つづき
ハッシィは今日も、ヘビヘビおとうさんのおもちゃ屋さんの前で、
ジーとショーウインドーを見つめています。
そこにパオーンとポンキチが歩いて来ました。
パオーン「ハッシィまたここに居たんだね。」
ポンキチ「釣りに行かない?」
ハッシィ「だってまだひとつも、おもちゃ買ってないんだもの。」
パオーン「こんな変なおもちゃ買うの?」
ハッシィ「でもけっこう面白いんだぁよー。」
ポンキチ「じゃさっさと買って遊びに行こう!」
パオーン「僕たちも選んであげるよ!」
しばらくすると、ヘビヘビおとうさんのおもちゃ屋さんが開きました。
ヘビ「あっ坊や早いね」
ハッシィ「今日は壊れないおもちゃがいいです」
パオーン「壊れるの?」
ヘビヘビおとうさんは汗をふきふき言いました。
ヘビ「たまたまプログラムミスだよ、
まだまだ楽しいおもちゃがいっぱいだよ!」
ポンキチ「とにかく、早く見せて下さい。」
ヘビ「さぁ入って下さい。」
お店の中には、今まで三人が見た事もないおもちゃがいっぱい。
ハッシィ「うわぁすごい感激!」
パオーン「うぁわけわからん!」
ポンキチ「うぁ普通のおもちゃなーい。」
三人はそれぞれ違う意味でびっくりしました。
ハッシィ「この田んぼの横に大きな木があるのはなんですか?」
パオーン「田んぼのジオラマなんて見た事ない」
ヘビ「それは、田んぼとかかし&スズメの襲撃と言うおもちゃです。」
ポンキチ「長い名前!」
ハッシィ「どういうふうに動くんです?」
ヘビ「大きな木から、田んぼに向かってスズメが飛んで来ます。」
ハッシィ「飛んで来るの凄いなぁ」
ヘビ「すると田んぼの中から、ヌッとカカシが表れます。」
ハッシィ「スズメはビックリピーだね」
ヘビ「ところが、図太いスズメなので逃げません。」
パオーン「じゃカカシの意味ないじゃん」
ヘビ「なので田んぼの中から、猟銃を持った猟師さんが出て来て、
バキューンと銃を撃ちます。」
ポンキチ「それでスズメが逃げて終わり?」
ヘビ「いえいえ、大きなな木からスズメの王様が
猟師に向かって攻撃して来ます。」
ハッシィ「猟師は大変ですね!」
ヘビ「あとはスズメの王様と猟師の壮絶な戦いです。」
パオーン「聞いてると存外おもしろそうだね。」
ハッシィ「そうだろ!」
ポンキチ「僕は普通がいいなぁ。」
ハッシィ「このおもちゃも500円ですか?」
ヘビ「はい、よくわかりましたねぇ。」
ハッシィ「流れで、じゃさっそく動かして下さい。」
ヘビヘビおとうさんはスイッチを入れました。
大きな木からスズメが 数百羽田んぼに降りて来ます。
ハッシィ「またまた予想に反して、凄い数だ!」
ハッシィはワクワクです。
するとウィーンと田んぼの中から、30本のカカシが表れました。
ハッシィ「なんかある意味凄い!宇宙戦争みたいだぁ。」
ヒィユーンヒィユーンとスズメが田んぼに降りて行きます。
パオーン「スズメがカカシに刺さってるよ。」
ハッシィ「猟師が早く出て来ないかなぁ。」
田んぼがウィーンと鳴ると猟師が出て来ました。
ポンキチ「猟師と言うより、軍人じゃないの機関銃持ってるし」
アメリカの兵隊のような人形は機関銃を撃ちまくりました。
ダダダッダダダッー
ハッシィ「どっひゃー、片っ端からスズメを撃ってる!
ほのぼのしてないー」
パオーン「そろそろ、スズメの王様が出て来るの?」
ポンキチ「出て来たけど、火を吐いてるよ!」
みるみる、田んぼは燃えてしまいました。
「ドッシャー、アブナーイ」
「火を消さなきゃ。」
パオーンが持っていた水筒の水をジャバジャバとかけました。
火は消えましたが、店は水びたしです。
ハッシィ「やっぱり壊れちゃった。」
つづく
つづき
ハッシィ「お寺が燃えたら危ないよ!
安全な方がいいんですけど?」
ハッシィは灰になったおもちゃを悲しそうに見つめていました。
ヘビヘビおとうさん「おかしいなぁ、
どこでプログラムが狂ったんだろう。
でもこっちのやつは安全ですよ!」
ヘビヘビおとうさんは、お寺の横にある、
古いガラス戸が付いた家を前に持って来て言いました。
ハッシィ「これも動くんですか?」
ヘビ「説明しましょう。
ガラス戸の中におばあさんの人形が見えますか?」
ハッシィはじっと中をのぞき込みました。
ハッシィ「あっ本当だ!、
おばあさんらしい着物を着た人形がいます。」
ヘビ「このおもちゃの名前は、さちばあちゃんのおはぎ屋さんです。」
ハッシィ「どっひゃー、さちばあちゃんですか!名前あるんだぁ。」
ヘビ「店の前に男の子と女の子の人形がたっています。」
よく見ると確かに人形があります。
ヘビ「そして、男の子の人形が言います。」
ハッシィ「またしゃべるんだぁ。」
ヘビ「ここのおはぎは町で一番おいしいねぇ、
すると女の子の人形が言います。」
ハッシィ「この二人には名前ないの?」
ヘビ「何でもいいでしょ?」
ハッシィ「おばあさんに名前あるんだから、二人に名前なくっちゃ。
それか、おばあさんのおはぎ屋さんにして下さい。」
ヘビ「じゃ坊やがつけたら?」
ヘビヘビおとうさんは、理屈っぽい子供だなぁと思っていました。
ハッシィ「本当にいいの?」
ハッシィは目を輝かして言いました。
ヘビ「いいですよ。」
ハッシィ「じゃあねえ、男の子がサボテンで女の子がタコス!」
ヘビ「ウッヒャー、メキシコの名物のようなネイミング!
普通の名前にしたら?」
ハッシィ「サボテンとタコスがいいの!」
ハッシィは言い出したら聞きません。
しぶしぶヘビヘビおとうさんは続けました。
ヘビ「じゃ最初から説明します。
さちばあちゃんの店の前を、サボテンとタコスが歩いて来ました。
サボテンが言いました。
「ここのおはぎは町で一番美味しいねぇ」
するとタコスが
「私も大好き」
二人はガラス戸をガラガラッと開けて、中に入り、
「さちばあちゃん、おはぎ四つ下さい。」
すると中の人形がおはぎを四つ取り分けてくれます。
ハッシィ「精密な造りですね。おはぎを取り分けるなんて。」
ヘビ「そこでタコスが「わー美味しそう。」
するとさちばあちゃんが、
「お茶を入れてあげるから、ここで食べていったらどうじゃ」
三人で仲良くお話しをするおもちゃです。
ハッシィ「すっごい、いくらですか?」
ヘビ「500円です。」
ハッシィ「一度動かしてもらえますか?
ヘビヘビおとうさんがスイッチをいれました。
すると屋根の上のスズメが、チュンチュンと鳴きました。
ハッシィ「またスズメだ!隠れキャラですね!」
そして、サボテンとタコスが凄いスピードであらわれると、
ガラス戸に突っ込んで行きました。
ガラガラッドッシャーン、ガラスは粉々です。
中のおばあさん人形はひっくり返り、
サボテンとタコスも壁に張り付いています。
あまりの出来事にヘビヘビおとうさんは、声もでません。
ハッシィ「もっとちゃんと動くのがいいなぁ。」
ハッシィは、ため息をつきながら。
ハッシィ「明日来ます。じゃあ」
と言うと帰って行きました。
つづく
かものはしのハッシィはこの頃ずっと、
ヘビヘビおとうさんのおもちゃ屋さんに、
毎日かよってはショーウインドーをじっと見つめています。
そこに、パオーンが歩いて来ました。
パオーン「ハッシィまた来てるの?毎日よくあきないね!
たまには野球でも行こうよ、楽しいよ」
ハッシィ「僕行かない、だって面白いんだもの」
パオーン「変わってるねぇ、こんなわけのわからない、おもちゃ屋」
パオーンはつまらなさそうに行ってしまいました。
しばらくすると今度はポンキチがやって来ました。
ポンキチ「ハッシィ今日もここにいるの?
こんな変な物ばっかりの店、もうやめたら?」
ハッシィ「だって楽しいんだもの…」
ポンキチ「やっぱりハッシィは変わり者だね。」
ポンキチもスタスタと行ってしまいました。
ハッシィはショーウインドーに飾ってある、
お寺の模型をジーっと穴があくほど見つめていました。
その時店の中からヘビヘビおとうさんが出て来ました。
「坊や何か気に入った物があったかい」
ヘビヘビおとうさんは、ヘビというより、
まるでオタマジャクシを大きくしたような姿をしています。
ハッシィ「オタマジャクシさん、このお寺の模型は何ですか?」
ヘビヘビおとうさん「私はオタマジャクシじゃなくて蛇ですよ!」
ハッシィ「それはごめんなさい、蛇さんそれとお寺の横にある、
古そうなガラス戸が付いた家の模型はなんですか?」
ヘビ「じやー説明してあげよう、お寺の模型はねぇ、
スイッチを入れると中から小坊主が出て来て、
スタスタと歩いて鐘突き堂まで行って、
お寺の鐘をゴーンと一回鳴らすと、
ふすまが開き中の和尚さんがお経をよむんだよ!」
ハッシィは目を輝かせながら
「へーすごいなぁ!値段を教えて下さい。」
ヘビ「特価で電池付き500円だよ」
ハッシィ「僕おうちの貯金箱に1200円入ってるから、
あとで持ってこよう。」
でも動いているところが見たいなぁと、
ハッシィは思いました。
ハッシィ「動かして見せてください。」
ヘビ「ハイハイすぐに見せてあげるよ。」
ヘビヘビおとうさんが、カチャとスイッチを入れました。
すると、お寺の屋根にとまっていたスズメが
チュンチュンと鳴きだしました。
ハッシィ「すごいっ、まさかスズメが鳴くとは」
次に小坊主が
「あー今日もいい天気だぁ」
と言うと鐘突き堂まで歩いて行きます。
ハッシィ「またまた、びっくりぴーだ」
小坊主は鐘を一回鳴らすはずが、
ゴンゴンガンガン叩き続けています。
ハッシィ「またもや予想外だぁ」
ハッシィはワクワクして見ています。
すると、あんまりゴンゴンガンガンと叩くので、
煙りがあがり火が燃え上がり、お寺は全部燃えてしまいました。
呆然としているヘビヘビおとうさんに、
ハッシィが冷たく言いました。
ハッシィ「他のにします。」
つづく
つづき
とっても大きくなったチビちゃんは、大きなあくびをしました。
「ウッワーン」
その音は町じゅう響き渡りました。
カバ「巨大パンダなんて比較にならない大きさですね!」
ライオン町長「どこから来たんだろう?」
カバ「よくはわかりませんが、
ハッシィが恐竜のようなものを飼っていたと言う噂が…」
ライオン町長「またハッシィかっ!
でもそれならハッシィにあとは任せればいいんだ」
カバ「本当にいいんですか?とってもおっちょこちょいですよ?」
ライオン町長「もうこれ以上壊すものはないよ」
カバ「じゃあさっそく、無線でハッシィに連絡してみましょう。」
カバさんは無線機を取り出すと話しはじめました。
「こちら本部こちら本部、ハッシィ応答せよ」
パオーン「ハッシィ、本部のカバさんから連絡だよ!」
ハッシィ「どうせ文句だからほっとこう」
ポンキチ「でも、出ないと後がうるさいよ」
ハッシィ「チェッ、はいはいでますよ」
ハッシィはしぶしぶ無線にでました。
ハッシィ「こちらハッシィー何ですかドウゾ」
カバ「ライオン町長が話しがありますドウゾ」
ハッシィ「僕はないですドウゾ」
カバ「君はなくてもこっちにはあるんだドウゾ」
ハッシィ「わかりましたドウゾ」
ライオン町長「あの恐竜は君の恐竜かドウゾ」
ハッシィ「そうです、だから助けてくれたのドウゾ」
ライオン町長「だったらいますぐどっかに連れて行きなさいドウゾ」
ハッシィ「そう言っても、チビちゃんがかわいそうだよドウゾ」
ライオン町長「でもそんなに大きな恐竜がいたら
町は大変な事になるよドウゾ」
ハッシィはしばらく考えましたが、
このままチビちゃんが町の木を食べ続けると、
とんでもない事になるなぁと思いました。
ハッシィ「わかりました。本当はいやだけどっドウゾ」
ハッシィはカモノハシロボットから降りると、
急いでチビちゃんの所に行きました。
今では雲にとどきそうなチビちゃんを見上げながら、
ハッシィは大声で叫びました。
ハッシィ「チビちゃーん」
すると、すぐにわかったのか
「キューン」とチビちゃんが答えました。
ハッシィ「もう木をたべちゃだめだよ!」
すると チビちゃんは悲しい目をしました。
ハッシィ「でもそれ以上大きくなったら、住む所が無くなるよ!」
チビちゃんはやっぱり悲しそうに「キュイーン」と鳴きました。
ハッシィも悲しくなって涙がポロポロ出てきました。
ハッシィ「でも、どっか他の所に行かなくちゃ、町の皆が困るんだよ」
チビちゃんが小さくうなずいた気がしました。
ハッシィ「僕も一緒に行くから!」
ハッシィは急いで、チビちゃんのシッポから登り始めました。
ライオン町長「ハッシィ危ないから止めなさい。」
遠くから拡声器を使ってライオン町長が言いました。
ハッシィ「僕はいいの、チビちゃんが一人ぼっちよりっ」
ハッシィはどんどん登って行きます。
そして、とうとう頭の上まで登ると、
ハッシィ「チビちゃん行こうね!出発っ」
チビちゃんは、ゆっくり動き出しました。
下にはブタブタタウンが小さく見ます。
少し行くとハッシィはチビちゃんの頭に
ゴムのセンのような物があるのに気づきました。
ハッシィ「なんだろう?」
ハッシィは「ポッン」とセンを抜きました。
すると「シューー」と空気が抜けるような音がすると、
見る見るチビちゃんは小さくなっていきます。
10分もたつと元どおり、ハッシィの手のひらに乗る位になりました。
ハッシィは嬉しくて涙が止まりません。
ハッシィ「チビちゃんよかったね、よかったね」
ハッシィは急いでチビちゃんを見つけた場所に行くと、
大きな木をさがしました。
ハッシィ「よかった、あった食べられてなかった。」
ハッシィはチビちゃんを穴にかえすと。
ハッシィ「もう、出てきちゃだめだよ」
夕暮れの中ハッシィはスキップをして町に帰りました。
その頃、町ではペンギンの大工さんが数百頭
「トントン、カンカン」と町を立て直す音が響いていました。
めでたし、めでたし
つづき
ぐっすりと眠っている巨大パンダに
カモノハシロボットが襲い掛かると、
またもやパンダはひょいとよけると足を掛けました。
ズシーンと言う音と共にカモノハシロボットは、
倒れて行きました。
ハッシィ「パオーン早く起き上がってよ!」
パオーン「えっ起き上がれないよ、」
ハッシィ「なんでぇ?」
その時遠くから町の人達がその様子を見ていました。
カバさん「ライオン町長っどうして?
おっちょこちょいのハッシィを防衛隊にしたんですか?」
ライオン町長「あの時はあなたも賛成したじゃないですか?」
カバさん「そうでしたっけ、あっ思い出した。
あの時誰もやりたがらなかったんだ!」
ライオン町長「そうです、その時立候補したのが大ぼけ三人組です。」
カバさん「あとの祭ですが町はボロボロですなぁ」
ライオン町長「さっそく町をつくり直しですが、
あのパンダを何とかしないと!」
カモノハシロボットはまだ起き上がれません。
ハッシィ「何とかしないと巨大パンダが襲ってくるよ!」
巨大パンダが近づいて来ました。
ハッシィ「ミサイルは残ってる?」
パオーン「最後の一発だけっ」
ハッシィ「この際発射!」
ミサイルは巨大パンダめがけて飛んでいきました。
間一髪パンダはまたまたひょいとよけました。
するとブタブタタウンのシンボルでもある中央タワーに命中しました。
ドッカーンメリメリー タワーは倒れて行きました。
ライオン町長「どっひゃー最後の最後まで壊しちゃったぁ」
カバ「もう町じゃなくて原っぱですなぁ」
巨大パンダはカモノハシロボットに乗った三人を
踏み潰そうと足を上げました。
その時何かが巨大パンダをパクッとくわえした。
それは今では巨大パンダが、
ぬいぐるみの人形くらいに見える大きさになったチビちゃんでした。
ハッシィ「助かった!でも大きくなったなぁ」
山よりも大きくなったチビちゃんを見てハッシィは驚いていました。
巨大パンダをくわえたチビちゃんは、
首長竜どくとくの長い首を2、3回振るとブンッとパンダを
放り投げました。
ヒューという音と共にパンダははるか遠くに飛んで行きました。
ついでにチビちゃんは、カモノハシロボットも起こしてくれました。
パオーン「チビちゃん凄いねっ」
ポンキチ「あの大きなパンダを投げちゃったものね!」
ハッシィ「でもすっごく大きいねえ」
パオーン「見渡すかぎり木がないよ」
ポンキチ「全部食べたんだね!」
ハッシィ「どこまで大きくなるんだろう。」
それを見ていたカバさんが言いました。
カバ「町長ようやくパンダがいなくなりましたよ!」
ライオン町長「のんきな事言って、
君は目が付いてるのか今度は超巨大恐竜があらわれたんだぞ」
ライオン町長とカバさんは目を丸くしながらたたずんでいました。
つづく