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かものはしのハッシイ

アクリルケージ屋さんの日常 by norita

海風が恋人18

2011-05-10 09:00:00 | 海風が恋人

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滝を目指して、渚達は歩いていた。


歩きながら思った、自然の中にいるうち渚はしばらく石垣で暮らそうと思っていた。


心が癒される色んな出会いもあったし、石垣で見た武志の幻も頭から離れない。今もしているペンダントが気になった。


その時、マングローブの森の中を歩いている男がいた。


山口と名乗る男は防水のトレッキングシューズに迷彩服で滝の上を目指していた。


昨日隙を見て、渚の化粧ポーチに発信器を付けておいた小型のナビには渚の居る場所が小さな点で映っている。もちろんリュックには武器も入っている。奴は必ずそばに居るはずだ。


早足だが息ひとつ乱れてはなかったが、湿度が高いので鍛えあげた腕から汗がしたたる。さっきから誰かにつけられている気がする、どうもおかしい。

マングローブの中には自分の進む音だけだが、時おり後ろが静かになる。


湿った地面に伏せて耳をすます、風の音がするだけだ。

いや奴がいる、本能がそう言っていた。


男はリュックからサイレンサー付きの銃を出すと、静かに振り向き自分の後ろに向かって撃ってみた。
ビシッ、ビシッとマングローブの森に音が響く。


バターン、後ろで何か倒れたような音がした。


急いでマングローブの中を走る、何か手応えがあった。
十メートルほど戻った、マングローブ中にピカピカ光る丸い金属の玉があった。

山口は直ぐに川に飛び込んだ、高性能爆弾だ直ぐに凄い音と共に爆発した。ドコーン爆風でマングローブの森にポッカリと穴があいた。


山口はしばらく川の中を潜水で進み、ゆっくりと頭を出した。
その間も手には銃を持っていた。


音もなく山口の眉間を目掛けて、ナイフが飛んでくる。
素早くかわすと、再び潜水した。かなり長く潜ると同じ場所から顔を出し、周りを見た。
黒い影に向かって発砲した、同じ場所に上がってくるとは思っていなかったようだ。


影はマングローブの森に消え失せた。
やはり終り屋だ、今日の夜には仲間が着くはずだ。決着は遅からずつくだろう。


山口は渚の後を追うのはやめて一度戻る事にした。
鋭い眼光はマングローブの森を静かに見張っている。

もう1人マングローブの森の中を、トカゲのように早く進む男がいた。
肩から少し血がしたたる、うかつだった振り向きざまに撃ってくるとは。


弾が少し肩をかすったが大したことはない。始末できなかったのは不味かったと思うが、こうなれば皆殺るだけだ。

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その頃渚は滝の下でインストラクターが入れたコヒーを飲んでいた。


亜熱帯のジャングルみたいで気持ちがいい。


中年のカップルが少し気になった、どうも夫婦には見えなかった。女の方が一回りくらい若く見える。


不倫旅行かとも思う、女の人はどこかのお店のママで男はパトロンかしらん。


女子大生は写真をインストラクターに撮ってもらっている。


時おりジャングルの中に陽射しが射し込む。
今自分が浴びているのは、マイナスイオンかしらんと思う。


カヌーに乗ってゆっくりと帰る、今日は半日のコースだ。時折カヌーとすれ違う「こんにちわ」「こんにちわー」と声がかかる。


西表だというのに、川にいっぱいのカヤックやカヌーが浮かんでいる。


渚も少しづつカヌーを操れるようになった、今度は石垣でシーカヤックでもしようと思う。


バンで民宿に送ってもらう、中年のカップルは仲良く女の人が男の人にもたれて寝ていた。


やはり不倫旅行か少し気になった、女子大生は相変わらず元気に見える。


さて昼から何をするかしらん。


つづく

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海風が恋人 17

2011-05-08 09:50:00 | 海風が恋人

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渚を乗せたバンは他のホテルや民宿を回って、今日のカヌーツアーの客を拾った。

2人連れの女子大生と中年のカップルが乗ってきた。

インストラクターの上田は25才か26才くらいだ、背丈は180センチより低いくらいか、短髪でインストラクターをしているくらいだから体格はいい。


道の両側から、ジャングルのように草木が生い茂っている。


車はどんどん細い道を進むと、何台か車が停まっている所についた。


まず皆車から降りると、カヌーのパドルの使い方の練習をする。
渚はインストラクターの上田の教え方が短い気がしたが、なんとなくわかった気がした。


一緒にいた女子大生達は覚えが早く使い方はわかったようだが、中年のカップルの男の人はかなり質問をしている。


渚は今日のカヌーの料金を支払い、支給されたライフジャケットをつけるとウェットスーツとシューズをはく。


インストラクターの上田の後をついてマングローブの森の中を進む。


上田「今日は風も無いので、ゆったりと進めると思います。皆さん落ち着いて進んで下さいね」


女子大生も混じっているので、歩く森の中に明るい声が響く。


上田「あれは白蟻の巣です、木の上にコブのような形で作ります。」


しばらく行くと、カヌーやカヤックがたくさん置いてある場所にきた。


インストラクターの青年は次々にカヌーを浮かべていく、カヌーは重いはずなのにヒョイヒョイと持って運ぶ。


1人づつ乗せると、最後に自分が乗りパドルの使い方などを教えていく。


マングローブの森は渚に自然を感じさせ、川に映った自分の影が今までにない経験だと思う。


渚は最初パドルはなかなか使えなかったが、そのうち慣れてなんとか進むようになった。


静かな川にピチョッピチョッとパドルの音がする、渚は一番最初を進む次は中年のカップルと女子大生達だ。
インストラクターの上田は最後から大きな声をかけながらゆったり漕いでいた。

女子大生達はカメラを撮りながらキャキャッと喜んで漕いでいる。


上田「皆さんなかなか上手ですよ、あまり端の方ではなく真ん中よりを進んで下さい流れがゆるやかですから」


渚は先頭なので景色が独り占めだ、自分だけが漕いでいる気がする。


その時インストラクターの青年が最後尾から、急いで前まで漕いで来た。
渚の前にでると、Uターンして声をかける。


上田「皆さんあそこにマングローブのトンネルがあります、一度マングローブの中に入って見ましょう」


見るとマングローブの森にギリギリカヌーが入れるところがあった。


パドルの使い方は難しかったが、なんとか中に入れる。女子大生や中年の男性も入ったが連れの女性がマングローブの枝にひっかかった。


上田「落ち着いて下さいね、少し押しますから」

インストラクターが最後の1人もマングローブの森に入れた。


マングローブの間から太陽の光りが入りキラキラしている。


上田「水面に浮いている黄色い葉っぱは、マングローブがよぶんな塩分を葉っぱにためて自ら落としたものです。だからマングローブは海水の中でも生きていけます」


マングローブから出る時、渚も引っ掛かってしまった。中年の男性が押してくれた。


上田「遠くに見える滝がピナイサーラの滝です」


女子大生「どんな意味ですか」


上田「見ると想像できますが、長いひげに見えませんか。おじいさんのヒゲって意味です」


渚がパドルを漕いでいると目的地に来たらしい。


インストラクターの青年が次々と客のカヌーを押さえ、陸に上がりやすくする。

上田「今から滝まで歩きます。滝でも泳げますが冷たいですから」


インストラクターはまたジャングルの中を歩きだした。

渚は澄んだ空気の中、ジャングルに入って行った。


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海風が恋人 16

2011-05-05 09:02:00 | 海風が恋人

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西表の海辺のショットバーに、知り合ったばかりの男と2人不思議なゆったりとした時間が流れる。


渚「バックパッカーなのになんで西表がそんなに詳しいの」


山口「えっお金がないぶん調べるんですよ、ここおごって下さいね」

山口は思った、ここに来る前にかなりネットで調べた。実は女より3日前には石垣にいた、石垣の隅々から西表もかなり歩いたし調べぬいたのだ。


渚「チャッカリしてるわね」

山口「ピザ頼んでいいですか」


渚「いいわよ、よく食べるのね」


小高い丘の上で、終わり屋はリンゴをかじっていた。情報屋から買った話しだと明日にもあと2人仲間がくるらしい。


どうする自分に問いかける、2人来たら始末しなけりゃならないかとも思うが。
その後女をどうするか考える、まだ我慢かもしれない。
いつもの通り、島の人間になりきるかと思う。


終わり屋の特技は、変装を超えた誰かになりきる特技だ。
なりきる人間の今までの生い立ちや性格も全てコピーしてしまう。


自己暗示で瞬間的に自分を消し去り、コピーした本人だと思っているので、今まで誰にもバレた事がない。
終わり屋の別名はカメレオンだった。



渚「今日は楽しかったわ、明日カヌー行くつもりなんだけどあなたも来ない」


山口「いやお金もったいないし、キャンプ仲間と釣りに行くんですよ」


渚「残念、少し可愛いと思ったとこなのに」


山口「またお願いしますよ充電しときますので、さっ送ります」

カヌーは狙撃されると弱い水の上では反撃が難しい、そんな所で油断はできないからだ。


渚は暗い道も空気が違うと感じる、青い草の香りがする。

渚「不思議な出合いね、すれ違ってばっかり」


山口「えっそうですか、また夕方電話していいですか」


渚「きっと予定がいっぱいだけど、いいわよ」


山口「わかりました」


渚が民宿に戻ったのはかなり遅かった、急ぎシャワーを浴びると直ぐに横になる。

夜中に「キャキャキャキャー」と何かが鳴く音がする、鳴きヤモリだった。


今日はすごく眠い、1人旅もなかなか楽しいと思いながらいつの間にか寝ていた。

朝の日射しで目覚めた、今日も快晴にちがいない。


食堂に行くと昨日より遅いからか、泊まり客がもう食べていた。

味噌汁を入れてもらうと、1人でスキューバーに来ている女と話した。


渚「今からカヌーなんです」

女「へー愉しそうね、私はスキューバー一筋だから」

渚「私カヌー初めての体験なんで、わくわくです」


女「あなた1人旅じゃ、昨日は誰かといたの」


渚「ええ学生さんと知り合ったんですよ、性格良さそうだから」


女「きーいいわね、私も若返りたいわ」


渚「そんなんじゃないですよ」


女「いいえ今のうちに楽しむべきだから、どんどん行くべきよ」


渚「あっインストラクターが来たみたいだわ」


渚は民宿の玄関に出ると、インストラクターと挨拶をした。民宿で頼んでいたのだ。


渚「初めてまして、山野っていいます」

インストラクター「僕は上田といいます、今日はよろしくお願いします」


渚「こちらこそ、初心者なんで優しくお願いしますね」

上田「今日は川だから、とっても安全ですよ。海に出るシーカヤックは珊瑚が綺麗なんですが波が高いと危険な時もあるので」


渚「楽しみです」

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海風が恋人 15

2011-05-04 10:50:00 | 海風が恋人

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ヘリポートで2人は星を見ている。寝転がったアスファルトの上は暖かい、昼間の熱がまだ残っているからだ。


渚「うっわー星がいっぱいね、遠くまでよく見えるわ」

山口「アスファルトの上はハブがめったにいないんです、それにここ外灯も無いので星を見るには最高でしょ」


渚「空に吸い込まれそうね、天の川かしらんゆっくり星なんて見たことなかったわ」


輝く満天の星は降ってきそうだった、虫の声と風の音が聞こえてくる。
少し酒がまわって楽しい。

山口「ビール呑みますか、今ならまだ冷えてます」


渚「もらうわ、今楽しいから」


山口「ツマミもありますから」


渚「星空の下、男と女何も感じないの」


山口「酔ってますね、魅力的な女性だからもちろん思います」

その時、銃声のような音が響き渡った。
急に山口の目付きが変わったが、渚にはわからなかった。


山口「ちょっと急に用事思い出しました。すみません先に帰りますね」


渚「えっ帰ってしまうの」

山口はもはや走り去っていた、走りながら考えた。今の銃声はなんだ奴ならサイレンサーは使うはず、フォックスにもサイレンサーを使うように言っている。


リュックから銃を取り出し、安全装置を解除して弾装を調べた。


かなり走っているが、息切れどころか汗ひとつかいていない。気配さえ消しながら走る。


フォックスのテントが見える所で伏せた。
しばらく様子を見る。


携帯を取り出すと、フォックスに掛けた。
直ぐに男が出た。


山口「今のは何だ」


フォックス「銃が暴発した、不注意だ」


山口「なんだと、あれだけ気をつけろと言ったのに終わり屋にしては変だと思ったが」


山口は念のためしばらく動かず観察していた、テントから間抜け面が見えた。


チッ舌打ちをすると、山口は闇に消えた。


ヘリポートに1人残された渚はゆっくり星を見ていた。
もともと1人になりたかったのだ、今はゆっくり時間を使おう。

ビールが美味しい、武志を少し思いだした。


ガサガサ音がした。


山口「すみません、終わったので帰ってきてしまいました。さっきの色っぽい話はどうなりました」


渚「なんの話し、忘れちゃった」


山口は思った、確かに奴がいるが味方のはずのフォックスはやはり役にたたない。
この女に何か秘密があるのか、お人好しにしか見えないが。


山口「少し散歩しませんか、洒落たショットバーがあるんです」


渚「西表にあるの」


山口「ありますよ、店は綺麗ですが」


渚「意味深な言い方ね、でも行きましょ」


2人はパイナップル畑を抜けて、少し歩いた反対側にある浜の近くにある店に入った。


確かに洒落たつくりだ、丸くガラス張りの店内は明るければ海が見渡せるつくりだ真っ暗なので残念に思った。

バーテンはおばあだった。

渚は泡盛のソーダ割りを頼んだ、山口はビールだ。
店の中にはジャズがかかる。

遠くから双眼鏡で、終わり屋が見ていた。

仲間割れかと思った銃声だったが、何か違うらしい。
サイレンサー付きのライフルが山口の眉間を狙っていた。

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海風が恋人 14

2011-05-01 10:19:00 | 海風が恋人

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キャンプ場も暗くなってきた、山口は魚のオリーブオイル焼きを出した。


渚「とっても美味しい、西表の星空の下で食べると何倍も素敵だわ」


少し離れたテントの中に、昼間バイクに乗っていたフォックスはサンドイッチをほうばり、暗視スコープで2人を見ていた。


昼間の車は本当に観光客だったのか、カップルだったし男はかなりの年だった。変装もあるが、おおよそ体格が違いすぎる。


ベビーフェイスは奴は必ずいると言っていたが、組織から大金を持ち逃げしたんだし女に固執する男ではないように思う。


念のためサイレンサー付のピストルの弾を確認する。

渚は美味しい料理にごきげんだった。


渚「星が綺麗、料理も美味しい」


山口「後で星を見にヘリポートでも行きましょう」


渚「えっ星を見に行くのロマンチックだわ」


山口「少し酔ってませんか、あとはパスタだけですから直ぐに作りますよ」


渚は本当に酔っていた、今なら学生にも口説かれそうな気がするくらい気分が良かった。


ずっとモヤモヤしたものが、はじけたみたいだ。


渚の携帯が鳴った、親友の美沙だった。


渚「もしもし美沙なの、今呑んでいるの」


美沙「いきなり会社辞めて、沖縄にいくとか言ってたから本当に沖縄にいるの」

渚「本当よイケメンと輝く星の下で呑んでいるの」


美沙「えらくご機嫌じゃない、元気ならいいのあんたも色々あったから、じゃましちゃ悪いから又電話して」


渚「わかった、明日電話する」


山口がパスタを運んできた。


山口「カルボナーラにしました、食べたら星を見に行きましょ」


美味しいパスタだった、少し酔ってはいるがプロ級の料理の腕だとわかった。


山口は思った、この闇に潜んで奴は見ているに違いない。
フォックスの他にもあと2名呼んでおいた、自分の勘が奴がいると確信していたのだ。


奴は組織でも最強と言われた男だ、1人では勝ち目が少ないフォックスは戦闘要員ではないからだ。
明日には仲間があと2人くる、凄腕の暗殺者だ必ず仕留めてみせる。


渚は空を見上げて星を見ていた、山口がかたずけをしている。
手伝うと言ったら、休んでいて下さいと言われた。


山口「さあ行きましょうか、カンビールにミミガージャーキー持って」


渚「ミミガージャーキーって何なの」


山口「あっ知らなかったですか、ブタの耳をミミガーって言うんです。ブタの耳のジャーキーですよ」


渚「そう、なんかくるくるしてるわね」


山口「ミミガージャーキー旨いんですよ、ビールにはぴったりです。さあ懐中電灯は必需品です。足元のハブを警戒しながら行きましょう」


渚も懐中電灯を持って山口の後を歩く、酔っているので風が気持ちいい。


渚「どこの学生さんなの」

山口「三流なんで秘密ですよ、浪人もしたんです」


渚「あっパイナップル畑が光ってる」


山口「ホタルの幼虫です、芋虫みたいに畑を移動するんで一般的なホタルとは違いますね」

渚「幼虫が光るんだ」


山口「道横の溝に気をつけて下さい、ハブのエサはカエルが多いのでカエルがいそうな所にいます」


渚「詳しいのね」


山口「キャンプばかりしてますから、雑学にです昼間に日陰ヘゴというシダの仲間の先っぽを取りました。おおきなワラビみたいな形です」


渚「ひかげへご変わった名前だわ」


山口「短冊にしてカツオと醤油で山芋みたいな味になるんです。今タッパーに持ってきました」


渚「本当に料理が趣味みたいね」


山口「バックパッカーをしていると食事が楽しみになりますよ」


しばらくして、アスファルトだけの場所にきた。山口のいうところ、西表で急患がでた時に石垣からヘリコプターが飛んでくる場所らしい。


山口は持ってきたシートをひく。


山口「さあ寝ころがって星を見ましょう」


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