某住宅地発、某駅行き… 乗客は僅か3名だった。発車時刻になった時、某住宅地着のバスが到着して、私のバスのすぐ後ろに止まった。十数名の人たちがバスから降りて、前方へ後方へと歩いて行く…
私は扉を閉めて発車… と思ったら、一組の母子が後方から“走ってくる”のがミラーに映った。私がすぐにバスを止めて前扉を開けると、その母子は駆け込んでステップの上に立った。
母親はカバンの中から財布を取り出し、2枚の100円玉を探して小銭をジャラジャラ… 駆け込み乗車をしたということは、バスに乗る準備ができていないのも当然なので、私は静かに見守っていた。その間、男の子が何か言っていたが、私には聞き取れなかった。
ようやく母親が2枚の100円玉を見つけて、それを運賃箱へ… と、私は思ったのだが、なんとそこで母親が「はい! じゃあ、××君が入れて!」と言いながら、子供に1枚の100円玉を手渡し、運賃箱の高さまで抱き上げたのである。
男の子は少しモタモタしながら100円玉を投入、続けて母親も100円玉を投入… そして「すいません」と言いながら、乗車口から一番遠い“車内観覧席”まで歩いて行った… しかしまぁ… なんだかなぁ…