感染症内科への道標

研究学園都市つくばより感染症診療・微生物検査・感染制御の最新情報を発信しております。

IDSA A群溶連菌ガイドライン 2012 

2012-09-20 | 微生物:細菌・真菌
→ガイドライン2002から改訂 
このガイドラインに従わなければいけない現状は心底悔しいです。

GASは成人の咽頭炎の5-15%を占める、小児の20-30%を占める。 
抗菌薬使用が重要とされているが他の稀な菌種(Corynebacterium diphtheria, Neisseria gonorrhoeae)以外は急性咽頭痛以外で有用性は証明されていない。 


1. どのようにGASの診断をすべきか
RADT(迅速診断キット)±培養 (症状だけでは区別できないため) 
小児、青少年では培養もすべき(strong, high) 陽性であれば培養はする必要なし(strong, high)
2.成人では培養は必要なし。
3. ASOはルーチンでは推奨されない。 

ウイルス性:coxsackievirus, echoviruese, herpes simplex virus, cytomegalovirus, rubella virus, measles virus, human metapneumovirus, human bocavirus.
細菌性:arcanobacterium haemolyticum (青少年) N.gonorrhoeae Francisella tularensis, Yersinia enterocolitica, Mycoplasma pneumoniae, Chlamydophila pneumoniae, Group C, C.diphtheriae, GGSははっきりしない。Fusobacterium necrophorum

4. ウイルス性が疑われる場合にはGAS検査は行わなくてよい。 
5. GAS, 急性リウマチ熱は3歳以下では稀であるため行わなくてよい。リスクのある人では検査を行う。

6. フォローアップ検査は必要なし。(strong, high)
7. 患者の同居人の無症状に対する検査は必要なし。(strong, moderate)

8. GASに対しては適切な期間と量で治療する。(10日間)PCG又はAMPC (strong high)
9. ペニシリンアレルギーに対してはfirst generation cephalosporin (10日間)、クリンダマイシン又はclarithromycin 10日間、アジスロマイシン5日間 

AMPC 1000mg 1日1回 (安くてコンプライアンスがいいから) 

10. GAS 咽頭痛の治療にはadjunctive therapyがしばしば有用である。
小児にはアスピリンは避ける。ステロイドは避ける。 

11.反復性のGAS患者はGAS慢性保菌+ウイルス感染の可能性あり。 
12. GAS carrierには治療の必要なし。 
13.Tonsillectomyは推奨しない。(strong, high)




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