つづき
ロバのロバートが言いました。
ロバート「早くしないと、置いて行くよ!」
三人が急いで馬車に乗りました。
ロバートはロバなので、ゆっくりゆっくり進んで行きます。
パオーン「ハッシィまず何処で、人形劇するの」
ハッシィ「そうだね、やっぱりブタブタタウンからじゃないの?」
ポンキチ「赤頭巾ちゃんするの?」
ハッシィ「そうだね。まだ作る物がいっぱいだね!」
すると突然、凄いスピードで馬車が動き出しました。
「ウッアー」
「どっひゃー」
「目が回るー」
ガラガラガラー
ハッシィ「ロバートどうしたの?」
パオーン「うっわー、坂道だぁロバートがいない。」
ポンキチ「あっ、後ろ見て坂の頂上でロバートが寝てる。」
ハッシィ「だんだんスピードが出て来た。」
ガラガラガラガラガラー
パオーン「どっしゃー池だぁ。」
ザッパーン馬車は池に突っ込んで、ようやく止まりました。
プッカリプッカリ、船のように馬車は浮かんでいます。
ハッシィがロープを持って岸まで泳ぎました。
ハッシィ「よーし、引っ張るよ。」
そこへロバートがゆっくりやって来ました。
ロバート「ひどいじゃない、先に行って。」
ハッシィ「どっしゃー、ロバートが馬車から離れて寝てたから、
凄い事になったのに。」
ロバート「僕がぁー、ちょっと休んだだけだよ。」
ロバートは話し方もゆっくりです。
ハッシィは ため息をフーとはくと、
気を取り直すと言いました。
ハッシィ「ロバート、馬車が池の中だから一緒に引っ張ってよ。」
ロバート「いいよ」
ハッシィとロバートは岸に馬車を引っ張ると、
今までの遅れを取り戻すために進みました。
パオーン「やっぱり遅いねぇ」
ポンキチ「ロバだからねぇ」
ハッシィ「このままじゃ、日があるうちに広場に着かないねぇ」
パオーン「僕が何とかするよ」
パオーンは馬車から飛び降りると、
ロバートを馬車に放り込みました。
そしてハッシィ達の乗った馬車をエイッと担ぐと、
タッタッタッと走り出しました。
ポンキチ「はっ早い」
ハッシィ「ロバートの三倍位早いっ。」
ロバート「えーそうかなぁ?」
ブタブタタウンの 広場まで、何とかたどり着いた一行は
すぐに人形劇の用意にかかりました。
まずは人形劇の舞台の用意です。
ハッシィが馬車の横に付いている箱を開けると、
中のボタンを押しました。
カチッすると、ウィーン馬車が変形していきます。
すぐに舞台が出来上がりました。
パオーン「なかなかいい舞台だね。」
三人は裏の 階段を上がると、人形の 用意です。
ハッシィ「さあいいぞ」
パオーン「よくなーい」
ポンキチ「ハッシィ肝心の客がいないよ!」
ハッシィ「ベリーうっかりだぁ。」
ハッシィはマイクのスイッチを入れると、流れるように言いました。
ハッシィ「人形劇だよー人形劇だよーとっても楽しい、
冒険ありロマンスあり、人情ありなんでもあるよー、人形劇だよー」
つづく
カモノハシのハッシィは、お家に友達のパオーンとポンキチを
呼んで何やら相談をしています。
パオーン「ハッシィ話しってなーに?」
ポンキチ「何か面白い事?」
ハッシィ「違うよ、僕らもたまには世間に役立つ事しようよ!」
パオーン「ゲッゲー、ハッシィが言う言葉じゃないよ!」
ポンキチ「ともかく、何しようとしてるの?」
ハッシィ「人形劇団を創って、街を回りながら売上を、
恵まれない子供達に寄付するんだよ。」
パオーン「ドッヒャー、ハッシィ性格変わったね。」
ポンキチ「何か悪い事考えているとしても、
表向きはいい考えだね。」
ハッシィ「悪い事考えてないし、裏も表もないの。」
ハッシィはプンプンで言いました。
パオーン「わかった、たまには僕達もいい事しよう。」
ポンキチ「そうだね。」
パオーン「ハッシィどうしたらいいの?」
ハッシィ「まず皆であやつり人形を作ろう。」
ポンキチ「どんな?」
パオーン「まずは好きな物を作ってから、物語りを考えようよ。」
ポンキチ「そうだね。」
ハッシィ「じゃ皆、明日人形を持って集合しよう。」
「じゃあね」
「また明日」
パオーンとポンキチは帰って行きました。
ハッシィは早速人形作りです。
ハッシィ「何を作ろうかなぁ!そうだ恐竜だね、
恐竜の王国なんていい話しかも。」
ハッシィは頑張って人形を作りました。
でもできたのはティラノザウルスひとつだけでした。
ハッシィ「まあ、ひとつあればいいか。」
次の日ハッシィの家にパオーンとポンキチがやって来ました。
ハッシィ「皆、いい人形ができた?」
パオーン「うんっ」
ポンキチ「当たり前だよ。」
ハッシィ「じゃ僕から出すよ。」
ハッシィはティラノザウルスを出しました。
パオーン「ハッシィやるー、じゃ僕も」
パオーンは袋の中から、
ハ本足の 赤いたこの人形を出しました。
ポンキチ「パオーンもなかなかだね、僕だね。」
ポンキチは紙袋からカカシの人形を出しました。
ハッシィ「ポンキチ手抜きじゃないの?」
ポンキチ「何言ってるの秘密兵器がいっぱい入ってるんだよ。」
パオーン「それは凄いカカシだねぇ。」
テーブルの上には、
ティラノザウルスとタコとカカシの人形が置いてあります。
三人はどんな劇にするか、悩んでいました。
ハッシィ「恐竜の王様ティラノザウルスと巨大タコの戦いは?」
ポンキチ「僕のカカシが出て来ないよ。」
パオーン「戦いだけじゃ劇にならないよ」
ハッシィ「じゃどんなの。」
パオーン「このさい、見かけは無視して赤頭巾ちゃんでもしよう。」
ポンキチ「馬車の用意ができたよ!」
表にはロバのロバートが引っ張る、
ハッシィ人形劇団と書いた、三人乗りの馬車がありました。
つづく
つづき
ハッシィの乗った飛行機は、
だんだん森の上から下がって飛行機のお腹が
森の木に当たってきました。
ガッガガガー
ハッシィ「チャンスは一回だな、エイッ」
ハッシィは森の木の中に飛び込みました。
ガシャーン
遠くの飛行場では皆心配そうに見ています。
ガガガドッカーン
森の奥で煙りと炎が上がりました。
「キャー」
「ハッシィー」
「大きな煙りだ、これはヤバイぞ。」
パオーン「ハッシィの事だから大丈夫だよ」
ポンキチ「そうだといいね。」
つぶやくように言いました。
皆はそれから、日が暮れるまでハッシィを待ちましたが、
ハッシィは帰って来ませんでした。
パオーン「今から捜しに行こう。」
ポンキチ「そうだね、ケガしてるかも?」
するとカバさんが遮るように言いました。
カバ「もう日が暮れたよ、あの森に入るは無理だよ。」
パオーン「でもハッシィが待ってるかも。」
カバ「ひとまず街に戻って、
大人だけで行くから子供は帰りなさい。」
ポンキチ「だって、ウェーン」
大人だけ20人で、夜の森を捜しましたが
あまりにも広い森に、大人でさえ迷うほどです。
結局、街の全員で朝から捜す事にしました。
朝早くから、街の住人が集まって来ました。
パオーン「ハッシィ大丈夫だよね。」
パオーンはもう泣いています。
ポンキチ「早く行こう」
「ハッシィーハッシィー何処ー」
「ハッシィーいるのー」
「ハッシィー返事してー」
森の中に皆の声が響き渡ります。
お昼になりました、皆食事も取らずに捜しました。
「いた?」
「見当たらない。」
「やっぱりダメかな」
「いや、もっと奥だよ」
その時パオーンが叫びました。
パオーン「あーあの木の上にー」
「どこハッシィいたの?」
パオーン「ハッシィの飛行帽が引っ掛かってる」
ポンキチ「この近くじゃないの?」
皆は集まって隈なく捜しましたが、ハッシィは見つかりません。
それから皆はもうすぐ日が暮れる頃まで捜しましたが、
ダメでした。
カバ「今日は諦めて明日にしよう。」
パオーン「イヤダー、諦めないよ。」
ポンキチ「当たり前だよー、ウェーン」
カバ「そんな事言ったって。」
その時、森の奥から太鼓の音が聞こえて来ました。
トコトントコトントコトン、トコトントコトントコトン、
「えー飴屋でござーい」
トコトントコトントコトン
「飴でどんな形でも作りまーす。」
聞き慣れたハッシィの声が森に響きます。
「ワーハッシィだぁ。」
「やっぱり生きてた。」
皆集まって来ました。
中でも、黒ちゃんが飛ぶように走って来て、
泣きながらハッシィに抱き付きました。
「痛たた、黒ちゃん痛いよ。」
ハッシィは腕に包帯をしています。
黒ちゃん「ハッシィおじちゃん、ありがとう。」
泣きながら、皆が集まって来ました。
パオーン「ウエーン、どうして助かったの?」
ハッシィ「とっさに、木の枝に飛び付いたのさ、
腕は痛めたけどね。」
カバ「じゃ、今まで何処にいたのかね?」
ハッシィ「ハッシィは飴屋でございます。飴を取りにっ。」
カバ「もうっ、心配したのに、でも良かった。」
ポンキチ「飴屋のおじさん、どんな物でもできるの?」
目にいっぱいの涙をためて、ポンキチが言いました。
ハッシィ「坊や好きな物を言ってごらん、おじさんは長年してるからね。」
ハッシィはいつもの決まり文句を言いました。
ポンキチ「じゃねえ、おじさんの勇気と希望!」
ハッシィ「お安い御用だよ。」
ハッシィは飴をねじると、大きな大きな虹を作りました。
七色の虹は夕焼けに、よくはえていました。
トコトントコトントコトン
太鼓の音と 愉しそうな笑い声が、
森の中にいつまでも響いていました。
めでたし、めでたし
つづき
パオーンとポンキチがテントからでると、
すぐ横に飛行場ができていました。
パオーン「ビックリピーだぁ」
ポンキチ「さっき飛行場なんて無かったのに?」
よく見ると、飛行場に赤い四枚羽の
プロペラ飛行機がありました。
その前でハッシィが手を振っています。
パオーンとポンキチは走って飛行機に近付きました。
パオーン「まさか飛行機まで乗るとは。」
ポンキチ「曲芸飛行って、宙返りや逆さまに飛ぶやつ?」
ハッシィ「そうだよ、おじさんは飛行機乗りも長いんだよ。」
パオーン「何でも長い」ポンキチ「またまた危ないの?」
ハッシィ「おじさんはスタントマンもしてたから大丈夫さ。」
ぞろぞろと観客が集まって来ました。
ハッシィ「皆様、只今より曲芸飛行をさせていただきます。」
ハッシィは赤い四枚羽のプロペラ飛行機に
さっそうと乗り込みました。
ブルンブルルンエンジンが唸りをあげて、
飛行機は青空に勢い良く飛び立ちました。
「 ワー飛んだ。」
「かっこいい。」
「高くまで飛ぶんだね。」
「ワー逆さまになった。」
「今度は8の字飛行だぁ。」
ハッシィは次々と曲芸飛行をしていきます。
「煙り出てるよ、故障じゃないの?」
「違うよ、空に煙りで字を書くんだよ。」
「何か書いたよ」
ブーン青い空に、赤い飛行機が白い文字を書いて行きます。
「あ・り・が・と・う」
皆が「ほー凄い」と言いました。
その時、ウーカンカン、ウーカンカンと いう音が響き渡りました。
皆がその音の方を見ました。
「火事だぁー。」
黒ブタ君の家が火事です。
「あっ屋根の上に黒ちゃんが取り残されてる。」
黒ちゃんは泣きながら、 屋根の上に逃げましたが 、
もう炎の海が迫ってきます。
あまりの熱さに、 黒ちゃんは飛び降りました。
「あっ黒ちゃんが落ちた。」
「死んじゃうよー」
ブーン間一髪、赤い飛行機が黒ちゃんをかっさらいました。
「ハッシィが黒ちゃんを助けたぁ」
ブーン飛行機は空に舞い上がりました。
ハッシィ「ちぃしまった燃料切れだ、着陸できない。」
ハッシィは黒ちゃんに自分のパラシュートを着けると、
飛行機の外に投げて、ヒモを引きました。
バサッとパラシュートが開きました。
黒ちゃんは、ゆっくり降りて行きます。
「黒ちゃんが降りて来たぞ。」
熊さんがキャッチしました。
「ハッシィはどうしたの?」
「どうして着陸しないの?」
その時黒ちゃんが言いました。
黒ちゃん「燃料が無いの。」
「えーどうやって降りるの?」
その頃ハッシィは力いっぱい飛行機を森に向けていました。
ハッシィ「どうやらチャンスは少ないらしい。」
森の上を赤い飛行機がスレスレで飛んで行きます。
遠くから見ていた、子犬君が言いました。
「お母さん、ハッシィ大丈夫なの」
子犬君のお母さんは、しっかりと手をにぎりしめて言いました。
「ハッシィおじちゃんは大丈夫よ!
いつもびっくりさせてくれるでしょ。」
お母さんは目に涙をためていました。
つづく
つづき
切符を売りながら、ハッシィはよく通る声で言いました。
ハッシィ「大マジックショーだよ、
滅多に見られないマジックだよ。」
パオーン「おじさん、やっぱりマジックも長いの?」
ハッシィ「それが、始めて三ヶ月なんだよ。」
ハッシィは頭をカキカキ言いました。
ポンキチ「それでも凄いの?」
ハッシィ「まあね。」
ハッシィは自信ありげに胸を張りました。
パオーン「じゃ僕らも切符下さい。」
ハッシィ「はーいどうぞ。」
黒いテントの中はお客さんでいっぱいです。
ハッシィが舞台の真ん中に立っています。
音楽に合わせて、ハッシィがステッキを振ると…
小さな声で、パオーンとポンキチが話しています。
パオーン「きっとステッキの先に花が咲くんだね」
ハッシィがステッキを振ると、
ステッキの先にペンギンが出て来て手を振っています。
パオーン「ドッシャー、はずれたぁ」
場内は凄い拍手です。
ペンギンがトコトコ退場すると、
ハッシィはハンカチを出しました。
ポンキチ「今度は白い鳩だね。」
ハンカチを丸めて、
ハッシィは
「はーい」
と掛け声をかけました。
すると中から、真っ黒いカラスが出て来ました。
「カー」
と鳴くとバサバサッとハッシィの頭に留まりました。
ハッシィは頭にカラスごと布をかけました。
「はーい」
掛け声と共に布を取ると、
なんと黒いカラスは白いペンギンになりました。
ペンギンは手を振りながら、トコトコ退場しました。
パチパチパチ拍手が起こります。
ポンキチ「白いカラスになると思ったのに、又ペンギンだぁ。」
舞台のハッシィは今度はトランプを出しました。
パオーン「一枚引いて、カードを当てるのかなぁ?」
ポンキチ「カードがでっかくなるんじゃない?」
音楽に合わせて、ハッシィがカードを扇状に広げていくと、
中からペンギンが出て来て手を振っています。
パオーン「まさか又ペンギンを使うとは!」
ポンキチ「マジックショーじゃなくてペンギンショーだぁ」
場内は愉しそうな笑い声でいっぱいです。
ハッシィはお客さんの中から、
パオーンお父さんを選ぶと舞台に上がってもらいました。
パオーンお父さんは巨大な象です。
ハッシィ「今からパオーンお父さんを一瞬で消してご覧に見せます。」
会場から
「へー凄いっ、」
「やるー」
「マジックショーだぁ」
と声がしました。
天井から大きな黒い布が降りて来ました。
スッポリとパオーンお父さんに被さりました。
ハッシィ「では、1、2、3はいっ」
布を素早く抜き取ると、
一瞬にしてパオーンお父さんは消えてしまいました。
「わー不思議」
「何処に消えたの」
「やっるー」
パチパチパチ凄い拍手です。
ハッシィは今度は自分に布をかけました。
ハッシィ「1、2、3はーい」
中から出て来たハッシィは、
まるで飛行機乗りの様な格好をしていました。
ハッシィ「この後2時から、
ハッシィの曲芸飛行が隣りの飛行場で始まります。」
パオーン「近くに飛行場あったっけ。」
つづく