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電力供給の減少で料金値上げは必至か 決断迫られる原発再稼働#2024年6月6日#高橋雅英

2024-06-06 16:16:46 | 連絡
〈電力供給の減少で料金値上げは必至〉決断迫られる原発再稼働も、顕著な地域差、東日本大震災の負のイメージを払拭せよ!
2024年6月6日
高橋雅英 (たかはし・まさひで)
 中東調査会 主任研究員
京都産業大学外国語学部卒、上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士前期課程修了、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。
外務省国際情報統括官組織専門分析員、国際協力機構(JICA)安全管理部専門嘱託などを経て現職。
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石炭輸入額の場合も、21年1月の9000万円から22年8月に約6倍の5.3億円に増え、24年4月は2.5億円となった。
政府・日銀が円安是正に向けて本腰を入れてないことから、輸入物価による発電用燃料のコスト高はこの先も続く見通しである。
 一方、これまで電力補助金には大規模予算が投入されてきた点から、無期限に延長することは困難である。
電気・ガス価格激変緩和対策事業には、22年度補正予算で約3.1兆円、23年度補正予算額でも約6400億円が注ぎ込まれた。
同時期、ガソリン補助金(燃料油価格激変緩和補助金)にも6.3兆円以上が費やされたことから、財政的な観点から、各種補助金の終了に向けた出口戦略が模索されてきた。
<>福島原発事故以降の電力供給体制
現在の電力供給体制は、ガス火力発電の比率が高いこともあり、資源価格の変動や円安の進行から影響を受けやすい。
日本のエネルギー政策にとって大きな転換点となったのは、11年3月に起きた東京電力福島第一原発事故である。
同事故を受け、原発の安全性に対する疑念が国民の間で強まった。
 そして事故の教訓を踏まえ、原発の稼働には、原子力規制委員会が定めた新しい基準を満たすことが必要となり、全ての原子炉が運転の取り止めを余儀なくされた。
事故前年の10年、日本の原子力発電規模は米国やフランスに次いで世界第3位であり、原子炉54基が稼働し、15基が建設中・計画中であった。
 だが全炉停止の影響により、発電比率に占める原子力発電の割合は10年度の25%から、11年度以降は10%以下まで落ち込んだ。
その結果、石炭火力発電(34%)とガス火力発電(31%)の重要性が高まった。 
<>原発の再稼働が進む西日本、遅れる東日本
原子力規制委員会の新規制基準を満たし、再稼働を果たした原子炉は現時点で、11基である。
運転中の全ての原子炉が西日本に位置し、炉型は加圧水型軽水炉(PWR)である。
 九州電力は15年に川内原発を一早く再稼働させた後、18年に玄海原発の運転にもこぎつけた。
関西電力も16年より原発を段階的に再稼働させ、廃止措置対象を除いた原子炉全てを動かしている。
 四国電力も16年に伊方原発3号機の再稼働を実現した。
中国電力の島根原発2号機は安全対策工事の長期化を理由に、再稼働時期が今年12月になる見通しである。
西日本と対照的に、福島第一原発と同じ炉型、沸騰水型軽水炉(BWR)が多く採用されている東日本では、原発の再稼働実績はない。
再稼働の遅れの理由については、福島原発事故の責任を負う東京電力の消極性や、地元自治体からの同意取り付けの難航などが考えられる。
 こうした中、世界最大級の原発、柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる動向が注目を集めている。
同原発6号機および7号機(炉型、改良型沸騰水型軽水炉〈ABWR〉)は、17年12月に新規制基準の審査に合格したが、その後テロ対策上の問題が見つかり、再稼働プロセスが一時停滞した。
東京電力は今年4月に7号機の燃料装荷をようやく完了したものの、地元自治体の認可が得られるかが再稼働へのハードルとして残っている。
柏崎刈羽原発が再稼働できれば、火力発電の燃料調達コストは大きく減少し、電気料金の値上り抑制という効果が見込まれる。 
<>廃炉と運転期間延長をめぐる問題
福島原発事故以後、既存炉の一部は再稼働を迎えることなく、廃炉対象となった。
福島第一・第二原発をはじめ、女川原発1号機、敦賀原発1号機、美浜原発1~2号機、大飯原発1~2号機、島根原発1号機、伊方原発1~2号機、玄海原発1~2号機、である。
 廃止の原子炉数は21基、総発電設備容量は約16ギガワット(GW)にのぼる。
この点から、日本はBWR炉を含め、停止中の原発を段階的に再稼働させたとしても、原子力エネルギー供給量を3.11以前の水準に回復させることはできない見通しである
 また既存炉の老朽化問題も深刻化している。
既存炉の3分の1ほど(全34基のうち13基)が70年代と80年代に建設され、運転開始から約40年が経過している。
運転期間の制限は原則40年であるが、原子力規制委員会の承認の下、最長20年延長できる規定が23年に導入された。
しかし、廃炉問題を先送りしたに過ぎず、いずれかの段階で運転の停止を決断せざるを得ないだろう。
<>クリーンエネルギーとしての原発の活用
脱炭素化に向けた流れを受け、エネルギーの安定供給に加え、カーボンニュートラルの手段としても、原発を積極的に導入しようとする国が増えている。
再エネと同様に、温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力発電の活路が脱炭素分野で見出された。
 政府は23年2月に閣議決定した「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」において、原子力の活用を明記した。
第6次エネルギー基本計画に沿って、30年度までに電源構成に占める原子力比率を、20~22%に引き上げる方針である。
また政府は安全性の確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを具体化させていく構えだ。
原子炉の新設事業については、大間原発(ABWR、138.3万kW)や東通原発2号機(ABWR、138.5万kW)、島根原発3号機(ABWR、137.3万kW)が建設中である。 
原発の新設計画に関する議論は中長期的な観点から、原子力発電を将来的に維持していく上で重要である一方、迫りくる電気料金の上昇を可能な限り抑えるためにも大切である。
原発の新設を目指す他国とは異なり、日本は既に国内に備わっている原子力エネルギーの供給能力を活用できる状況にある。
 原発の再稼働を急がなければいけない背景には、主力電源の石炭火力に対する風当たりが年々強まっていることもある。
今年4月にイタリアで開催された主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合では、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の廃止目標年限が初めて声明に明記された。
原発が再稼働しないまま、安価なエネルギーを提供できる石炭発電の利用が制限された場合、電力供給体制が大きく揺らぐ恐れがある。
普及しつつある再エネ発電は発電量の変動や災害への脆弱性などにより、安定性に欠ける面がある。
日本は原発の利点を最大限活用すべく、原子力規制委員会の判断や地元自治体の意見も踏まえつつ、政治主導で早期に原発の再稼働させる必要があるだろう。 







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