鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

残光の艦ー宇宙戦艦ヤマト完結編ーサイドストーリー後編

2019-09-08 14:15:59 | 宇宙戦艦ヤマト:二次創作



残光の艦
宇宙戦艦ヤマト完結編サイドストーリー

後編


氷の大地を歩くセイレーン連邦特務隊。

「少尉。この裂け目から下に降りれそうです。」その裂け目から微かに覗かせる光りが、この真下に何かが存在すると、思わせた。

「うむ。」

「しかし、少尉。何故、300年も 前の過去にブローネ皇帝は、拘(こだわ)るのです?」

「気になるか!?」
「ここを降りながら話すとしよう。」
背負うランドジェットを噴射させながら降下、カナーン少尉は話しはじめた。

「まず、我々が目指すもの。」
「それは、この氷の大陸に眠る宇宙戦艦ヤマトだ。」

「宇宙戦艦ヤマト?」

「そうだ。ヤマトだ。」

セイレーン連邦皇帝であるブローネ皇帝は元々、地球の科学者だったが、優性人種覇権主義を提唱したため「ネオ・ファシスト」として迫害を受け、同志と共に地球を出奔(しゅっぽん)。
たどり着い惑星で、セイレーン連邦を建国して皇帝となった。
皇帝は、クローン代謝処置により長寿となっている。
そして、我々同様、ゴーダ文明研究の一人でもある。

我々の暦(星歴)で2420年、「銀河100年戦争」と呼ばれた地球連邦とセイレーン連邦との戦争が勃発した。
地球連邦の旗艦はヤマト。
代々引き継がれきた地球連邦軍艦隊の旗艦:宇宙戦艦ヤマト。



そして、2520年地球連邦とセイレーン連邦の間で休戦協定が結ばれた。
だが、セイレーン連邦の統制下であるリンボス星の少年たちが、郊外に墜落して朽ち果てていた地底戦艦(第17代宇宙戦艦YAMATO)の内部からデータディスクを発見した。
少年たちは、そのディスク内部に記録されていた設計図を元に、休戦協定に基づき閉鎖状態となっていたセイレーン連邦の自動造船工場のドックにて密かに第18代YAMATOを建造しリンボスからの脱出を計画した。
しかしデータディスクには、銀河100年戦争の一因となった超古代異星人の科学文明=ゴーダ文明に関する情報も記録されており、不幸な巡り合わせとセイレーン連邦皇帝ブローネの謀略によって引き起こされた緩衝惑星での協定違反及び惑星そのものの破壊を皮切りに、第17代宇宙戦艦YAMATOのデータディスク、そしてその内部のゴーダ文明に関する記録を巡って地球連邦とセイレーン連邦は、再び銀河系の全宙域を巻き込んだ戦争状態に突入してしまった。




「と言う訳で、皇帝は元凶は"ヤマト"であると。」
「そのヤマトを破壊する事が我々に課せられた任務だ。」

「成る程。」
「しかし、少尉。我々もまた、ゴーダ文明の科学を保有し、利用しているのでは?」

「だからセイレーン連邦は、我々を我々の星(ふるさと)はセイレーン連邦によって守られているのだよ。」
「統治はされているが、種族を守る為の手段でもあるがな。」
「だが、この任務後、我々の星そして我々を含め民は、抹消されるだろうな。」
「利用価値は無くなる訳だらな。」
こう告げるカナーン少尉にキヒラ伍長が、聞き返した。

「利用価値……。」

「そうだ。利用価値だ。我々がこの任務を成功させれば、セイレーンの目を欺き、セイレーンに対し反旗を翻す事が可能だからだ。」
カナーン少尉やキヒラ伍長そして、その母星シロアには、ゴーダ文明の遺跡の一つ"時空間跳躍可能な超高度文明システム機"が、存在する。
このシステム機を使い、アメシスやカナーン、キヒラたちは300年も過去に「タイムスリップ」=「タイムワープ」する事が出来たのだ。

「この方法で我らは皇帝ブローネをも過去に遡(さかのぼ)り、暗殺も可能だからな。」



カナーン特務少尉
所属:シロア防衛軍(セイレーン連邦軍シロア星統治群シロア部隊)
階級:少尉(シロア星統治群シロア部隊特務少尉)
年齢:21歳
性別:女

シルバーブルーの髪色が特徴のシロア星人。
元々、技術将校で「モノポールエネルギー」を利用した恒星間航行用エンジンを開発していた。
セイレーンに統治される以前は、ストレートで綺麗な長い髪であったが、統治後、肩に着くか着かないくらいのショートボブに変えた。
これはセイレーンによる戦闘訓練で長い髪が、邪魔に成ることからである。



キヒラ特務伍長
所属:シロア防衛軍(セイレーン連邦軍シロア星統治群シロア部隊)
階級:伍長(シロア星統治群シロア部隊特務伍長)
年齢:19歳
性別:男

カナーン少尉同様にシルバーブルーの髪色が特徴のシロア星人。
少年時代に衛星中継を街頭モニターで観ていた時に「Yamato」の勇猛な闘いを見て、軍人を目指した。





少尉の話が終わる頃、二人は広大な開けた空間に降り立った。
そこは氷塊の内部をくりぬき、幾つもの鉄骨が組まれ、建設途中の大工場のような場所であった。
その中心に残骸で横たわるヤマトが見える。

「少尉!あれを……。」
「既に破壊されています……。」

「伍長。破壊するのは、あのヤマトの中核マスターコンピュータのブラックボックスだ。」

だが、二人が降り立つと同時に侵入者を検知する為に張り巡らされたレーザーに接触、察知され、警務アンドロイドに包囲されてしまう。

「……しまった!!」

幾つもの銃声が空洞内に響き渡る。
何事かと駆けつける真田。
だが、真田が駆けつけた時には、時既に遅しであった。
侵入したカナーンもキヒラも、銃弾に倒れていた。

「おい!救護班を呼べ!」
「こっちの女の士官はまだ、息がある!」
真田は叫ぶように指示を飛ばした。

口から血反吐を吐き、薄目を開けるカナーン少尉。
そのカナーン少尉は真田に抱き抱えられながら最後の力を振り絞るように、右手に装着した通信機のボタンを押した。
赤いレーザーが真上に伸び、数秒後に消え、カナーン少尉も息を引き取った・・・






「……失敗したか。」
「艦長。機関始動だ。」

だが、この赤いレーザーは試作艦紀伊でも捉えていた。

「冬木艦長!」
「不振なレーザー通信と識別コードに無い不明艦をキャッチ!」
「調査に向かいますか?」

「うむ。」
「船務長。この宙域に連邦の艦艇は無いのだな。」

「はい。当艦だけです。」

「調査に向かう!総員、第一級警戒配置!戦闘配置に備えよ!」
「進路をキャッチした宙域へ向けよ!」



「アメシス様!後方に地球戦艦!」
「艦影はヤマトに似ていますが、識別コードにはありません!」

「新型か……。」

「艦長!砲撃せよ!」
「我らを知られた!沈めよ!!」

先制攻撃を仕掛けるアメシス座乗艦。
蛍光ピンクに光る光弾が、飛び交う中、紀伊もまた、反撃を開始した。

「船務長!」
「主砲で弾幕を張り、コスモゼロ20=トゥエンティを発艦、推進機を狙わせろ!」
「新たな脅威と成るかも知れん。拿捕する!」





「護衛艦爆沈ッ!!」
「ヤマト型に気を取られている間(あいだ)に小型機二機、急接近!!」

「何ッ!?」
「たかが旧式の艦一隻と思っていたが……。」
「艦長!超時空間跳躍を!!」
「当該宙域より、離脱せよ!」

集中砲火が飛び交う中、アメシス座乗艦は、蒼い光りに包まれ、一瞬にして消えた。


「消えた……か。」
「全艦、戦闘中止!」

「各レーダー解析!急げ!」

「艦長!所属不明艦はロスト、ワープした形跡もなく、また、遮蔽シールドを展開しているデーダーもありません!」

「……うむ。」
「通信長。地球連邦軍へ通達。」
「我が艦は進路、月面基地へ!」
試作艦紀伊は、ゆっくりと回頭、月面基地へ舵を切った。

この後、地球連邦軍第二艦隊による三日間もの捜索が大々的に行われたが、"行方不明"と結論付けられた__。


~fin~


◆◆◆◆


冬木 香華(きょうか)。
所属:地球連邦軍宇宙軍
階級:大佐
年齢:27歳
性別:女

前髪が長めのショートカット髪が特徴。
連邦防衛大学を主席で卒業、卒業後、連邦防衛庁に入庁するが、当時、優秀な将校確保及び育成が急務だった為、防衛大臣直々に、軍の士官育成に協力して欲しいと頼まれ急遽、軍属と成る。
その為、異例の待遇で大佐の階級を得る。


◆◆◆◆


この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト完結編》の二次創作です。
一部、公式より引用。
使用している画像はイメージです。