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かものはしのハッシイ

アクリルケージ屋さんの日常 by norita

海風が恋人 33

2011-06-15 12:00:00 | 海風が恋人

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まったりとした暑さの中石垣の1日が過ぎた、土産屋の仕事はまだまだ慣れない、渚はかなり疲れたまだった働き初めて数日だからだ。

オーナーは品のいい中年だった、しかしなぜだが何か妙に懐かしいと思う。
店の近くで夕食を綾香と食べた、軽のワゴンでアパートまで送ってもらう。

綾香「じゃ明後日ね」

綾香の運転する車が走り去った。
石垣の夜は静かに虫の声で過ぎてゆく、都会の喧騒とは違うおもむきがある。

部屋に戻るとかたずけをする、まだまだ散らかったままだ。
渚の携帯が鳴った、大工の大崎からだ。

渚「もしもし」

大崎「今西表にいるさぁー、まだ仕事の下見なんだけど明日帰るから飯どう」

渚「昼間は買い物とかあるけど、夜はなんとかなるかな」

大崎「じゃまた連絡するから」

あっけない電話だった。本当に言葉が少ない。
アパートの階段を上がる、少し空を見たが今日は少し雲が多いので星は見えなかった。

その時終わり屋はトレーニングをし終り、武器の手入れをしていた。
明日は渚と離れるが、ベビーフェイスの居所が解らない以上は下手に動かないほうがいい。
まだフォックスに動きがない、ベビーフェイスに接触したのか一度西表に行ってみる事になりそうだ。
今日は早めに買い物をして、明日のバーベキュウ食材は用意した。

渚と一緒に居なくとも石垣島にも情報屋はいる、日頃は探偵みたいな何でも屋をしているが、離島ではあまり探偵の仕事はない。
離島料金なので高くはなるが、自分が行かなくても見張りくらいにはなる。
ただベビーフェイスに狙われるかもしれないから、遠くで女を見張ってもらう。
情報屋は金沢と言う四十手前くらいだろう温厚そうな男だ、一年前に石垣に来た時捜しておいた。

終わり屋はいつも1人なので、金で相棒をしてくれる奴が欲しかったのだ。
金沢は山城を金持ちの物好きな中年と思っているらしい。
変装をしてしか会った事がないので、本当の自分は知られてない。
金沢を明日は1日中新しい従業員の素行調査名目で雇っておいた。何かあれば連絡がくる。
明日は晴れだろうか、綾香と何処か行った事はない。
変装している以上、いつも短い時間にしようと心がけてきたからだ。
思えば一年間よくやってくれている、終わり屋は別に店などどうでもいいが真面目な女だと思う。
休みの日くらい、若い男とデートでもするべきだろう。
もしかしたら何か感ずかれたかもしれない、どうも疑う事から考えてしまう。
今週の内に西表に行ってフォックスの様子を見るかと思う、ベビーフェイスが何処にいるのか確かめなくてはならない。

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渚は朝早くから起きると掃除をしていた。
新しいアパート生活はワクワクする。
実家で生活していたので一人暮らしには憧れがあった。
やはり棚が欲しい、また会社の車を借りるか。そうだ大崎に頼もうと思った。
天井にヤモリがくっついている、今まで無かった生活空間だ。
考えると冷蔵庫に何も入っていない。
近くのスーパーにでも買い出しに行こうと思った。
サンダルをはくとアパートの階段を降りる、左にだいぶんと歩いたが店らしきものは見えない。
10分ほど歩くと小さなお店があった、カゴいっぱいに適当に買った。
そうだ調味料を買わないとと思った。

荷物を冷蔵庫に入れると、さっきの店で買ったアイスコーヒーを入れて休憩する。
パソコンのネットを申し込まねばと思った。
携帯で検索して通信会社を調べた、石垣の生活がだんだん現実味をましてきたなぁと思う。
でもなんとなくだが、やっていけそうな気がしてきた。
渚は一段落すると急に海が見たくなった。

まだ蒸し暑い外に出ると、海が見えるところにきた。風が気持ちいい。
ちょうど夕日が綺麗に見えた。
この数日で島の風景に溶け込んだ自分がいた。
渚の髪が急に海風にゆれて、海の向こうの雲が綺麗に赤く染まった。
渚の心が海風に包まれていった。

「海風が恋人前編完しばらく休憩したら後編になります」

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海風が恋人 32

2011-06-12 08:59:00 | 海風が恋人

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山城は家に戻っていた変装を落としフードの付いたランニングウェアに着替える。

メタリックブルーのセダンに乗ると、少し離れた人があまり来ない公園行く。


公園には1つだけ街灯の灯りがある、シャドウボクシングを5ラウンドすると腕立て伏せをする腹筋運動も欠かさない。

後は公園をランニングする、ランニングウェアは目立たない黒だ。

店長の綾香と晩飯にいかない時は必ずトレーニングをする。


ずっと続けてきた習慣だ、明日は少し店に顔を出す。
少ない時間なら、変装には自信があるからベビーフェイスにはわかるまい。

万が一には渚が気ずくかもしれない、5年も付き合ってきたのだ時々まさかと思う事をする女だ。


最後にストレッチをして終了する、車からタオルを出して汗をぬぐう。


ダッシュボードにはナイフと銃が入っている、ナイフを三本取り出すと五メートル離れた木に投げた。


ナイフは吸い込まれるように木に刺さっていく、三本投げるとまた繰り返す。


終わり屋「そろそろ帰るか、なんで俺の店にいるんだ」独り言が増えたと思う。

青い車がゆっくり動き出した。


火曜日の朝になった、渚はまた店のシャッターの前で待っていた。

綾香が急ぐでもなくやって来た。


綾香「おはよ、今日もがんばろ」


渚「おはようございます」

シャッターを上げると一日が始まった。


朝からパタパタだったので、すぐ昼ごはんになった今日はオーナーが来るので綾香は3人分の昼ごはんを用意した。


どうしても1時前がご飯の時間になる、今日はミートスパゲティにした。


1時過ぎるくらいに、ゆっくりと歩いて山城がやってきた。


渚は山城を見て一瞬だがなつかしい感じがした。


山城「オーナーの山城です、あなたが渚ちゃんですか」

渚「初めまして渚です、履歴書は店長に渡してあります」


渚が思った事は白髪で少し細い感じがする、品のいいおじさんに見えた。

綾香が言ったみたいに歳がわかりにくい。

定年を早くして退職金で石垣に来たと聞いたが、そこまでの歳とは思えなかった。

食事をしながら、山城は履歴書を見ると、明日は定休日なのと今暇だから引越しの買い物を綾香として来たらいいと言った。


綾香「オーナー1人でやれるんですか」


山城「一時間くらい大丈夫だよ、車あった方がいいだろう」
なるべく渚と一緒には居ないようにしたかった。


渚と綾香は買い物に出ていった。


1人で店番も久し振りだ、いつも3時には店を出て近くの喫茶店に行って時間を潰す。初老の男を演じている、店は綾香に任しているからだ。

綾香も喫茶店にいるのは知っているので、本当に忙しい時や夕食を食べたい時は呼びにくる。

綾香と夕食は行くが、その後は歳だからと言って断わる。
変装は思った以上に体力がいるのだ。


渚と綾香は大型電器店に来ていた、テレビよりパソコンが欲しかったパソコンはテレビにもなるし、インターネットをしたかった。


割りと早くパソコンを決めると、またマックスバリューに行って生活雑貨を買った。

車で渚のアパートに行くと店に帰った。

店ではオーナーがテキパキ働いていた。
働いている姿は若者にしか見えなかった。


綾香「オーナーただいま帰りました、私がレジします」と言うとお土産を精算する。

客がソフトクリームを頼んだ、渚が作りに行く。


山城は喫茶コーナーで飲み物を出している。


あっという間に5時になった。


山城「じゃ歳だから、喫茶店行ってる」

山城は店を出て行った。


渚「オーナーここにも喫茶コーナーあるのになぜ喫茶店に行くんです」


綾香「そりゃゆっくりできるからでしょ、いつも新聞読んでるわ」


渚は今日で買い物はほとんど終わったので、明日はゆっくりできるなぁと思った。


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海風が恋人 31

2011-06-10 10:00:00 | 海風が恋人

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渚は昨日はあまり呑まなかった、仕事があるからだ。


朝シャワーを浴びる、このアパートは電気代と水道代は込みの家賃だから直ぐに電気とシャワーが使える。

石垣のアパートやマンションには滅多に浴槽はない、シャワーだけだ風呂好きの渚には少し残念だった。


見上げると部屋の天上にヤモリがくっついている。最初は気持ち悪かったが、慣れるしかないと思った。


石垣の時間はゆっくりしている、綾香は朝10時からの店だから10時に来いと言っていた。

そう思っても5分前に着いた、綾香がきたのは10時過ぎていた。


渚「おはようこざいます」

綾香「おはよ、早いね」


綾香がシャッターを開けた、2人でワゴンを出す。
渚は店の掃除をする、綾香はコーヒー用のお湯を沸かす。アイスコーヒーの仕込みだ、もう石垣は夏なのでアイスコーヒーはよくでる。

綾香がネットで仕入業者に注文を打つ。
知り合いの貝細工の家にも電話する。


開けたばかりなのに観光客の女の子が3人入って来た。
冷やかしも多いので、綾香は何気にみていて、仕込みをテキパキしている。


綾香「トーストだけ出してるから、食パンのジャムのぬりかた覚えて。ピイナッツバターとマンゴージャムとパイナップルジャムがあるから」


渚「覚えます」


綾香「簡単だからノートに書いとくね、付け合わせのフルーツも」


今日もたくさん覚える事があった、お土産屋なので昼ごはんは奥の喫茶スペースでたべる。


綾香「今日はカレーライスにしたよ」


渚「トーストだけじゃないんですか」


綾香「喫茶で出すのはね、カレーは私が作ったの」


渚「えっ明日は私が作ります」


綾香「お店慣れてからでいいよ、当分私が作るから。いつもオーナーの分も作るんだ、だから平気よ」


今日は店が忙しかった、団体客や喫茶も繁盛した。
やっと暇になったのは夕方だった。


綾香「休憩しましょ、アイスコーヒーでも入れるから」

渚「いえ私が入れます、いつもこんなに忙しいんですか」


綾香「時々ね、暇な時は暇だから」


渚がアイスコーヒーを入れた、やっと座る事ができた。

綾香「明日はオーナーがくるから、それとうち休み水曜日だから暇な季節は休み増えるけどね」


渚「明日火曜日だから明後日ですね」


綾香「そうオーナーと潮干狩り行くの」


渚「仲いいんですね」


綾香「1年務めてるけど初めてだから、時々ご飯は行くんだけど」


渚「そうなんですか、今まで行かなかったのになんで急に行くんです」


綾香「誘っても歳だからって言うだけだから玉にはね、不思議とおじさんだけどなんか力はあるの」


渚「オーナー変わってるんですね」


綾香「なんか謎が多いって感じなの」


謎が多いって言葉が少し昔の男を思い出させた。


渚「まだまだ部屋が片付かないので休みは助かります」

綾香「一緒にと思ったけど、部屋があるわねアサリは持ってくるから」



ベビーフェイスは考えていた。
女の近くに奴は居て、自分を仕留めるタイミングを図っているのだろう。


簡単な方法だが女に電話をしてみればいいと思った。
信じられないくらい、人が良い女だから電話で奴が現れたかわかる。



渚と綾香は7時で店を閉めると、近くの店で定食を食べて別れた。

店から渚のアパートまで歩いて20分はかかる、自転車買わないとと思った。


アパートまで歩いていると携帯が鳴った。


渚「はい渚です」


山口「石垣でお家見つかりました」


渚「うん見つかった、バイト先も決まったし思ったより上手くいったのよ」


山口「むかしの彼氏からでも電話ありました」


渚「そんなのあるわけない、それよりまだ西表なの」


山口「はいまだキャンプしてます」


渚「へー星が綺麗ね、また石垣来たら連絡ちょうだい」


山口「はい必ず」

どうやら奴は現れてないなと思った。何日かしたら女に接触するつもりだ。

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海風が恋人 30

2011-06-08 10:51:00 | 海風が恋人

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渚は石垣でいきなりバイトになったが、初日はお客さんも少なくてなんとか切り抜けた。


オーナーさんは、白髪だからおじいさんで病院通いなのかと思った。
おじいさんになってから店を出すのが夢だったんだ。

店が終るとシャッターを下ろし、軽のワゴントラックでマックスバリューに行った。


渚は布団やフライパンやコップなどを買った、1からだと何を買ったらいいのかわからない。


綾香「トイレットペーパーにティシュに洗剤とシャンプーにリンス」


1人暮らしに慣れている綾香が次々とカートに入れる。

すぐカートがいっぱいになった。


綾香「まだだけど今日はこれくらいにしましょ、持てるくらいにしなきゃ」


渚「ありがとうございます、布団さえあればなんとかなります」


2人は渚のアパートに戻ると、荷物を運び入れた二階の部屋だ。


綾香「さあ歓迎会しましょ、お腹へったわ」


渚「昨日呑みすぎたんで、今日はお酒ひかえます」


綾香「そんな事いわないの、1人旅なのに誰と呑んだの」


渚「知り合いって言うか、呑み屋さんで知り合って西表で偶然会ったんです」


綾香「島の人なの」


渚「工務店の大工さん」


綾香「あなた男つくるの早いわね」


渚「そんなんじゃないですよ」


綾香「居酒屋で聞くわ、さあ行きましょ」


2人はおーりとーりと書いてある門をくぐった、石垣にも大抵の店はある。綾香はお気に入りの焼き肉屋に入った、石垣牛の店だ。


綾香「オーナーのおごりだからジャンジャン食べてね」

渚「オーナーさん病院大丈夫ですかね」


綾香「病院はあやしい、よく居なくなるから」


渚「お爺さんなんでしょ」

綾香「髪は白いけど、おやじくらいかなぁ」


渚「歳わからないんですか」

綾香「こっちが面接された方だし、あえて聞いてないけど若い感じがする人かな」


渚「不思議なオーナーですね」


綾香「渚さん適当に注文しといて、私オーナーに電話してみるから」


綾香は店の外に出ると、携帯にメモリーさせた番号にかけた。


山城は行き着けの店にいた、市街地から少し離れた小さな居酒屋だ。客は常連ばかりでいつも知った人間しかいない、一年間ずっと通っている。


携帯が鳴った、着信を見た新しい携帯なので番号しかでない、綾香にしか教えてないから綾香だとわかる。


のれんをくぐり外に出た。
山城「もしもし」


綾香「オーナー病院本当に行ったんですか」


山城「いや少しよくなったから、家で休んでいるよ」

綾香「明日は来ますよね、バイトの人に合わせたいんです」


山城「歳だから明日まで休ませてくれないか」


綾香「オーナー歳だから言い過ぎですよ、今度の休みは約束ですからね」


山城「休み、潮干狩りだねなんとかするから」


綾香「じゃ明後日は来て下さいよ」


山城「わかってるから大丈夫だよ」

まったく顔を出さないのもマズイかと思った、少しだけ顔を出して抜ければいい。


綾香が戻ると焼き肉が並んでいた。お腹が鳴った。


綾香「オーナー明後日顔出すって、明日も2人で頑張りましょ」


生ビールでかんぱいした、綾香はパクパクと食べていく。


渚は石垣牛の焼き肉美味しいと思っていた、心配することもなく石垣生活が始まった。


綾香「それで工務店の彼、ハンサムなの」


渚「ええ、ガッシリした感じで真面目そうですよ」


綾香「今度一緒に呑みましょ、ハンサムな後輩とかいないかなぁ」


渚「聞いておきますね」


暖かい土地だから人も暖かいのだろうと思った。

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海風が恋人 29

2011-06-06 09:25:00 | 海風が恋人

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渚はマリュードでバイトする事になった、お昼ご飯は綾香がくれたスパムお握りを一緒に食べた。


綾香は思っていたそろそろ、オーナーが来る時間だ今までも仕事が回らない時はバイトを雇ってもいいか聞いても「アヤちゃんに任せるよ」しか言って貰った事はない。


山城は周囲に気をつけながら考えていた。
拉致したフォックスには小型の発信器を靴につけておいた。


朝に西表の駐在所に連絡して、漁師小屋で男が縛られている事を通報した。

取り調べはあるだろうが、奴も本当の事は言えるはずはない。

適当に言い訳して警察からは出てくるだろう、それからベビーフェイスに接触するはずだ。


いつもの青い軽自動車で店に向かう、綾香が昨日怒っていたので今日は行かないとと思った。


商店街に行くまでも周りを気にしている、店の中の女を見ておもわず言葉を失った。

急いで建物に隠れた、なんで渚がユニホーム着ている。

冷静に冷静になれと自分に言い聞かせる。
終わり屋も予想外の出来事にパニックになった。


少し落ち着いてきた、近くの携帯ショップに行って新しい携帯を契約した。

真新しい携帯で店に電話をかける。


綾香「はいマリュードです」


山城「アヤちゃんおはよう」


綾香「オーナーおはようじゃないですよ、今日はくるんですよねバイト入れましたから、時給とか説明して下さいね」


山城「バイト入れたんだ、今日は用事できたからバイト代説明しておいてくれない、呑みすぎか調子悪くて病院行きたいんだ、歳だからね」


綾香「歳だからはいいです、病院なら仕方ないですけど歓迎会しようと思ったのに明日にしますか」


山城「いや、今日しといて何日も酒呑めないよ。店の経費で行って来て」


綾香「どうも怪しいけど仕方ないです、携帯番号教えて下さいね約束だから」


山城はしぶしぶ携帯番号を教えた。


綾香「オーナー病院だってごめんなさい、履歴書一応書いてねここにあるから」

山城は急いで家に帰ると、メタリックブルーの車に乗り替えて海沿いの道を走った。

小高い丘に来ると変装のマスクを取りサングラスをかけた。

しばらく止めていたタバコを出した。
火をつけるとフーとため息をついた、なぜ渚が自分の店で働いている。
石垣に住むつもりか、なんでよりによってうちの店なんだ。


遠くに見える島が美しい景色に溶け込んで、考える時間がゆっくりに思える。


ともかく、ベビーフェイスは近くにいる。店の事も調べるだろう。


当分店には顔を出さず、奴が現れるの待つしかないかと思った。


小型のナビを出した。フォックスはまだ西表に居る、もしかしてベビーフェイスも西表なのか。


ともかく奴が動くのを待つしかない。



西表の駐在所からフォックスは出てきた。

酔っていたらいきなり誰かに襲われた、何も記憶がないと言った。

それでも長々と質問されてようやく解放されたのだ。

ポケットから出した携帯でベビーフェイスに連絡する。

ベビーフェイスは思った、フォックスから電話だが、奴(終わり屋)かもしれん行方不明だったのだから消されたはずだ。

しばらく考えたが、奴だとしても出ないわけにはいかない。


山口「誰だ」


フォックス「私ですよ、奴に拉致されて今解放されました」

大まかないきさつを話す。ベビーフェイスはしばらく聞いていたが、奴が目的もなく解放するはずはない。

山口「お前はしばらく西表に待機しろ、用があったらこっちから連絡する」


終わり屋の考えはわかる、奴はフォックスをマークしている。だから俺の居場所はわからないはずだ。


ニヤリと山口は笑うと、冷蔵庫のビールをのんだ。
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