文明開化と平仮名英語

流れるような筆使い、崩し字満載の平仮名で書いた英語は日本国開国・文明開化の一時期を象徴するような出来事でした。

「英語寄」落穂ひろい- 1

2010年05月03日 | 文明開化と平仮名英語

 プロログ

 『萬国通商往来』(明治6年出板)には第39丁裏(39u)から第49丁裏(49u)まで21頁にわたって英語寄[いぎりすのことばよせ](全209語)が頭注に掲載されている。当時の往来物に掲載の商用の英語(片仮名英語)とはどのようなものか、知りたくて昨年12月7日から毎週月曜日に1ページ10語ずつgoo blog で取り上げ、時に難しいところは飛ばして今年の4月26日に取り敢えず読み終えた。

 その間、先人の努力に感心したり、驚いたり、時に悩まされたりの連続であった。
特に気になったのは
<1>見出し語の漢字や振り仮名が難解でしばしば読解不能
<2>漢字の読み、振り仮名はかなり柔軟
<3>片仮名英語で特に気になったのは
  3-1.フレーズとなると冠詞とか of などの読みで更に難解
  3-2.長い片仮名英語は特に厄介
  3-3..片仮名の読み違いがもとで立往生

 始めと終り   

 商売の出発点は荷主にあるということか
39u②荷主「尓(に)ぬし」をオウ子(ネ)ルヲフグーツ≪owner of goods≫といふ、お手上げ寸前で、それらしい英文字を探しあてた。
 注:39u②⇒第39丁裏第2行(以下同様)

 締めくくり209語めは生活で終わる。
49u⑩生活[くちすぎ]をライフ≪life≫といふ
生活の読みが「くちすぎ」とは、これが究極の商売道ということであろうか。柔軟な読みに驚かされる。

<挿図>『萬国通商往来』明治6年(1873)、神奈川県立図書館k670.3/2