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日経5月21日付領空侵犯のインタビュー記事で、前米国土安全保障長官のトム・リッジ氏が提唱しているテーマである。
トム・リッジ氏は、2001年の米国同時テロ後、2003年1月に設置された国土安全保障省の初代長官に就任、2005年2月に退任後は、コンサルティング業を営んでいるとのことである。
日本企業の危機管理についての問いかけに、「企業間の相互依存を強めるグローバリゼーションは国家同様、企業にも従来より大きなリスクをもたらしています。企業は独自にリスク評価機能を強化すべきです。具体的にはリスクの特定や、影響度合い、リスク評価に基づく内部の情報交換などを検討しなければなりません」とのこと。
その通りである。
トム・リッジ氏は、具体的には、「国際ネットワークの脆弱性、自然災害、地政学上の変化、ライバル企業や国家・組織によるサイバー攻撃、雇用者犯罪」といったリスクを指摘している。
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日本企業も大企業を中心に、国際展開をしており、目に見えない大きなリスクを抱えていると考えるべきであり、耳を傾けるに値する考え方である。
また、危機管理の面では、企業内の下部構造が意見具申しても、何も始まらない場合がほとんどであり、リーダーがどのように行動するかが大きな要素となる。
記者が、難しい時代の舵取りを任されるリーダーに求められる資質について問いかけると、「企業であれ、政治であれ、どのようなリーダーも自らを取り巻く環境をよりよく理解し、国際社会での変化を否定しないことが肝要だと思います。古い慣習は組織を危険にさらし、変化に抵抗すれば、必ず失敗するのではないでしょうか」と応答している。
この点もまさに然りである。
少なくとも、「過去の成功体験」にしがみつき、それを実践活動に活かすことに汲々とする経営リーダーであるとすれば、その企業に発展はないと考えられる。やはり、「おかれている現実をより深く理解し、的確に現実に対応していく姿勢」が求められることになる。
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セブン&アイ・ホールディングス鈴木会長なども、このブログで何度か取り上げているが、「企業の状態が最高潮と考えられる時期に変化の兆し」を読み取り、その後の急激な変化に対応する資質を備えた経営者であると考える。
この「変化の兆し」に関連して、それを、「変化の兆し=企業の遭遇する可能性のあるリスク」と捉えるならば、トム・リッジ氏が応答しているポイントに関わることになる。
つまり、「経営リーダーに、現実の理解、変化の受け入れ、変化への対応できる資質」がまさに求められることになる。