日経WAGA MAGA「リタイア期からの人材派遣 広がる選択肢」について

　日経WAGA MAGAで、「リタイア期からの人材派遣 広がる選択肢」と題する記事が紹介されていた。

　千葉市に「マイスター60」という人材サービス会社があり、平野茂夫社長が経営している会社で、入社資格は57歳以上、70歳選択定年制、雇用は1年契約、社員は既に600人、中には、「モーターの回転音を聞いただけで、装置異常を発見できる達人」もいるとのことである。
　平野社長は、「入社資格は『60歳以上』」(サンマーク出版刊)の中で、「失われゆく技術の伝承の大切さ」を説いているとのこと。
　まさに、2007年問題に関連して、特に製造業等を中心に「技術の伝承」について各企業トップの悩みの種になっている。

　平野社長は、「たまたまラジオから聞こえてきた『サラリーマン、会社を辞めればただの人』という川柳に奮起し『マイスター60』を創業した」とのことで、有名な話である由。
　創業の経過が面白いと思った。
　
　サラリーマンとして、企業組織内でどのような地位にあろうと、どのような肩書きで仕事をしてきていようと、組織を離脱すれば単なる一人の人間に過ぎない。しかし、中には「過去」に依存して、「過去と同じ行動、同じ振る舞い」をする人も少ないとはいえず、それを皮肉ってこの川柳があると理解してもおかしくない。
　従って、何故この句に奮起の原点があり、会社創業に至ったか、という面で理解しにくいところがある。
　あるいは、平野社長自身にそのような側面があり、この川柳に接し、自己反省し奮起することになったのか、現在の社員、すなわち、マイスターたちが単に「ただの人」としておいておくのは、「時代の要請」との関係でもったいない、ということだったのかわからない。

　いずれにしても、企業形態としては面白く、日本の現状、団塊の世代の大量退職という状況を踏まえて、各企業体における「技術・ノウハウの伝承」の面で大きな問題を抱えている中で、そのような状況にマッチした企業体であるとは思う。
　私などもそうであるが、「いつまでも現役で働き続けることのできる環境」というのはいいことであり、社会貢献の形式は色々とあるとしても「生涯一捕手」、「生涯一ゴルファー」といった社会貢献があるとすれば、そのような社会環境は是認するところである。