクセを覚えておけば、特定の条件下で、ベアトリーチェがどんな駒の取り方をするか、読めるかもしれません。


 さて、この「打ちグセ」が判明したことは、我々にとって、大きなアドバンテージです。
 でも、ちょっとひっかかる。
 ラムダは「弱点」と言っていました。
 この程度のことが、「弱点」というほどのものかな?

 というか、あの、「鏡」が気になってしょうがないんです。

 鏡さえあれば……というのは、幻想シーンかもしれません。
 でも、幻想に見せかけておいて実は本当、のような気がして、しょうがないんです。
 たとえばこう考えてみましょう。
「ベアトリーチェは、どうしても13人ぴったりの見立て殺人を成立させたかった。そこで、自分の弱点をわざとさらし、餌としておびきだすことで、1対3の分離を成功させた」

 どうなのか、わかりません。
 何しろデータが少ない。4回中、1回しか出現していないレアイベントですから。
 こんなイベントが実在するのかもさだかでない。ましてや出現条件なんてしぼりこめやしない。

 けど、しぼりこめないからといって放置していたら、絶対に解けません。
 想像でも妄想でもいいから、とにかく何か仮定してみる。
 仮定したら、それを「正しい」と思い込む。
 思い込んだ状態で、他の事件とか、他の局面について考える。
 もし、矛盾につきあたったら、仮定したものをちょっと修正してみる。
 そうして、矛盾がない状態を作れたら、ほんとに採用する。

 これ、いちばんめんどくさいけど、いちばん確実な、パズルの解き方です。
「チェス盤をひっくりかえす」みたいな、一言で言えるナイスな表現があるとかっこいいんだけどなあ。
「境界条件ずらし」?
「数独思考」?

 で、とりあえず今は、特殊イベント「鏡」があると仮定して、その発生条件を、こんなふうに想像してみました。

・?「紗音」と「譲治」が両方生存した状態で第5の晩が終了すると、特殊イベント「鏡」が起動する?

(注:「鏡」についてはその後、別の説を思いついています→ 朱志香の喘息・鎮守の祠と鏡・ep5死体移動


●今回見つかったベアトリーチェの打ちグセ
・ベアトリーチェは、必要もないのに、碑文どおり13人ピッタリを殺してみせようとする。

●今回見つかった真相(らしきもの)
・ep2で犯人が南條と熊沢の死体を隠したのは、碑文どおり13人ぴったり殺したように見せかけるため。

●今回見つかった鍵穴
・ep2の厨房。5人の使用人のうち、犯人が南條と熊沢だけを殺した(他は殺さなかった)理由とは?

●今回推定した(?)駒の動き
・?「紗音」と「譲治」が両方生存した状態で第5の晩が終了すると、特殊イベント「鏡」が起動する?


 続き→ 駒の動きその6・盤面(III



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駒の動きその4・盤面(I)

2009年05月27日 05時24分36秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


駒の動きその4・盤面(I)
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/23(Sat) 06:05:59)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25502&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 本文中に目次があったのですが、削除しました。
「ベアトの手抜き」=「犯人のトラブル」という発想は、書いている途中でピーンと思いついて急遽、書き加えたものです。これを仮定したら、もう、みるみるわかってきました。
 基本的に、これらの一連の書き込みは、「発見したこと」が重要なのではなく、「どのように発見したのか、その方法」つまり、「戦い方」を示すものです。推理の結果ではなく、推理方法がコンテンツです。

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。

 この書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
 今回は、盤面の検討会です。いわゆる、感想戦のようなものです。
 これまでに推測した、駒の動きを理解していないと、まったく理解できないかと思います。これまでの書き込みのアンカーを示しますから、そこでご確認ください。
(注:上の目次からご覧下さい)


     *

 さて、駒の動きはある程度見えました。

 ところで、「駒の動きを見極めろ」という助言をしたのは誰でしたっけ。
 ベルンカステルでした。
 彼女はゲーム展開についていろいろ言ってます。
 あれって全部、駒の動かし方のことなんじゃないかな、と思ったんです。

 そこで、ベルンカステルとラムダデルタがくれた助言を軽くメモってみました。

●ベルンカステルの発言(ep2)

「ベアトリーチェはいつも最善手をさすわけではなく、たまにわざと手を抜く」
「もしラムダデルタが指し手であったら、常に最善手で指してくるだろう」
「ベアトリーチェのムダな一手は、つまり一手損しているということ」
「ep2は一方的なワンサイドゲームである」
「ep2には、スキがある」

●ラムダデルタの発言(ep2)

「ベアトリーチェは、あと数手でチェックメイトできる局面を作りつつ、わざと詰めない」
「下らないコマを取ることがある」
「余計なコマを置いて、より一方的な盤面にしてみたりすることがある」
「勝ちが見えると遊びだすクセがある」
「ep2はラムダから見るとやりすぎであり、それはスキである」
「ベアトリーチェは手段と目的を間違える。遊びのせいで弱点をさらしている」


 きっかけになったのは、中でも、これでした。
「ベアトリーチェはいつも最善手をさすわけではなく、たまにわざと手を抜く」
 そのせいで、手が遅れる、スキができる、そんなことを言ってましたね。

 あるとき、ぴーんときたんです。
 ep1で、いきなり「嘉音」の動きが判明したのは、ベアトリーチェのミスとしか思えない。
「嘉音」は紗音が先に死ぬとベアトリーチェを裏切る。そんな条件、普通に打っていたら絶対判明しなかった。
 どうして嘉音の裏切りシーンがあったのか。
 第1の晩に「紗音」だけ取って、「嘉音」を取らなかったからだ。
 どうしてそんな取り方をしたのか。
 そう、サソリのお守りです。
 ep1の「鍵の生贄」6人は、全員が「本館にいた人物」です。
 そして、紗音は、イレギュラーな事情でたまたま一時的に本館にいただけで、本当はゲストハウスにいるべき駒。
 つまり、本来なら「紗音」ではなく、本館の自室で眠っていた「夏妃」が殺されるはずだった。じっさい、ドアノブに赤インクの跡が残ってます。ベアトリーチェは「夏妃」を取る気まんまんだった。
 でも、なんとなく手を抜きたくなって、紗音がうろついてるのをいいことに、「紗音」を取った。
 その結果、「紗音」が死んで「嘉音」が残留、という盤面ができ、「嘉音反乱イベント」がいきなり発生した。

 ep1の第1の晩に取られた駒は、
 留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、「紗音」、郷田。

 でも、ベアトリーチェが遊ばずに、最善手を打ったとしたらこうだったのです。
 留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、「夏妃」、郷田。

 最善手だったら、7人しかいない「右代宮ペアレンツ」を5人も取れたのです。これはかなりのいい手です。
「夏妃」は、大人キャラであるうえ、生かしておくと「銃」になれる強力な駒です。「夏妃」を残して、「紗音」を取ることによるベアトリーチェ側のメリットは、ひとつもありません。

 そう、これが「手抜きの一手」に、まちがいないでしょう。

 もし、ラムダデルタが指し手だったら、ここは絶対に「夏妃」を取ったはずなのです。

 あれ、ということは。
 このまま打っていけば、「ラムダデルタならこう打っただろう」が再現できますね。
 ということは、そうじゃない部分は、ベアトリーチェの打ちグセなわけです。
 じゃあそこから、「スキ」「チャンス」「弱点」が見つかるかも……。

 まず、実際に起こったep1の流れを簡単にまとめてみましょう。

 儀式がきれいに流れれば、
「6人が死ぬ」→「2人が死ぬ」→「5人が死ぬ」→合計13人が死んで「5人が残る」。そしてゲームエンドになります。


●ep1の流れ

「鍵の生贄」は、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、紗音、郷田。この6人が死亡する。

 夏妃が「銃」に成る。

「寄り添う2人」は、絵羽、秀吉。この2人が死亡する。

 金蔵の死亡が判明する。

 嘉音反乱イベント発生。嘉音死亡。

(この時点での生存者は夏妃(銃)、譲治、戦人、朱志香、真里亞/源次、南條、熊沢の8人。あと3人が死ぬ)

 書斎に篭城する。

 不和の手紙発見。
 源次、南條、熊沢、真里亞が外に出される。

 源次、南條、熊沢が死亡。これで13人死亡。5人生存。

 夏妃(銃)が射殺される。

 第10の晩到来。ゲームエンド。


   *

 さて、検討。
 上から順に、変なとこがないか考えて見ましょう。

 まず、6人殺しのあと、夏妃が「夏妃(銃)」に成ります。
 ここ、現在仮定している駒の動きだと、ちょっと説明できなくなるんです。
「絵羽」と「秀吉」がまだ生きてます。銃は一家に一丁という仮定に従えば、ここは絵羽も、「絵羽(銃)」に成れるはずなんです。

 このへん、何かうまい説明がほしいところです。

 でも、今のところうまく解析できないので、ここは、「金蔵」の駒が効いているから、と仮定しておきましょう。「金蔵」の駒が生きていると、「銃」の登場数が抑制されるという仮説です。

 次。
「金蔵」が取られてますね。
 これもベアトリーチェの遊びでしょう。「金蔵」は、最後まで取らないでおくのがベアトリーチェにとって最も都合が良いんです。常に金蔵犯人説が疑われて、真犯人に疑いがかからないからです。

 そして。
「夏妃(銃)」の射殺。これも、実は変なんです。
 だって、碑文を見る限り、儀式殺人は13人めまででしょう。
 彼女は14人めなんです。
 彼女を殺さなくても、「第10の晩」で自動的にゲームエンドなわけですから、取る必要がまったくない。
 これがラムダデルタのいう、「下らないコマを取ることがある」ではないでしょうか。

 ……だとしたら。他のepでも、「14人めの被害者」は、ベアトリーチェの「スキ」なのかもしれません。これに注目することで、弱点が明らかになるかもしれません。
 このことに注意しておくことにしましょう。


 さて。
 今回、ゲームを、「チェスのような駒の動き」として見てきました。
 たしかに、上層世界から見れば、このゲームは、チェスのような「駒取りゲーム」ですが、同時にこれは、「殺人犯による、連続殺人事件」でもあるわけなのでした。

 では、「ベアトリーチェの遊び、手抜き」と呼ばれているものは、実際の現場では、いったい何なのか。

 それって、
「犯人にとって、予定外だった行動」
「犯人がミスをとりつくろうためにしかたなく行ったこと」
 ではないでしょうか。

 つまり、駒の動きをトレースしてゆき、
 定石とはちがう、不合理な打ち筋があったとしたら。
 そこで、犯人に何かが起こってる。
 トラブルが発生して、それを、とりつくろおうとしている。



 第1の晩で、「夏妃」ではなくて「紗音」を殺した理由。もしくは「夏妃」を殺せなかった理由。
 それがあるはずだ。それはいったい何だ。

 えーと、我田引水になるようで気が引けますが、私は「朱志香犯人説」に立っていますから、それに基づくと、こう説明するんです。
 サソリのお守りが夏妃の部屋にあったから。朱志香が信じているお守りの魔法を、お母さんが信じてくれたから、殺せなくなってしまった。

 13人が死んだあと、夏妃と犯人が一対一で銃の勝負をする。犯人は必要もないその行動をなぜ取ったのか。
 自分を守ろうと必死になっていたお母さんの姿を見たから。お母さんと銃で決闘し、もし自分が死んだら、そのまま生還させようと思った。

 たとえばこんなふうに説明するんです。


 私はたまたま、朱志香犯人説なので、こういうふうに説明しましたが、朱志香じゃなくてもいいと思うんです。
 他の犯人説を持っている人は、その立場から、「犯人にどんなイレギュラーが発生したのか」を、想像してみてください。
 たとえば「戦人犯人説」なら、戦人はなぜ夏妃を殺すのをやめて紗音を殺したのか。どうして最後に夏妃を射殺しなければならなかったのか。

 それを考えて、ご自分の推理に、組み込みましょう。
 そうすると、推理がより強く、説得力のあるものになります。

 同じように、ep2や、ep3の打ちまわしを研究して、不合理なところを見つけてください。
 そして、「ここはなぜだ」を、自説にもとづいて考えてみてください。


 ベルンカステルのいう、「駒の動きを見極めて、ベアトリーチェの弱点をつけ」という助言は、たぶん、こういうことを言っていたのです。


 今回、かなり具体的で、かなり有効な「戦い方」を示したと思います。
 やってみて。
 みんな、負けないで!


 参考までに、「ラムダデルタだったらどう打つか」というのを、シミュレーションしてみました。
 これ、やってみるとけっこうおもしろいですよ。
 みなさんもちょっとやってみませんか。「ここが怪しい!」を、見つけてみませんか。

●ep1の最善手(ラムダデルタver.)

 第1の晩。「鍵の選びし6人」で、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、夏妃、郷田を取る。
(「銃」候補を5人削除。これで盤上に上がる「銃」は最低数の1になる)

 絵羽が、「絵羽(銃)」に成る。
 絵羽夫妻が場のリーダーシップを取るため、絵羽夫妻は自室で孤立することはない。よって「寄り添う2人」には選ばれない。

 この時点の生存者は、
 絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、朱志香、真里亞/嘉音、紗音、源次、熊沢、南條。

 第2の晩。「寄り添う2人」で嘉音、紗音を取る。
(「2人」に対応するのは「絵羽(銃)&秀吉」か「譲治&紗音」か「嘉音&紗音」。「譲治&紗音」だと反乱イベントが発生するため不可。「絵羽(銃)&秀吉」は、銃が秀吉と譲治を守るように動くため困難)

 金蔵の死亡は発覚しない。書斎では篭城できない。

 一同、客間にて篭城。
 この時点の生存者は、
 絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、朱志香、真里亞/源次、熊沢、南條。
 ベアトはあと5駒を取り、そのうちの1人は南條でなければならない。

 ここで「不和の手紙」が届き、何人かが客間から追い出される。
 追い出される可能性があるのは、朱志香、真里亞/源次、熊沢、南條の最大5人。
(「絵羽(銃)」は、家族を絶対に追い出さない。また「戦人」の駒はまだ取れない)
 よって、追い出されたその5駒を取る。

 絵羽(銃)、秀吉、譲治、戦人、(金蔵)が生存し、第10の晩にてゲームエンド。


 続き→ 駒の動きその5・盤面(II)


■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
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●盤面解析

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 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
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駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)

2009年05月27日 05時15分51秒 | 盤面解析
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駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/22(Fri) 18:30:31)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25457&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 ちょっと改稿しています。

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。

 この書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
 今回は、ルールXYZについての補遺と、「銃」について考えます。

    *

 さて、まずルールXYZに関して、おまけ的なお話をしましょう。

 ルールXYZを指さそう

 にて、とりあえず、大きな矛盾がないように、ルールXYZを説明することができました。証明はできませんが説明はできました。

 このことにより、ep4の「わたしはだあれ」問題が、解けるようになりました。

 えーっと、どんな問題でしたか、うろおぼえですがこんな感じでしたっけ。

「いま、この島に生きている人間はあなたしかいない。にもかかわらず私はここにいてあなたを殺す。私はもちろんあなたではない。私はだぁれ」

 余談ですけど、この問題があの状況で成立するんなら、ブレザーベアトは屋敷にひっこんだあと、自殺しちゃったということになるんだよなあ……。うわあ、可哀相……。

 わたしはだあれ、の答えは何か。
 まあぶっちゃけていうとルールYなんですが。

「わたしはだぁれ、の答えは、『現象ベアトリーチェ=ルールXYZ』のルールY。爆弾かそれに類するものによる現場消滅。言い換えれば、現象ベアトリーチェが、『無限』を使って戦人を殺す」


     *


 さて、駒の動きを考えるシリーズ第3回。
 今回は「銃」について……なんですが。

 その前に、「金蔵」について解析しちゃったほうがやりやすいことに気付きました。
 ので、簡単に説明します。

 金蔵は、全ゲームにおいて、初期状態で死亡している。これは確定です。
 ということは、「金蔵」の駒は、存在するように見せかけているけれど、実際には存在しない駒だということです。

 たとえば、将棋で考えましょう。
「あなたには見えないが、この盤面には、どこかに一個だけ『見えない飛車』がある」
 そんなこと言われたら、うかつに打てなくなってしまうでしょう。
「金蔵」は、そういう駒だったのです。

 ということは、最後まで「ある」フリをするほうが、ベアトリーチェには有利。
「金蔵」は、最後まで取らないほうが、ベアトリーチェに有利
 なのです。
 つまり、「鍵の生け贄」で金蔵を取ってしまったep3は、ベアトリーチェに不利。というかベアトリーチェが戦人に与えたハンデです。
 逆に、最後まで「金蔵」を取らなかったep2は、ベアトリーチェ有利の打ち回しです。ep2が「ワンサイドゲーム」と言われる理由の、一端はこれです。

 そしてもうひとつ。
「金蔵」の生死は、「銃」がいくつ登場できるか、その数に影響を与えます。
 金蔵が生きている(フリをしている)場合、生存者は、銃を「おそるおそる」借りてきます。しかし、金蔵が死んでいる場合、ずかずか入り込んで好きなだけ借り出してこれられます。

 さあ、「銃」を説明する前提ができました。

   *

「銃」という駒が存在する、ということ自体は、みなさんかなり解析できているでしょう。
 そして、この駒のふるまい方が、盤面に大きく影響してるっぽい、という印象も、みなさん強く受けていらっしゃるでしょう。

 この駒がどういうルールで動くのかがわかれば、かなりゲーム盤を理解できた、ということになるでしょう。

 ep4には銃は登場しませんでしたから、
 ep1~3の例から、「銃」の動き方をあぶりだしてみましょう。

 以下に挙げる「動き方」は、想像にもとづいて、「仮定」したものです。ノイズが多いので確定しづらいんです。だから、だいたいこんな感じじゃないかな、ということです。とりあえず、以下のように「仮定」しておいて、別の案のほうがふさわしくなったら修正するということにしましょう。


●その1・「鍵の生け贄」にならなかった「右代宮」の「親世代」が「銃」になる。

 これはOKじゃないかな。
 つまり「銃」というのは、飛車が龍に「成る」ように、「右代宮ペアレンツ」が「成る」ものです。
 成るタイミングは、「鍵の生け贄」以降だったり、「寄り添う2人」以降だったりしますが、条件としては殺人事件が発覚したあと、つまり「鍵の生け贄」に生き残った者が成るということでいいでしょう。

 つまり、「金蔵」の生死判定と、「鍵の生け贄」に誰が選ばれたか、によって、「銃」の本数が決定されるのです。


●その2・「銃」の本数は、最大4丁であり、1家族に1丁である。

 この条件は、ep3からです。
 ep3は、「1.金蔵が鍵の生け贄で死亡」しており、「2.右代宮ペアレンツが全員生存している」というゲームです。
 その条件で、4丁までしか出てこないのですから、最大4丁ということで、とりあえずいいのではないか。

 とりあえず、といったのは、5丁あるように見えるシーンがあるからで、そのへんひょっとして叙述トリックかもしれません。でも、それを考えてたらややこしいですから、とりあえず最大で4ということにします。

 また、1家族に1丁というのは、なんの確証もないわけですけど、そう考えると綺麗なので、仮にそういうことにしました。蔵臼家に1丁、絵羽家に1丁、留弗夫家に1丁、楼座家に1丁、という割り当てです。
 だいたい、そんな感じになってません?

 また、ep3の展開を見ると、


●その3・いったん登場した銃の貸し借りは自由。

 という条件であるっぽい。つまり、自分が「銃」でなくなることで、他の駒を「銃」に成らせることができる。
 ep3で、最初に「銃」になったのは、蔵臼・絵羽・留弗夫・霧江です。
 これは、本来楼座がもつべき銃を、霧江に貸与したと考えるわけです。
 この条件を広げれば、「借りる」ことで、戦人や譲治が「銃」に成ることも、たぶん可能です。


●その4・「銃」は、自分の家族が最大限生き残るように振る舞う。

 これも、ep1やep2から。
 駒の動きとしても、キャラの心情としても、納得がいく条件ではないでしょうか。
 自分の家族というのは、「子供」と「配偶者」のことです。配偶者を必死で守ってる、という例が、今のところあまり見あたらないんですが、自然に考えたら配偶者も守ろうとするでしょう。とりあえずこういう仮定をしておきます。

 ep1の夏妃は、朱志香を守るために、真里亞を追い出しました。ep2の楼座は、真里亞を守るために、譲治の離反を認めます。「銃」はそういう行動を取るようです。

 そういう行動を取られたら、ベアトリーチェの手は、ある程度せばまります。
 つまり、「夏妃(銃)」を取らない状態で、「朱志香」を取るのは難しい。不可能ではないでしょうが難しい。
 ベアトリーチェは、「夏妃(銃)」と「朱志香」を一室に閉じこめて同時に取るか、先に「夏妃(銃)」を取ってから「朱志香」を取るしかないのです。


●その5・「銃」は、自分の家族を除いた、最後の生存者1人を射殺する。

 これも条件としてアヤシイ部分があるんですが、こういう事例がいくつか見られるから、とりあえずこれもアリとしておきます。

 狼と羊のパズルです。
「楼座(銃)」は、「真里亞」と「戦人」だけが生き残った場合、「戦人」を犯人と断定して射殺します。

 つまり、「銃」の駒は戦人にとって強力な駒ですが、そのぶんペナルティもあるということ。
 ベアトリーチェは、第9の晩まで、「戦人」の駒を絶対に取りません。
 だから、「銃」を第9の晩まで温存しておくと、「戦人」が「銃」に殺されてしまう可能性が高いのです。

 逆に言うと、ベアトリーチェは、「銃」を1丁だけ最後まで残るように打ち回してゆき、「銃」に他の駒を射殺させる、そういう戦法を取ることができます。


 想像や仮定もふくめて、解析できたのは、このくらいです。
「その1~5」にあてはまらない事例も確認できるっぽいんですが、それをいちいち成立させようとしたら、キリがないので、それらはもう全部「ノイズ」として片付けてしまうことにします。
 ノイズとして説明しきれなくなったら、また考えます。


    *

 さて、他にもいろいろ駒がありますよね。
 このへんが、いまひとつ詰め切れない。

 けど、なんとか想像してみましょう。
 このあたり、みなさんのお力を借りたいところです。


 注意:以下に述べるのは、私がまだ「採用」していない考えです。こんな感じかも、という、ぼんやりした雲のようなものです。


・ぼんやりアイデア1:「譲治」は、殺人の発覚後、可能な限り紗音と一緒にいようとする。

 たとえばep2で、自分は使用人チームに入る、みたいなことですね。ep3でも、「紗音は生きてるかもしれない」と誰かにそそのかされて、屋敷におびきだされた可能性があります。
 ベアトリーチェとしては、「譲治」と「紗音」は、同時に取りやすい駒。逆に言うと、片方だけを取りにくいということですね。


・ぼんやりアイデア2:特殊ゴマ「鏡」。「鏡」に成った駒は、犯人の正体を知ることができる。

 どうだろう。そんな駒の存在じたいが仮定なんですが。ただ、「鏡が犯人の正体をあばく」というアイデアには、一定のリクツがあります。
 魔女が鏡に弱い理由
 ↑この書き込みに、そのリクツを書きました。よろしくどうぞ。


 あと……。
「源次」「郷田」「熊沢」とか、どう想像したらいいか、もう全然わかんないんですよね。あとは全然、ドリームになってくしかない。
 たとえばこうとか。
・?「源次」は金蔵の称号を持つ者の指示に必ず従う?
・?「源次」「熊沢」は、犯人の正体を知っており、特定の条件で白状する?


   *

 さて、今回で類推できた「駒の動き」に基づいて、次は、ep1~3のゲーム盤の感想戦をやってみたいと思います。


 続き→ 駒の動きその4・盤面(I)


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■関連記事
●盤面解析

 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
 駒の動きその5・盤面(II)
 駒の動きその6・盤面(III

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ルールXYZを指さそう

2009年05月27日 05時07分54秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


ルールXYZを指さそう
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/22(Fri) 02:09:39)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25443&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 ルールXYZが、ぜんぜん解けなかったのですが、「大爆発説」に気付いた状態で考え直してみたら、きれいに説明できたので、急遽、書いたものです。

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。
 スレッド更新、おめでとうございます。

 この一連の書き込みは、ルールと駒の動きについて考えるシリーズです。
 今回は、重要な駒「銃」について考える……つもりだったんですが、ちょっと難しいんであとまわしにして、ルールX・Y・Zを考える回にしたいと思います。

 ひとつだけお願い。
 ルールを考える上で、「右代宮邸は時間切れと同時にこっぱみじんになり消滅する」という推理を前提にします。
 この推理については、以下↓の書き込みで解説しております。先に、この書き込みを読んでいただけると、理解がしやすくなると思います。

 駒の動きその1・南條(大爆発説)


   *

 さて、ルールX・Y・Zなんですけれども。

 これって、もう解けちゃってますよね。たぶん。
 みんなだいたい、もうなんとなくわかってる。
「これがX! これがY!」って、指さして的中させてる人は少ないかもしれないですけど、
「あの~、なんかうまくいえないけど、このへんの現象とこのへんの現象がYとかZなんでしょ?」
 くらいのことは、だいたいみなさん考えてるでしょう。たぶん。

 それって、「みんなで考えて正解しました」ということで、いいんじゃないかな、と思うんです。

 ひとりひとりは、正解できてないかもしれない。
 けれど、大勢の「うみねこユーザー」という人たちを、ひとつの集団だと考えると、集団としては、きちんと答えを出せていて、たぶん当たってる。

 つまり、
「面で襲いかかって、目標を撃破した」
 んだと思うんです。
 みんなで、豪雨のように矢をあびせかけた。その結果、だれの矢かはわかんないんだけど、ルールXの的と、ルールYの的と、ルールZの的には、きちんと矢が当たってる。そんな気がするんですよね。

 だから、先にいっておきますが、あんまり意外な結論ではないです。


 さーあ、ここまで放言しておいて、これから提唱する三つのルールが外れていたら、かーなり恥ずかしいぞう!(笑)


 でも、がんばって自説をごらんにいれます。みなさん、よろしくお願いします。


 まず、ルールX。

 ルールX・Y・Zの式は、小冊子のTIPSで、ベルンカステルが出してくれています。任意の数値を何か適当に当てはめてみて、きちんとつりあったら、正解と見て良い。

 ルールXの式は、こうでした。
「このゲーム盤に、ベルンカステルは絶対に勝てない」
「物語が常に6月20日から始まるようなものである」

 これはもう、ひぐらしですよね。
 6月20日といえば、富竹さんが殺されたあとの日付。
 富竹さんが殺されたことを皮切りに、ひぐらしの惨劇はスタートします。
 ひぐらしは、いかにして惨劇を回避し、生き残るかというゲームでした。

 というか、惨劇を発生させてしまったら、絶対に生き残れないという条件のゲームでした。

 つまり、「物語が常に6月20日から始まる」ということは、「惨劇が発生した状態で始まる」ということ。
 ベルンカステルは、「惨劇が発生しない可能性世界を探し出す」という方法論によってゲームをクリアしたわけですから、彼女は、「惨劇が必ず発生する」というゲームを絶対にクリアできないわけです。

 さて、「うみねこ」で、ひぐらしの富竹死亡に対応する事件とは?
 ふつうに考えれば、最初の殺人。最初の被害者の発生。
 それは「金蔵」である、ということが、すでに明らかになってます。
「金蔵はゲーム開始時には必ず死亡している」と赤字宣告されています。

 式に対応します。無矛盾です。
 よって、以下の形で良いだろうと推測されます。

●ルールX:このゲーム盤において、「六軒島連続殺人事件が起こらない」という可能性世界(カケラ)は存在しない。
(金蔵死亡状態からスタートするため、必ず発生する)


 これは、かなりの人が言い当ててますよね。これでいいと思います。


 次。ルールY。

 ルールYの式はこうです。
「(ルールYには)ラムダデルタも少しは触れたようだけれど、彼女の域には到底及んでいない」

 わかりにくいですよね。
 なので、わかりやすいように、勝手にこんな感じに直してみました。
「(ルールYは)ラムダデルタも同じワザを使えるのだが、ベアトリーチェのワザのほうがずっと緻密でレベルが高い」
 ラムダが使うのが波動拳だとしたら、ベアトのは真空波動拳、みたいな……。

 ラムダデルタは、ひぐらしの事件の黒幕だと推定されるわけですから、ひぐらしの雛見沢村で起こったことと、「うみねこ」の六軒島で起こっていることを比べて、似たような現象があったら、それがルールYである可能性が高いです。

 最初は、「どんな現象も魔女のせいにされてしまう」だと思ったんです。
 ひぐらしでは、どんな陰惨な事件も、すべて「オヤシロ様の祟り」ということになってしまっていた。
 祟りなんだから、そのくらい起こってあたりまえだ。
 そうして、村人は殺人が起こっても、それを容認してしまう。だから殺人が止まらない。ラムダもベアトも使うワザとは、これではないか。

 でも、どうも違うっぽい。
 それは、どっちかというと、「うみねこルールZ」に近い気がするのです。

 それで、別の要素を探してみました。
 見つけました。
「雛見沢大災害」。
 ひぐらしでは、些細な例外を除き、ほとんど全てのルートで、「雛見沢大災害」が発生します。これにより、村人は全滅します。
 村人が全員死亡するため、何が起こったのか、外からはいっさいわからなくなります。
 六軒島も、ほぼ同様の状態になります。
 ある例外を除いて、島の人間は全滅します。
 これにより、事件の二日間に、島でいったい何が起こったのか、いっさいわからなくなります。
 つまり、島はひとつの巨大な「密室」となる。
 密室ということは、「シュレディンガーの猫箱」ということ。
 猫は生きてるか死んでるかわからないので、死んでても生きててもいい。どっちの説も同時に存在していい。
 六軒島で、何が起こったのか、誰にもわからない。
 わからないということは、想像するしかない。
 想像は理論上、無限です。
 狂った富豪が家族を惨殺したのかもしれない。遺産相続のもつれで殺しあいがあったのかもしれない。夫婦間の愛憎かもしれない。事故かもしれない。冷戦中ですから某国の陰謀とか、スパイ大作戦とか、ダイ・ハード的なこととかエイリアンとか未知との遭遇とかジョーズとかゴジラとかガメラとかモスラとか……?

 そう、証拠がない以上、無限の可能性がある。

 六軒島の「密室」性は、雛見沢村より、数段緻密で、レベルが高いです。
 なぜなら、「雛見沢大災害」は、事件現場が残ってる。そこを訪れて証拠を探すことができる。
 そして、大災害の「黒幕」たちには、真相がわかっている。このうちの誰かが白状したら、無限はたちまち有限になり、「1つ」に収束してしまう。

 それに対して、六軒島は……。
 ここで、大爆発説の仮定を持ち出します。これが本当だとしたら、「事件現場」すら残っていない。検証不可能の完全密室です。猫箱のフタを開けようとしたら、箱そのものが消滅した、みたいなことです。
 この点において雛見沢より六軒島が上位。ラムダよりベアトが上位。

 無限の可能性。その無限のうちの4回を、戦人と、私たちは、味わった。あとどれだけ味わえば終わるのか。簡単な数式で表せます。(無限-4)回です。

 一行で書き表せば、こうなります。

●ルールY:「シュレディンガーの猫箱」理論により、六軒島連続殺人事件には無限の展開が存在する。
(館が何らかの理由により消滅するため)



 そしてルールZ。

 ルールZの式はこれです。
「ベルンカステルにとって致命的に相性が悪い」
「真相から煙に巻く、迷路的な存在」
「地図を書いていくことが意味のない迷路」

 ルールYを検討したときに、これは、うすうすわかっています。
 魔女の存在。
 魔女が存在するかのように人々に思わせる仕掛け。それがルールZの正体にちがいないです。

 どうして、みんな「魔女のせいだ」と噂するのでしょうか。
 ep4で、この事件は、「魔女殺人事件」とか、呼ばれていませんでしたか。
 どうして「ゴジラが現れて熱線を吹いたせい」ではなく、「魔女のせい」なのでしょうか。

 それは「ボトルメール」が発見されたからですよね。

 ボトルメールに、「魔女が次々と人を殺していった」という内容が書いてある。
 だから人々は、魔女の存在を感じて、不気味がるわけです。

 そう。ボトルメールが発見されるまでは、六軒島の真実はほんとうに無限だった。スパイ大作戦でもダイ・ハードでも未知との遭遇でも渡る世間は鬼ばかりでもよかった。
 けれど、
「犯人は魔女だ」
 という内部告発文書がみつかってしまった。
 このせいで、六軒島連続殺人事件はジョーズでもゴジラでもモスラでもガメラでもエイリアンでも人間台風ヴァッシュザスタンピードでもなく、魔女ということになった。
 波動関数が一定に収束したわけです。

 戦人は、ボトルメールの内容を見せられているのです。
 ボトルメールの内容が、改竄されてフィクションが混ざってるせいで、「犯人がナイフを振るって殺した」が事実なのに、「魔女が呪いの杭でえぐり殺した」ことになってしまう。
「魔女が呪いの杭でえぐり殺した」に書き換えられたせいで、「犯人」と「ナイフ」が隠蔽されてしまった。
 次のボトルメールでは、「シエスタ姉妹が黄金の矢で射殺した」になっている。
 まだ見つかっていないボトルメールには、「悪魔と格闘をしたが、勝てなかった」になっているかもしれない。
 ナイフ→杭、くらいなら、まだしも真相を類推できるかもしれない。けれど「シエスタ姉妹」や「格闘悪魔」から真相を類推することはできない。ましてや、「杭」「シエスタ」「格闘悪魔」の3パターンが同時にあって、どれを取ったらいいのかわからないとしたら……。
 コンティニューするたびに、ノイズが増えていって、真相はどんどん遠ざかってしまう。ベルンカステルの「何回でもコンティニューできる」能力は、ここでは通用しない。

 それをまとめると、(ちょっとうまい表現じゃないんですが)こんな感じではないでしょうか。

●ルールZ:六軒島連続殺人事件は、犯人の恣意によって、でたらめな(魔女が犯人であるような)描写が上書きされる。
(ボトルメールが発見されるため)



  *

 さて、ここからまとめに入ります。
 ルールXYZは、この順番に発生します。
 ベルンカステルは、心臓部ルールXを根源にして、ルールYがあると言ってます。
 ルールX(事件発生)がなければ、ルールY(現場消滅)は起動しません。
 そしてルールYが発生していない場合、ルールZ(ボトルメール)は効果を現さないのです。

 ルールXYZは、ひとつながりになっている。

 ルールYによって現れるものは「無限」というものだと、言いました。

 そしてルールZで魔女があらわれます。
 でもほんとは魔女なんていないはずなんです。いないということを証明できませんが、普通考えたらいません。
 つまり、ありもしないものが存在しちゃってるわけです。
 ルールZは、ありもしないものを存在させます。
 たとえば、ボトルメールの作者が、「10トンの黄金があった」と書けば、そこには10トンの黄金があったことになるんです。
「黄金」?

 無限と黄金……。そんな称号で呼ばれる存在が、いませんでしたっけ。

 ベルンカステルが言うには、ベアトリーチェとは、ニンゲンの誰かではなく、ルールが擬人化したものだそうです。
 この物語には、3種類のベアトリーチェが存在しています。
 ひとりは、昔、九羽鳥庵に住んでいた人間ベアトリーチェ。もうひとりは、連続殺人の犯人である魔女ベアトリーチェ。最後のひとつは、ベルンカステルが指摘した、現象ベアトリーチェ。

 ルールXをジェネレーターにして、ルールYという「無限」を創造し、その無限の中から、ルールZという「黄金」を取り出す。
 無限の魔女にして黄金の魔女。
 ルールXYZ、この三つが合わさったものこそが、ベルンカステルの指摘した、「ベアトリーチェ現象」の正体です。


 続き→ 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)


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 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
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駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音

2009年05月27日 05時00分10秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/21(Thu) 10:12:29)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=25409&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 駒の動きの第2弾です。動きを確定したら、何が見えてくるのか。これを書いていたときにはわかっていませんでした。書いていくうちに、ハッと気付いたのです。
「真里亞」とか「嘉音」は、その後、もうちょっと動きを煮詰められそうな感じもしています。ベアトは自分からは絶対に「真里亞」を取らないかもしれません。

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。

 駒の動きについての推理の第二弾です。
 前回は「南條」について検討しました。

 ちなみにこの書き込みは、「朱志香説でなんでも説明しようシリーズ」の延長上にありますが、べつに朱志香がどうとか関係なく成立します。


   *

 さて、駒の動きを今回も見ていきましょう。

 と、その前に。
 駒には、強さ弱さがありますよね。飛車は歩よりも明らかに強い、とか。
 それって、ぼんやり見てるだけでも、なんとなくわかる気がしません?

 だいたいこんな感じじゃないでしょうか。

「銃を持った親世代>親世代>右代宮チルドレン>使用人」

 源次はもっと強そうだとか、真里亞は特殊ゴマっぽいとか、そういう感じもありますが、とりあえず大まかにこうだと考えておきます。違ってるなと思ったらあとで訂正することにしましょう。


 さて、明らかな駒といえば、まずこれ。

●「戦人」は、必ず第9の晩まで生き残る。
(ベアトリーチェは、この駒を第9の晩まで絶対に取らない)


 これは良いでしょう。とくに皆さん、異論はないんじゃないかと思います。


 でも、次のはちょっと、えーって言われるかもしれない。

●「真里亞」は、ベアトリーチェの指示には必ず従う。
(よって、この駒を取らない方がベアトリーチェに有利である)


 真里亞の動き方は、あやしすぎます。
 ep1とep2で、どこからともなくフワッと出現するベアトリーチェの手紙とか。あれって、真里亞がいる場所で出現する場合がやっぱり多いように思うんです。
 自然に考えれば、ベアトリーチェの指示で、取り出しているってことになるんじゃないでしょうか。

 ベアトリーチェにとって、そんな有利な駒、序盤でとってしまったら惜しいじゃないですか。
 真里亞は、4エピソード中の実に3回、オーラスまで生き延びています。

 生き延びなかったのは、ep3だけ。
 序盤も序盤、「寄り添う2人」で殺されてしまいます。

 ベアトリーチェはep3で、特別な指し方をしたのでしょうか。
 もし特別な指し方をしたのだとしたら、「真里亞」を序盤で取ってしまった傍証になります。

 ラムダデルタは、ep3の指し方を見て、めちゃめちゃ怒ってました。
「チャラい打ち方してんじゃないわよ」「あんた、勝つ気あんの?」みたいなことを言ってなかったでしょうか。
 つまり、ep3というのは、一歩間違えたら負けてしまうような、ぬるーい打ち方だったんじゃないでしょうか。

 それを検討してみましょう。
 第一の晩に、ベアトリーチェが取った駒は、嘉音、紗音、源次、熊沢、郷田、金蔵。
 金蔵以外は、みごとに全部、使用人の駒です。

 最初に挙げた仮説にしたがえば、駒の強さ順は、
「銃を持った親世代>親世代>右代宮チルドレン>使用人」
 ですから、まあーなんと、みごとに、弱い駒ばかりを取って、強い駒を戦人に残してあげています。
 その結果、「銃」の駒が、戦人に4つも渡るという、戦人有利の展開になりました。いってみれば、飛車が成って、角も成って、と金が2個成ったというくらいの展開でしょう。
 その次に取ったのが、楼座と、そして真里亞だったのです。
 かなりの序盤で、自分に有利になる駒を、ベアトリーチェは自分で盤から取り除いているんだといえないでしょうか。そのことによって、戦人にハンデを与えているといえるのでは?
 そう考えると、なんとなく無矛盾なので、あくまで仮として、

●「真里亞」は、ベアトリーチェの指示には必ず従う。
(よって、この駒を取らない方がベアトリーチェに有利である)


 これをOKとしておきましょう。
 あとできちんと検討して、間違ってるようだったら、訂正することにしましょう。


 さて、もうひとつ。
 ep1で、いきなり明らかになった駒がありました。

●「嘉音」は、紗音が先に死亡すると、ベアトリーチェを攻撃する。
(よってベアトリーチェは、紗音と同時か、紗音より先にこの駒を取らねばならない)


 これが判明したのは大きいですよね。
 そして、このルールは、確実といっていい。だって嘉音本人が言ってるんですからね。自分はこのルールで動くって。
 じっさい、紗音が嘉音より先に死んだのって、4回中1回、ep1だけです。それ以降、一回もない。
 そして、その1回のep1も、ベアトリーチェはイレギュラーによってしかたなく紗音を取ったようなふしがあります。
 本来は、強い「夏妃」を取るつもりだったのだけど、思い直してやめて、弱い「紗音」を取ることにした。
 そう、この展開こそが、ベルンカステルのいう「ベアトリーチェは常に最善手を打つわけじゃない。遊びがある」なんだと思うのですが、これはあとで詳しくやります。


 さて、ここでよろしいか。皆さん。
 ほんとうに、ベアトリーチェはいつも嘉音を先に取っているのかどうか、確かめてみたんですよ。
 そしたら、すごく面白いことがわかったんです。

 それは、ep2です。
 鍵が選んだ最初の6人の生け贄は、蔵臼、夏妃、絵羽、秀吉、留弗夫、霧江。

 残されたメンバーは、楼座、真里亞、戦人、譲治、紗音、朱志香、嘉音、源次、南條、熊沢、郷田。

 残されたメンバーの中で、「寄り添う2人」に該当するコンビは「譲治&紗音」と「朱志香&嘉音」と「楼座&真里亞」。
 真里亞をこの時点で取るのは惜しいので「楼座&真里亞」は除外しましょう。
 おっと、「紗音」を先に取ったら「嘉音」が裏切ってしまう。

 ということは、あっ!
 ベアトリーチェは、「寄り添う2人」で、「朱志香&嘉音」を取る以外の手は取れないのです!

 実際、ep2の「寄り添う2人」の被害者は、「朱志香&嘉音」なんです。

 ということはですよ。
 今、仮に判明している、たったこれだけのルールでも。

「鍵の選びし6人」が判明した時点で、そのあと、誰が、どの順番で殺されるのか、だいたいわかるということではありますまいか!

 これはすごいぞ。

 他の駒の動きもわかってくれば、もっと予測が立つようになるでしょう。

 予測が立てば、対策が取れるんじゃないだろうか。
 対策がとれなくても、次の被害者をマークすることで、新たな事実がわかりはしないだろうか。
 そして、駒の動きが完全に判明したとき、ひょっとして、自然に、犯人があぶりだされてはこないだろうか。

 これって既出ですか? すでに検討されていますか?
 このアプローチから真相に至れませんか?


 さあ、次回は、「銃」の駒について考えたいと思います。つづく。


 続き→ ルールXYZを指さそう


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駒の動きその1・南條(大爆発説)

2009年05月27日 04時45分24秒 | 盤面解析
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


駒の動きその1・南條(大爆発説)
 筆者-初出●Townmemory -(2009/05/21(Thu) 08:12:26)

 http://naderika.com/Cgi/umi_log_cbbs/umi_logcbbs.cgi?mode=red2&namber=25405&no=3 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
 このゲームは、殺人事件なのに、事件を俯瞰している神のようなキャラクターが、「チェス盤の駒の動きを見定めろ」とか「ムダな打ち筋が多い」とか、謎なことを言います。
 その「駒の動き」がどんなものなのか、そこから何がわかるのかを検討しました。

「現場消滅」と「南條生存」をハカリにかけたら、急に思いついた発想です。

 のちに別の方から、「熊沢」と「源次」も生存の可能性があるから第8の晩までに取らなければならないんじゃないかという指摘を受け、その通りだと思いました。でも「源次」には、また別の要素がありそうにも感じます。

 以下が本文です。


     ☆


 みなさん、こんにちは。

 この一連の書き込みは「朱志香=ベアトリーチェ」説でなんでもかんでも説明しよう、という趣向でお送りしておりましたが、今回は朱志香説とは全然関係ない話をします。

 ルール関係と、駒の動きについてです。
 なので、朱志香説に興味のない方でも、お楽しみいただけると思います。

 ちなみに、「朱志香説でなんでも説明しようシリーズ」の中にも、べつだん朱志香が犯人じゃなくても成り立つような推理がふんだんに使われております。
 参考にしていただいて、気に入ったところは採用していただけると、嬉しいです。


     *


 さて。駒の動きを解析しようと思ったのですが、その前に、「第10の晩」に何が起こってるのかという話をしなければなりません。
 そうです、13人なり14人が殺されて、5人ないしは4人が生き残り、時計が12時をまわったとき、何が起こってるのか。どうして戦人は行方不明なのか。

 それを知るためには、縁寿たちの世界、1998年から見た事件がどうとらえられているのかを知らねばなりません。

 1986年の六軒島で何が起こったのか。縁寿たちは
「まったくわからない」
 と言ってます。
 2つ発見されたボトルメール、そこに書かれたどっちの事件が起こったのかもわからない。
 でも、普通に考えたらそんなわけないんですよ。現場検証するでしょう。私たちが4回ぶん見た事件は、毎回、死因や死体状況が違うし、死体の置いてある場所もちがいます。たとえ屋敷が燃えて焼け落ちたとしても、頭を刺されたのか胸を刺されたのか、礼拝堂で発見されたのか倉庫で発見されたのか。そういうことから何かは類推できるはずですよ。

 それができないってことは、
「死体が屋敷のどこに倒れていたのかすらわからない」
 という状態になってたっていうことです。
 ということは、
 少し現実的じゃないような気もしますが、
「屋敷ごと吹っ飛んでこなごなになり、あとかたも残らない状態になった」
 という条件を、どうしても、設定せざるをえない。

 ありていにいえば、爆弾です。
 それも、超強力なものでなければならない。

 第8の晩までの儀式が完了し、碑文の謎が解けない状態で、12時をまわると、爆発するようになっている。
 生き残った人間も、それで自動的に全滅する。死体の破片が発見されれば死亡扱いとなり、発見されなければ行方不明扱いとなる。

 この推論のポイントは、
「爆弾が時限式だとすれば、儀式の途中で犯人が死亡してもかまわない」
 というところにあって、ますます推理をむずかしくしてしまいます。参りましたね。


 ところで、ちょっと話がズレます。
 ep3で、絵羽が碑文の謎を解き、みごと島から生還しますね。
 ep4で語られたことによると、絵羽は九羽鳥庵で発見されたそうです。

 ep3の描写を信じるならば、碑文の謎を解くと、秘密の入り口が見つかって、地下道が続いており、その先の行き着くところに黄金がある。その場所ってまずまちがいなく九羽鳥庵でしょう。そうじゃなかったらわりとビックリです。

 つまり、ep3において、絵羽は秘密の地下通路から九羽鳥庵に行く方法を知っていた。そこに避難したので、大爆発から逃れることができた。これによって彼女は生還した。
 こう考えると、無理がない。


   *

 さて、ここからが駒の話です。

「南條」という駒の話からはじめましょう。
 ep3のTIPSに、「彼はあと一歩で生還できていた」なんてことが、書いてあります。
 どうしてだろう。どうしてep3だけ?
 南條において、ep3と、それ以外の違いって何だろう。

 それはたぶん、ep3だけ、南條は第9の晩まで生き延びているからです。

 ep4で語られたことを思い出しましょう。
 南條は、九羽鳥庵の存在を知っています。そこにいた人間のベアトリーチェの主治医だった(と推測される)わけですからね。
 ということは、地下通路の存在とその通り方を知っていた可能性がある。

 ということはつまり。
 南條を、儀式の最後のほうまで生かしておくと、彼が生還してしまう可能性があるのです。
 たぶん、第9の晩までに生きていると、ベアトリーチェとしては、危ない。
 彼が生還すると、そこで起こったことを喋ってしまうかもしれない。
 喋ってしまわれたら、六軒島は「シュレディンガーの猫箱」ではなくなってしまう。無限の可能性が並列する空間じゃなくなってしまう。つまり、魔法が否定されてしまいます。
 いや、生還するのは彼だけじゃなく、それ以外の生存者を誘導してしまうかもしれない。

 さあ、これで、駒の動きがひとつ、見えてきたんじゃないでしょうか。

 仮にこんな感じに考えておきましょう。

●「南條」は、第9の晩までに誰にも殺害されなかった場合、生還する。
(よって、ベアトリーチェは、第8の晩までにこの駒を必ず取らねばならない)


 ちなみに、私が提唱している「朱志香=ベアトリーチェ」説で考えると、もう一個の要素「ep3で朱志香は失明していた」がひっじょーにクサいのですが、それはとりあえず、置いておくことにします。


 ひとまずここまで。
(でもまだ続きます)

 続き→ 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音


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