二宮正治の短編小説 中学生の恋日記 太郎の月曜日 第１５回

　太郎は朝晴美を迎えにいって学校に一緒に行って、帰りは晴美の自宅に送り届けてからまた学校に引き返しクラブ活動をする毎日だった。
　その内に晴美は、
「太郎ちゃんのクラブ活動を見学してその後一緒に帰る」
　と言い出したのだった。
太郎はまた登校拒否を起して欲しくなかったので、晴美の言う通りにした。
　こんな生活を続けていた太郎だったが、ある日弘子が太郎を呼びとめこう言った。
「私の事を忘れたの」
　この弘子の言葉に、
「そんな事無いよ」
　太郎はこう言葉を返したが弘子は、
「新しいガールフレンドが出来たみたいね」
　とすねたように言うのだった。
「ぼくのガールフレンドは弘子ちゃんだ」
　この太郎の言葉に、
「だったら一緒にいてよ」
　と弘子は口をとがらせて言う。
「晴美ちゃんの登校拒否が直ったらね」
　太郎の言葉に弘子は逆上した。
「晴美ちゃんと呼ばないで、苗字で呼んで苗字で」
　太郎と弘子の会話は平行緯線だった。