ウェザーコック風見鶏(VOICE FROM KOBE)

風の向くまま、気の向くままに……

オーダーテイカー(注文獲得)から顧客とのコミュニケーションへ

2007-04-14 11:43:44 | 企業戦略
商売の原点

講談社

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 いつものことながら、4月9日のテレビ東京の放送番組「カンブリア宮殿」は見ることができていない。
 今回は、キリンビール社長加藤壹康氏がゲストであったとのこと。加藤氏は、一貫して営業畑を歩み、キリンビールの中では「営業の鬼」と呼ばれているようであるが、「オーダーテイカー時代=注文獲得時代」を生き抜いてきた人とのこと。
 
 その加藤社長が、現在、営業の基本方針として掲げているのは、「『価格営業』から『価値営業』へ」ということで、いわゆる単なる「オーダーテイカー営業=注文獲得(注文取り)営業」から「価値営業=顧客とのコミュニケーション営業」へと、営業部隊の変革を図ってきており、一定の成果を上げてきているとのことである。

 「この間、キリンはアサヒの猛追を受け、ビール部門では苦戦を強いられてきているが、巨額のM&A資金を有し、ヤクルトやメルシャンを傘下におさめ、バイオをはじめ多角経営を推進する巨大企業であることに間違いない。その巨大企業が『営業』を最先端のものに変革したのを知って、少なからず私は驚いた」と、村上龍氏は感想を述べている。

 巨大企業であれ、スモールビジネスであれ、セールス(販売)がない限りビジネスは成立しない。従って、どのような企業であれ、巨大企業であろうとスモールビジネスであろうと、セールス部門(=営業部門)の絶え間ない変革は必要であり、この点で村上龍氏の認識には同意できない。

 しかしながら、加藤社長が「価格営業から価値営業へ」と大きく舵を切っているということは、まさに正しい方針を展開していると指摘できる。
 日本も高度成長時代からバブル時代を経由し、安定成長の時代に突入している。このことは、「作れば売れる時代はとうの昔に終焉し、潜在化されたニーズを掘り起こし、それをセールス結果に結びつけ、セールスの成果を出すことを求められる時代」に突入していることを示している。
 つまり、オーダーテイカー型営業は成立しないセールス環境になっているということである。

 今、日本経済新聞最終面で、セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文氏が、「私の履歴書」を連載している。この鈴木会長も、イトーヨーカドーをベンチャー的な企業体から巨大なスーパーマーケットへと変身させる過程で、「どのように顧客に向き合うか」を考えてきている。また、時代環境も、「商品が欠乏していた時代環境(=店頭に陳列すれば売れた時代)」から「商品が氾濫している時代環境
(=店頭に単に陳列するのみでは売れない時代)」へと市場環境が変化してきている。
 鈴木会長は、このの両方の時代をまさに経営者として潜り抜けてきていることになり、鈴木会長が書いている「商売の原点」などは、経営者層にとって参考になるかもしれない。

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