感染症内科への道標

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米国非ムンプス性耳下腺炎の原因

2018-10-04 | お知らせ
要旨
目的
米国で2014-2015に流行した非ムンプス耳下腺炎の原因ウイルス調査

方法
Case Ascertainment and Epidemiologic Investigation
22. Dec. 2014からのインフルエンザ関連耳下腺炎の流行を受け、4. Feb. 2015から州・地方保健機関が非ムンプス性耳下腺炎(NMP: non-mumps parotitis)のcase-control studyに参加

case:
acute parotitis or other salivary gland swelling of >2 days duration
onset from 1 October 2014 through 31 May 2015
no known epidemiologic linkage to a mumps
did not have a laboratory-confirmed diagnosis of mumps infection (was either mumps-negative or not tested for mumps)
電話で本人または保護者に臨床症状・地理的情報を採取


結果
Virus Detections
1. Oct. 2014-31. May. 2015の間に323casesが21州で報告
influenza A (H3N2): 156 (53%)
HHV6B: 42(14%)
adenovirus (1%), HPIV2 (3%), HPIV3 (0.7%), EBV (13%), HSV-1 (1.4%), and HSV-2 (0.3%)
Multiple viruses :13% of
Mumps virus, CMV, HHV6A, HPIV1, and HPIV4 :not detected

Patient Characteristics
male (65%), 平均年齢 14.5 才 (IQR, 8–30), 64% が 20 才未満

ウイルスの種類により性別・平均年齢は有意に違いを認めた
男性はinfluenzaの単独感染・混合感染で多く、ウイルスが検出できない軍で少なかった
HHV6B群・その他のウイルス群(HPIV2/3 and adenovirus)・共感染群では有意に平均年齢が若かった

67%が片側性、 40%でinfluenza-like illness (ILI; 発熱≥100℉] または発熱感があり、かつ咳または咽頭痛を伴う).
片側性はウイルス非検出群では少なかった
influenza virus群ではよりILIや他の症状が耳下腺炎に先行していることが多かった
46%で抗菌薬投与を受けた
5%で合併症の報告があり、 11% が入院した
入院はEBVで最も多かった (22%)
ほとんどの検体(69%)は耳下腺炎発症後2日以内に採取された.
非ウイルス検出群は検体が発症2日より後に採取されることが多かった .
141 (44%) が並存症があり、asthma (23%) obesity (18%)が多かった .

過去1年間のムンプス・耳下腺炎・RSウイルス感染症・伝染性単核球症罹患歴は原因ウイルスごとにわずかな違いがあった .
混合感染群では過去1年間の溶連菌性咽頭炎により多く罹患していた
MMR/インフルエンザワクチン歴はEBV群でMMR接種率が低かったのを除けば原因ウイルスごとに有意な違いはなかった .

まとめ
過去最大の弧発・インフルエンザ関連NMPの報告
インフルエンザ(H3N2)・ヘルペス属ウイルスが最も多かった
2番目にHHV6Bが多かった
limitations
細菌性・非感染性に対する検査を行っていない
頰粘膜スワブは気道系ウイルスの検出には最適の検体ではない
過去の感染の遺伝子の残骸の検出により過大に評価している可能性
調べていないウイルス(echoviruses, parvovirus B19など)
質問紙を完成した患者のみ含めている
当初はインフルエンザ関連NMPの検出に焦点を当てた方策をとっていた

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