鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

追憶の戦場ー機動戦士ガンダム外伝ーア・バオア・クー会戦

2019-09-12 20:33:55 | 機動戦士ガンダム系:二次創作



追憶の戦場
機動戦士ガンダム外伝

ーア・バオア・クー会戦ー




0079年12月
地球連邦軍は星一号作戦による攻略目標をア・バオア・クー要塞とした。

第一大隊の進軍中にソーラ・レイの攻撃によって全艦隊の約30パーセントを失う大損害を受け、さらに最前線の最高指揮官であるレビル将軍を失ったものの、ア・バオア・クー要塞の攻略を強行した。
これにより同年12月31日から翌日(0080年1月1日)にかけ、地球連邦軍の宇宙艦隊とジオン公国総帥ギレン・ザビ、その妹キシリア・ザビ少将の指揮するジオン軍要塞守備隊との間で大規模戦闘が発生、これは両者の総力戦となり、ア・バオア・クー要塞は一年戦争最後の戦いの舞台となった__。




ア・バオア・クーは他の要塞とは違い、要塞を傘の部分の上から見下ろした時の周囲を4つの防空管制エリアに区分した防衛システムを採用しており、モビルスーツ隊等のエリア配属・防衛管制を行っていた上、この戦いでは、重要エリアの死角区域にドロス級大型空母が配備された。

Nフィールド=ジオン公国本土(サイド3)を臨むエリア。ドロスが配備された。

Eフィールド=月の裏側を臨むエリア。
カスペン戦闘大隊(ヨーツンヘイム)が配備された。

Wフィールド=Eフィールドの反対方面を臨むエリア。
グワジン級が1隻配備されたのみとされている。

Sフィールド=地球を臨むエリア。
ドロス級「ドロワ」が配備された。



最終決戦にもかかわらず、正規の兵員不足により十分な補充が行えなかったため、練度不足の学徒動員兵をもって数を合わせる有様であった。
地球連邦軍は残存部隊の再編成を完了し、ここに一年戦争最後の戦いの幕が切って落とされた__。

地球連邦軍は、ソーラ・レイの被害を受けなかった第二、第三大隊をジオン公国本土を臨むNフィールドへ、被害を受けた第一大隊とホワイトベースをルザル艦隊として地球を臨むSフィールドに向かわせた。
Eフィールドにも別動隊が向かった。
Eフィールドにおける戦力比は連邦6、ジオン1であった。

戦いは、0079年12月31日8時10分、地球連邦軍のパブリク隊の突入から開始された。
これに対してジオン軍はギレンとキシリアが自ら指揮を執った。
当初ギレンは連邦軍第二、第三大隊を主力と判断し、Sフィールドの艦艇の半数をNフィールドに投入するなどして戦力を集中させると共に、的確な防衛管制でパブリク隊を撃退し、ドロス級大型空母を全面的に前へ出してきた。
間もなく連邦第一大隊が手薄になったSフィールドから突撃するが、キシリアはこれに対応するべくジオングを含む部隊を投入する。

当初ジオン軍ではNフィールドへの連邦軍第二、第三大隊の攻撃を退けて優位に立っており、またSフィールドの残った戦力でも戦局を支えるには十分と思われたことで、勝利の兆しが見えたとする余裕すらギレンには見られた。
しかし、戦闘の最中にキシリアはギレンに対し、「父殺しの罪」を犯したとして銃口を向けた。
ギレンは真に受けず軽笑してあしらったが、0079年12月31日9時25分、ギレンもキシリアに誅殺された。
現場を目撃した司令室の士官たちは動揺し、重い空気が流れていたが、キシリアの「父殺しの罪は総帥であっても免除されない。
異議は軍法会議において聴く」の言葉、トワニング准将による、「ギレン総帥は名誉の戦死をされた」という一言は、その場の沈黙を鎮め、キシリアに指揮権を引き継がせることになった。



しかし、ギレンの殺害からキシリアに指揮権が引き継がれるまでの十数分間において命令が出なかったことから、ジオン軍要塞守備隊の指揮系統に混乱を招き、地球連邦軍の攻撃に対して一瞬の隙を作ることになってしまった。
この間隙を突いた地球連邦軍の攻撃は熾烈なものがあったようで、同日9時40分にNフィールドのドロス級大型空母「ドロス」が撃沈され、キシリアが指揮権を掌握するのはドロス轟沈後である。
さらに同日10時10分にはSフィールドのドロスの同型艦である「ドロワ」も撃沈された。
防衛の死角を埋めるドロス級大型空母2隻両方を失ったジオン軍要塞守備隊は、急激に防衛力を削られていった。



そして、地球連邦軍はSフィールドのガンダムをはじめとするWB隊の奮戦もあって要塞内部への侵入に成功。
前後してNフィールドにもドロス隊を撃破した連邦軍MS部隊が取り付き始め、ジオン軍の旗色は両方面で一気に悪くなった。
予備戦力に余裕のないジオン軍は崩れはじめ、練度不足の学徒動員兵の投入だけでは建て直しが不可能となった。

また、最も安全な場所にいるはずのギレン総帥が戦死したという発表に疑問を持ち、キシリア少将に殺害されたことを悟ったエギーユ・デラーズ大佐が、自らの部隊を集結させて暗礁宙域に向けて移動を始めた。
更に、もはやこれまでと判断したジオン軍の部隊が小惑星アクシズに向けて戦場から離脱し始め、戦力は大幅に減少した__。


ア・バオア・クー:Eフィールド




「おい。あれを見ろよ。」
「親衛隊が撤退してるぞ。」

ムサイ級ファルメル改良型巡洋艦キラービーブリッジ内がざわついていた。

「何事か!戦闘中であるぞ!」ブリッジクルーに叱責を飛ばすマーリャ少佐。

「はっ!申し訳ありません。」
「少佐。親衛隊の部隊が撤退をはじめています。」

「の、ようだな。」
「今しがた、大本営(しれいぶ)から発令があった。」
「あと15分だ!あと15分で、この戦闘は終結する。」
「ア・バオア・クーは堕ちた。」
その言葉に驚きと、動揺を隠せないクルーたち。

「……少佐。」

「いつまでも、驚いてばかりもいられんぞ!」
「我らも撤退する!」
「お前たちはシーマ艦隊へ赴け!」
「話は通してある。」
「コムサイとモビルスーツを持って行け!」

「少佐は?少佐は撤退しないのですか?」

「私か。」
「私はシーマ艦隊やお前たちの退路を作ってからだ。」
「時間が無い!急げ!」


試作兵器プロトン粒子レーザー砲を射ち放つ。
エンジンユニットに装備された針状の先端から、真一文字に蛍光ピンクのレーザーが二本伸びる。
右から送射されたレーザーは右に円を描き、左から送射されたレーザーは左に円を描き、その射線上に存在する全ての物体を貫き、凪ぎ払った。



「あれか!ジオンの試作兵器。」
「マーリャ。貴公の輝き、しかと見届けた。」




◆◆◆◆


キシリアは敗色が濃厚になったと判断し、ザンジバル級機動巡洋艦で脱出を試みたが、12時05分に翻意した配下のシャア・アズナブル大佐に殺害される。
直後に地球連邦軍のマゼラン級戦艦およびサラミス級巡洋艦数隻による集中砲火によってザンジバルも撃沈された。



ア・バオア・クー防衛司令部から戦闘中の各艦艇に指揮系統の機能停止と今後の自由行動を指示する命令が下ったのはこの頃と思われる。
これは事実上の停戦命令(キシリア少将は生前、自身の脱出から15分後に降伏を打診することをトワニングに命じていた)であったが、残存艦艇の多くが未だ維持されていたEフィールドからの突囲撤退を試みたために、連邦軍の攻撃はその後もしばらく停止されなかった。


~fin~







改・ムサイ級ファルメル型巡洋艦

全長:240m

全高:79.4m

全幅:180m(試作兵器プロトン粒子レーザー砲を含む)

全備重量:26,200t

推進機:関熱核ロケット・エンジン×2

武装:

・プロトン粒子レーザー砲×2基

・連装メガ粒子砲×3基

・小型ミサイルランチャー×10 門

・メガ粒子速射対空連装砲×6基

搭載数:モビルスーツ×3機

コムサイ×1艇







【マーリャ・ペニア】


ジオン公国軍突撃機動軍所属の女性将校。
階級は小佐。
性格は大胆不敵であるが、繊細な一面も。
シーマ同様にキシリア・ザビ配下のジオン公国軍海兵隊に配属。
キラービーの異名を持つ。
艦名であるキラービーは、本人の異名をそのまま艦名にした。
一年戦争緒戦において、スペースコロニーへの毒ガス(GGガス)注入、いわゆる「コロニー潰し」がトラウマになっているシーマの心理カウンセラーでもある。
シーマとは百合関係とも。
シーマ同様にゲルググ・マリーネ(指揮官機)を愛機としている。
太陽を背に一撃離脱の戦法を得意としている。その際、ビームサーベルで仕留め事が多く、そこから"蜂の一刺し"に因んでキラービーと呼ばれるように成った。
この戦闘で戦死されたとされているが、定かではない。
0083年フォンブラン市で見掛けたとの噂もある。

【マーリャ・ペニア専用機=キラービー機】ア・バオア・クー会戦前に量産型指揮官機にシーマの機体の予備パーツを組み合わせて作った機体。
以前はギャン高機動型の改良機を使用していた。





【シーマ・ガラハウ】

ジオン公国軍突撃機動軍所属の女性将校。
U.C.0083年に死亡した際の最終階級は中佐。
性格は大胆不敵で、非常に好戦的である。

一年戦争開戦直前に編成されたキシリア・ザビ配下のジオン公国軍海兵隊に、遙任の艦隊司令アサクラ大佐の代理司令官として配属。
麾下艦隊は、「シーマ艦隊」の通称を得て、一年戦争時は主に破壊工作を行っていた。
一年戦争緒戦において、スペースコロニーへの毒ガス(GGガス)注入、いわゆる「コロニー潰し」に従事しており、これがトラウマになっている。





シーマ艦隊

キシリア・ザビ少将配下のジオン公国軍突撃機動軍に属する、海兵上陸戦闘部隊の通称。
アサクラ大佐に代わり、シーマが代理司令を務めたため、この名で呼ばれる。
艦隊旗艦はザンジバルII級機動巡洋艦リリー・マルレーン。
その他、ムサイ級軽巡洋艦後期型7隻、パプア級輸送艦によって編成される。艦隊のカラーリングはリリー・マルレーンの黒以外は全てカーキで統一されている。

デラーズ紛争時の主だったモビルスーツは、MS-14F ゲルググMとMS-14Fs 指揮官用ゲルググM(シーマ専用機)、およびAGX-04 ガーベラ・テトラ。
モビルスーツの総数は30機以上であり、その実力は当時の地球圏でも最強クラスであった。

アサクラを除く構成員の全てがサイド3の3バンチ・マハルの出身。
公国への戸籍登録さえ行っていない者も多く、コロニー工作の専門部隊として半ば強制的に徴兵・編成された。
戦時中はコロニーへのGGガス注入などの汚れ仕事の他、相当に過酷な任務を強いられた。





この物語りは機動戦士ガンダムの外伝的二次創作の物語りです。

※使用している画像はイメージです。
また、使用している画像の一部はネット上に過去出回っていた拾い画像です。