時局2021年12月号に連載「三橋貴明の経世論 第56回 矢野康治財務事務次官と「日銀」」が掲載されました。
矢野論文を切っ掛けに、財政に関する議論や政治的動きが始まりました。
西田昌司参議院議員によると、自民党は「悪名高き」財政再建推進本部を解体し、財政破綻について検証する組織を造るとのこと(委員長は、西田議員)。
これは、大きい。
財政再建推進本部は2014年、政調の一組織として、これまた悪名高き緊縮財政派、稲田朋美が政調会長の時代に作られました。本部長は、政調会長が兼任。
財政再建推進本部設立以降、自民党は「党として」PB黒字化目標を内閣に提言する状況になってしまいました。
その財政再建推進本部が解体され、新たに「財政破綻論を検証する組織」が政調内に作られる。これは、本当に大きな話です。
矢野が、あのバカげたというか、内容が出鱈目の寄稿をし、「選挙」に影響を与えなければ、ここまでの動きにはならなかった可能性がある。ありがとう、矢野康治・財務事務次官。
元・内閣官房参与の浜田宏一教授が、なぜか「MMTを支持する立場」から、矢野論文を批判しています。
『「日本は『世界最悪の財政赤字国』ではない」アベノミクスの提唱者・浜田宏一が“矢野論文”に反論
(前略)さらに浜田氏は、「自国通貨を発行している政府は破産しない。政府は必要に応じて貨幣発行すれば、債務超過は解消できる」という学説(MMT=現代貨幣理論)の根幹部分を支持する立場からこう論じる。(中略)
この先、無制限に債務残高を増やせばどうなるか、ご心配な方もいるでしょう。例えば、国の借金のGDP比256%が1000%になったらどうなるか。
私は大丈夫だと思います。まだ国債を買ってくれる人はいるでしょう。ただし、もう1桁上げて10000%が大丈夫かと言われれば、それは難しい。それは国債を買ってくれる人がもういないからです」』
???。
「自国通貨を発行している政府は破産しない。政府は必要に応じて貨幣発行すれば、債務超過は解消できる」
は良いとして、「国債を買ってくれる人がもういない」は「はてなマーク」です。日銀が買い取ればいいのでは? というか、ご自身で「貨幣発行すれば」と言っているではないですか。(本当に言ったのかいな?)
もちろん、国債残高が対GDP比で1000%、10000%といった仮定をしている時点でおかしいのです。そこまでGDPが成長しないのでは、日本という国はとっくに消滅しています。