さいごのかぎ / The quest for grandmaster key

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TYPE-MOONの「魔法」(7):蒼崎青子は何を求めてどこへ行くのか

2022年04月02日 07時46分55秒 | TYPE-MOON
TYPE-MOONの「魔法」(7):蒼崎青子は何を求めてどこへ行くのか
 筆者-Townmemory 初稿-2022年4月2日



 今回は蒼崎青子が何者なのかです。第五魔法の内容も修正します。

 本稿はTYPE-MOON作品の世界観に設定されている「魔法」に関する仮説です。七回目です。この回から唐突に読み始める方への配慮はしておりませんので、第一回から順繰りにお読み下さい。

 これまでの記事は、こちら。
 TYPE-MOONの「魔法」(1):無の否定の正体
 TYPE-MOONの「魔法」(2):初期三魔法は循環する
 TYPE-MOONの「魔法」(3):第四魔法はなぜ消失するのか
 TYPE-MOONの「魔法」(4):第五の継承者はなぜ青子なのか
 TYPE-MOONの「魔法」(5):第六法という人類滅亡プログラム
 TYPE-MOONの「魔法」(6):「第六法」と「第六魔法」という双子


●人類の課題は二つ

 前回と前々回で、
「TYPE-MOON世界観においては、人類はいずれ絶対に滅ぶ」
 という話をしました。

 アトラス院が計算でこの結論をはじきだしていて、今のところ回避方法はない。

 そういう世界において、人間が直面する課題は、つきつめれば二つ。

 ひとつは、
「それでもなんとかして、滅びを避けることはできないか」

 もうひとつは、
「滅びを避けることはできないと決まっている世界で、どう生きるか」


●なぜ人類は滅ぶのか

 奈須きのこさんが「人類は滅ぶ」という世界観を持つにいたったことについては、「90年代半ば」という時代が関係していそうだ。

 たぶんこの時代、奈須きのこさんは二十代前半くらいの多感な年頃。TYPE-MOON世界観の基礎ができあがったのはおそらくこの時期。
(小説版『魔法使いの夜』が執筆されたのが1996年とされている)

 90年代半ばは極めて世紀末的時代。このころにはすでに環境問題が全人類的マターとなっていたが、同時に「ただまあ、打つ手はないです」という結論もはっきり見えてきた。

 96年にはタヒチでフランスが核実験。国際的に核軍縮が議論されてる中での強行であり、「人類はけっきょく核兵器を手放すことは不可能なんだな」という現実がほぼ決定的になりました。

 国内では95年に阪神大震災と地下鉄サリン事件がありました。奈須きのこさんくらい幻の世界に対する感受性が高ければ(たぶん国内随一)、あの光景を日本全土に広げたものや、全世界に広げたものを想像しないほうが不思議というもの。

 あの時代に感受性が高い青年時代を過ごせば、
「ああ、人間ってのはどんづまりに来ているんだな。ここから滅んでいくんだな」
 という観念には、容易にたどりつく。

 だから彼は、「避け得ない人類の滅び」というものを中心にすえた世界観を幻視する。

 そういったことを端的に表しているのが、たとえばゲーティアの「現行の人類には、先がない」という認知であったりする。

 TYPE-MOON世界には、人類滅亡の要因が、たっぷり用意されています。

 朱い月と二十七祖もそうだし、人類全員を噛み殺す力を備えた抑止力の獣プライミッツ・マーダーもそうです。冬木の聖杯からあふれ出した泥が世界を飲み込むかもしれないし、人類悪のどれが力を解放しても人類は滅ぶ(たぶん)。

 だけど、「かわいそうな人類は何の罪もないのに滅ぼされてしまう」のかというと、全然そんな感じはしません

 むしろ、「人類は人類みずからの所業によって滅ぶのだが、その滅びの象徴としてこれらの滅亡要因が置かれている」くらいに考えるほうがすっきりする。
「ゴジラは奇形的に進歩してしまった人類の文明の象徴であり、ゴジラが人間を襲うというのは人類の文明が人類を滅ぼしにかかっているのである」
 みたいな話としたほうが受け取りやすい。

 ようするに人間は、環境破壊とか核戦争とかバイオハザードとか資源の枯渇とかで滅ぶのである(マナの枯渇した未来、という設定の作品がいくつかあるのは資源枯渇の喩えだと思う)。
 人間は、みずから築いた文明の帰結として滅ぶ

 ……のだけど、そういう人間の行く末を見たさまざまな超越者たちが、

「ゆっくり滅んでいくのは苦しかろうから、せめて私が一瞬で全滅させてやろう」

 みたいなことをいいだして、その手前でスパッと滅んだりする。


●笠井潔の「大量死理論」

 ……あのちょっと余談。
 とくに『月姫』あたりで顕著ですが、奈須きのこさんの作品には、「自分ひとりで死ぬより誰かに殺されて死にたい」とか「あの人を愛しているから殺してしまいたい」という観念がちょくちょく出てきます。
 ふと思ったのですがこれって、笠井潔さんの「大量死理論」からダイレクトに影響を受けているんじゃないか。

「なぜミステリ小説がこんなにも読まれ、書かれるのか」について、笠井潔さんはものすごく独自的な理論を提唱されています。

 私が理解した範囲でごく簡潔に説明すると、
「世界大戦を経て、人類は、無意味な大量死というものをいやというほど経験した」
「人間の精神は、意味のない大量の死に耐えられるようにはできていない」
「無意味な大量死を経験した人間は、《意味のある死》を求めてミステリ小説を読み、または書くのではないか」
「ミステリ小説の被害者は、殺されるべき理由があって殺される。しかも最大級に劇的にだ」
「これは意味ある華々しい死であり、特権的に扱われる死だ。それが無意味な大量死に傷ついた人間の心を慰撫するのである」

 だから例えば『月姫』は、殺人鬼が主人公であり、主人公がヒロインを殺害するところから物語がはじまり、生き返ったヒロインと主人公が恋愛関係になる。恋愛的な関係になったのにその後また二人で殺し合ったりする。「殺す殺されるという関係が読者や作者を慰撫する」というセンスがありそうだ。

 そして、それと同じ文脈において。
「人類が、人類だけの理由で大量に死んで滅んでいくなんて耐えられない」
「せめて、人類以外の超越者の手にかかって滅んでいきたい」

 というようなことを、奈須きのこさんは願ったかもしれない。

(つまり人類はまるごと、至高の殺人者による、華麗で芸術的な殺人事件の被害者になる……。この上ない特権的な死に方を与えられる)

 だから、「人類はほっといても勝手に滅んでいくが、そのまえに超越者が人類をほろぼしてくれる」という世界を、彼は幻視したのではないか。

 余談終わり。話を戻す。

 蒼崎青子はゼルレッチとは知り合い同士。能力的にもちょっと似ている。彼女は「人類は近い将来に滅びます」ということを知ることができる立場にありそうだ。

 どうやら人類には未来がないよね、という身も蓋もない現実を認知した魔法使い蒼崎青子は、何を考え、どうするのか

 自分は人知も自然法則も超越した「魔法」という力を持っている。そんな自分は何かをしなきゃいけないんじゃないのか。


●進む文明と、一生変わらない有珠

「4gamer」のインタビューで、奈須きのこさんはすごく興味深いことをいっている。

 例えば草十郎は,山から下りてきた直後,第1章の時点だと,これまでのTYPE-MOON作品に出てきたどの主人公よりも凄い。それが文明に慣れて個人として確立していくことで,どんどん弱くなっていく。「まほよ」のテーマって,基本的に「都市と森」とか「進む文明」なんですよ。自然しか知らないままに生きてきた人間が,幸福に近づくことで生き物としては堕落していってしまう。そうやって徐々に変化していく草十郎と,一生変わることのない有珠,そしてどんどん新しいものを取り入れていく青子という3人が,あの洋館では交わっている。
TYPE-MOONの原点を辿る「魔法使いの夜」インタビュー。奈須きのこ&こやまひろかず&つくりものじ氏の3名に聞く,ノベルゲームの未来と可能性(傍線は引用者による)



4Gamer:
 第五魔法そのものについても,まだまだ秘密が隠されてそうですよね。

奈須氏:
 きっと皆さん,そこが気になってると思うんですけど……すいません,それが分かるのはもうちょっと後なんです。冒頭でもお話しした「進む文明」というテーマにも絡んでくるので……。

4Gamer:
 森を出て文明に触れることで堕落していく草十郎と,それを見守る青子,という図式でしょうか。

奈須氏:
 作中でも婉曲的に語っていますが,有珠は中世の文明の代表で,青子は消費文明の代表です。青子がどうして“最新の”魔法使いなのか,その答えも第五の中にあります。
TYPE-MOONの原点を辿る「魔法使いの夜」インタビュー。奈須きのこ&こやまひろかず&つくりものじ氏の3名に聞く,ノベルゲームの未来と可能性(傍線は引用者による)



 例によって抜き出します。

・『魔法使いの夜』のテーマは「都市と森」「進む文明」。
・久遠寺有珠は一生変わらない。
・久遠寺有珠は中世の文明の代表。
・蒼崎青子は新しいものをどんどん取り入れていく。
・蒼崎青子は消費文明の代表。
・山にいるころには凄い存在だった静希草十郎は、(街に出て)文明に触れたことで弱くなる。


 さらにシュリンクする。

 久遠寺有珠=森・中世・無変化
 蒼崎青子=都市・消費社会・変化
 静希草十郎=森から都市への移行・強い存在から弱い存在への移行



●文明が人間を弱くする

 ……私が理解した範囲でいうと、『魔法使いの夜』は、「久遠寺有珠が代表しているもの」と「蒼崎青子が代表しているもの」の対立の物語なんだ、と。

 その対立を一言で言うと、「非文明の世界」と「消費社会文明」の対立である。

 前述したとおり、奈須きのこさんは、現代の消費社会文明に批判的な視線を向けていると推定できます。そういう彼は、「人類はいずれ必ず滅ぶ」という設定をどまんなかにすえた世界観をつくりあげました。

「山育ちの静希草十郎は文明に触れて弱くなる」は重要なポイントだと考えます。
 TYPE-MOON世界観には「山の中で育った人間は超人レベルに強い」という極端な設定があります。
 七夜志貴、葛木宗一郎、静希草十郎が代表例です。
 そんな静希草十郎が「文明に触れると弱くなる」というのですから、ここでいう「山」というのは、
「文明から隔絶した領域」
 の意味だということになります。

 たぶんこういうことだと思います。人類がまだ文明を持っていなかったころ、人間を守ってくれるものは人間自身しかなかった。
 だから人間が生き延びるには、人間自身が強くなるしかなかった。
 そのころ生き延びていた人間は、今の人間よりも、存在自体として、ずっと強力であった。

 だけども文明が発生してきます。人間は火で自分を守り、金属で自分を守り、木の柵や城壁で自分を守るようになった。農工業や商業で飢えから自分を守るようになり、医術で病から身を守るようになった。
 人間自身が強くならなくても、生き延びられるようになった。
 強くなくても生き延びられる状況を手に入れて、人間は際限なく弱くなっていった。文明圏という大きな単位では、人間は際限なく強くなっていったが、反比例して個体としての人間は際限なく弱体化していった。

 そのようにして「際限なく肥大化した文明圏」が、個々としての人類を襲うから、「人類は早晩、滅びる」わけでしょう。
「山育ちの静希草十郎が文明に触れ、生き物として堕落し、弱体化していく」
 というのは、そうした人類のありかたの縮図として、彼が物語内に配置されているから……と読むことができます。

 ここに「人類は早晩、必ず滅ぶ」という世界がある。
 その中に、「中世(=非消費文明)の代表」と、「現代(=消費文明)の代表」が置かれている。
 そして、そのどちら側にも振れることができる(非文明世界育ちで、都市生活をしている)少年がいる。

『魔法使いの夜』は、そういうセッティングになっています。

「文明の帰結として人類は滅ぶ」という究極のテーマに直面したとき、非文明側の代表・久遠寺有珠と、消費文明側の代表・蒼崎青子と、そのどちら側にも与することができる静希草十郎は、何を考え、どうするのか。


●人類は静止すべきなのか

 久遠寺有珠はいわゆる文明の利器を苦手としている、という表現がされています。青子が家にテレビを持ち込んだらすごく嫌がったという話がありました。
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』には、「青子が有珠に連絡を取ろうとしたが、有珠がIT機器を嫌っているためメールができない」というシーンがあります。
 有珠の使い魔プロイキッシャーは、文明圏では著しく性能がそがれる、という設定もありました。

 おそらく久遠寺有珠というキャラクターのコンセプトは「アンチ文明」だ。

『Character material』には、こういう凄いことが書いてあります。

 青子は歳を取るが、アリスは歳を取ることができない。
『Character material』(「アリス」は原文ママ)



 奈須きのこさんが「一生変わらない」存在だとした久遠寺有珠。
 そんな久遠寺有珠が、「文明の帰結による避け得ない滅亡」という究極のテーマに対して出す答えは、

「文明の後退、もしくは静止」

 だと思うのです。

「文明の暴走によって人類は滅ぶ。ならば、人類は文明を手放すべきである
「人類は、中世くらいの文明レベルに戻り、そこで成長を止めるべきだ」
「そうすることで、滅びを遠ざけることができるはずだ」

 久遠寺有珠は、そのような方向の答えを良しとしそうだ。

 プロイキッシャーはすべて童話がモチーフになっています。童話は子供のためのもの。久遠寺有珠は、
「人類は、幼児に戻るべきだ」
「幼児に戻って、そこから歳を取らないようにすべきだ」
 そういう思想の代表として、この物語に存在していそうだと考えます。

 静希草十郎で喩えれば、「草十郎は都市を捨てて山に帰るべきだ」

 この方向性で人類を救おうとしている人物が、TYPE-MOON世界には他にもいます。
『MELTY BLOOD 路地裏ナイトメア』(桐島たける他)に登場するシアリム・エルトナム・レイアトラシアは、「滅びを回避する方法が見つかるまで、世界中の時間を停止しましょう」という計画を立てていました。
『MELTY BLOOD Actress Again』の黒幕・オシリスの砂は、「人類全員をいったん静止し、データに変換し、メモリに保存しましょう」という形での問題解決を実行しようとしました。

 わりあい多くの有力者たちが、この方向の解決(後退か静止)を考えているっぽい。

 さて、久遠寺有珠のとなりには蒼崎青子という友人がいます。
 本稿(この一連の投稿)での説にしたがうなら、蒼崎青子は「原因と結果のあいだを結んでいる関係を操作できる」という魔法使いです。

 この魔法を使えば、
消費文明という原因と、人類滅亡という結果を結んでいるを、びよんびよんに伸ばして、どこか知らないはるか未来に放り捨ててくる
 ということが、できてしまいそうだ。

 そこまでのことはできないとしても、
中世という原因と、現代という結果逆転させて、人類の文明をまるごと中世の状態に戻す」
 くらいのことは、できちゃってもおかしくない。
 こっちの方法は久遠寺有珠の思想(推定)とぴったり一致する。
(ゲーティアのやろうとしたこととも極めて近似する)

「やろうと思えばそういうことができそうな蒼崎青子」が、この物語には、あらかじめ用意されている。

 はたして、蒼崎青子はそれをするのか?


●未来を引き寄せる蒼崎青子

「避け得ない人類の終末」というテーマに対して、蒼崎青子がどういう答えを出すのか、ということが、『魔法使いの夜』の続編で語られていくのだろうと思います。

 そこで語られた蒼崎青子の姿が、『メルティブラッド』や『Fate/EXTRA』に登場した蒼崎青子につながっていく。

 たいした根拠もなく推測をいいますが、蒼崎青子は、久遠寺有珠が提唱しそうな衰退や静止を選ばない気がする。
 むしろその逆で、成長した未来の自分をたぐり寄せて橙子を倒したように、「人類の進歩を加速させる」方向に魔法を使いそうな気さえする。

「人類がもっと進歩すれば、定められた人類の滅びをしりぞける力だって持ちうるはずだ」
 そういうことを蒼崎青子には信じていてもらいたいのです。
「人類を加速させて、滅びに正面からぶち当たって、そのままぶち破ろうぜ」
 くらいのことを考えていてほしい、というのが、私の個人的な願望です。だって、青子は消費文明の代表で、新しいものをどんどん取り入れていく人なのだそうですからね。

 人類の歩みに対して「黄信号」(この場合は減速)も「赤信号」(停止)も出すことができる蒼崎青子は、人類の歩みに「青」を出す。
 進め、もっと進め、とサインを出す。
 だから第五魔法は「魔法:青」と呼ばれるのだと思いたい。

 たとえば、人類全体をデータ化して保存してしまおう(それ自体が人類の滅びを意味する)とするオシリスの砂の計画を、蒼崎青子は阻止した。
(なおこの計画は滅びと救済が表裏一体になっているので「第六法/第六魔法」の条件を満たす)

 青子は人類の滅亡をだまって見ているようなことはしないし、人類の歩みを静止させるような救済方法にも賛成してはいなそうだ。

 以上のことを踏まえて、もう一度検討してみたい。
 蒼崎青子はどういう能力を持っていて、それを何に使っているのか。


●因果がまだ結びついてないなら

『メルティブラッド』をはじめとする、各種TYPE-MOON作品の外伝で、蒼崎青子は水戸黄門みたいにあちこちにふらっと現れては、悪だくみをしているやつをビームと鉄拳で粉砕しています。

『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』のエンディングにおいて、ハワイでバカンス中の蒼崎青子は、開放感でこんなことを口走っています。

(蒼崎青子)
目立った終末案件もないし、
ゼルレッチの爺さんも見当たらないし!
『MELTY BLOOD:TYPE LUMINA』(傍線は引用者による)



 終末案件という、なんともクリエイティブな単語は、「このままコトが運べば人類は確実に滅亡しちゃうよねという要因」、例えばオシリスの砂による人類総データ化計画みたいなものを示していると考えてよさそうです。

 蒼崎青子は終末案件を見つけると、「これはだめよ、ブッ壊してあげる」かなんか言ってビームぶっぱなして粉砕して帰ってくる

 ここでゼルレッチの名前が出てくるのは、彼が終末案件を見つけてきたりするからでしょう。
 ゼルレッチは並行世界の観測ができるので、枝分かれする世界の行く末をちょっと見てくることができる。
 そうして「このルートを放置しておくと人類の滅亡が確定する」ということがわかると、
「やれやれ、ワシはもうトシじゃからおまえさんいってくれんかのう、よぼよぼ」
 みたいな適当なことを言って実務作業を若手に丸投げする。

 若い娘とおじいちゃんの二人組で、おおむね、そんなことをやっているんだろうと思うわけですが……。

(蒼崎青子)
なんかきな臭い未来があったから、
おかしな事にならないよう見に来たのよ。
『Fate/EXTRA』



『Fate/EXTRA』での発言をみると、どうも、きな臭い(終末案件になりそうな)未来を「自分で発見」して、監視しにいってるっぽい。
 このセリフを虚心に読むと、ゼルレッチの力をかりなくても、「このルートの未来はきな臭い」と自分で感知して、見に行くということができるっぽい。
(ただ、「このルートは確実に終末行きだ」と確信できるほどの精度ではなさそうだ)

 どうも、蒼崎青子はある程度の未来視的なことができると考えたほうが適切そうだ。

 当シリーズの第四回で、第五魔法の正体を、
「原因と結果を結んでいる糸を操作する」
 ものとしました。

 第五魔法は原因と結果を結んでいる糸をいじくれる。長さをゼロまで縮めたり、無限大まで伸ばしたり、原因と結果の位置をくるっとまるっと入れ替えて、結果が先に来てから原因がやってくるようにできる。
 これ自体は私はOKだと思っています。

 ただ、シリーズ第四回の範囲では、
「静希草十郎は致命傷を受けたが死なない、という「別の結果」を蒼崎青子は用意できなかった
 ので、その当時の推論として私は、
「ひとつの原因から発生しうる別の可能性を選ぶということはできない」
 としていました。

 ちょっとその点についてだけ、再検討が必要そうです。

「いったん原因と結果が一意に結ばれてしまったら、それを切り離すことはできない」
 これはOKとしましょう。
(致命傷を受けたら人間は必ず死ぬので、致命傷を受けたという原因と、死ぬという結果を切り離すことはできない)

 いったん原因と結果が一意に結ばれてしまったら……?

 じゃあ、「まだ原因と結果が一本の糸で結びつけられていない状態」のときは、どうだろう。

 原因から結果に向かってするすると伸びていく糸を、任意の別の結果にむりやり結わえつけるようなマネは、どうも無理っぽいフィーリングだ。

 だけど、結果に向かって結びつこうとしている糸を、根元のところでチョンと切ることは可能かもしれない。
 それをやっているのが、「終末案件の剪定」……つまり、きな臭いところに出張っていって、きな臭さの原因をビームと鉄拳で粉砕するという行為なんじゃないか。


●蒼崎青子に見えているもの

 推定ですが、蒼崎青子の視界には、
「現在という点から、扇状に伸びていく無数の糸」
 が、見えているんじゃないかと考えます。

 この糸は、現在という「原因」から、何らかの「結果」に結びつこうとする因果の糸ですが、まだ、どこにも結びついてはいない

 そして、この糸がどこに結びつこうとしているのか……「終末に結びついているか」「いないか」は、この時点では蒼崎青子には「わからない」
 せいぜい、「なんか、きな臭い」というのを直感的に感じ取れる程度。

 ゼルレッチは無数の並行世界を俯瞰できるので、糸がどういった結果に結びつく予定なのかがあらかじめわかるが、青子にはそれがわからない、と私は考えるのです。

 これは、
「蒼崎青子にはビジュアルノベル(アドベンチャーゲーム)の選択肢が見える」
 と表現したほうがわかりやすいかもしれない。

 Aの選択肢を選んだ場合と、Bの選択肢を選んだ場合では、別の「結果」が得られるが、どういう結果が得られるかは選ぶ段階ではわからない。
(選択肢に書かれている文言から、なんか怪しい、が感じ取れる程度)

 蒼崎青子は、選んだ先で何が起こるかをあらかじめカンニングすることはできない。
 ならば彼女はどうするか。

「すべての選択肢を総当たりする」

 蒼崎青子は最初の選択肢を選ぶ。その先を読む(見に行く)。選んだ「結果」、そこに人類滅亡の要因があれば、鉄拳ビームで粉砕する(因果の糸をチョンと切る)。
 そして現在に戻ってくる
(この「現在への復帰」が、擬似的な時間旅行になっている)

 蒼崎青子は第二の選択肢を選ぶ。その先を見に行き、終末案件だとわかれば因果の糸をチョンと切り、選択肢じたいをつぶす。また現在に戻ってくる。

 そうして可能性をどんどん剪定していき、終末案件が見当たらなくなれば、コマを一個、先に進める。そこにはまた、無限にひとしい選択肢があるので、すべてを総当たりする。

 蒼崎青子はそれをえんえん、地獄巡りのようにくりかえしている。

 それを続けて、最終的に、人類のルートを一本の糸にしぼりこみたいと思っている。
 そのしぼりこんだ糸が結びつく「結果」が「人類の生存」であればいいと願っている。

(オシリスの砂が青子に対して)
……やはり私を破壊するか。共に霊長の守護を語りながら、我々の手段はあまりにも違う。
貴様はおぞましい、際限のない生存を。
『MELTY BLOOD Actress Again』



 ……というのが、私の中の蒼崎青子像です。

 この説における青子は、世界というアドベンチャーゲームを、たった一人で半永久的にプレイし続ける人なわけで、つまりそのような意味において彼女は、
「主人公」
 だといえます。
(『魔法使いの夜』に選択肢がいっさいないのも、これが関係していそうだ)

 私の中の蒼崎青子像は、ゲーティアみたいに人類の積み重ねを逆進させたりはしない。むしろ推進する。前に進む。人間が前に進む力を信じている
 だから、未来へ進む選択肢のどれかに、人類生存ルートがあると信じて、無限に近い選択肢をクリックし続ける。
 もし仮に、人類生存ルートがなかったとしても、彼女はそれをよしとする。
 行き着く先が滅亡であっても、そこに向かって駆け抜けていく人のあり方それ自体に価値がある


●因果の「運営」

 本稿ではこれまで、第五魔法を「因果の操作」と呼んできました。でも、第五魔法が上記のような活動を可能とするなら、これは、

「因果の《運営》」

 と呼んだほうが適切かもしれません。

 けど、TYPE-MOON世界観の(というか奈須きのこさんの言語感覚における)「運営」って、意味がめちゃめちゃ取りづらくてしんどいですから、私は今後も「因果の操作」と呼ぶことにします。

 第五回の末尾で、
「第一と第四、第二と第五、第三と第六が対応していそうだ」
 という話をしました。

 第五魔法の中身が、因果の「運営」であるのなら、第二魔法「並行世界の運営」との対応がより強固になります。以下のようになります。

■第二魔法:無限に枝分かれする並行世界を俯瞰し、当たりくじを探す
■第五魔法:無限に枝分かれする選択肢を総当たりし、当たりくじを探す

●共通点:可能性の剪定・未来を一意に収束・時間旅行・使用者の現存


 このように見た場合、こと「人類滅亡ルートの克服」という点において、第五魔法は第二魔法のダウングレード版です。また、使いようによっては、人類の現状という「原因」と、人類滅亡という「結果」を、完全に結びつけてしまいかねません。
 例の「とっくに意義を失っていた」は、そのような意味でとらえることも可能かもしれません。


●久遠寺有珠は何を知るのか

 久遠寺有珠の母は魔女でした。魔女は性交による繁殖をしませんから、結婚もしないし、伴侶も持ちません(たぶん)。
 定期的に自分自身をこの世に再発生させる形でリフレッシュするので(推定)、半永久的にこの世に存在しつづけることができます。

 それは言い換えるなら、「半永久的に幼児のままでいることができる」

 しかし有珠の母は、伴侶を選び、結婚し、子供を産みました。母になることを選びました。

 それは言い換えれば、「幼児でありつづけることをやめる」「大人になる」「成長する」ということだと思うのです。

 有珠の母は故人です。つまり、無限にこの世にありつづける能力は、有珠という次世代を生んだことで喪失したのだと考えます。
(繁殖するのなら、個体として存続する必要がない)

 有珠の母は、ピーターパンであることをやめて、成長することを選んだ

 決して避けることができない死という結末があるとわかっていても、そこにたどり着くまで成長しつづけるのが人間というものである。

 ここでいう「人間」を、「人類」と置き換えても、同じことが言えるのではあるまいか。

 蒼崎青子はそのように考えていそうです。行く先が滅びの結末だとわかっていても、未来に向けて駆けつづけるのが人類の素晴らしさではないか

 もし久遠寺有珠が滅びへの対抗策として「人類が成長をやめて静止すること」を主張するのなら、おそらく蒼崎青子と対立することになります。

 が、青子との対立の果てに、有珠は母のことを思い出すのかもしれません。どうして母は私を産むことにしたのだろう。死の運命とひきかえにしてまで、なぜ?

 ……とまあ、もし私が奈須きのこさんだったら、『魔法使いの夜』をこんなふうに書くけどな、というのが、ここで私が言いたかったことです。


 当シリーズはひとまずこれでおしまいです。また何か思いついたら続きを書くかもしれません。お疲れさまでした。


(いったん、了)

※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
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TYPE-MOONの「魔法」(6):「第六法」と「第六魔法」という双子

2022年03月27日 10時33分56秒 | TYPE-MOON
TYPE-MOONの「魔法」(6):「第六法」と「第六魔法」という双子
 筆者-Townmemory 初稿-2022年3月27日



 今回はズェピアがなぜワラキアの夜=タタリになったか。それに付随して再び第六魔法と第六法の話。

 本稿はTYPE-MOON作品の世界観に設定されている「魔法」に関する仮説です。6回目です。この回から唐突に読み始める方への配慮はしておりませんので、第一回から順繰りにお読み下さい。

 これまでの記事は、こちら。
 TYPE-MOONの「魔法」(1):無の否定の正体
 TYPE-MOONの「魔法」(2):初期三魔法は循環する
 TYPE-MOONの「魔法」(3):第四魔法はなぜ消失するのか
 TYPE-MOONの「魔法」(4):第五の継承者はなぜ青子なのか
 TYPE-MOONの「魔法」(5):第六法という人類滅亡プログラム


●ワラキアの夜、登場

 前回述べましたとおり、ズェピアが死徒になったのは、「第六法を打倒するための力がほしいから」でした。

 前回の説にしたがえば、ズェピアは世界のシステムに書き込まれている「人類は滅亡する」というプログラム(第六法)を書き換えようとして失敗し、防御プログラムの反撃を受けて霧散してしまった。

 が、ズェピアは頭の回る人なので、「負けて消えたらそれでおしまい」のつもりはサラサラなかった。書き換えに失敗し、自分が霧くらいまでばらばらにされたあとでも、第六法に挑み続けられる次善の策をこうじておいた。

(シオン)
 システムそのものを書き換える事はできませんでしたが、システムに留まる事はできたのです。

 第六法に敗れたズェピアの体は霧散した。
 けれどその霧散は彼が望んだ通りの霧散でした。
 ズェピアという死徒を形成していた強大な霊子は拡散し、世界に留まった
『MELTY BLOOD』(傍線は引用者による)



 どうやらズェピアは、「プランAが失敗したら自動的にプランBに移行する」といった重層的な計画を立てるのが好きみたいです(頭の良い人のやり方だ)。

 ズェピアはさまざまな策を講じて(アルトルージュの力を借りたり、世界のシステムにバグを仕込んだりして)、「自分を現象に変えた」といいます。

 ズェピアの身体は霊子レベルまで分解して世界中に散らばったのですが、彼を構成していた霊子が、定期的に世界のどこか一カ所に集まり、ひとつの街を包み込む、というシステムを作った。このシステムを「タタリ」というそうです。

 ズェピアの霊子に包まれた街は、「悪いウワサが現実になる」という状態になります。

 たとえば「連続殺人鬼が街をうろついている」というウワサが発生したなら、本当に連続殺人鬼が出現して人を殺し始める。

 タタリは、人々の立てたウワサがどういう種類のものであろうとも、「当該地域で生きている人間を全員殺害する」という行動を取ります。

 そうして、当該地域の人の血を全部吸い尽くしたのち、かれは再び霊子の霧にもどって世界に散らばり、次の再生の時を待ちます。

 そんなふうに、「自然災害のように突如として人間の町に現れ、人間を全滅させて、一夜にして姿を消す」というのが、現在のズェピアの姿です。
 ズェピアがタタリとして初めて出現した土地がルーマニア=ワラキアだったので、彼はいま、「ワラキアの夜」というコードネームで呼ばれています。

 今、ズェピア=ワラキアの夜は、「一夜にしてひとつの町を全滅させる災害級の吸血鬼」です。

 でも、それってちょっとおかしい。ズェピアは、確定した人類の滅亡(=第六法)を克服したいと願っていた人ではなかったか

 なんでまた「ウワサを現実にし」「街ひとつの全人間の命を吸い上げ」「どこかに去って行く」なんていう存在になってしまったか。


●タタリになってどうしたいのか

『メルティブラッド』作中で、ワラキアの夜(ズェピア)は、何度も「第六法」「第六法」とくりかえし言っている。

(偽アルクェイド〔=ワラキアの夜〕)
「わたしが貴方を取り込むのも、貴方がわたしを理解するのも変わらない。
 主導権なんてわたしはいらない。ただ第六法にうち勝てればそれでいい。
『MELTY BLOOD』



 ズェピアはシオンに「自分と融合してタタリになってくれ」とささやきかけます。そうしてくれるならシオンが主導権を握って活動してよいとまで言う。
 なぜなら、「シオンと融合すればそのぶん強くなり、第六法に打ち勝てる可能性があがるからだ」と彼はのべます。

 また、こんなセリフも。

(ワラキアの夜)
 夜が明けるまでに街中の人間を飲み尽くし、再び第六法に挑まねばならぬのだ。愉しみなど何処にある!」
『MELTY BLOOD』



 ワラキア=ズェピアは、第六法に「挑みたい」「打ち勝ちたい」といっている。いまだに彼が第六法にこだわっていることはまちがいない。
 人間の形を失ったいまでも、なんとかして人類の滅亡を避けるすべはないかと考えていそうです。

 いったいどうして彼は、「ウワサを現実にして街を滅ぼすタタリ」になることが「第六法の克服につながる」と考えたのだろう。


●「朱い月になる」という「第六」

(朱い月)
「戯け。夢から覚めるがいい、死徒。おまえが望んだ奇跡は叶わぬ。
 たとえ何千と年月を重ねようが、その身が第六と成る事はない

 無限の時間を連ねれば第六に至ると思うは自由。僅かな可能性に懸けるもよかろう。
 だが奇跡の果てを知れ。
 その姿こそ、汝の果てよ」
『MELTY BLOOD』(傍線引用者)



 作中、朱い月が現れてズェピアにこう言います。「おまえのやりかたでは第六にはなれない」「おまえは第六には至れない」。ズェピアはそれを聞いて絶望にうちひしがれます。

 ズェピアは、第六に「なろう」としていたようです。第六は「なれるもの」という新しい補助線が出てきました。

 ここでいう第六を「第六魔法」だとする考え方もありうるでしょう。その場合「第六になれない」は「人類を救済する者にはなれない」という意味になります。が。

 ひとつの街をまるごと滅ぼすことを繰り返す、というタタリのあり方と、人類の救済のイメージはいまひとつ合わない。
 それに、「おまえのやりかたでは第六にはなれない」と言ったのは朱い月です。朱い月は、人間を滅ぼす意味での第六法を推進してるっぽい人ですので、ここでは「役立たずめ」くらいの意味で言っていると考えるほうが整合しそうです。

 じゃあズェピアは人間を滅亡させようとしているのか?
 と思うと、直後に次のようなセリフがある。

(ズェピア)
「ハハ、ハハハ、ハハハハハハハハハハハハ!
 そうか、至らぬのか。何千年とタタリを続けようが、私ではおまえに至れぬというのか、朱い月よ!」
『MELTY BLOOD』



 朱い月に向かって「私はおまえに至れぬのか」といっている。これは朱い月から「おまえは第六に至れぬ」といわれた直後です。
 となると、ズェピアの望み「第六になりたい」は、「朱い月になりたい」と同じ意味になる。

 これは「第六」のちょっと新しい用法です。「the dark sixの蘇生」や「人類滅亡の絶対的ルール」ではない意味。「第六とは朱い月になること」。
(前者にはちょっと似ているし、「第六は死徒の悲願」は「朱い月になる」の意味でも成立しそうですが)

 情報をまとめるとこうなります。

・ズェピアは、人類の滅亡を回避したい(そのためにタタリになった)。
・ズェピアは、朱い月になりたい(そのためにタタリになった)。


 この二つの条件を同時に満たす理屈を発見できれば、ズェピアのもくろみを理解できたことになりそうです。


●朱い月になれば人類を救える

 それについての私の答案はこう。
 まず関係ありそうな周辺情報をまとめましょう。

・ズェピアは死徒二十七祖のひとりである(事実)。
・ズェピアはタタリになるとき、死徒二十七祖のリーダー格・アルトルージュの助力を得た(事実)。
・死徒二十七祖は永遠の存在になる方法を探している(事実)。
・それは朱い月の依り代となる永遠の身体を製造するためである(推定)。


 死徒二十七祖は、主人である朱い月復活のための身体を作りたがっている研究者たちです(たぶん)。
 ズェピアはべつだん、そんな目的で死徒になったわけではなさそうですが、アルトルージュがズェピアに協力しているので、
「ズェピアがやろうとしていることは、朱い月の復活にもつながることである」
 と考えてよさそうです。

 死徒二十七祖はそれぞれの方法で永遠の存在になる方法を探しています。それは朱い月の身体をつくるためだと推定されています。
 もし、二十七祖のだれかが、「the dark six」の復活儀式より先に、朱い月の身体作りに成功したら、the dark sixの儀式はどうなるのだろう?

 the dark sixの儀式は朱い月の依り代となる身体をつくるためのものですから、それより前に身体作りに成功した者がいれば、the dark sixの復活儀式は中止される道理です。

 本稿の説では、the dark six復活儀式の過程もしくは結果において人類が滅ぶ、という想定ですから、the dark sixの儀式が中止されるなら、人類は滅ばないことになる。
 ほかの滅亡要因はまだあるにせよ、人類の未来を滅亡というかたちでふさいでいる壁に穴が空くことになる。

 ようは、ズェピアが朱い月の素体を用意することができれば、人類滅亡の回避の目がみえてくる

 朱い月は魔王なんだから、朱い月が復活したらどのみち人類は滅亡するんじゃないの、という話もありますが、ズェピアが永遠存在になって朱い月の依り代になるということは、「ズェピアと朱い月は融合してひとつになる」ということなので、「ズェピアが朱い月に影響を与えたり、制御したりする」可能性が出てくる。

 このような想定の場合、
「ズェピアは人類の滅亡(第六法)を回避するために、朱い月(第六)になりたい」
 という条件が成立します。

 ……余談っぽい傍証ですが、二十七祖のメレム・ソロモンが、
「朱い月とアルクェイド、両者に対して忠誠を誓っている」
「二十七祖の首領トラフィムが主催する第六(おそらくthe dark sixを蘇生することで朱い月の素体を用意する計画)を阻止したがっている」(『Character material』によれば)
 というのも、同様の理屈で説明がつきそうだ。

 アルクェイドは、朱い月がゼルレッチに倒されて霧散してから500年くらいあとに生まれた真祖で、朱い月の素体となりうるクオリティを備えています。

 メレム・ソロモンが「アルクェイドにも」忠誠を示し、「トラフィムの第六に反対」する理由は、
「アルクェイドの身体に朱い月が降臨するという形での、朱い月復活を望んでいるから」
 くらいに考えれば、すじは通りそう。
 彼にしてみれば、
「アルクェイドと朱い月が合体するという形で復活してほしいのに、それより前に別の方法で朱い月を復活させてもらっちゃあ困る」

 同じく『Character material』によれば、『月姫』でネロ・カオスがアルクェイドを倒しに来た理由は、トラフィムにそそのかされたためらしい。

 これはメレムと正反対の理由だと考えても面白い。トラフィムは自分の第六計画によって朱い月が復活してほしいので、「それより前に朱い月がぽろっと復活してもらっちゃ困る」。
 なので朱い月の素体となりうるアルクェイドを排除しようとする。
 余談終わり。

 さて、そこまでの話をOKとしましょう。上記の理屈により、ズェピアが朱い月になることができれば、人類滅亡の可能性が回避されうる。ズェピアはそれを目指している。

 しかし、どうして「タタリを起こすと朱い月になれる」のだろう?


●朱い月になるためのメソッド

 タタリが発生したとき起きる現象は主に二つです。

・標的となる街において「恐怖の対象」とされるものが実体化する。
・標的となる街の人々の血をズェピアが吸い尽くす。


 これを、「ズェピアの情報収集」だと考えてみてはどうでしょう。

 大量の人の血を飲み干すのは、エネルギー源にする目的だけではなく、「人間ひとりひとりの情報」を大量に収集しているのだと考える。

 人々の恐怖の対象を実体化するのは、実体化そのものが目的ではなく、「人間は、どういった存在に対して致死的な恐怖を感じるのか」という情報を、人々の深層意識から引き出している。

『メルティブラッド』の主人公シオンはエーテライトという先祖伝来の道具を持っています。これは「他人の脳内に記憶されている情報をコピーして自分のものにする」というアイテムです。
 ズェピアはシオンのご先祖様なので、エーテライトを持っていて使いこなせます。ズェピアの一族は「他人から情報を搾取する」という手法で成功してきた一族なのです。

 朱い月は、人類を皆殺しにし、人理を世界からひっぺがし、地球をまるごと自分一人のものにしようとする最強最悪の魔王です。
 これを恣意的に言い換えたら、「全人類にとっての恐怖の結晶」くらいに言える存在です。

 ズェピアはきっとこう考えた。
 朱い月は全人類の恐怖そのものだ。大量の人間の深層意識から「人が思う恐怖のかたち」を情報として吸い上げる。
 それを一千年ものあいだ続けたら、その恐怖の情報を元にして、自分自身を朱い月につくりかえることができるのではないか

 先ほども引用しましたが、

(ワラキアの夜)
 夜が明けるまでに街中の人間を飲み尽くし、再び第六法に挑まねばならぬのだ。愉しみなど何処にある!」
『MELTY BLOOD』



 ズェピアは、街ひとつの人間の血を飲み干してエネルギーを貯めるごとに、今まで集めた恐怖の情報を元にして、自分を朱い月に作り替えてみる(第六に挑む)、ということをトライしていそうです。
 しかし、これまで成功したことはない。(朱い月によれば、今後も成功しない)
 常に失敗している。
 私が思うに、タタリ発生のたびに行われるこのトライとその失敗が、『メルティブラッド』冒頭で表示される「Program No.6 Error」
 失敗するとズェピアは霊子の霧にもどり、つぎのタタリまで時を待つ。そうして次のタタリで、追加の情報を収集して再トライする。

 作中の表現を見るかぎり、ズェピアが実体化させた「恐怖の存在」はすべて人型です。怪獣の形をしているとかそういう例は今のところ見当たらない。

 これは、最終的に生成したいものが朱い月の素体、つまり人間型の生成物だからだ。「人の形をした人類最大の恐怖」が朱い月で、それを作ろうとしているから、ズェピアは人型の恐怖情報だけを収集しているのだ、と考えるとすじが通りやすい。


●次善の策たち

 先にも書きましたが、どうやらズェピアは、「プランAが失敗したら自動的にプランBに移行する」といった重層的な計画を立てる人っぽいです。

 計画がひとつ失敗したらそれでおしまいにならないよう、次の策を用意している。

「千年たっても自分を朱い月に作り替えることができない場合」の次善の策も用意していたと思います。

(偽アルクェイド)
「当然でしょう。ワラキアの夜の目的はタタリなんかじゃない。ズェピアという祖が試みたのは真祖と成る事

 ズェピアはね、どのような要素が絡んでこうなるかは知らなかったけれど、この時間この街にわたしが留まって、真祖としての在り方を薄めているって答えを出した。

 ズェピアは二次的な保険として、真祖の姫が祟りになるような地域を調べ上げ、結果としてわたしはこうしてここにいる。

 ―――紆余曲折したけど、これがズェピアの目的でもある
 ワラキアの夜の名称は今宵で終わりよ」
『MELTY BLOOD』(傍線は引用者による)



 一言で要約するならば、
「ズェピアは次善の策として、『自分を真祖に作り替える』というプランも用意していた」

「恐怖の対象として真祖アルクェイド・ブリュンスタッドの姿が現れる街」(この場合は三咲町)をあらかじめ計算で割り出しておき、タタリがそこに発生するようプログラムしておいた。

 この世にたった一人だけ生き残った真祖、アルクェイド・ブリュンスタッドの構成情報がまるごと手に入る

 自分を朱い月に作り替えることができないのなら、そのかわり自分を真祖アルクェイド・ブリュンスタッドに作り替えればよい

 この世にアルクェイド・ブリュンスタッドが2人いれば、the dark sixの蘇生を阻止したり、復活した朱い月を滅ぼしたり、その他の滅亡要因を排除したりできる目がある。

 だが、もしそれにも失敗した場合はどうなるのか。さらに次の策はあるのか。

 どうせ人類が滅ぶなら、二十七祖による第六の成立=朱い月の復活によって滅ぶのがよい、とズェピアは考えていそうな気がする。

 本稿の説では、二十七祖による第六が成立したとき、全人類の命が朱い月の構成要素になる。
 それは考えようによっては、「全人類は朱い月になって永遠に生き続ける」といえなくもない……。

 それが「滅びの回避」だといえるのか? という疑問は当然あるでしょうが、ズェピアの後継者であるオシリスの砂が、似たような発想で人類を救う気になっていました。
 それに大前提としてズェピアは気が触れている人です。

『メルティブラッド』作中でズェピアが自分で言ってたことですが、彼はタタリの現場において、人々の願望を悪意で叶えてきました。

 豊作を願った村では、村人全員の死体を畑にまいて栄養を与えた。人々が仲違いしている村では、全員をいたぶり殺すことで人々の心を「死にたくない」気持ちでひとつにした。流行病に苦しむ村では、全員を殺すことで病気の進行を止めた。

 そういう彼は、「滅亡したくない」という人類の願望を、「人類全員が朱い月に吸われる」というかたちでかなえてしまいそうです。


●滅びという手段による第六魔法

 それと同様の発想(人類の願望を曲解して叶える)を、朱い月も持っていそうな感じがします。

 朱い月さんも、滅亡したくないという人類の願いを、
「私の一部となって永遠に生きればよかろう」
 という形でかなえそうな気がする。

 それに朱い月は、
「人間が幸せじゃないのは生きているからだ。生きているのをやめれば不幸も消滅する。幸せなのと同じことになる」
 くらいのことを平然といいそうだ。

 もし朱い月が、本気でそんなことを思って、実行した場合……。

「みんなを幸せにする」

 という第六の魔法
が、実現した、と言えてしまう。

 人類滅亡を伴う「第六法」が実現したとき、同時に「第六魔法」が、ゆがんだ形ではあっても実現したことになる

 ゲーティアもそうです。彼は、人類と人類史をまるごと燃やして、人間を合理的な形に再デザインしようとしていました。
 これは、現行の人類にとっては滅亡ですが、再デザインされた新人類にとっては「みんなを幸せにする」行為です。
 ゲーティアの計画は、新人類たちにとっては第六魔法の成就です。

 TYPE-MOON世界には「人類悪」という存在が設定されています。これは「人類が好きすぎるあまりに起こした行動で人類を滅ぼしてしまう存在」くらいに言われています。
 これを恣意的に言い換えれば、「みんなを幸せにする第六魔法を実現しようとして結果的に人類絶滅の第六法を引き起こしてしまう」と表現できそうだ。

 だからたぶん、第六魔法と第六法は表裏一体になっていて、片方を実現しようとすると、もう片方がもれなくついてきてしまう

 そして、そのような「滅びという手段による第六魔法」をなんとかして阻止しようとしているのが、TYPE-MOON作品の主人公たちであり、特に蒼崎青子なのだと私は思っています。
 蒼崎青子についての話は次回に続きます。


●死徒に関する余談1:ズェピアと第三

『MELTY BLOOD 路地裏ナイトメア』には、「ズェピアは(第六ではなく)第三魔法に挑んで敗れた」と書いてあります。

 結末は虚しく
 タタリと成り果てるも
 第三魔法という夢に
 挑み敗れたがゆえ
『MELTY BLOOD 路地裏ナイトメア(1)』桐島たける他 p.157



 これは、「第三魔法で人類を救おうとしたが、できなかったので、第六法の克服=世界ルールのハッキングに方法を切り替えた」くらいの受け取り方でいいのかなって思っています。

 前回のラストでちょっと書き添えたのですが、第三魔法の意義は「人間の限界の突破」。第六魔法の意義は「人類の未来をふさいでいる限界の突破」。
「人を新たなステージに導く」という点で同じ意味合いです。

 第三魔法によって人類が不滅の存在になれば滅びはスマートに回避できます。ズェピアは、それが最良の解決だと考えていたが、できなかったので、次善の策である第六法ルールの改ざんにとりくんだ。


●死徒に関する余談2:ネロ・カオスの永遠メソッド

 死徒二十七祖、ネロ・カオス氏も、なにしろ二十七祖ですから「永遠の実現」をテーマにして研究をしている見込みです。

 彼は自分の身体の中に、大量の動物を取り込んで溶かす、というアプローチをしています。このアプローチの行き着く先に「永遠の存在」が生まれるはずだ、と彼は思っていることになる。

 ズェピアは「人類が恐怖するものの情報」をやたらめったら手当たりしだい採集するという方法で、朱い月を再生しようとしていました(本稿における推定)。

 それに対してネロ・カオスは、人類ではなく「動物すべて」にアプローチしたっぽい。

 この世の動物という動物を、現実のものも幻想上のものも、ぜんぶひとまとめに自分の体内にとりこんで、どろどろのスープ状にする。

 そうすることで、生命の進化の樹形図という「秩序」をばらばらに解体して、ぐっちゃんぐっちゃんのカオス状態にする。
 取り込んだ大量の動物因子を、ランダムにシャッフルする。
 そのシャッフルを、無限に実施し続ける。

 そうするといつか偶然にも、現状の進化樹形図からは生まれ得ないような、まったく斬新な生物が発生するかもしれない。

 そういうトライをいつまでも続けたら、そのうちやがて、「現状の人類の限界を乗り越えた超人類(超生命)」が発生する可能性はゼロではない。

 そのような超人類は、おそらく不滅にして永遠の存在たりうるのではないか。そしてそのような超存在は朱い月の素体となりえるのではないか。

 というようなことをネロ教授は考えてたりしないかなあ、というぼんやりとした仮説です。


●死徒に関する余談3・ロアの場合

 ミハイル・ロア・バルダムヨォン氏は死徒二十七祖に匹敵する力を持った死徒ですが、なぜか死徒二十七祖にカウントしてもらえない(他の二十七祖が認めてくれない)という扱いになっています(注:旧設定)。

 これは、ロアが採用した永遠の実現方法が、朱い月の復活に一切寄与しないから、ではないかと考えました。

 ロアの手法は、「自分が死んだら、別の人間に乗り移って復活する」というものです。ロア個人は永遠に生き続けられるでしょうが、これを何百回くりかえしたところで、「朱い月の依り代になれる永遠に不滅の肉体」が生成されることはありません。

 死徒二十七祖の存在目的は朱い月に物理的な永続性をもたらすことなので(たぶん)、それをする気がないロアは死徒二十七祖に仲間として認められることは決してない……くらいに考えると整合感はあります。



●追記・結局「第六法」って何なの?

 ちょっと追加説明しといたほうがいいかなと思ったので、追記。

 本稿の説では、「第六」「第六法」の意味が複数あります。とっちらかって混乱しそうなので、まとめておきます。
(以下すべて「本稿における説では」です)

 まず、「第六法」のいちばん大きな意味は、
「この世のシステムに書き込まれた《人類はいずれ必ず滅ぶ》という絶対的ルール」
 です。

 ズェピアが第六法に挑んで敗れ、その結果、霧散してしまった……という「第六法」がこれです。
 滅亡要因は複数用意されており、どれかひとつでも起動したらおしまいというものです。
 第六法を克服することが「第六魔法」です。

 次に、メレム・ソロモンが「第六は死徒たちにとっての悲願だ」といったり、朱い月がズェピアに向かって「その身が第六と成る事はない」といったりするときの「第六」
 タタリモードのズェピアや、ネロ・カオスなど、研究者タイプの死徒が目指しているものです。

 これは「朱い月になること」
 具体的には「自らに朱い月を憑依させること」「自分の身体を、朱い月が降臨してくるにふさわしいだけのクオリティを備えた状態に作り替えること」です。

 死徒が用意する「朱い月の身体」は地球産ですから、抑止力による排斥対象になりません。この形で復活した朱い月は、どんなに悪辣非道なことをやらかしても誰にも止められないという状態になります。
 朱い月はこの状態になったら、誰に邪魔されることもなく人類を皆殺しにします。つまり「人類は滅亡するというルール」の意味での「第六法」が実現します。だから「第六」と呼ばれている。

 最後に、死徒トラフィムがアルズベリで実現しようとしている「儀式としての第六」。これは本稿の説では、
「死徒二十七祖のうち6名を六身合体させ、人類の生命を吸い上げ、ひとつの偉大な存在=the dark sixに変える」
 というものです。

 朱い月はthe dark sixに憑依することが可能、という想定です。the dark sixが生まれても、そこに朱い月が乗り移っても、人類は滅ぶことになるので、「人類滅亡ルール」の意味での「第六法」が成り立つことになります。

 ようするに死徒たちは、第六法の手段のことを第六といっている。死徒たちのいう第六の具体的な方法は朱い月が地球産の肉体をそなえて復活することだ。

 私の頭の中にあるイメージはこんな感じです。


 今回はここまで。続きます。次回は、「蒼崎青子は何を求めてどこへ行くのか」。


 続きはこちらです。TYPE-MOONの「魔法」(7):蒼崎青子は何を求めてどこへ行くのか

※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
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TYPE-MOONの「魔法」(5):第六法という人類滅亡プログラム

2022年03月26日 13時31分12秒 | TYPE-MOON
TYPE-MOONの「魔法」(5):第六法という人類滅亡プログラム
 筆者-Townmemory 初稿-2022年3月26日



 今回は第六魔法と第六法を取り上げます。

 本稿はTYPE-MOON作品の世界観に設定されている「魔法」に関する仮説です。五回目です。第一回から読まないと意味をなしません。以下のリンクから順番にお読みください。

 これまでの記事は、こちら。
 TYPE-MOONの「魔法」(1):無の否定の正体
 TYPE-MOONの「魔法」(2):初期三魔法は循環する
 TYPE-MOONの「魔法」(3):第四魔法はなぜ消失するのか
 TYPE-MOONの「魔法」(4):第五の継承者はなぜ青子なのか


●第六って本当に良いものかしら?

 まだ実現されてはいないが、『第六魔法』というものが予見されています。

『空の境界』の限定愛蔵版に付録としてついてきた「空の境界設定用語集」に、
「まだ実現できていない魔法を黒桐幹也が言い当てている」と書いてあるそうです(筆者は未見)。

『空の境界』に、こんなくだりがありました。

 いつか――人間は魔法そのものを排除してしまうだろう。幼い頃、不思議に思えた様々な出来事に惹かれて科学者になった青年が、研究を重ねるうちにその不思議自体をただの現象に引きずり下ろしてしまうみたいに。
「ふぅん。そうなると最後の魔法っていうのは、みんなを幸せにする事くらいになっちゃうな」
奈須きのこ『空の境界 上』講談社ノベルズ版 p.327



 なので、大雑把にいうとこうなります。

・第六魔法には、「みんなを幸せにする」と表現できるような現象が付随する。

 これはハッピーですね。いいですね。
 と、言い切れればよかったんですが、どうも額面通りでないふしがある。例えばこれ。

三つ目で終わっていれば良かったのに、と誰かが言った。
『魔法使いの夜』



『魔法使いの夜』の地の文には、「第三魔法までで打ち止めだったらよかったのに、その後にいろいろ出てきたからいけない」というぼやきがあるのです。

 本稿(一連の投稿)の説では、第一から第三までの魔法は、「循環しながら人類にプラスの効果をもたらす」ものでした(初期三魔法循環説)。おおむね、いいことずくめだったのです。

 ところが、本稿(一連の投稿)の説における第四魔法は、
「この世界(宇宙)が、まるごと無に飲み込まれる危険がある」
 というものでした(第四魔法=非実在世界観測説)。

 また『魔法使いの夜』で語られたことによれば、第五魔法は「使いようによっては宇宙の終焉が早まる」といったことがあるようです。

 この流れでいくと、

・第一から第三まで:人類にプラスの効果をもたらす。
・第四から第六まで:人類にマイナスの効果をもたらす。


 というような構成になっていそうな予感がぷんぷんする。


●第六魔法と第六法って同じものなの?

『メルティブラッド』シリーズには、「第六法」「第六」という用語が、何の説明もなしに使われています。

 第三魔法のことを「第三法」、第五魔法のことを「第五法」と呼ぶような用例があるので、「第六法とは第六魔法のことだろう」と多くの人が考えています

 用例を抜き出してみましょう。

 招集される祖は少なくとも六鬼。
 第六は死徒たちにとっての悲願だ。
『Character material』


(ネロ・カオス)
この世の果て、秩序が第六に敗れるその日まで、秩序の裏で生き続けよう
『MELTY BLOOD Re・ACT』


(暴走アルクェイド=朱い月が、蒼崎青子に対して)
忌まわしい秩序の飼い犬……!
第六法を待つまでもないわ、おまえたちは私の手で一人残らず消し去ってやる……!
『MELTY BLOOD Re・ACT』



 どうも不吉なことしか言ってない感じですね。

 ここで書いてあることをわかりやすく言い換えてみると、

・「第六」は死徒(後天的吸血鬼)たちが実現したがっていることだ。
・いずれ秩序は「第六」に敗北するだろう。
・「第六法」がやってきたらおまえたちは死ぬが、そのまえに私(ここでは朱い月さん)がおまえたちを殺す。


 ちなみに、これらのことを言っている話者は、全員が吸血鬼かそれに類する人です。細かいところをさっぴいて、フワッと印象だけ取り出すと、

「吸血鬼たちによる人類絶滅」

 にしか見えない感じです。

「第六」「第六法」が語られるとき、ワンセットで「秩序」という言葉が出てきがちなところにも、注目したいところです。
 ここでいう「秩序」って、どういう意味なんだ。

 暴走アルクェイド(朱い月)に「秩序の飼い犬」って呼ばれているのは第五魔法の使い手・蒼崎青子です。
 蒼崎青子は、人類のために戦っている感じがひしひしとする人ですし、この語が使われている状況をざっと眺めてみると、おおざっぱに、

「人間が世界を支配しているという現在の状況」
 くらいのことを、「秩序」って呼んでいるっぽい。

 ……ちょっとだけ余談になりますが、秩序がそのくらいの意味だとすると、これは『FGO』で語られている、
「人理」
 という言葉に、ちょっと意味が近い。
 こちらによれば、人理とは「人類をより強く永く繁栄させるための理」だそうです。

 ようするに、死徒たちによって「第六法」が成立したら、人類社会は終焉をむかえる(秩序が第六に破れる)し、人間は絶滅するだろう、くらいのことが言われていそうだ。

 この語(第六)のイメージは、第六魔法として語られている「みんなを幸せにする」とはまったく正反対だ。

 だから、いったんこういう仮説を置くべきだと思うのです。

「第六魔法」と呼ばれているものと、「第六法」(第六)は、別のものである。
・第六魔法は、人類の幸福という効果をもたらすものである。
・いっぽう、「第六」のほうは、吸血鬼たちによるアポカリプス計画である。


 ただ、全然関係ないものかというと、そうでもなさそうで、密接に関係しているというかほとんど表裏一体のもののような感じもしています。けれど、まずはいったん「両者は別もの」として考えてみたらどうでしょう。

 とにかくまずは上記のような「仮説」を置いて、間尺に合わないところが出てきたら修正していきましょう。


●朱い月のブリュンスタッド登場

「朱い月のブリュンスタッド」という人物がいて、TYPE-MOON世界観における、黒幕中の黒幕とされています。
(そもそも「TYPE-MOON」とは、朱い月のブリュンスタッド氏のことです)

 この人は「月の王様」とも呼ばれていて、ザックリした言い方をすると「月の意思が人の形をとったもの」くらいの感じ。

 朱い月のブリュンスタッドが地球にやってきた目的は、「地球をまるごと自分のものにする」ためでした。

 でも地球には「星の抑止力」「霊長の抑止力」というふたつの防御機構があります。星の抑止力は地球にとって危険な異物を排除するシステム。霊長の抑止力は人類にとって危険なものを排除するシステムです。

 朱い月のブリュンスタッドは、いずれ自分が抑止力によって消滅させられることはわかっていたので、あらかじめ自分のスペアボディを作っておくことにしました。自分が消滅しても、スペアボディに乗り移って復活すればいいという考えでした。
 地球で作ったスペアボディは異物ではないので抑止力の排除対象にならないというもくろみもありました。

(『歌月十夜』に、朱い月と同等の純度を持った肉体が発生したら、そこに朱い月が憑依する、という意味のことが書いてある)

 まず、地球の意思をだまして、自分そっくりの生き物を生成させました。この生き物を「真祖」といいます。真祖は、人間は比較にならない超高性能の人型生物となりましたが、朱い月の身体として使用するにはちょっと性能が足りなかった。
 しかも、朱い月をモデルに作ったので、朱い月と同様の「人間の生き血を吸いたがる」という欠陥を抱えてしまっていました。

 しかたないので朱い月は、「死徒二十七祖」という制度を作ったようです。
 死徒というのは、(おおむね)真祖に噛まれて吸血鬼になった元人間たちです。朱い月は、死徒の中で特に力のある者たちに、「決して劣化することなく永遠に生き続ける存在になる方法」を探求させている……らしい。
 死徒二十七祖の誰かがこの研究に成功したあかつきには、それを自分の素体として、自分が永遠の存在になる……といったことを模索したもようです。

(またおなじく『歌月十夜』に、「朱い月の憑依できる真祖が生まれないので、しかたなくわるあがきとして死徒二十七祖を作ってみた。アルトルージュはそこそこうまくできたけど朱い月が憑依できるほどの純度ではない」くらいのことが書いてある)

 朱い月のブリュンスタッド本人は、現在は第二魔法の使い手ゼルレッチによって滅ぼされており、自分の素体となりうる存在が世界のどこかに発生する日を待っています。ようするに復活の日を待ち望んでいる魔王なんだって考えるとわかりやすい。

 そんな朱い月さん。前項の引用分で示したとおり、「第六法が成り立ったらおまえら全員滅ぶんだ」みたいなことを言っております。
 そして朱い月の配下である死徒たちは、「第六は死徒の悲願だ」と言っているわけです。

 以上のような情報を、ふわっとつかんでふわっとまとめると、だいたい以下のような感じになるんじゃないか、と私は考えるのです。つまり、

・朱い月は、「私一人の値打ちは《全人類の全生命》とだいたい同じくらいだ」と思っている。
(天秤に乗せたら、自分一人と全人類でだいたい釣り合うか、ちょっと自分のほうが重い、くらいに思ってる)

全人類の命を吸い上げてひとまとめにし、それを人型に成形したら、私が憑依するにふさわしい永遠の存在になりそうではないか。

・そのために死徒を使えばいい。

・死徒二十七祖たちに人間の命を一人残らず吸い上げさせ、ブクブクに太らせたあげく、その二十七祖たちを融合させてひとかたまりにすれば、「全人類の命をひとつにまとめたもの」ができる。

・これで人型を作れば、私はそこに降霊して、完全復活することができる。


 この計画および目的の成就のことを「第六」っていってそうな感じがするのです。

『メルティブラッド Re・ACT』で、暴走アルクェイド=朱い月は、殺した相手にこんな言葉をかける。

(暴走アルクェイド)
先に逝きなさい。
いずれ、みんなソコに連れて行ってあげるから。
『MELTY BLOOD Re・ACT』



「ソコ」とは第六。第六が成就したら、人類の命はすべてひとつにまとまり、朱い月を構成する要素になる。

 そういえば、なぜメルティブラッドは『メルティブラッド』という名前なのか。
 人間の《血》を際限なく吸い上げて集積し、その集積した血も《溶かして》まとめて一つにし、「ひとつの究極の存在」を作る計画の一端だから……みたいなふうに考えれば、それなりに筋が通る。


●闇色の六王権

 さっき「人の血を集めさせた死徒二十七祖を溶かしてひとかたまりにする」と書きましたが、二十七体でなくとも、「六体」あればよさそうな感じです。

 というのも、旧設定の死徒二十七祖の第二位に「the dark six」という、めちゃめちゃ思わせぶりなやつがいるからです。

2/the dark six
 最初の死徒。闇色の六王権。現在蘇生中。
 蘇生した暁には死徒二十七祖を束ねる、といわれるがコレの正体を知る使徒はいない。
宙出版『月姫読本 PLUS PERIOD』p.181



「six」で「六王権」なので、「こいつ第六と何か関係あるんじゃないの」というのは、かなり昔からユーザー内で言われてきました。

『月姫』のファンディスク『歌月十夜』に、いつか発表されるかもしれない幻の『月姫2』の予告編が収録されています。
 それによれば、『月姫2』の正式タイトルは『月姫2 The Dark Six』とのこと。

 予告編内には、誰とも分からない謎の人物の、こんなセリフが入っています。

―――私を含めて祖は六人。条件付けも素晴らしい。
   これならば―――六王権が発動する。
『歌月十夜』



 そして前にも引用した通り、『Character material』にはこういう地の文があります。

 招集される祖は少なくとも六鬼。
 第六は死徒たちにとっての悲願だ。
『Character material』



 情報のスキマを埋めると、以下のようになりそうだ、と考えます。

「死徒二十七祖のうち6人が集まれば六王権が発動し、the dark sixがよみがえる。それこそが『第六』である」

 前段で展開した仮説と足し合わせるとこうなる。

「the dark sixとは、人の血を吸い上げて強力な存在となった死徒6名を融合し、朱い月を降臨させるための素体とする儀式である。死徒たちはこれを『第六』と呼んでいる」
(この過程、もしくは結果において、全人類の命は吸い上げられて絶滅する)

(地球表面に貼られている織物テクスチャーをバッとひっぺがしてきんちゃくみたいにキュっと絞れば、人類の生命がひとかたまりになるのかもしれないし、ついでに地球は朱い月の望み通り真世界に戻るのかもしれない)


●冬木の聖杯システムとの類似

「6名の強大な存在を融合してひとつにする」
 というアイデアをOKだとすると、これは、

「冬木の聖杯システム」

 の構造と酷似しています。

 冬木市の聖杯戦争(そのシステム)は、
「英霊6人ぶんの魂を融合して奇跡を起こす」
 というコンセプトで成立していました。

 酷似しているというか、生成物以外はまったく同じだ。

 本稿(一連の投稿)が提示している説では、冬木の聖杯システムは、
「ジーザス・クライスト(イエス・キリスト)を擬似的に再生する儀式」
 です。

 並べるとこうなる。

・冬木聖杯戦争:英霊6名を融合して「神の子」(救済)を再生する。
・the dark six:死徒6名を融合して「魔王」(絶滅)を再生する。


 奈須きのこさんはウェブ日記で、
「Fateの世界と月姫の世界は、同一ではなく、ルールが異なる並行世界だ」
 ということを発言なさっています。

 英霊がサーヴァントとして使役できるFate世界と、
 英霊なんて強大な概念を“自律した使い魔”なんて術式に落とし込めるワケねーだろ、という月姫世界ですね。

Fate世界の下地は『人類史を肯定するもの』なので英霊も主役として考えられますが、
月姫世界の下地は『人類史を■■するもの』なので、その敵対者である死徒たちが主題となる、みたいな違いです。
『竹箒日記 : 2017/04』(■■は原文ママ)



 ■■のところには、否定とか焼却とか「吸血」とかいった、ようは著しくマイナスの意味を持つ言葉が入るのだと思います。

 奈須きのこさんがおっしゃるには、月姫の世界では英霊召喚はできない

 ということは、Fate世界には冬木の聖杯システムが存在するが、月姫世界には聖杯システムも冬木の聖杯戦争も存在しないことになる。

 ここからは私の考えですが、月姫世界には「冬木聖杯システムが存在しないかわりに」the dark sixが存在するってことなんじゃないかと思うのです。

 ようは、冬木の聖杯システムとthe dark sixは「並行世界における同一存在」。本質的に同じものなので、ひとつの世界にはどっちか片方しか存在できないという関係にあるのではと考えました。

 とある一人の人物が、あっちの並行世界では善人だが、こっちの並行世界では大悪党だ、というようなことは、ありうることでしょう。英霊エミヤとエミヤオルタなんて、まさにそういう例でした。
 冬木聖杯とthe dark sixはそういう関係にあるのではないか。「六体融合の大儀式」というアーキタイプがあって、Fate世界では善性のものとして顕現し、月姫世界では悪性のものとして顕現する。

 そういうものとして見ることは可能かな、と考えました。

 Fate世界には、死徒二十七祖に相当する吸血鬼は存在しているものの、「死徒二十七祖という枠組み」は存在していないとされます。

 これは、「ゲーティアの人理焼却計画と、死徒二十七祖による人類総吸い上げ計画は、並行世界の同一存在だから」じゃないかと思うのです。
 ようは「全人類の成果そのものをエネルギーに変換して大それたことをする」というアーキタイプがあって、Fate世界ではそれがゲーティアの人理焼却計画としてあらわれ、月姫世界では死徒二十七祖による第六としてあらわれる、くらいに考えると、私は個人的にすっきりします。


●ズェピアが挑んで敗れた第六法

「第六法」という言葉がやたら乱舞する作品といえば初代『メルティブラッド』。

『メルティブラッド』の黒幕ズェピア・エルトラム・オベローン(ワラキアの夜・タタリ)は「第六法と呼ばれる神秘」に「挑んで」「敗北した」とされます。

 第六法とは、「挑んだり」「敗北したり」することができるものであるらしい。

 ズェピア氏は、元アトラス院の錬金術師。
 アトラス院は、魔術でスパコン的なものを作り、計算によって未来予知をしています。

 未来予知の目的は「人類の滅亡を防ぐ」こと。
 アトラス院の錬金術師は、「あ、このままいくと人類滅亡ルートだ」ということがわかると、そのルートに入り込まないように人類の選択肢を軌道修正する……ということをやっている模様です。

 ようするに人類の歴史がアドベンチャーゲームだとすると、
「この選択肢を選んだらバッドエンドにいってしまう」
 ということをあらかじめカンニングして、ちゃんと生存ルートを選ぶようにする。

 ところが天才ズェピアは、未来予測の結果、
「どこでどんな選択肢を選んでも人類は絶対にバッドエンドにいきついて滅亡する」
 ということを知ってしまった。

 どんなに対抗策をねりあげても、滅びの未来しか見えない。

 ズェピア氏は狂い始めた。狂ったまま滅びの回避方法を模索し続けた。その手段のひとつとして、自分を吸血鬼(死徒)化した。死徒になれば寿命も大幅に増えるし、能力も増強する。そうすれば計算量もあがるし、滅びの回避のためにできることがふえる。

(シオン)
 ズェピアと呼ばれた死徒は第六法と呼ばれる神秘に挑み、これに敗北したと言います。
 ……それでも流石に死徒と言うべきでしょうか、彼は完全に敗北した訳ではなかった。

 システムそのものを書き換える事はできませんでしたが、システムに留まる事はできたのです。

 第六法に敗れたズェピアの体は霧散した。
 けれどその霧散は彼が望んだ通りの霧散でした。
『MELTY BLOOD』(傍線は引用者による)



 重要な情報をまとめます。

・ズェピアの目標は人類滅亡の回避であった。
・ズェピアは第六法に挑んだが、敗北した。
・ズェピアはシステムを書き換えようとしたが、できなかった。


 この三つをひとつにまとめて、方向性を与えてみると、以下のようになるんじゃないかと思うのです。

・この世界には、「人類は必ず滅ぶ」というシステム(プログラム)が書き込まれている。このプログラムを「第六法」という
・ズェピアは、このプログラムを書き換えることで、人類滅亡を回避しようとした。
・しかしズェピアは書き換えに失敗した。
・世界に組み込まれた「プログラムを書き換えようとする者を排除するシステム」に攻撃されて、ズェピアの身体は霧散した。


 そう。これまでは、「第六とは死徒たちによる人類滅亡&朱い月復活プログラムだ」としてきましたが、もうちょっと広く意味がとれそうなのです。

「この世には、人類が必ず滅ぶ、という運命があらかじめ書き込まれている。『第六法』とは、この滅び、および滅びが記述されたシステムのことである

 第六法とは、絶対に回避できない人類滅亡のことである。

 ようするに、人類は環境汚染で滅ぶ。
 核戦争で滅ぶ。
 巨大隕石の衝突で滅ぶ。
 パンデミックで滅ぶ。
 死徒二十七祖に血のすべてを吸い尽くされて滅ぶ。
 ゲーティアの人理焼却で滅ぶ。
 アンリマユの泥に飲み込まれて滅ぶ。
 プライミッツ・マーダーに全員噛まれて滅ぶ。
 人間嫌いの荒耶宗蓮が根源に到達したことで滅ぶ。
 オシリスの砂に人類全員賢者の石に変換されて滅ぶ。
 朱い月によって滅ぶ。
 何かの理由で滅ぶ。

 このどれかが起こって滅ぶ。

 ひとつの理由を回避しても、別のものが発生して滅ぶ。

 滅びは必ず起こり、決して避けることができないという絶対のルールが「第六法」である。

 このうち、死徒二十七祖がセリフとして言う「第六」は、「朱い月の復活に伴う人類絶滅」を指す場合がほとんどである。(彼らはそれを実現しようとしているので)

 ズェピアは、「人類は必ず滅ぶ」という絶対のルールを、消しゴムと鉛筆で書き直そうとした。カーク船長が試験用プログラムを改ざんしてコバヤシマルテストをクリアした、みたいなことをしようとした。

『メルティブラッド』の主人公シオンは自称・霊子ハッカー。そしてズェピアはシオンの大師父。ズェピアもまたハッキングの達人であり、彼は「世界のルールをハッキング」しようとした……という考えは、私には腑に落ちます。


●第六魔法はすでに試みられている

 人類は必ず滅ぶという絶対のルールが第六法である。
 そのルールを実現するために、世界には大量の人類滅亡要因が配置されている。一個や二個、克服したところで、別のやつが起動して滅ぶ。

 だけど、当然、その運命をただいたずらに受け入れるような人類ではないわけです。

 TYPE-MOON作品の主人公たちは、だれもかれもみな、その運命と闘ってきたのではなかったか

 衛宮士郎とセイバーはアンリマユという人類滅亡要因に挑戦して克服しました。
 ゼルレッチは朱い月という人類滅亡要因を一度はしりぞけた。
 ズェピアは世界のルールをハッキングすることで克服しようとした。
 死徒二十七祖トラフィム派の第六計画は、遠野志貴とエンハウンスが『月姫2』で阻止する予定だ(たぶん)。
 そしてカルデアチームは、「ゲーティアの人理焼却」と「プライミッツ・マーダー」という、ふたつの人類滅亡要因をいちどに克服することに成功した。

 人間が死ぬこと、人類が滅ぶことは、(ちょっとおかしな少数の人物を除いた)大多数の人類にとって「不幸」であるはずです。

 その不幸をなんとかして克服しようとする人たちがいる。それが描かれている。

 もしそれが克服されたとしたら、どうなるか。
 人類が滅びに瀕し、だれもかれもがあきらめかけたところで、ぎりぎり滅びが回避される。
 そのとき人は、まず泣いて、それから笑顔になるのではないだろうか。

 命がつながり、人類の命運がつながる。それは幸せそのものではないだろうけれど、「幸せになるための次の一歩」を踏み出す余地は残される。「みんなが幸せになる」という願いの土台は残される。

 私は、フワッとこういうことを思うのです。

「魔法」とは、「どんな手段をとったとしても絶対に実現不可能なことを実現すること」でした。

 今、ここに、「人類は必ず滅ぶ」という、どんな手段をもってしてもくつがえせない現実があります。

 だから私の説ではこうなる。

 第六魔法とは、「《人類は必ず滅ぶという絶対のルール=第六法》の克服」だ。

 だからこうなります。

 第六法は、人類全体が一丸となって克服しなければならないものだ。
 人類の終末を回避して、みんなで幸せになること。少なくとも、その手がかりを掴むこと。
 それはおそらく、特定の個人が根源に接続して、奇跡の力でなしとげるものではなさそうだ。
 人類全員で第六法を克服することが第六魔法だ。
 それをなしとげたとき人類という群体ひとまとまりが魔法使いだ

 TYPE-MOON作品で書かれていることは、ほとんどすべてが第六魔法実現のための人間たちの苦闘だ。

『FGO』第一部の結末にて、どうして「人類滅亡要因プライミッツ・マーダーの克服」という物語が置かれているのか。

 それは、『FGO』で真にフォーカスされていたのは、「ゲーティアの人理焼却の阻止」ではなかったから。
 もっと大きな視点で、「人類が、滅亡要因をひとつひとつ克服していく」という姿を描くことが意図されていたから。
 だと、私は思っています。


●初期三魔法を裏返したもの

 ここまで論じてきた私の説をOKだとすると、初期三魔法(第一から第三)を、くるっと裏返したものが後期三魔法(第四から第六)だといえそうです。

 裏返した……というか、第一から第三と、第四から第六は、一対一で対応していそうな感じがする。

 以下のようなことです。

■第一魔法:根源の「存在」の発見
■第四魔法:根源の「不在」の発見
●共通点 :世界のありかたを再定義した

■第二魔法:現行世界と無関係な別世界の事象の入手
■第五魔法:原因と結果の間にある関係性の操作
●共通点 :擬似的な現実変更・疑似時間旅行・使用者の現存

■第三魔法:個体としての人間の限界の突破
■第六魔法:人類の未来をふさいでいる限界の突破
●共通点 :人を新たなステージに導く・現状実現不能



 今回はここまでです。次回の内容は、ズェピアの思惑、第六魔法の話の続き、ネロ・カオス、ロアに関する余談。


 続きはこちらです。TYPE-MOONの「魔法」(6):「第六法」と「第六魔法」という双子

※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
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TYPE-MOONの「魔法」(4):第五の継承者はなぜ青子なのか

2022年03月16日 11時30分07秒 | TYPE-MOON
TYPE-MOONの「魔法」(4):第五の継承者はなぜ青子なのか
 筆者-Townmemory 初稿-2022年3月16日


 今回は第五魔法を取り上げます。

 本稿はTYPE-MOON作品の世界観に設定されている「魔法」に関する仮説です。四回目です。第一回から読まないと意味をなしません。以下のリンクから順番にお読みください。

 これまでの記事は、こちら。
 TYPE-MOONの「魔法」(1):無の否定の正体
 TYPE-MOONの「魔法」(2):初期三魔法は循環する
 TYPE-MOONの「魔法」(3):第四魔法はなぜ消失するのか


●第五魔法:青

 第五魔法というものがあり、使用者が現存しています。
「魔法:青」と呼ばれています。

 現在の使用者は蒼崎青子(蒼崎橙子の妹)。
 この魔法を開発したのは蒼崎姉妹の祖父にあたる魔術師で、蒼崎青子は祖父から魔法を継承したという扱いになっています。

 姉の青崎橙子は天才で、生まれ持った魔術刻印も芸術品クラスの一級品。いっぽう妹の青子は凡才で魔術刻印も平凡。しかし、「この魔法には青子の魔術刻印のほうが向いてる」という祖父の判断で、魔法は青子のほうに継承されました。
 そのことで姉妹はいがみあって、しょっちゅう殺し合いをしているという感じです。

『魔法使いの夜』で、青子は魔法らしき現象をいくつか発生させています。

 ひとつは、彼女の友人静希草十郎が致命傷を受けたとき。彼の「死の瞬間」をはるか未来へ吹き飛ばすということをしています。草十郎が死ぬ瞬間をどっか知らない未来に置いてきてしまったため、彼は「いずれ絶対に死ぬけどまだ死んでない」という状態がずっと継続しており、事実上、「死の結末をのがれた」ことになりました。

 もうひとつは、「10年の経験を積んだ未来の自分」を現在に取り寄せる、という現象です。これにより彼女は「成長しきって完全な戦闘力をそなえた状態」になり、青崎橙子の撃退に成功しました。

 さて、こうした現象を可能とする「魔法」とは、いったい何なのかを知りたい。


●パラドキシカルな方法論

 ここで前回のおさらい。

 第四魔法は、
「根源に到達するために、根源の存在しない世界を求める」
 という、きわめて深刻な矛盾をはらんだ方法論でした。
前回をご覧下さい)

 これはきわめてパラドキシカルな発想です。
 だって「根源が存在しない世界があれば根源に到達できる」って言ってるのですものね。言葉尻だけとらえれば、なんじゃそりゃって話です。

 そんなんアリなんか……。
 それがアリなら結構なんでもアリなんじゃないか?

 ……と考えた、お調子者の魔術師がいたのだと思います。
 それは私の説では蒼崎姉妹のおじいちゃんです。


●根源に到達するためのエネルギー

 このシリーズでは何度も同じことを言っていますが、
「無限に近い膨大なエネルギーがあれば、根源へつながるルートが作れる」
 という大前提があります。

 ゼルレッチは「並行世界から魔力を収集して膨大なエネルギーをためる」という方法で根源へのルートを確立しました(推定)。

 第三魔法の産物であるジーザスは「物質化された魂でである自分自身」から膨大なエネルギーをくみだして、世界の外殻に風穴をあけ、根源を見いだしました(推定)。

 冬木の聖杯システムは、「英霊6名の魂を集めてひとかたまりにし、膨大なエネルギーに変えて、世界の外殻に穴をあける」という方法で根源に到達しようとしました(事実)。

 ようするに常識外れの巨大なエネルギーがあれば、根源に到達できる。
 魔法使いになりたい魔術師たちは、なんとかして膨大なエネルギーを一カ所に集めることはできないか、ということを模索しているはずだ。

 どうして根源になかなか到達できないかというと、ほぼ無限に近いような膨大なエネルギーを集めることが困難だからだ。

 そうして根源に到達した場合、何が手に入るかというと、根源はエーテルの発生源なので(推定)、膨大なエネルギーが手に入るのです。

 魔術師たちがやっきになっている「根源への到達方法の探求」は、

「根源に到達すれば無限のエネルギーが得られるが、到達するためには無限のエネルギーを必要とする」

 という、ニワトリタマゴのとんちのような、きわめてパラドキシカルな問題になっている。そのように評価できます。


●トンチのきいた蒼崎祖父

 さて、ここに蒼崎姉妹の祖父にあたる魔術師がいました。
 この人も魔術師なので、根源への到達を最終目的にしていた。

 なので彼は、どうしたら根源に到達できるのか、どうして今まで根源に到達できないのかということを本質的なところで考えた。

・膨大なエネルギーがあれば根源に至れる。
・根源に至れば膨大なエネルギーを得られる。


 そこでトンチのきいた蒼崎のおじいちゃん、こういうことを言い出したとしたらどうでしょう。

「根源に到達しさえすれば、膨大なエネルギーが手に入るんだからさぁ……」

「根源に至ったときに得られるエネルギーを使って根源に至ればいいんじゃね?」


 つまりは、「因果」(原因と結果の関係性)を操作することができればいい。
 この場合は、原因と結果の順序をひっくり返すことができればいい。

 まず「根源に到達した」という結果を発生させてから、そのあとで「根源に到達するための膨大なエネルギーを放出する」という原因を発生させればいい
(根源に到達すれば膨大なエネルギーが得られるのだから、まず根源に到達してエネルギーを得てから、それを放出すればよい)

 だけどそんなことどうやって実現するんだ……という話になりますが、この「因果の逆転現象」、どうやら神々の住まう神代においては部分的に実現できていたらしいじゃん、ということに蒼崎祖父は気づく。

 たとえばクー・フーリンが持っていた宝具ゲイボルグ。これは「因果を逆転し、まず『目標に当たる』という結果を発生させてから、原因となる槍投げを行う」なんていう特殊効果を持った槍でした。
 また、バゼットが代々受け継いでいた法具フラガラックも、よく似た因果逆転の能力を持っていました。

 こういうのを研究して、
「根源に到達するという結果を発生させてから、膨大エネルギー放出という『原因の槍投げ』を行う」
 という現象を、たった一回限りでよいから大々的に再現することができれば、根源に到達することができる。

 上記のようなことを蒼崎祖父は実現したんだろう、と、私は考えます。

 だから私の説ではこうなります。
「魔法:青の正体は『因果の操作』である」


●青子が実現した奇跡のしくみ

 なぜ「因果の逆転」ではなく「因果の操作」なのかというと、
「静希草十郎の死の瞬間をはるか未来へふっとばす」
 ということをしているからです。

 静希草十郎の死を遠くに吹き飛ばすためには、「静希草十郎が致命傷を受ける」という原因と、「静希草十郎が死ぬ」という結果を結んでいる細い糸を、びよんびよんに引き伸ばして遠くに放り投げる、ということができないといけません。

 これは単純な位置の入れ替えでは説明がつきません。
 だから「操作」だとしています。

「10年後の自分を今ここに取り寄せる」という現象は、「今の自分という原因」と「未来の自分という結果」の間に結ばれている糸を、きゅっとたぐりよせることで実現しているのかなと思います。
(今の自分と未来の自分を「逆転」させることでも同様の現象は起こせそうな気がする)

 おそらく、根源に至るために使用されたメソッドが「因果の逆転」で、根源に至ったことで手に入った魔法が「因果の操作」なのじゃないかな、と考えます。
(「因果の操作」の中に、逆転も含まれる)

「因果関係をいじくる術」を開発して根源に到達してみたら、そこで手に入ったのは「因果関係をいじくる術」だった……いわば「宝は宝の地図だった」ということになるので、結末としても、ますますトンチがきいている。
(ひょっとしてこれが、「そして終わりの五つ目は、とっくに意義(せき) を失っていた」というフレーズの意味かもしれない)


●青子が後継者に選ばれた理由

 蒼崎青子は、「静希草十郎が死なないという別の結果」を用意することはできなかったようなので、「ひとつの原因から発生しうる別の可能性を選ぶ」というようなことは、おそらくできないっぽいですね。

 おそらく、青子の第五魔法の範疇では、「原因と結果は一意に紐づいていて、それを任意に切り離したりはできない」ように見えます。

 そしてそのこと自体が、
「第五魔法の後継者として青子が選ばれた理由」
(天才・蒼崎橙子が選ばれなかった理由)
 だと考えます。

 奈須きのこさんはウェブメディアのインタビューでこんなことをおっしゃってました。

4Gamer:
 続編があるということで,どうしても気になってしまうのですが,橙子ではなく青子が蒼崎の後継者に選ばれた理由というのは,作中では明確に語られていませんよね? これは今後のお楽しみ,ということなんでしょうか。

奈須氏:
 ヒントは散りばめてますから,勘のいい人は気付くと思いますけど。青子の魔術回路の構造がヒントです。橙子の魔術回路は業界屈指のものだけど,蒼崎の第五魔法にはそんなもの必要なかった。むしろ青子の単純さこそもっとも適している,みたいな。
TYPE-MOONの原点を辿る「魔法使いの夜」インタビュー。奈須きのこ&こやまひろかず&つくりものじ氏の3名に聞く,ノベルゲームの未来と可能性
(4gamer.net)



 これはたとえばの話なんですが、もし仮に第五魔法が、
「十択の選択肢を百回連続で正解したら望む結末が得られる、その百回の正解を計算で導き出す」
 というような、アトラス院がやってるような方法論だった場合、ものすごく複雑で精緻で計算力が高そうな魔術刻印を持った蒼崎橙子がまちがいなく後継者として選ばれたでしょう。

 だけど本稿で提案している「第五魔法:青」の正体は、そんなややこしいしろものじゃありません。

 一対一で対応している「原因」と「結果」を、最短距離で、なるべく力強く「直線的に」結ぶことができればOKなのです。

 蒼崎青子の魔術刻印は、性能としては人並み程度とされていますが、そのかわりシンプルで頑丈で、ひじょうに燃費が良いといわれています。
 そして蒼崎青子は、「ものを壊すという分野に限っては超一流の魔術師」といわれており、彼女の得意技は魔術の弾丸やビームを撃ち出すことなのです。

 あえて恣意的に言い換えれば、蒼崎青子の生まれ持った魔術刻印は「砲弾を撃ち出す大砲の砲身」のような構造であって、「自分と攻撃対象の間を直線的に最短距離で結ぶ」ことに特化したかたちをしているのです。
 これは本稿で想定している「第五魔法:青」を扱うために生まれてきたような特質だといえそうです。


●逆行運河・創世光年

 対戦格闘ゲーム『メルティブラッド』シリーズに登場する蒼崎青子は、ラストアーク(条件が揃ったときに発動できる高威力の必殺技)として「逆行運河・創世光年」という技を使います。

 本稿の説では、第五魔法の獲得メソッドは、
「通常なら原因→結果という方向にだけ流れる運河のごとき因果を『逆行』し、『創世』の力が流れ出す根源に到達する」
 というものなので、整合している感はある。

 ところで、『FGO』の1.5部ティザームービーにて、ゲーティアの企みの計画名が「逆行運河 / 創世光年」である、と明かされました。蒼崎青子のラストアーク名と、ゲーティアの大計画の名称がほとんど同じであるということになります。

極点へ至る試み
人類史全てを用いた彼方への旅
魔術王を名乗ったモノの計画
逆行運河 / 創世光年は失敗に終わった
Fate/Grand Order【新章】 -Epic of Remnant- PV



 これについて、奈須きのこさんは、前述のウェブメディアでこうおっしゃっています。

奈須氏:
 一方で,人類悪であるゲーティアは,なんだかんだ言っても人間が大好きなんで,彼なりに人間のための最適解を考え,人間が持つ苦しみをなんとか乗り越えようとした。その結果が,「もう一度,死の概念を持たない知的生命体を,ゼロから造り出して解決する」という選択だった。

4Gamer:
 その行為が,「逆行運河/創世光年」(※)なのですか?

※1.5部のティザームービーより。ナレーションにて,魔術王を名乗ったモノの計画が「逆行運河/創世光年」であると語られた。この名称は,「MELTY BLOOD」シリーズに登場する蒼崎青子のラストアークと同名である。

奈須氏:
 ええ。「ゼロに戻ってから良い前提を作り直す」というゲーティアの選択は,ある意味,魔法に近しい行為だった。あのPVはむしろ,ゲーティアを知ることで青子の痕跡や第五魔法の一端が知れるという,逆の伏線というか……。奈須きのこの,ささやかなサービス精神です(笑)。
「Fate/Grand Order」がもたらす新しいスマホゲームの形――奈須きのこ×塩川洋介が語るFGOの軌跡と未来とは
(4gamer.net)



 奈須きのこさんがここでおっしゃることによれば、「技名が同じなのは、第五魔法の中身を類推するためのヒントであるからだ」と。
 ゲーティアがやっていることを解析すれば、第五魔法の正体や、青子のやろうとしていることがわかるはずだと。そういうことをおっしゃっている(というふうに読める)。

 ゲーティアというのは『FGO』第一部のラスボスでした。
 作中、彼はこういうことを考えた。

「人類というのは、もはやこれ以上の進歩は見込めないし、何より、苦しんで生きて死んでいく姿が見るにたえない」
「そもそも、人類が『こういう生き物』として発生したこと自体がまちがいだ」

「いったん地球をリセットして、ゼロから人類をデザインしなおすことができたらいいのに」

「そうだ、現行の人類が積み上げてきた文明や、歴史の厚みそのものを燃やして燃料にすれば、その膨大なエネルギーを使って、46億年前という『地球が生まれたとき』にまで、戻ることができるんじゃないのか」

「よし、人類の歴史を燃やしたエネルギーで地球をゼロからやりなおそう」


 こういう突拍子もない計画の名前が、「逆行運河 / 創世光年」である……ということになっている。そしてこの計画名は、第五魔法の使い手の必殺技名と同名である。

 このゲーティアの計画、よく考えてみると、本稿で論じている「第五魔法獲得メソッド」と酷似しています。

 因果関係をごく単純に記述するとこうなります。

■原因:地球が誕生した。
■結果:地球上で人類が歴史の厚みを積み上げた。


「因果関係」ですので、通常、原因から結果へ、川の流れのように一方向に流れます。

 しかしゲーティアは、結果の位置に「人類の歴史の厚み」という「膨大なエネルギー源」が置いてあることに着目した。
 この膨大なエネルギーがあれば、「因果の逆転」現象を発生させることができるんじゃないのか。
 つまり、結果が先にあり、そのあとに原因が来るように、入れ替えることができるはずだ。

 人類の現状という「結果」が先にあり、そのあとに地球の誕生という「原因」が来るようにできるはずである。

 ゲーティアの行おうとしたのが、上記のようなメソッドであった場合、これは「第五魔法獲得メソッド」とほぼ構造が同じです。


●第六魔法/第六法

 そこでこういう疑問が生じそうです。

「ようするに『FGO』の第一部は、第五魔法をメインで扱った作品というわけなのか?」

 私は、どうもそうではなさそうだよね、と感じます。
 以下のように考えたいのです。

「『FGO』は、ゲーティアがやろうとしたことも、それを阻止しようとしたカルデアの面々の努力も、あらゆることをひっくるめて全てが『第六魔法』なんじゃないかな」

 そういう意味のことを次回で言おうとしています。続きます。


 続きはこちらです。TYPE-MOONの「魔法」(5):第六法という人類滅亡プログラム

※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
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TYPE-MOONの「魔法」(3):第四魔法はなぜ消失するのか

2022年02月21日 19時21分20秒 | TYPE-MOON
TYPE-MOONの「魔法」(3):第四魔法はなぜ消失するのか
 筆者-Townmemory 初稿-2022年2月21日



 本稿はTYPE-MOON作品の世界観に設定されている「魔法」に関する仮説です。三回目となります。第一回、第二回を読まないと意味が通じない内容ですので、未読の方は以下のリンクから順番にお読みください。

 これまでの記事は、こちら。
 TYPE-MOONの「魔法」(1):無の否定の正体
 TYPE-MOONの「魔法」(2):初期三魔法は循環する


●謎めいた第四魔法

 第四魔法以降の話をしていきます。

『Fate/complete material III World material.』には、第四魔法について、こんなことが書いてありました。

 第一魔法と同じく、その詳細は不明。内容についても伝わっていない。だが、現存する魔法使いたちは、この第四魔法を指して異口同音に「確かにそれはある」と、実在を認めている。また、使い手の名も分かってはいない。
『Fate/complete material III World material.』P.48



 ようするになんにもわかっていないってことです。魔法使いの名前もわからないし内容も分からない。
 ただし、「じゃあ第四魔法なんて存在しないんじゃないの?」という疑いだけは否定されている。

 ところで前回も引用しましたが、『魔法使いの夜』では、第一から第四までの魔法をこんなふうに言っています。

……はじめの一つは全てを変えた。
……つぎの二つは多くを認めた。
……受けて三つは未来を示した。
……繋ぐ四つは姿を隠した。
『魔法使いの夜』


 第四魔法は「姿を隠した」そうです。

 あやふやな情報を足し合わせると、

「第四魔法は内容も使用者もわからないが存在することだけは確か。そして使用された瞬間に、その痕跡も使用者も姿を消した」

 とまあ、こんな感じになりましょうか。

 足し合わせても、これだけではさっぱりですね。つまるところ、「第四魔法に関する情報はほとんど皆無に近い」ということになります。が。


●根源に至るための手段

 前々稿でもちょっと触れましたが、『魔法使いの夜』のなかに、魔法に関する重要な情報が出てきました。

 蒼崎橙子と蒼崎青子によれば、

・魔法には、「根源を目指すための手段」として開発されたものと、「根源に到達した結果」獲得されてしまったものがある(つまり二種類ある)。
・第一魔法は「根源に到達した結果」獲得されてしまったものである。
・第二魔法から第四魔法までは「根源を目指すための手段」として開発されたものである。
・そして蒼崎青子の第五魔法は、第一と同じく「根源に到達した結果」獲得されたものである。


 第一と第五についてはひとまず置いといて、

・第二・第三・第四魔法は「根源を目指すための手段」である。

 この情報の重要性は、第二から第四までは「根源に手を触れなくても獲得可能な魔法である」という点にあります。

 ですよね? だって、
「くそう、なんとかして根源に手を触れたいぜ。そのためにはどうしたらいいんだろう。そうだ! こんな『魔法』があったら根源に到達可能じゃないか? ようし、そんな魔法を開発してみるぞー」
 ということなのですものね。

 この話を、ちょっと言い換えてみると、こんなふうになるんじゃないでしょうか。

・第二・第三・第四魔法には、共通点がある。

 さらに掘り下げてみると、こうなりそうだ。

・その共通点とは「これを使えば根源に到達できる」というものであるはずだ。

 そして、第二魔法と第三魔法の内容は、ほぼオープンになっているので、

・第二魔法と第三魔法の間に共通点があり、その共通点が「根源への到達」と関係ありそうな場合、第四魔法もその共通点を持っているはずだ。

 その共通点とは?


●無限のエネルギーがあれば根源に至れる

 前回や前々回でもさんざ触れていますが、もう一度。

 第二魔法の内容は『並行世界の運営』。
 はっきり描かれてはいないものの、パラレルワールドの感知・観測・あとおそらく移動などを可能としているもようです。
 応用技として、「四次元ポケットを作る」「並行世界の自分が持っているスキルを取り寄せる」「並行世界から魔力を取り寄せてほぼ無限のエネルギー源として使う」などがあります。

 第三魔法の内容は『魂の物質化』。
 本来なら、むき身のまま現実世界に置いておくことが出来ない「魂」を、安定した物質として存在させることができるという魔法。
 物質化した魂の存在は不老不死・不滅の存在となるほか、魂は無尽蔵のエネルギーを内包しているため、自分自身をほぼ無限のエネルギー源として使用可能です。

 こう並べてみると、第二魔法と第三魔法の共通点はあきらかです。
「ほぼ無限のエネルギーの入手を可能とする」

 そして、『Fate/stay night』で描かれた冬木の「聖杯システム」は、以下のような方法で根源に手を伸ばそうとしていました。
「七人の英霊の魂をまとめて一つにし、それが天に帰っていくときの巨大なエネルギーを利用して世界の外殻に穴を開ける

 そう。つまるところ、「膨大なエネルギーがあれば、根源と自分との間に通路を作ることができる」という大原則があるようなのです。

 その「膨大なエネルギー」をどうやって手に入れるか。
 第二魔法のゼルレッチは「並行世界から魔力をかき集める」という方法を編み出した。第三魔法の使い手(本稿の説ではユミナ)は「物質化した魂から取り出す」という方法を使った。

「根源へ至る方法を見つける」とは、言い換えれば「無限に近いエネルギーを手に入れる方法を探す」ということだ。

 仮にそういうことであれば。
 第二・第三魔法と同じく「根源へ到達するための方法論」であるとされる第四魔法も、つきつめたら「無限に近いエネルギーを入手するためのメソッド」だ、ということになりそうなのです。

 第四魔法の使い手は、「こうやれば無限のエネルギーを入手できるんじゃないか」という新しい方法をハタと思いついた。
 それを実行してみたところ、成功した。
 だが、その人物はそれきり、姿を消してしまった


●根源のない世界

 第四魔法の使い手さん(名前不明)は、「全く新しい方法で無限エネルギーを入手して根源に至ろう」と画策した。

 そういうことを画策する人が最初にすることは何か。

 成功実績がある従来の方法を研究しつくすことです。私ならそうします。

 なので、第四魔法の使い手さんは、既存の方法を熱心に検討した。ここでの既存の方法とは、本稿(一連の投稿)で論述している仮説の通りとします。

 第三魔法で魂を物質化すれば無限のエネルギーを得られる。
 そのエネルギーを使って根源の観測に成功し、「あるかもしれないしないかもしれない」状態だった根源を「ある」という方向に収束させた(第一魔法)。
 観測によって「あるか/ないか」の二択を一択に収束させられるのなら、それは量子力学なので、エヴェレット解釈により並行世界は存在するはずだ。
 その並行世界を感知し、そこからエネルギーを集めることで、無限のエネルギーを得られるようになった(第二魔法)。

 ここで、第四魔法の使い手は「アレ?」と思ったはずです。

 第二魔法の成立により、この世のルールはエヴェレット解釈であることが確定した。
 つまり、
「箱の中の猫が、生きているか/死んでいるか、の二択である場合。箱を開けて中身を観測した瞬間に、世界は二つに分岐する
「世界は、『猫が生きている世界』と『猫が死んだ世界』の二つに分かれる」

 じゃあ、第一魔法の使い手ジーザス・クライストが「あるか/ないか」の二択である根源を観測して「根源はある」という結果になったのなら……。

 世界は、「根源がある世界」と「根源がない世界」に分岐したはずではないか。


●真エーテルのある世界

 まだ根源が観測される前。
 この宇宙が「根源はある」か「根源はない」かの二択だったころ。

 世界は「この世界は確かに実体がある」「この世界は夢まぼろしだ」かの二択だったのです。
(これについては当シリーズの第一回をご覧ください)

「この世界は実体」という真実と、「この世界は夢まぼろし」という真実が、重なり状態になっていて、50%/50%で「どっちでもある」という状態だった。

     ☆

 ちょっと話がワキにずれますが……。
 たぶん、「神代の時代の神々/英雄」や、彼らが奇跡の行使において使っていたという「真エーテル」は、「この世界は夢まぼろし」という側の存在なんじゃないかな。

 TYPE-MOON世界観では、神話の神々は、大気中に満ちる真エーテルというものを魔力源として、さまざまな奇跡を実現していたことになっています。
 が、紀元前960年ごろを境に、大気中の真エーテルはどんどん希薄になっていき、神々も姿を消していき、紀元(西暦)元年のころには真エーテルはまったく失われて、この世界から神秘はいっさいがっさい消滅する予定になっていた。

 ところが西暦20年頃に、真がつかない「エーテル」の存在が証明され、真がつかないエーテルを元にした魔術文明が勃興したので、この世から神秘は失われずに済んだ……という設定になっています。
 このあたりは、『ロード・エルメロイII世の事件簿 material』の年表(P.21)に全部書いてあることです。

 きっと、神代の魔術師メディアさんや英雄王ギルガメッシュといった神々は「夢の世界の存在」で、彼らが使っていた真エーテルは「夢の世界の魔力」なんだと思います。

 本稿の説では、
「ジーザスが根源を発見したことにより、この世は夢ではなく、実体がある世界となった」
「それに伴い、実体を『存在させている力』であるエーテル(真ではない方)も、存在しはじめるようになった」
 としています。

「西暦元年ごろに、真エーテルが(この世界から)消滅し、入れ替わるようにしてエーテル(真ではない方)の存在が証明される」
(と資料に書かれている)

 その一方、

「西暦20年ごろに、この世が夢まぼろしである可能性が(この世界から)消滅し(無の否定)、『この世は実体がある』が現実となる」
(本稿による仮説)

 というふうに、タイミング的にもほぼ一致することになります。ですから「真エーテルは夢の世界の魔力」「エーテルは実体の世界の魔力」という推定は成り立つものと考えます。
(この世界は、西暦元年から20年くらいの間に「夢から覚める」のですね)

     ☆

 ……さて、話を戻します。

 ジーザス・クライストが根源を観測するまでは、「この世界は実体」という真実と、「この世界は夢まぼろし」という真実が、重なり状態になっていた。
 50%/50%で「どっちでもある」という状態だった。

 根源が観測されたことで「根源の実在」が確定し、それに伴って「この世は夢ではなく、実体がある」という真実が確定した。そっち側の世界が選択された。

 それに伴い、「この世に実体はなく、夢だ」という可能性は、この世界からきえうせた。

 第四魔法の使い手は、こう考える。
「根源という『箱の中の存在』が観測されたのだから、世界は『根源がある世界』と『根源がない世界』に分岐したはずだ」
「つまり、『根源が存在しない世界』というパラレルワールドが存在するはずだ」


 第四魔法の使い手は、さらに考えを進める。
「根源が実在したおかげで、世界は夢でなく実体であることが決定した。ならば、根源が実在しないというパラレルワールドは、『この世に実体はなく、夢だ』という世界であるはずだ」

 そして、
「真エーテルの正体が、『夢の世界の魔力』なのだとしたら……」

「もし『根源が実在しない並行世界』にアクセスすることができるのなら、そこには神代の神々が使っていた『真エーテル』が満ち満ちているはずだ」

「もし真エーテルを意のままに集めて使えたら、その莫大なエネルギーで、根源まで到達することだって可能なはずだ」


 さいわい、「並行世界を観測する」メソッドは、ゼルレッチが開発済み(並行世界を観測可能であることはすでに示されている)。これを研究・応用すれば実現は可能そうではないか。

 第四魔法の使い手は、そういう技術を、実際に開発した。
 理論は完璧だ。
 今こそ、神々が住まい真エーテルが満ちる世界へ手を伸ばすときだ。

 彼(彼女)はその魔法を実行しました。
 ところが……。


●「世界は実在しない」という世界

 第四魔法の使い手がエネルギーを得ようとして手を伸ばした夢の世界とは、
「ジーザスが世界の外殻に穴を開けてみたら、その向こうに根源が存在しなかった世界線
 の世界なわけです。
 言い換えれば、
「根源中心世界観などというものは存在しないのでこの世も存在しない
 という世界です(本稿の説では)。

 本稿の説では、あらゆる存在は、根源に照らし出されて初めて存在できるので、根源がなければ、万物は最初から存在しません。「あるような気がしただけ」というしろものです。

 第四魔法の使い手が到達した並行世界とは、
「世界は実在しないという真実が存在する世界だった」のです。

 第四魔法の使い手は、「世界は実在しない」という世界の「観測に成功」したのですから、この瞬間から、「世界が実在しないという世界は存在する」ことになります。
(パラドキシカルな言い方ですが、そうとしか言いようがない)

 そんな世界に首と手をつっこんだらどうなるか。
 第四魔法の使い手は、「向こう側の世界に属する者」になる。
「世界は実在しない」という世界の住人となる。

 世界は実在しないという世界の住人は実在しえませんから、第四魔法の使い手という人物は実在しえなくなる。

 だから第四魔法の成功と同時に、第四魔法の使い手はきれいさっぱり消え失せ、どこにも存在しなくなったのだと考えます。


●無の肯定

 本稿の説では、ジーザス・クライストは第一魔法を使って「この世界は夢などではなく、たしかに実体を持って存在する」という事実を発生させました。
 これは「無の否定」と呼んだらちょうどいいような事績です。

 第四魔法の使い手は、第四魔法を使って「この世は実在などせず、実体のない夢まぼろしだ」という事実を発生させたのです(そういう並行世界を観測する、という方法で)。
 この魔法に名前をつけるなら、自然とこうなるのではないでしょうか。

「第四魔法:無の肯定」。
 この世は誰かが見ている夢にすぎず、存在しないのである。

 第四魔法は、魔術世界の重鎮たちが「確かにそれはある」とだけ言い、内容には一切触れないというような扱いになっています。いってみれば「内容については一切秘匿」くらいの扱いです。
 魔法は神秘世界の究極目的のひとつです。「実現可能である」とわかったのなら、後進の魔術師たちが必死で研究しそうなものなのに、そうなっていないのはなぜか。

 おそらく、「この世など存在しない、無である」という並行世界を観測したり、現実世界との間にバイパスを通したりしたら、「こちらの世界が無に侵食される」くらいの可能性があるからじゃないでしょうか。
 それって、「いまある世界がまるごと否定される」にひとしいので、危険すぎて、
「この魔法は掘らないほうが良い」
 というコンセンサスが容易に得られそうです。そういうことで、「第四魔法については誰も語らない」のだと思います。

     ☆

 上記のような「第四魔法の内容は、第一魔法によって否定された裏世界の観測である」というアイデアを、今後、仮に、
「第四魔法=非実在世界観測説」
 と呼ぶことにします。
「第四魔法=無の肯定説」でもよいのだけど)

 ああ、ついでに、本稿で仮説提示している第一魔法のアイデアも用語化しておきましょう。第一魔法は、
「第一魔法=根源観測説」
 とします。

 以後、これらの語が出てきたらその意味だと思ってください。
 また、本稿の説を独自に修正したり展開したい方は、できればこの語を使い、リンクを張っていただけると助かります。


●第四魔法に関する余談

 余談をふたつ置いておきます。

『ロード・エルメロイII世の事件簿 material』の22ページで、さりげなく存在が示唆されている「世界の裏側」。もしかしたらこれが、第四魔法が観測した「夢の世界(無の肯定の世界・根源のない世界)」なのかもしれません。

 幻想の世界が終わるとき、世界の裏側に移転せずにこの世界で没した巨大な竜がいる。
『ロード・エルメロイII世の事件簿 material』P.22



「例外的に竜が一匹、この世界に残った」といっているのですから、大多数の竜が世界の裏側に移転したことになります。
 本稿の説では第四魔法が観測した「夢の世界」は、真エーテルが満ち、神々が存在できる世界なので、ここに幻想種が移住して生存をはかるというのはわりあい整合感があります。

 これまでは「夢と現実のはざま」にかろうじて存在できていた神々や幻想種ですが、世界が目覚めてしまったために存在できなくなった。そこで、夢の世界に移住して生き延びることにした。これを現実世界側から見ると「この世から神々や幻想種は消えてしまった」という現象になる。

 もうひとつ。
『Fate/complete material III World material.』に、「魔術属性」という設定のまとめが書かれています。

 魔術師は一つ以上の魔術属性を(おおむね)持っている。通常、「火」「地」「水」「風」「空」のいずれかである。
 が、これに加えてレア属性として「虚」「無」というのがある。説明書きにこう書かれています。

 間桐桜が生まれつき持っていた属性。魔術においては“あり得るが、物質界にないもの”と定義される。虚数と呼ばれることもある。
 虚と同じく架空元素の属性。魔術においては“あり得ないが、物質化するもの”と定義される。物理学や数学の“無”とは意味が異なる。
『Fate/complete material III World material.』P.41



 重要部分を拾ってまとめると、

虚……あり得るが、物質界にないもの。
無……あり得ないが、物質化するもの。


 なんのことやらって感じですが、「虚」のほうは、本稿で仮説を立てた「第四魔法で観測した夢の世界」とイメージが近いです。

 本稿における「第四魔法で観測した夢の世界」は、観測可能であった以上、並行世界として存在しています。ですから「あり得る」世界です。
 しかし、実際には「物質としての実体を持たない」という特異性をそなえた世界なので、「物質界にない」のです。

 そんな感じで、「魔術属性・虚」というのは、「根源が存在せず、万物に実体がない並行世界」との間に、何らかの接続をともなうような属性だったりすると、整合感が出るんだけどなあ、どうなのかなあ、と思っています。

 じゃあ、「無」のほう、「あり得ないが、物質化するもの」のほうは何なんだって話になるのですが、これは真祖ブリュンスタッド一族の方々が持っている「空想具現化」能力を連想させます。
『月姫』のメインキャラ、アルクェイドは、「頭の中に想像したものを物体として取り出す」というすごい能力を持っています。
 アルクェイドの頭の中にしかないもの、その意味で「存在しない(あり得ない)」ものが物体として存在してしまう。

 まとめるとこう。

●第四魔法観測世界(=虚か?)
 その世界は確実に存在する(あり得る)にもかかわらず、実体を持たない(物質界にない)

●空想具現化(=無か?)
 そんなものは存在しない(あり得ない)にもかかわらず、実体として出現する(物質化する)


 ……予定では、全3回で書き切るつもりだったのですが、書き切れませんでした。この話、まだ続きます。次回は第五魔法について。


 続きはこちらです。TYPE-MOONの「魔法」(4):第五の継承者はなぜ青子なのか

※ご注意●本稿は現実に存在する筆者(Townmemory)の思想・信条・思考・研究結果を表現した著作物です。内容の転載・転用・改変等を禁じます。紹介ないし引用を行う際は必ず出典としてブログ名・記事名・筆者名・URLを明示しなければなりません。ネットで流布している噂ないし都市伝説の類としての紹介を固くお断りします。これに反する利用に対して法的手段をとる場合があります。
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