
ー希望の後継者サーシアー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第十七話

無限に拡がる大宇宙__。
静寂に満ちた世界。
死にゆく星、生まれてく星、そう宇宙は生きているのだ。
アンドロメダ級エンタープライズが、至近距離で撃ち放った拡散波動砲によって、イスカンダルは静けさを取り戻したかに見えた__。
だが、イスカンダルの王都イスク・サン・アリアその中心にスターシャが住んでいる大宮殿クリスタルパレスは、水没した。
二割ほどの大地も一割強しか確認出来ない。
スターシャは死亡してしまったのか?
母であるスターシャを救出に向かった娘サーシアは?
ユリーシャやメルダの姿もまた、そこにはなかった__。
そして、イスカンダル上空に浮遊するエンタープライズもまた、生存者は確認する事が出来なかった__。
◆◆◆◆

「総員、第一級戦闘配置!」
「白兵戦に備え、銃の携帯を許可する!」
「機関長。補助エンジンを最大パワーに!」
「各部署はオートから手動に切り替えよ!」
「主砲!波動カートリッジ弾装填!」
「山本!待たせたな。航空隊全機発艦せよ!」
「ラジャー!!」


「佐々木、椎名隊はヤマト護衛にあたれ!!」
「ラジャー!!」
イメージ曲新コスモタイガーのテーマ「宇宙戦艦ヤマトーヤマトよ永遠にー」より。
だが、ヤマト航空隊が発艦した事で、サーダは、心を乱され、ミサイル砲を乱射させた。
「クッ!奴は気が変わったのか?」
「バカスカ撃って来やがる!」
「みんな!何かに捕まれ!」


「避けきれない!」
島の神業的な操艦を持ってしても、多大な直撃を喰らってしまう。
軽微で済んだが第一艦橋もまた、例外ではなかった。
しかし、飛び散る破片の一つが島の腹部に直撃、必死に痛みをこらえ操縦悍を握るのが、やっとであった。
「ぐわっ!」
「ん!?」
「島。どうかしたか?」
顔をしかめる島に古代は声を掛けた。
心配させまいと島は嘘をつく。
「何でもない。ちょっと突き指しただけだ。もう痛みも和らいだ。」

「隊長!ヤマトが、護衛隊が酷くやられているようだ!」
「此方、山本。了解した。」
「坂本。あとを頼む!陽動撹乱だ!」
「私は椎名隊とヤマト護衛に回る!」
「ラジャー!!」
ヤマトに急行する山本。
「好き勝手やってくれちゃてッ!!」
「気でも狂ったか!!」
「チッ!二発抜けた!?」
「艦橋に直撃コースじゃんかよ!」
「ん!?ヤマトの動きが変だ!」
「このままじゃヤマトが、沈む!」
「やらせるかぁぁぁぁぁーーーッ!!」



「やっ!……山本!?」
「山本ォォォォォーーッ!!」
また一つ尊い命が散った__。
航空隊隊長:山本が戦死した__。
死闘が繰り広げられる中、シャンブロウに赴いていたデスラーの参戦により、サーダは撤退を余儀なくされ、ワープで撤退した。
ヤマトはデスラーの力を借り、デスラー砲艦カタパルトに接続され、イスカンダル、ガミラス星を目指した__。

◆◆◆◆


「島……山本……。山南司令……。」
「地球を救う事は出来たが、イスカンダルをスターシャさんを救う事は叶わなかった……。」
「本当に地球の平和は宇宙の平和に繋がるのだろうか……。」

「新たな後継者のもと歩むのも悪くはないと言う事か。」

「それぞれの新たな旅立ちね。」
◆◆◆◆

「さて、脱出したは良いが陛下にごねられては、このまま総統の所へ行ける訳もなく、俺としてもどうしたら良いものかと……。」
「キャプテ~ン。」
副長のハイニが何時もの口調で呼んでくる。
「何か?」
「陛下から映像通信であります。」


「キャプテン。ご相談があります。」
「此方のアルゴーまでお越し頂けません?」
「ドッキングベイ(接岸区画)を開けておきます。」
◆◆◆◆

「古代艦長。わがままをお許し下さい。」
「私は元々、ダンサー。軍服よりコッチが落ち着きます。それと……。」




無限に拡がる大宇宙__。
静寂に満ちた世界__。
この静寂な世界で、誰一人として、スターシャとフラーケンキャプテンそして、乗組員たちを見た者はいない__。
エンディングイメージ曲真っ赤なスカーフ「宇宙戦艦ヤマト2199ver.」より。
~fin~

「お父様。地球いや、ヤマトとクルーの拿捕は失敗に終わりました。」
「申し訳ありません。」
「サーダよ。いずれ手に入れる時が来る。」
「その時こそ手に入れろ。」
「お前は我が種族を残せる唯一の存在。今は、無理をするな。」
「はい。お父様。」

プロローグはコチラ。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。
また、プレイステーションゲーム版設定資料より引用。
使用している画像はイメージです。また一部、拾い画を使用しています。