ウェザーコック風見鶏(VOICE FROM KOBE)

風の向くまま、気の向くままに……

指月電気製作所社長梶川泰彦氏の「私の駆け出し時代」

2007-05-04 09:36:04 | 企業戦略
 神戸新聞5月3日付「私の駆け出し時代」欄で、指月電気製作所社長梶川泰彦氏の駆け出し時代が紹介されている。
 梶川氏は、入社直後、日本で最先端のコンデンサー開発を担当する研究室に配属されたものの、上司から「君の仕事は、そうじ」といわれ驚いたとのこと。それから半年間、明けても暮れてもそうじばかり、もう嫌で嫌で「辞めてやろう」と真剣に考えたとのこと。

 あるとき先輩が、「何でそうじをさせられているかを考えたか。周りの先輩たちを見てみろ」とアドバイスしたとのこと。「開発中のコンデンサーはわずかなゴミが付着しても不具合を起こすから、先輩たちはゴミを分析していた。ほかの部署はボロボロの布でそうじしているのに、自分だけがゴミが分かるよう、きれいな布だった。それも分からず、終わったら布を捨てていた」とのこと。
 梶川氏は、「そうじは手段であって目的は別にあった。昔ながらの指導法というか、手段だけ伝えれば、自分でわかるだろう」と回顧している。
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 いわゆる、「古き良き時代」と評価するべき「日本の昔の仕事文化」といいうるのかもしれない。
 あるいは、西洋、つまり、ヨーロッパに根付いた「ギルド制度」の中にも、このような仕事文化があったのかもしれない。いわゆる徒弟制の中で、徒弟は、「親方の一挙手一投足から仕事を学ぶ」といった文化風土があったと思う。仮にこの考え方が正しいとすれば、先程の、「古き良き時代の日本の仕事文化」に重なるところがあることになる。
 しかし、今の時代に、現代にこれは通用しない。
 今の新卒社員に、同じ手法で指導を行おうとする場合、間違いなく新卒社員は短期間で退社することになるだろう。
 また、「手段のみ伝授」して「後は自分で考えよ」という場合、「時間との勝負」が大きな要素を占める現代という時代要請にも合わないことになる。
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 むしろ現代は、「目的のみ提示」して、「それを達成する手段を考えさせる」か、「手段と目的を示し、仕事をさせる中で覚えさせ、さらに発展的な仕事ができるように仕向ける(=いわゆる『仕事を通じた指導育成』)」といった手法をとるべきである、と考える。
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