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買収先は名刺代で判断 - 永守重信氏

2008-05-10 08:02:22 | 企業戦略

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 NIKKEI NET BIZ+PLUSコラムコーナーの中島孝志氏の記事を取り上げる。タイトルは、「買収先は名刺代で判断 - 永守重信氏」である。
 記事自体は、2006年8月9日付で公表されているもので古いが、M&A等を考えるに当たり示唆に富む記事であり、取り上げることにする。
 記事タイトルにリンクを張っておくので、興味のある方はチェックしてみるとよい。

 M&Aを考えるに当たり、「コスト削減幅が大きい企業を見極める」ことはひとつのポイントになる。
 売上高を維持しコスト削減を図ることができれば、利益基盤の強化を図ることができることから理解できるものと思う。
 日本電産の永守重信氏のM&Aを検討する際の考え方として取り上げられているが、面白い視点である。

 企業の置かれている状態は、財務諸表によりその全体像を把握することはできるが、それだけでは読み取れない部分が多い。
 永守氏は、「自社で100枚の名詞にかけているコスト」と、「対象企業が100枚の名詞にかけているコスト」を比較対照し、「コスト削減幅が大きい企業か否かを見極める指標のひとつ」としているようで、その発想が面白い。。。
 記事を引用しておく。

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 記事引用
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○コスト削減幅が大きい企業を見極める

 日本電産は超マイクロモーター、特にハードディスクドライブ(HDD)用モーターでは世界シェアを握っていますが、同時に積極的なM&A戦略でも広く知られます。

 …(中略)…

 日本電産の創業者、永守重信氏がM&Aを検討する際の1つの指標というのが、相手先企業の名刺100枚のコストです。その値段が自社(日本電産)の1300円よりも高ければ、コスト削減の“下げシロ”があり、メスを入れる余地が大きい。逆に1300円より低ければ、より一層のコスト圧縮は期待薄、と読み解きます。右下の表に示した数式は、1300円よりも少ない、つまり、こういう企業は買収・合併してもメリットが少ない、ということを表しています。

 普通、企業買収や合併を考えるとき、1株あたり純利益(EPS=Earnings Per Share)や、1株あたり純資産、といった経営指標が問題視されます。

 とはいえ、こうした経営指標は上場企業であれば、公表している財務指標からたいてい計算できます。最近は決算発表の時期になると、必ず粉飾決算のニュースでにぎわうことは周知の通りです。

 そこで、永守氏はこうした計算式で比較できる数字以外に、M&A対象企業の“真実”を把握できる指標は何か、と考えて名刺にかけるコストに着目しました。

 …(中略)…

 永守重信氏は以前から独自の視点を持つ経営者といわれていました。

○新卒採用の決め手は"早弁"、独自の経営哲学

 新卒採用にあたって、弁当を食べるスピードが速い学生を採用したことは広く知られています。最終面接の際にわざと米を硬く炊いた弁当を対象者全員に食べさせ、早食いした学生に目をつけた。昼休みにのんびりと優雅にランチをとっているような社員は使えない、食事の時間も惜しんで仕事に没頭する社員こそ人一倍仕事ができる、という永守さんなりの哲学があったのでしょうね。

 …(中略)…

 日本電産が買収した、あるオルゴールメーカーでは、買収前、工場のコスト意識があいまいでした。機械というのはスイッチを入れて稼動までに暖機運転し、スイッチを切る際にもクールダウンする必要があります。その立ち上げと冷却にそれぞれ数十分必要なのですが、この企業では出社定時にスイッチを入れ、退社時間のしばらく前にはもう冷却作業に移っていた。この両方の時間は機械は稼動できず、生産性の足を引っ張っていたわけです。そこで永守さんは、30分前の出社を従業員に命じた。その結果、フルに稼動できるようになって生産性が上がり、一気に黒字転換できたそうです。つまり、生産性の改善幅が大きい企業だった。恐らく名刺代は1300円を上回っていたと推測できます。

 …(後略)…
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 Written by Tatsuro Satoh on 10th May, 2008

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