ウェザーコック風見鶏(VOICE FROM KOBE)

風の向くまま、気の向くままに……

「考え方」が結果に直結する ‐ 稲盛和夫氏

2008-05-17 05:38:01 | 企業戦略
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 NIKKEI NET BIZ+PLUSコラムコーナー、中島孝志氏の記事を再び取り上げる。タイトルは、「『考え方』が結果に直結する - 稲盛和夫氏」である。
 記事自体は、2006年6月21日付で公表されているもので古いが、経営を展開していく上で、基本となる考え方、哲学が内包されており、読んでいて興味深い。
 記事タイトルにリンクを張っておくので、興味のある方はチェックしてみるとよい。

 記事によると、「稲盛さんの数式『熱意』x『能力』x『考え方』=『この世で起こる結果』は、松下幸之助さんの影響を濃く受けています」とのこと。
 前々回の記事で、松下幸之助氏を取り上げたが、松下翁の場合「能力」ではなく、「知識」という言葉が使われていた。

 記事の中で、興味を引かれる点は、「本当に優秀な企業経営者は決して才能で部下と競争せず、『徳』で競います。…人間の徳では経営者に適わない―そういう経営者がトップマネジメントする企業はうまく回ります」と指摘している点である。
 同じ記事で、「米国の鉄鋼王、カーネギーの墓碑銘に『己の周りに、己より優れし人物を集めたる者、ここに眠る』とあります」ともし適されており、同じような意味合いを持つと感じる。。。
 もう一点、面白かったのは、「稲盛さんの考え方として重要なのは、空っぽな状態でいることです。…企業トップは決断業です。決断を迫られたとき、頭の中を常に空の状態に置いておかないといけない。空の状態で普段の考え方に沿って即断即決する。松下幸之助さんはこの姿勢を『素直なこころ』と表しました」と指摘している点である。
 参考のため、記事を引用しておく。

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 記事引用
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○松下幸之助氏の影響色濃く 

 稲盛さんの数式「熱意」x「能力」x「考え方」=「この世で起こる結果」は、松下幸之助さんの影響を濃く受けています。

 稲盛さんが松下さんに深く傾倒していたことを表すエピソードを一つ紹介しましょう。20年ほど前、稲盛さんにお会いしたとき、おっしゃっていた話です。

 ある日、京都で幸之助さんの講演会があり、稲盛さんも出かけて行きました。「ダムのように内部留保を貯め、資金ショートしないように備える」という松下さんの有名な経営理念の1つである「ダム経営」について、聴衆から「(ダム経営の)理念はわかった。しかし具体的にどうやったらできるのか」という質問が飛びました。

 松下さんは一言、こう答えたそうです。

 「強く願うことですな」。

 会場は爆笑。ほとんどの来場者は肩透かしを食わされた、と感じたのでしょう。だが稲盛さんはものすごく感動した。「これこそ経営者にとって最も重要な点だ」と。

 強く願わないと物事は何も始まらない。ダム経営を絶対実現するんだ、と強く願い、潜在意識の奥底まで落とし込んでいけば、自然とダム経営をできるようなこころのあり方が整う。方法論はそれから自ずから見える、と続くわけです。熱意の大事さが伝わってきます。

 「能力」は幸之助さんの「知識」に言い換えられます。稲盛さんの経営理念で面白いのは、その松下さんと同じ2つの要素に、「考え方」を掛け合わせた点です。

 …(中略)…

 京セラ本社での社員の接客に、その思想が集約されています。

 百貨店や飲食チェーンなど、多くの客と接する企業は客を迎える際のお辞儀の角度を、数字で何度と決めてマニュアル化しています。
 …(中略)…京セラの接客姿勢はそうではありません。「田舎の親戚が久しぶりにわざわざ自分を訪ねて来てくれた」ことをイメージして接遇することを徹底して教育しています。…(中略)…目に見えない自分のこころを大事にする。この接客姿勢こそが、稲盛さんの「こころ」を大事にする思想の具現化です。

○問われる企業の美学と視点

 稲盛さんの数式、「考え方」を重視することは特にリーダーにとって重要な視点だといえます。

 「考え方」とは、その人物がこれまでどういう生き方をしてきたのか、いわば「人徳」が大きく影響します。企業や社員を引っ張っていくために必要な人間としての徳目、そういったものを持つ経営者がマネジメントしているのが真の実力企業なのではないでしょうか。

 …(中略)…

 しかし、本当に優秀な企業経営者は決して才能で部下と競争せず、「徳」で競います。ビジネス上のスキルでは部下のほうが圧倒的に勝っているが、人間の徳では経営者に適わない――そういう経営者がトップマネジメントする企業はうまく回ります。

 米国の鉄鋼王、カーネギーの墓碑銘に「己の周りに、己より優れし人物を集めたる者、ここに眠る」とありますが、その言葉の意味とも通じるでしょう。

 …(中略)…

 もう一つ、稲盛さんの考え方として重要なのは、空っぽな状態でいることです。稲盛さんは、会議中、いつも短時間での決断を迫られていました。一つ決裁してもまた多くの決裁が待ち構えます。

 一件落着した稲盛さんは、次の決裁案件を持つ人が部屋をノックして入ってくるまでにさっき決断した内容を瞬間的に黒板消しですべて消すそうです。

 企業トップは決断業です。決断を迫られたとき、頭の中を常に空の状態に置いておかないといけない。空の状態で普段の考え方に沿って即断即決する。松下幸之助さんはこの姿勢を「素直なこころ」と表しました。こころに何も色をつけない状態。

 稲盛さんの考え方の底流には、「空」があります。こころを空っぽにすれば、すべてが入ってくる。そういうこころのあり方を実践して経営を進めた人です。そのあたりが仏門に入ったのと何かしら共通点があったのかもしれません。
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 Written by Tatsuro Satoh on 17th May, 2008

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